(4)ICTによる生産性向上 世界の株式時価総額トップ10の過半数が新興ICT企業で占められる中、わが国においてもイノベーションの源泉たるICTベンチャー企業を創出・育成することが急務となっている。総務省及び情報通信研究機構(NICT)では、こうした観点から、ICTベンチャーのシーズ発掘・育成に向け、各地の大学、高専、地方自治体、商工会議所等と連携した全国の若手人材・企業の発掘、当該人材・企業へのメンタリング、地方予選等から発掘された学生やベンチャー企業によるビジネスプラン発表会である「起業家甲子園」及び「起業家万博」を開催している(2014年度(平成26年度)に総務大臣賞を創設)。これに当たり、NICTではベンチャーキャピタル、ベンチャー企業経営者等のICTベンチャー業界の専門家を「ICT メンタープラットフォーム」として組織し、地方予選から「起業家甲子園」及び「起業家万博」後の事業展開までのサポート体制を構築している。 人口減少・少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少や国際競争力の激化等、中小企業等を取り巻く事業環境が厳しさを増す中、中小企業等の経営力の向上を図るため、「中小企業等経営強化法」に基づき、総務大臣を含む事業所管大臣がそれぞれの事業分野ごとに指針を策定するとともに、中小企業者等の取組を支援するための措置を講じている。 本制度に基づき、中小企業者等は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するための経営力向上計画を策定 15 し、事業分野別に主務大臣の認定を受けることにより、経営力向上計画に基づき取得した一定の設備について、法人税等の特例措置を受けることができるほか、政府金融機関の低利融資や民間金融機関の融資に対する信用保証・債務保証等の支援措置 16 を受けることができ、総務省においても、2019年度(令和元年度)は、合計42件の認定を行っている。 中小企業技術革新制度(SBIR制度) 17 とは、中小企業者等の新たな事業活動の促進を図ることを目的とし、国の研究開発事業について、中小企業者等の参加機会の増大を図るとともに、それによって得られた研究開発成果の事業化を支援する制度である。 なお、スタートアップ等によるイノベーションの促進に向けた各省統一的な運用と社会実装を促進することとして制度の大幅な見直しが行われた。2021年4月から新たな日本版SBIRとして制度の根拠法律を中小企業等経営強化法から科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に、主管庁が中小企業庁から内閣府にそれぞれ移管され、関係府省庁が一体となり支出目標や統一ルールを策定するなどして推進している。総務省においても、指定補助金(統一的なルールで実施する研究開発補助金・委託費群)を設けるなど、連携して取り組むこととしている。 15 経営力向上計画は、事業分野別指針が策定されている事業分野はそれに基づき作成し、事業分野別指針が策定されていない分野は基本方針に基づき作成する。総務省では「有線テレビジョン放送業に係る経営力向上に関する指針」、「電気通信分野に係る経営力向上に関する指針」及び「地上基幹放送分野に係る経営力向上に関する指針を策定しており、経営力向上に係る取組の支援等に取り組んでいる。・経営力向上計画策定の手引き:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/・事業分野別指針について:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/kihonhoushin.html 16 税制措置・金融支援活用の手引き:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/ 17 中小企業技術革新制度:https://www.chusho.meti.go.jp/faq/faq/faq07_sbir.htm