3 公正な競争環境の整備 (1) 電気通信市場の分析・検証 ア 電気通信市場の検証 総務省では、2016年度から、市場動向の分析・検証及び電気通信事業者の業務の適正性などの確認を一体的に行う市場検証の取組を実施しており、客観的かつ専門的な見地から助言を得ることを目的として、学識経験者などで構成する「電気通信市場検証会議」を開催している。また、2023年度検証からは、デジタル化の進展に伴い、電気通信に対する国民生活や社会経済の依存度が高まる中、市場環境の急速な変化やサービスの多様化を踏まえ、非常時の対応だけでなく、平時から、各事業者の抱える電気通信サービスを提供する上でのリスクの状況を踏まえて、ヒアリング等を通じた主要な電気通信事業者に対するモニタリングを実施している。当該モニタリングも含めた方針として2023年8月に策定した「電気通信事業分野における市場検証に関する基本方針」に基づき、2023年度以降継続的に市場検証を実施している。 イ モバイル市場における公正な競争環境の整備など 総務省では、事業者間の活発な競争を通じて低廉で多様なサービスの実現を図るべく、モバイル市場における公正な競争環境を整備するための取組を進めている。2019年には、通信料金と端末代金の分離や行き過ぎた囲い込みの禁止などを目的とした電気通信事業法の改正を行っており、この改正により講じた措置の効果やモバイル市場に与えた影響などについて、「電気通信市場検証会議」の下に開催する「競争ルールの検証に関するWG」(以下「競争WG」という。)において、2020年以降、継続的な検証を行っている。 これまでの取組として、総務省では、2020年10月に、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けた具体的な取組をまとめた「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表した。また、競争WGにおける検討や同アクション・プランを踏まえ、SIMロックの原則禁止(2021年8月)や既往契約の早期解消に向けた制度整備(2022年1月)などを行った。さらに、携帯電話事業者各社においても、違約金の撤廃、キャリアメール持ち運びサービスの開始、eSIMの導入等の取組が進展するなど、モバイル市場における公正な競争環境の整備が進んだ。その後、2023年12月には、電気通信事業法の一部を改正する法律(令和元年法律第5号)附則第6条(検討条項)に基づく競争WGでの検討結果を踏まえ、「白ロム割」規制などの制度改正を実施した。また、2023年11月に総務省において公表した「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」(以下「モバイル市場競争促進プラン」という。)を踏まえ、競争WGにおいて@モバイル市場の競争を一層促進させるための対策、A中古端末を含む端末市場の活性化のための対策を中心に検討を行った。2024年12月には、その検討結果を取りまとめた「競争ルールの検証に関する報告書2024」を踏まえ、ミリ波対応端末の割引上限額の緩和などの制度改正を実施した。 また、総務省では、利用者側の理解の促進に向けて消費者団体等を通じた周知広報に努めているほか、2020年12月から、利用者が自身に合ったプランを選択する一助となるよう中立的な情報を掲載した「携帯電話ポータルサイト」を総務省HPに開設し、消費者の一層の理解促進を図っている。加えて、総務省では、モバイル市場競争促進プランを踏まえ、携帯電話の料金プラン見直しのポイントやMNPワンストップ化等についての利用者理解の向上を図るため、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎(第6期)』と連携した周知広報を、2025年3月末まで実施した。 【関連データ】携帯電話ポータルサイト URL:https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/