4 デジタルインフラの整備・維持 (1) 「デジタルインフラ整備計画2030」の策定 人口減少下にあり、地域や社会の課題が多様化・複雑化するなかで、我が国の成長力を維持していくためには、生成AIをはじめとするデジタル技術を徹底的に活用し、DXの加速化を図ることが必要であり、その実現に不可欠となるデジタルインフラの重要性は高まっている。 デジタルインフラの整備にあたっては、今後生成AIの開発・利用等が本格化するに伴い、需要が急増するデータセンター等の計算資源を確保し、地方のデータ活用を加速化するような、AI時代の新たなデジタルインフラの整備を推進すること、こうした新たなデジタルインフラの利用を支え、社会のデジタル化や新技術の活用に伴うトラヒック増に対応するため、5Gや光ファイバの整備に加え、多様化するインフラへのニーズに合わせて、非地上系ネットワークも活用し、複層的なネットワークによりどこでも繋がる環境を実現していくことが必要となっている。 また、2024年1月に発生した石川県能登地方の地震においては、停電や伝送路の寸断等により、通信サービスが長時間にわたって利用できない状態が発生するなど、早期復旧に加え、今後の災害に備えて通信インフラの強靱化を図ることも課題となっている。 総務省はこうした状況を踏まえ、2030年度末を見据えて必要となるデジタルインフラの整備方針とその実現に向けた具体的な推進方策を整理し、一体的・効率的に我が国デジタルインフラ整備の推進を図るため、2025年6月に「デジタルインフラ整備計画2030」を策定した。 総務省は、本計画に基づき、光ファイバの未整備地域の解消や維持管理の確保、「5Gならでは」の実感を伴う高品質な通信サービスの普及拡大、ワット・ビット連携によるデータセンター等の地方分散、非地上系ネットワーク(NTN)の展開支援等に取り組むとともに、オール光ネットワークを中核とした次世代情報通信基盤(Beyond 5G)や量子暗号通信の研究開発・社会実装等を推進することにより、AI社会を支えるデジタル基盤の整備を推進していくこととしている。