1 現状 (1) アテンション・エコノミーの広まり 情報過多の社会においては、供給される情報量に比して、我々が支払えるアテンションないし消費時間が希少となるため、それらが経済的価値を持って市場(アテンション・マーケット)で流通するようになる 1 。こうした経済モデルは、一般に「アテンション・エコノミー」と呼ばれる。プラットフォーマーは、可能な限り多くの時間、多くのアテンションを獲得するため、データを駆使してその利用者が「最も強く反応するもの」を予測しており、プラットフォーマーの台頭によりインターネット上でもアテンション・エコノミーが拡大している。 インターネット上で膨大な情報が流通する中で、利用者からより多くのアテンションを集めてクリックされるために、プラットフォーム上では過激なタイトルや内容、憶測だけで作成された事実に基づかない記事等が生み出されることがあり、アテンション・エコノミーは偽・誤情報の拡散やインターネット上での炎上を助長させる構造を有している 2 。 1 鳥海不二夫 山本龍彦 共著「デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現を目指して」(日経プレミアムシリーズ) 2 鳥海不二夫 山本龍彦 共同提言「健全な言論プラットフォームに向けてーデジタル・ダイエット宣言ver.1.0」