第8節 デジタル活用の動向 1 国民生活におけるデジタル活用の動向 (1) 総論 ア 情報通信機器の保有状況 デジタルを活用する際に必要となるインターネットなどに接続するための端末について、2021年の情報通信機器の世帯保有率は、「モバイル端末全体」で97.3%であり、その内数である「スマートフォン」は88.6%、パソコンは69.8%となっている(図表3-8-1-1)。 図表3-8-1-1 情報通信機器の世帯保有率の推移 (出典)総務省「通信利用動向調査」 1 イ インターネットの利用動向 2021年のインターネット利用率(個人)は82.9%となっており(図表3-8-1-2)、端末別のインターネット利用率(個人)は、「スマートフォン」(68.5%)が「パソコン」(48.1%)を20.4ポイント上回っている。 図表3-8-1-2 インターネット利用率(個人)の推移 2 (出典)総務省「通信利用動向調査」 【関連データ】 インターネット利用端末の種類(個人) 出典:総務省「通信利用動向調査」 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html(データ集) ウ メディア利用時間 総務省情報通信政策研究所は、2012年から橋元 良明氏(東京女子大学現代教養学部教授)ほか 3 との共同研究として、情報通信メディアの利用時間と利用時間帯、利用目的、信頼度などについて調査研究を行っている 4 。以下、2021年度の調査結果 5 を基に情報通信メディアの利用時間などについて概観する。 (ア)主なメディアの平均利用時間 6 と行為者率 7 「テレビ(リアルタイム)視聴」 8 、「テレビ(録画)視聴」、「インターネット利用」 9 、「新聞閲読」及び「ラジオ聴取」の平均利用時間と行為者率を示したものが図表3-8-1-3である。 全年代では、平日、休日ともに、「テレビ(リアルタイム)視聴」の平均利用時間及び「インターネット利用」の平均利用時間が長い傾向は変わらないが、平日については、「インターネット利用」が、「テレビ(リアルタイム)視聴」を2年連続で上回る結果となっている。行為者率については、「テレビ(リアルタイム)視聴」の行為者率は、平日、休日ともに「インターネット利用」の行為者率を下回っている。 年代別に見ると、「インターネット利用」の平均利用時間が、平日は10代、休日は10代及び50代を除き増加又はほぼ横ばいとなっている。また、「テレビ(リアルタイム)視聴」は、年代が上がるとともに平均利用時間が長くなっており、60代の平均利用時間が最も長くなっている。行為者率については、休日は10代、20代、30代及び40代では「インターネット利用」の行為者率が、50代及び60代では「テレビ(リアルタイム)視聴」の行為者率が最も高くなっているが、平日は50代の「インターネット利用」の行為者率が「テレビ(リアルタイム)視聴」の行為者率を初めて上回った。「新聞閲読」についても、年代が上がるとともに行為者率が高くなっている。 図表3-8-1-3 主なメディアの平均利用時間と行為者率 (出典)総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 (イ)メディアとしてのインターネットの位置づけ また、メディアとしてのインターネットの利用について、利用目的ごとに他のメディアと比較したものが図表3-8-1-4である。 図表3-8-1-4 目的別利用メディア(最も利用するメディア。全年代・年代別・インターネット利用非利用別) (出典)総務省情報通信政策研究所「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために最も利用するメディアとしては、全年代では「インターネット」が最も高い。年代別でも、10代、20代、30代及び40代で「インターネット」が「テレビ」を上回っているが、50代及び60代では、「テレビ」が最も高くなっている。 「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ために最も利用するメディアとしては、全年代では「テレビ」が最も高く、年代別でも各年代で「テレビ」が最も高くなっている。また、「新聞」は年代が上がるとともに高くなっており、60代では「インターネット」を上回っている。 「趣味・娯楽に関する情報を得る」ために最も利用するメディアとしては、全年代及び各年代で「インターネット」が最も高くなっており、10代、20代、30代及び40代で80%を超える高い割合となっている。 1 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html 2 令和元年調査の調査票の設計が一部例年と異なっていたため、経年比較に際しては注意が必要。 3 東京経済大学コミュニケーション学部教授 北村 智氏及び東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター特任助教 河井 大介氏。 4 「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査研究」:13歳から69歳までの男女1,500人を対象(性別・年齢10歳刻みで住民基本台帳の実勢比例。2021年度調査には2021年1月の住民基本台帳を使用)に、ランダムロケーションクォータサンプリングによる訪問留置調査で実施。 5 2021年度調査における調査対象期間は2021年11月30日〜12月6日。なお、図表の2017年は当概年の調査結果、2018年以降は当該年度の調査結果を示している。 6 調査日1日当たりの、ある情報行動の全調査対象者の時間合計を調査対象者数で除した数値。その行動を1日全く行っていない人も含めて計算した平均時間。 7 平日については、調査日2日間の1日ごとにある情報行動を行った人の比率を求め、2日間の平均をとった数値。休日については、調査日の比率。 8 テレビ(リアルタイム)視聴:テレビ受像機のみならず、あらゆる機器によるリアルタイムのテレビ視聴。 9 インターネット利用:機器を問わず、メール、ウェブサイト、ソーシャルメディア、動画サイト、オンラインゲームなど、インターネットに接続することで成り立つサービスの利用を指す。