4 AI技術 AI技術は、2006年に深層学習(ディープラーニング)が提唱されて以降、第3次AIブームが到来し、画像認識や自然言語処理等の分野で飛躍的な技術革新が進んできた。さらに、2022年には、生成AI(ジェネレーティブAI)と呼ばれる、学習データを基に自動で画像や文章等を生成できるAI 2 が本格的に流行し始め、広範な産業領域に大変革をもたらす兆しを見せている。 総務省では、「AI戦略2022」(令和4年4月統合イノベーション戦略推進会議決定)等を踏まえ、AI関連中核センター群に属するNICTと連携し、自然言語処理技術や多言語翻訳・音声処理技術、分散連合型機械学習技術、脳の認知モデル構築などに関する研究開発や社会実装に幅広く取り組んでいる。 例えば、総務省では、NICTとともに、世界の「言葉の壁」を解消し、グローバルで自由な交流を実現するための多言語翻訳技術の研究開発に取り組んでおり、NICTが開発する多言語翻訳技術では、最新のAI技術を活用することにより、訪日・在留外国人、外交への対応を想定した17言語について実用レベルの翻訳精度を実現している。また、総務省及びNICTでは、多言語翻訳技術の社会実装も推進しており、NICTでは個人旅行者を想定した研究用アプリとして「VoiceTra(ボイストラ)」を提供しているほか、技術移転を通じて30を超える民間サービスが展開 3 され、官公庁のほか防災・交通・医療などの幅広い分野で活用されている。 【関連データ】多言語翻訳技術 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00388(データ集) 2025年(令和7年)の大阪・関西万博も見据え、NICTの多言語翻訳技術の更なる高度化のため、総務省は、2020年(令和2年)3月に「グローバルコミュニケーション計画2025」を策定した。総務省では、同計画に基づいて、NICTに世界トップレベルのAI研究開発を実施するための計算機環境を整備するとともに、従来は短文の逐次翻訳にとどまっていた技術を、ビジネスや国際会議における議論の場面にも対応した「同時通訳」が実現できるよう高度化するための研究開発を2020年度(令和2年度)から実施している。 【関連データ】多言語翻訳技術の更なる高度化に向けた取組 URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/datashu.html#f00389(データ集) また、対応言語についても、多言語同時通訳に関する研究開発と合わせて訪日・在留外国人、ウクライナ避難民への対応等を念頭に4言語を追加する予定としている。 2 2022年には、自動で画像を生成できるAIである「Stable Diffusion」や、自動で文章を生成できるAIである「ChatGPT」などが登場した。 3 グローバルコミュニケーション開発推進協議会 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の多言語翻訳技術を活用した民間企業の製品・サービス事例https://gcp.nict.go.jp/news/products_and_services_GCP.pdf