2 公正な競争環境の整備 (1) 電気通信市場の分析・検証 ア 電気通信市場の検証 総務省では、2016年度(平成28年度)から、市場動向の分析・検証及び電気通信事業者の業務の適正性などの確認を一体的に行う市場検証の取組を実施しており、客観的かつ専門的な見地から助言を得ることを目的として、学識経験者などで構成する「電気通信市場検証会議」を開催している。また、2020年(令和2年)12月からは、「電気通信市場検証会議」の下に、電気通信市場における公正競争の確保などの観点から検討を行うことを目的とした「公正競争確保の在り方に関する検討会議」を開催した。 総務省では、2021年(令和3年)12月に、「公正競争確保の在り方に関する検討会議」報告書における市場検証の強化の必要性に関する提言などを踏まえ、「電気通信事業分野における市場検証に関する基本方針」を公表した。この基本方針に基づき、今後、毎年度、市場検証に関する実施方針などを示す年次計画を定めた上で、市場検証の取組を実施することとしている。 イ モバイル市場における公正な競争環境の整備など (ア)モバイル市場における競争ルールの検証 総務省では、事業者間の活発な競争を通じて低廉で多様なサービスの実現を図るべく、モバイル市場における公正な競争環境を整備するための取組を進めてきている。2019年(令和元年)には、通信料金と端末代金の分離や行き過ぎた囲い込みの禁止などを目的として電気通信事業法を改正しており、この改正により講じた措置の効果やモバイル市場に与えた影響などについて、「電気通信市場検証会議」の下に「競争ルールの検証に関するWG」を開催し、2020年(令和2年)以降、継続的な検証を行っている。 (イ)アクション・プランの策定・公表 総務省では、競争ルールの検証に関するWG「競争ルールの検証に関する報告書2020」(2020年(令和2年)10月)などを踏まえ、同月、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けた具体的な取組をまとめた「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表し、取組を進めている。 また、アクション・プランを受けた取組の一環として、携帯電話料金の低廉化に向けた環境整備を図るため、総務省及び消費者庁は、2020年(令和2年)11月に連名で「携帯電話業界における「頭金」の表示や端末販売価格に関する注意喚起〜携帯電話端末の購入を検討している方へ〜」を公表した。また、総務省では、同年12月には、利用者が自身に合ったプランを選択する一助となるよう中立的な情報を掲載した「携帯電話ポータルサイト」(暫定版)を総務省HPに開設し、2021年(令和3年)4月2日に「正式版」を公表した。さらに2022年(令和4年)4月、そのデザインを一新するとともに内容を大幅に拡充し、消費者の一層の理解促進を図っている。 【関連データ】 携帯電話ポータルサイト URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/ (ウ)SIMロックの原則禁止等の取組 2020年(令和2年)11月には、競争ルールの検証に関するWGの下に「スイッチング円滑化タスクフォース」を設置し、事業者間の乗換えの円滑化に資する取組について集中的かつ専門・技術的な検討を行った。 総務省では、同タスクフォース報告書(2021年(令和3年)5月)や競争ルールの検証に関するWG「競争ルールの検証に関する報告書2021」(同年9月)を踏まえ、SIMロックの原則禁止や既往契約の早期解消などに向けた制度整備を行い、また、携帯電話事業者各社でも、違約金の撤廃、キャリアメール持ち運びサービスの開始、eSIMの導入等の取組が進展するなど、モバイル市場における公正な競争環境の整備が進んでいる。