3 課題A:プラットフォーマーによるデータの取得・活用に関する透明性・適正性への懸念 (1) 現状・背景 前述のとおり、プラットフォーマーは、サービスの提供を通じて、膨大な数のユーザーから様々なデータを取得し、自社のビジネスに活用することにより成長してきた。その一例が、デジタル広告事業への活用である。 デジタル広告市場は高い成長率で拡大し続けており、世界の広告費を媒体別にみると、2022年にはデジタル広告が3,944億ドル(前年比13.7%増)となる見込みである 12 。また、我が国の2022年のインターネット広告媒体費2兆4,801億円(前年比115.0%)のうち検索連動型広告費が9,766億円(前年比122.2%)、ビデオ(動画)広告費が5,920億円(前年比115.4%)、SNSや動画共有系等のソーシャル広告費が8,595億円(前年比112.5%)と大きく伸びている 13 。 検索エンジンやSNSと連動した広告サービスを提供するGoogleやFacebookは、売上の約8割以上を広告収入が占めており、人々の集まる場としてのプラットフォームを広告ビジネスにつなげている。2022年のGoogleの広告収入は、約2,245億ドル(売上高全体の79.4%)、Facebookの広告収入は、約1,136億ドル(売上高全体の97.5%)となっており、2社を合わせると約3,381億ドル(44兆4,615億円)となる。日本の広告市場が7兆1,021億円であることを考慮するといかに巨額であるかがわかる(図表2-2-3-1)。 図表2-2-3-1 プラットフォーマー各社売上高に占める広告費の割合(2022年) (出典)各社公表資料を基に作成 このような中、各国では、プラットフォーマーによるデータの活用等について訴追や調査が行われている(図表2-2-3-2)。 図表2-2-3-2 プラットフォーマーに対する訴追や調査の事例 (出典)総務省(2023)「ICT基盤の高度化とデジタルデータ及び情報の流通に関する調査研究」 12 「世界の広告費成長率予測(2022〜2025)」(電通グループ)https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000888.html 13 「2022年日本の広告費 インターネット広告媒体費詳細分析」(電通グループ) https://www.dentsu.co.jp/news/release/2023/0314-010594.html