2 企業活動における利活用の動向 (1) デジタル・トランスフォーメーション(DX) 10 ア デジタル・トランスフォーメーションの取組状況 DXに関する取組を進めている企業の割合(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」、「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」、「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計値)は、日本企業は約56%であるのに対し、米国企業は約79%と、日本企業の方が低かった(図表3-8-2-1)。DXに取り組む目的については、日本企業は「生産性向上」が約75%と最多であるのに対し、中国企業は「データ分析・活用」が約80%と最多である(図表3-8-2-2)。 図表3-8-2-1 DXの取組状況(日米) (出典)IPA(2021)「DX白書2021」 11 図表3-8-2-2 デジタル化の目的(国別) (出典)総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」 イ デジタル・トランスフォーメーションの効果 デジタル化の効果を「新規ビジネス創出」、「生産性向上」、「データ分析・活用」及び「商品・サービスの差別化」の観点に分けて調査した 12 ところ、各観点に共通して、日本企業は「期待以上」の回答が米国・中国・ドイツの3か国と比べて少なく、一方で「期待するほどの効果を得られていない」の回答は4か国の中で最も多い。 【関連データ】 新規ビジネス創出を目的としたデジタル化の効果(国別)、生産性向上を目的としたデジタル化の効果(国別)、データ分析・活用を目的としたデジタル化の効果(国別)、商品・サービスの差別化を目的としたデジタル化の効果(国別) 出典:総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html(データ集) ウ デジタル・トランスフォーメーションを推進する上での課題 デジタル化を進める上での課題・障壁として、日本企業は「人材不足(67.6%)」の回答が米国・中国・ドイツの3か国に比べて非常に多く、次いで「デジタル技術の知識・リテラシー不足(44.8%)」と、人材に関する課題・障壁が多い(図表3-8-2-3)。 また、各国の企業が保有するデジタル人材(「CIOやCDO等のデジタル化の主導者」、「AI・データ解析の専門家」)の不足状況については、日本企業は両デジタル人材に共通して「大いに不足している」と「多少不足している」を合計すると50%を超える結果となり、全体的にデジタル人材が不足している状況にある。特に「AI・データ解析の専門家」は「大いに不足している」が30%を超え、米国やドイツと比べると不足状況が深刻である。 各国の企業でデジタル人材が不足する理由については、日本企業は両デジタル人材に共通して「デジタル人材を採用する体制が整っていない」と「デジタル人材を育成する体制が整っていない」が約40%と多い。また、各国の企業のデジタル人材の確保に向けた取組について質的側面(必要なスキルの確保)から調査したところ、米国企業は「採用(新規・中途両方を含む)」が最も多い一方、日本企業は「社内の既存人材の配置転換や育成」が最も多い。 図表3-8-2-3 デジタル化を進める上での課題や障壁(国別) (出典)総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」 【関連データ】 デジタル人材の不足状況、不足する理由、確保に向けた取組状況に関するアンケート(国別・デジタル人材別) 出典:総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html(データ集) 10 ここでは「デジタル・トランスフォーメーション」を「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義する。出典:「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2020年7月17日閣議決定)(https://cio.go.jp/node/2413) 11 https://www.ipa.go.jp/files/000093706.pdf 12 調査対象はデジタル化の目的として各観点を選択した企業とし、目的ごとの回答結果を集計している。