(4) 高度道路交通システム 情報通信技術を用いて人や道路、車などをつなぐITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、交通事故削減や渋滞緩和などにより、人やモノの安全で快適な移動の実現に寄与するものである。 総務省では、これまでVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)やETC(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)、車載レーダーシステム、700MHz帯高度道路交通システムなどで利用される周波数の割当てや技術基準などの策定を行うとともに、これらシステムの普及促進を図ってきた。 現在、欧州・米国などを中心として、世界的に自動運転の実現に向けた実証・実装が進められているところ、分合流支援などの高度な自動運転の実現には、カメラやレーダー等の車載センサーに加えて、周囲の車や路側インフラ等と情報交換するV2X(vehicle to everything)通信が重要な役割を担うことが見込まれている(図表U-2-3-7)。 図表U-2-3-7 V2X通信のイメージ V2X通信システムとして、世界的には5.9GHz帯を活用したV2X通信システムの実証・実装が進められていることを踏まえ、我が国においても5.9GHz帯のV2X通信への追加割当てに向けた検討を進めている。総務省では、2023年8月に「自動運転時代の“次世代のITS通信”研究会」において「国際的な周波数調和や既存無線局との干渉などを勘案し、5,895MHz-5,925MHzの最大30MHz幅を目途にV2X通信向けの割当てを検討する」旨を取りまとめた後、「自動運転の社会実装に向けたデジタルインフラ整備の推進」として、令和5年度補正予算に205億円を計上し、5.9GHz帯V2X通信の早期導入に向けた環境整備等を進めている。また、2024年6月から、国土交通省・警察庁・総務省の共同設置の「自動運転インフラ検討会」において、自動運転に資するインフラの在り方について議論を進めている。総務省は、同検討会における議論等を踏まえ、2025年度から、関係省庁と連携して、新東名高速道路等において5.9GHz帯V2X通信及びV2N通信を用いた自動運転トラック実証等に取り組んでいく。 その他、我が国ITS技術の国際標準化・海外展開に資するため、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)の報告案への寄書入力や、ITS世界会議等の国際会議における情報発信、インドをはじめとするアジア地域における我が国技術の普及展開などに取り組んでいる。