(5) トラストサービスに関する取組 Society5.0においては、実空間とサイバー空間が高度に融合することから、実空間における様々なやりとりをサイバー空間においても円滑に実現することが求められる。その実現のためには、データを安全・安心に流通できる基盤の構築が不可欠であり、データの改ざんや送信元のなりすまし等を防止する仕組であるトラストサービス(図表U-2-5-1)の重要性が高まっている。 総務省においては、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2024年6月21日閣議決定) 14 を踏まえ、タイムスタンプの的確な制度運用とeシール 15 の民間サービスの信頼性を評価する基準策定及び適合性評価の実現に向けて取り組んでいる。 ア 国によるタイムスタンプ認定制度の整備 タイムスタンプについては、2020年3月に総務省が立ち上げた「タイムスタンプ認定制度に関する検討会」で検討を行い、2021年4月に、「時刻認証業務の認定に関する規程」(令和3年総務省告示第146号)を制定し、国(総務大臣)による認定制度を整備した。さらに、2022年度の税制改正により、電子帳簿保存法 16 (平成10年法律第25号)による税務関係書類に係るスキャナ保存制度等で使用されるタイムスタンプについては、総務大臣認定制度に基づくタイムスタンプを使うこととされた。2025年5月時点では4社がタイムスタンプ事業者として認定されている。今後も、認定制度を適切かつ確実に運用するとともに、タイムスタンプの利用の一層の拡大に取り組む。 イ eシールの制度化に向けた取組 eシールについては、2020年4月に総務省が立ち上げた「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会」において、我が国におけるeシールの在り方などについて検討を行い、2021年6月に、我が国におけるeシールに係る技術や運用等に関する一定の基準を示した「eシールに係る指針」を策定した。2023年9月には「eシールに係る検討会」を立ち上げ、eシールの民間サービスの信頼性を評価する基準策定及び適合性評価の実現に向けた検討を行い、2024年4月に検討会の最終取りまとめ 17 とともに、「eシールに係る指針(第2版) 18 」を公表した。さらに、2024年6月には、eシールに係る認定制度創設に向けて、制度運用に必要な関係規程の策定に資する検討を行うことを目的に「eシールに係る関係規程策定のための有識者会議」を開催し、2025年3月に「eシールに係る認証業務の認定に関する規程」(令和7年総務省告示第113号)により国(総務大臣)による認定制度を創設した。今後は本格的な運用に向けて、指定調査機関の指定等に取り組んでいく。 図表U-2-5-1 トラストサービスのイメージ 14 デジタル社会の実現に向けた重点計画(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5ecac8cc-50f1-4168-b989-2bcaabffe870/6329b727/20240621_policies_priority_outline_03.pdf) 15 eシールとは、電磁的記録に記録された情報(以下「電子データ」という。)に付与された又は論理的に関連付けられた電子データであって、「当該情報の出所又は起源を示すためのものであること」及び「当該情報について改変が行われていないかどうか確認することができるものであること」のいずれの要件にも該当するものをいう。 16 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号) 17 eシールに係る検討会 最終取りまとめ(https://www.soumu.go.jp/main_content/000942601.pdf) 18 eシールに係る指針(第2版)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000942602.pdf)