(5) 青少年のインターネット利用環境の整備 ア 概要 国民の日常生活においてインターネットが必要不可欠になる中で、青少年が安心・安全にインターネットを利用できるようにするため、総務省では、携帯電話端末におけるフィルタリング利用の促進と啓発活動の推進を中心に取組を進めている。また、「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース 10 」を開催し、取組の現状について関係者間における情報共有を図るとともに、更なる取組に向けた検討を行っている。 イ フィルタリング利用の促進 スマートフォンやアプリ・公衆無線LAN経由のインターネット接続が普及し、フィルタリング利用率が大幅に低下したことを受け、携帯電話事業者及びその販売代理店に対して携帯電話端末の販売時にフィルタリングの設定(有効化)を義務付けることなどを内容とし、2018年(平成30年)2月に施行された青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第75号)を受け、総務省では、携帯電話事業者及びその販売代理店におけるフィルタリング有効化措置の促進を図っている。 ウ 啓発活動の推進 (ア)インターネットトラブル事例集の作成・公表 青少年が安心・安全にインターネットを利用できるようにするためには、青少年自身だけでなく、その保護者、教職員などにおいても十分なメディア情報リテラシーを有する必要がある。総務省では、子育てや教育の現場での保護者や教職員の活用に資するため、2009年度(平成21年度)からインターネットに係るトラブル事例の予防法などをまとめた「インターネットトラブル事例集」を、毎年内容を更新して公表している。 2022年(令和4年)版では、著作権に関する問題やインターネット上の誹謗中傷などのトラブル事例のほか、スマートフォンのフィルタリングや時間管理機能、年齢に合ったインターネット利用環境などに関するページを収録している。 (イ)啓発動画の作成・公表 総務省では、青少年やその保護者に効果的にアプローチするため、人気キャラクターを用いた動画などを作成し、関係事業者などの協力の下で啓発活動に活用している。例えば、現在は人気漫画「僕のヒーローアカデミア」と連携したフィルタリングなどに関する啓発動画が、関係府省や関係事業者などのホームページに掲載されるとともに全国の携帯ショップ・量販店の店頭、青少年の啓発現場などで活用されている(図表4-2-5-2)。 図表4-2-5-2 青少年フィルタリング及び海賊版対策に係る啓発動画 (ウ)学校現場などにおける出前講座の実施 総務省では、青少年のインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的に、文部科学省、一般財団法人マルチメディア振興センター、通信事業者などの協力の下で、2006年度(平成18年度)から児童・生徒、保護者、教職員などに対する学校などの現場での無料の出前講座「e-ネットキャラバン」を全国で開催している。 2020年(令和2年)秋からは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、従来の集合形式に加えてリモート形式の講座も実施している。 (エ)集中的な取組実施期間の設定 総務省では、2014年(平成26年)から多くの青少年が初めてスマートフォンなどを手にする春の卒業・進学・新入学の時期に特に重点を置き、関係府省庁や関係事業者・団体と連携・協力し、青少年、保護者、学校などの関係者などに対し、スマートフォンやソーシャルメディアなどの安心・安全な利用のための啓発活動などの取組を集中的に行う「春のあんしんネット・新学期一斉行動」を実施している。 2022年(令和4年)は、ペアレンタルコントロール(保護者による管理)の普及促進や青少年のインターネットを適切に活用する能力の向上に資する啓発活動などの取組を集中的に展開した。 エ インターネット利用を前提とした取組 近年、青少年のインターネット利用の低年齢化が進むとともに、特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機として、GIGAスクール構想による学校での端末整備の進展を含む社会全体のデジタル化が急速に進展している。こうした環境変化を踏まえ、2021年(令和3年)7月に「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース」において今後の取組方針として「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関する新たな課題及び対策 11 」が取りまとめられた。 総務省では、これに基づき、官民連携の下で、青少年による違法・有害情報への接触を回避させることを主眼とした従来の取組に加え、青少年の情報「発信」を契機としたトラブルを防止するための取組など青少年のインターネット利用を前提とした取組を進めている。 10 青少年にとっての安心・安全なインターネット利用環境を整備するべく、インターネットを適切に利用するための啓発活動や、青少年を保護するための有効な手段であるフィルタリングサービスについて、携帯電話事業者、その他インターネット関係事業者、保護者など、各関係者の役割を踏まえた検討を行うことを目的として、2016年(平成28年)4月より開催。 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_anshin/index_12.html 11 青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース「青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関する新たな課題及び対策」: https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000356.html