(1) 国内のルール形成 国内では、AI技術の急激な変化や国際的な議論を踏まえ、政府の司令塔として2023年5月にAI戦略会議を立ち上げ、集中的に議論を行っている。総務省及び経済産業省は、AI戦略会議で取りまとめられた「AIに関する暫定的な論点整理」(2023年5月)を踏まえ、2024年4月に「AI事業者ガイドライン」第1.0版の策定・公表を行った。同年11月には時点更新(第1.01版)、2025年3月には、国内外の最新動向を踏まえた更新(第1.1版) 4 を行った。 また、国内外のAIに関するルール整備が進む中、日本では、2024年8月に、AI戦略会議の下で第1回AI制度研究会が開催された。2025年2月には「中間とりまとめ」が行われ、この「中間とりまとめ」を踏まえた、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」が第217回国会(常会)にて成立した(令和7年法律第53号) 5 。 さらに、政府の様々な業務への生成AIの利活用促進とリスク管理を表裏一体で進めるため、デジタル庁が総務省、経済産業省等と協力して検討を行い、「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(令和7年5月27日デジタル社会推進会議幹事会決定) 6 を策定した。 4 AI事業者ガイドライン https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20240419_report.html 5 このほか、AIの安全性評価に関しては、2024年2月、AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)が独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に設立された。また、AIシステムの安全性を評価する際の基本的な考え方を示した、「AIセーフティに関する評価観点ガイド」が公開されており、安全性評価で想定するリスクや評価項目等が示されている。 6 https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines