第3節 激甚化する災害への対応 近年、我が国において災害は激甚化及び頻発化しており、今までより高度な災害対策を講じることが重要になる中、デジタル技術の活用による防災・減災は大きな効果をもたらすと期待されている。また、度重なる震災等に対応する形で、通信・放送ネットワークの強靱化が進められてきたが、更なるデジタルインフラの強靱化が引き続き求められている。 例えば、防災・減災にデジタル技術を活用するためには、強靱なデジタルインフラの存在が必要となる。このうち、放送ネットワークは、災害時における情報伝達方法として大きな役割を果たすが、2024年1月に発生した石川県能登地方の地震では、地上テレビ放送、ラジオ放送及びケーブルテレビにおいて、停電や中継局設備の被災、ケーブルの断線などにより停波が生じた。この教訓を受け、総務省は、放送ネットワークの強靱化に関する支援事業の内容の強化を行った。また、災害に対応するため、放送事業者間の連携も進められている。 さらに、通信ネットワークの強靱化に関しては、その支援のため、総務省は2025年度に「災害時における携帯電話基地局の強靱化対策事業」を行う予定である。また、通信ネットワークの強靱化と復旧体制の強化に関して、通信事業者において、移動基地局の整備、無人航空機や低軌道衛星等の活用 1 などによる対応を拡充している。 ほか、デジタル社会を支える重要なデジタルインフラの一つであるデータセンター・海底ケーブルについて、災害対策の観点からも地方分散の推進等が重要な課題となっており、対応が進められている 2 。 引き続き、災害に対して強靱なデジタルインフラの構築が求められる。 1 NTNの利活用については、第T部第2章第1節2(1)イ「NTNの利活用」を参照 2 データセンター・海底ケーブルの地方分散については、第T部第2章第1節2(1)ア「データセンター・海底ケーブルの地方分散」を参照