(2) 広島AIプロセス 生成AIの急速な発展と普及が国際社会全体にとって重要な課題となっていることを踏まえ、広島サミットにおいて生成AIに関する国際的なガバナンスについて議論を行うことを目的とした「広島AIプロセス」 14 を立ち上げることとなった。本プロセスでは、2023年5月以降G7で集中的な議論を行い、9月に「G7広島AIプロセスデジタル・技術閣僚会合」を開催し、中間的な成果をとりまとめた。その後、12月に再度G7デジタル・技術閣僚会合を開催し、G7日本議長国下の広島AIプロセスの成果物として、生成AI等の高度なAIシステム開発・利用に関する初の国際的政策枠組みである「広島AIプロセス包括的政策枠組み」 15 及びG7の今後の取組について示した「広島AIプロセスを前進させるための作業計画」をとりまとめた。これらの成果は同月に発出されたG7首脳声明で承認された。当該作業計画を踏まえ、2024年のG7議長国のイタリアは、「広島AIプロセス」を継続して推進することを表明し、3月に採択された「G7産業・技術・デジタル閣僚宣言」では、生成AI開発における透明性及び説明責任を促進するため、「国際行動規範」の遵守状況をAI開発者自らが自主的に報告、公表するための手法として「報告枠組み」を開発・導入することに合意した。以降、G7で議論を進め、12月に「報告枠組み」の基本的な運用方法及び質問票の最終版に各国が合意し、2025年2月、正式に「報告枠組み」の運用が開始された。同年4月、日本企業7社を含む19組織が初回の回答を提出し、OECDのウェブサイト上で公表された。 また、2024年5月に開催されたOECD閣僚理事会では、生成AIに関するサイドイベント「安全、安心で信頼できるAIに向けて:包摂的なグローバルAIガバナンスの促進」において、岸田総理大臣(当時)から広島AIプロセスの精神に賛同する国々の自発的な枠組みである「広島AIプロセス・フレンズグループ」を49ヶ国・地域の参加を得て立ち上げることを発表した。以降、オンラインによる情報交換等の会合を行ってきたが、2025年2月、広島AIプロセスのより一層の推進を図り、今後の国際社会におけるAIガバナンスの議論等に関し、フレンズグループ参加国間の連携を強化するため、初の対面会合を開催した。 14 広島AIプロセスウェブサイト:https://www.soumu.go.jp/hiroshimaaiprocess/ 15 本政策枠組みは「生成AIに関するG7の共通理解に向けたOECDレポート」、「全てのAI関係者向け及び高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」、「プロジェクト・ベースの協力」の4点で構成。