2 AIに頼ることがネガティブな影響をもたらすと指摘する研究例 他方、AIに頼ることがネガティブな影響をもたらすと指摘する研究も存在する。MIT Media Lab等のチームが実施した研究 3 では、実験参加者を生成AIの大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を使用する群、検索エンジンを使用する群、ツールを何も使用せずに自分の頭だけ(Brain-only)を用いて作業を行う群の3つの群に分けた上で、小論文の執筆作業を3回行わせた。その後、3回目までLLMを使用した群にはツールを使用させず(LLM-to-Brain)、3回目までツールを使用しなかった群にはLLMを使用させ(Brain-to-LLM)、それぞれもう一度小論文の執筆作業を行わせた。実験中は参加者の脳波や神経活動を測定するとともに、参加者が作成した小論文は人間及び特別に構築したAIによって評価を行い、また、作業終了後には参加者に対するインタビューを実施した。 この実験の結果、自分の頭だけで作業した後にLLMを使用して作業した群では、記憶をより良く想起でき、後頭・頭頂領域及び前頭前野にまたがる広い領域で神経活動の再活性化が示されたという。検索エンジンを使用した群でも類似の神経活動パターンが観察された一方で、最初からLLMを使用した群では、脳内の神経結合が比較的に弱いことが示され、執筆直後の自分の文章を正確に引用する力も比較的低い結果となったという。 また、執筆作業後のインタビューからは、執筆した小論文が自己の成果であるという感覚(ownership)について、最初からLLMを使用した群で最も低く、検索エンジンを使用した群では比較的高かったものの、当初ツールを使用しなかった群(Brain-only群)には及ばないことが示されたという。 3 Nataliya Kosmyna, et al. (2025)“Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task”〈https://arxiv.org/abs/2506.08872〉〈https://arxiv.org/pdf/2506.08872〉(2026年3月30日、4月1日参照)