(3) 政策の動向 ア Beyond 5Gの戦略の策定 2030年代の次世代情報通信インフラ「Beyond 5G」の実現に向け、我が国では、「Beyond 5G推進戦略」を策定し、「Beyond 5G推進コンソーシアム」及び「Beyond 5G新経営センター」を設立して産学官の活動を活発化している。具体的には、5Gの特長から高度化・拡張した7機能(超高速・大容量、超低遅延、超多数同時接続、自律性、拡張性、超安全・信頼性、超低消費電力)を柱として、産学官が連携・協力してビジョンや技術課題などについて検討するとともに、総務省で基盤技術の研究開発を開始している。 総務省では、2021年(令和3年)9月に「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方」について情報通信審議会に諮問し、我が国が重点的に取り組むべき研究開発課題やその推進方策を含むBeyond 5Gに向けた技術戦略の具体化を進めており、2022年(令和4年)6月30日に中間答申が取りまとめられたところである。 【関連データ】 Beyond 5Gに求められる機能 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf407000.html(データ集) イ Beyond 5Gの研究開発の推進 総務省では、Beyond 5Gの実現に必要な最先端の要素技術などの研究開発を支援するため、令和2年度第3次補正予算によりNICTに革新的情報通信技術研究開発推進基金を創設して「Beyond 5G研究開発促進事業」を実施するとともに、テストベッドなどの共用施設・設備を整備し、官民の叡智を結集したBeyond 5Gの研究開発を推進している。「Beyond 5G研究開発促進事業」では、以下のプログラムに基づき、Beyond 5Gに求められる7機能(超高速・大容量、超低遅延、超多数接続、超低消費電力、超安全・信頼性、拡張性、自律性)を柱として基盤技術の公募型研究開発を実施している。 @ Beyond 5G 機能実現型プログラム Beyond 5Gに求められる機能を実現するための中核的技術の研究開発 A Beyond 5G 国際共同研究型プログラム 戦略的パートナーとの国際的な連携による先端的技術の研究開発 B Beyond 5G シーズ創出型プログラム 技術シーズ創出からイノベーションを生み出す革新的技術の研究開発 【関連データ】 Beyond 5G研究開発促進事業(基金)のスキーム URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf407000.html(データ集) 2022年度(令和4年度)以降の「Beyond 5G研究開発促進事業」の実施に当たっては、アに記載の技術戦略を反映したBeyond 5G研究開発を推進し、2025年(令和7年)開催の大阪・関西万博を起点として、順次、開発成果の社会実装を目指すものである。 ウ Beyond 5Gの知財・国際標準化の推進 産学官一体となって知財の取得や国際標準化を戦略的に推進することを目的として、2020年(令和2年)12月に「Beyond 5G新経営センター」を設立し、新ビジネス戦略セミナーなどを通じた情報発信や、企業の若手幹部候補生に向けたワークショップや大学・高専などに向けたハッカソンイベントなどを通じた人材育成を推進している。また、知財取得状況を分析するIPランドスケープの構築など、今後の標準化策定を検討するための情報基盤整備に取り組んでいる。 また、国際標準化活動を研究開発の初期段階から推進するため、信頼でき、かつ、シナジー効果も期待できる戦略的パートナーである国・地域の研究機関との国際共同研究を実施している。具体的には、2013年度(平成25年度)から欧州委員会と連携し、日EUにおける大学、民間企業など研究機関の共同提案に対して研究開発資金を支援する日EU共同研究を実施し、2022年度(令和4年度)は、第5次公募で採択したeHealthに関する研究を実施中である。また、2016年度(平成28年度)からは米国研究機関との共同研究を実施しており、2021年度(令和3年度)には、新規公募で採択した5G高度化に関する研究を開始した。さらに、2022年度(令和4年度)からは、新たな日米共同研究及び日独共同研究の公募を行う予定である。