政策フォーカス 社会環境の変化に対応した電波有効利用の推進の在り方に関する検討 [1] 検討の経緯 総務省は、情報通信審議会情報通信技術分科会電波有効利用委員会に対して「社会環境の変化に対応した電波有効利用の推進の在り方」(令和7年諮問第30号)について諮問し、同委員会は2025年3月から調査検討を開始した。 検討事項は、@電波有効利用の推進に関する基本的方向性、A周波数割当の在り方、B無線局の免許制度等の在り方、C無線を利用したビジネス促進の在り方、D電波の利用環境の在り方、Eその他必要と考えられる事項である。 検討事項のうち、電波環境分野の在り方、電波監視の在り方、価額競争の実施方法、無線設備の認証の在り方、重点技術、航空分野における電波利用政策の在り方、携帯電話等周波数の有効利用に関して専門的な見地から具体的かつ集中的な検討を行うため、各作業班を設置した。 このうち、2025年9月に「電波の利用環境の在り方」、同年12月に「周波数割当の在り方(価額競争の実施方法)」、2026年5月に「『周波数割当の在り方』(900MHz帯を使用する新たな無線利用)及び『無線局の免許制度等の在り方』(無線設備の認証制度の在り方)」について、総務省は情報通信審議会から一部答申を受けた。また、2026年4月には、本諮問事項全体に関する委員会報告(案)が取りまとめられ、同年夏頃に情報通信審議会からの答申を受ける予定である(図表1)。 図表1 電波有効利用委員会の検討事項 [2] 主な検討事項 (1) 空の利用拡大に伴う電波利用政策の在り方の検討 空飛ぶクルマ、無操縦者航空機等を中心とした上空利用の進展を踏まえ、空の利用拡大に伴う電波利用需要を体系的に把握し、政策課題を整理することを目的として、2025年10月に電波上空利用作業班を設置した。本作業班では、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取組を進める事業者等から、空の利用拡大に伴う電波利用需要に関するヒアリングを実施するとともに、空の利用拡大に伴う電波利用政策の在り方や優先して対応すべき政策課題について意見募集を行った。そこで寄せられた、Starlink等の衛星通信を上空でより広範に利用することについての要望等を踏まえて、優先して対応すべき政策課題を検討してロードマップを取りまとめた(図表2)。 図表2 空の利用拡大に向けた電波利用ロードマップ (2)重点的に取り組むべきワイヤレス技術分野の検討 ワイヤレス技術は、2030年代のAI社会を支える次世代情報通信基盤の実現において、必要不可欠な技術として期待されている中、ワイヤレス分野における技術の急速な進展や国際競争の激化に対応し、我が国として、ワイヤレス技術を継続的に維持、発展させていくことが重要となっている。 電波有効利用委員会では重点技術作業班を設置し、経済安全保障上の自律性・不可欠性の確保、ビジネス上の戦略、産業構造、技術トレンド、レイヤー構造、他分野・他産業連携の観点を踏まえ、我が国が維持・強化すべき重点技術領域を特定した上で、重点的に取り組むべき個別技術について検討を行った。 具体的には、重点技術領域は「システム技術領域」と「コア技術領域」(共通技術領域)の大きく二つに分けられる。システム技術領域は、@フィジカルAI・IoTシステム、A重要インフラ・ナショナルセキュリティシステム、B次世代通信システム(B5G)から構成され、コア技術領域は、@AI・フロンティア領域、A素材・部品・デバイス領域、Bエンジニアリング・デザイン領域から構成される(図表3)。 また、これら重点技術領域を維持・強化していくために講ずるべき推進方策について検討を行った。技術と産業と人材の好循環なサイクルを回すことが重要であり、我が国として残すべき/伸張させるべき重点技術を推進していく方策について、社会実装や市場創出に向けたフェーズに即して整理し、取りまとめた。 図表3 ワイヤレス分野の重点技術領域 (3)電波監視分野の在り方の検討 近年、5G等の高周波数帯の利用拡大や、メガコンステレーション衛星やHAPSを用いた非地上系ネットワーク(NTN)の新たな登場により、電波利用環境は大きく変化している。加えて、電波法の基準に適合しない無線機器の流通拡大等により、混信リスクは一層複雑化・多様化しており、従来の電波監視体制のみでは十分な対応が困難となりつつある。 こうした状況を踏まえ、電波有効利用委員会では電波監視作業班を設置し、電波監視における今後の方向性について、「電波監視の基本体制の強化」「革新的な無線システムへの早期対応」「基準不適合機器への対応強化」の三つの柱に分類して課題抽出及び課題への対処の検討を行った。 それぞれの柱について、「電波監視の基本体制の強化」では、高い周波数の電波利用における混信や電子機器から発生するノイズによる混信等、利用環境の変化に即した移動監視の強化、「革新的な無線システムへの早期対応」では、NTNをはじめとする新たな無線システムに対する電波監視の確立、電波監視技術の研究開発推進、国際協力体制の強化、「基準不適合機器への対応強化」では、ECモール等を介して電波法の基準に適合しない無線機器の流通が引き続き確認されていることを踏まえ、試買テストや市場モニタリング、周知啓発活動の強化といった課題があり、それぞれ今後の在り方について検討を行い、具体的な取組の方向性について取りまとめた(図表4)。 図表4 電波監視体制の今後の方向性