(2) 公共安全LTE 我が国の主な公共機関は、各々の業務に特化した無線システムを個別に整備、運用しているため、機関の枠組みを超えた相互通信が容易ではなく、また、そのシステムは割当可能な周波数や整備費用の制約などから、音声を中心としたものとなっている。 米国、英国などの諸外国では、消防、警察など公共安全業務を担う機関において、携帯電話で使用されている通信技術であるLTE(Long Term Evolution)を利用し、音声のほか、画像・映像伝送などの高速データ通信を可能とする共同利用型の移動体通信ネットワークの導入が進められている。このようなLTEを用いた公共安全(Public Safety)のためのネットワークは、「公共安全LTE(PS-LTE)」と呼ばれ、テロや大災害時には、公共安全機関の相互の通信を確保し、より円滑な救助活動に資すると期待されており、また、世界的に標準化された技術を利用することから、機器の低コスト化が可能となるなどのメリットがあるとされている。 総務省では、我が国におけるPS-LTEの実現(図表4-3-4-2)に向けて、2020年度(令和2年度)にPS-LTEの基本機能について実証システムを構築し、関係機関と連携して実フィールドにおける機能検証などを実施するとともに、社会実装を見据えた運用面の課題と対応の検討を行い、2021年度(令和3年度)以降も引き続き安全性・信頼性向上及びセキュリティを確保した上で実証を実施しており、2022年度(令和4年度)からの運用本格化を目指すこととしている。 図表4-3-4-2 公共安全LTEの実現イメージ