(3) 国際競争における日本の位置づけ CRDSのプロポーザル 21 では、産業用ロボットの制御・統合技術や、災害対応などロボットの活躍が期待される現場環境への対応が、日本における強みとして整理されている。同プロポーザルでは、米中が大規模でデータドリブンな汎用性の実現を重視するのに対し、日本は実用性を重視し、各分野の社会実装に即したロボット技術を活用する分野特化型のアプローチとして位置づけられている。 AIロボット協会(AIRoA)のCTOである東京大学の松嶋達也特任助教 22 は、日本はロボット技術に強みがあるが、今後はソフトウェアやAIとの融合がカギになるとしている。ロボット産業は、ハードウェアを必要とすることもあり、1社のみで急速に事業規模を拡大させることが難しく、業界全体でデータや知見の共有、エコシステムを育てることが重要だとも提言している。 国立情報学研究所の佐藤一郎教授 23 は、フィジカルAIの開発に関して、家庭用ヒューマノイドの開発における中国の取組を念頭に、現実世界のデータにこだわらず、仮想空間でのAIの学習を進めることも有効だとしている。また、日本の工場用のロボットのハードにはまだ強みがあるとした上で、今後AI分野を強化できるかが勝負の分かれ目となるとし、例えば工場での利用に向けた開発においては、日本の工場で働いていた熟練者等、作業の手順などを熟知している人材を活用してAIの学習を進めていくことが、日本の勝ち筋につながる可能性があるとしている。また、ロボットの現場での実用化については、ファミリーレストランの配膳ロボットを例に挙げながら、作業をすべて自動化しようとするのではなく、人間がやるべき作業とロボットに任せるべき作業をうまく切り分けることを考えるべきであると指摘している。 21 同上。 22 日経クロステック(2026年3月9日)鈴木 慶太「ロボットはデータで賢くなる、AIロボット協会の松嶋CTOが描く普及シナリオ(2ページ目)」〈https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03076/022400023/〉(2026年3月26日参照) 23 国立情報学研究所 佐藤一郎教授へのヒアリングに基づく。