3 サイバー空間を支える基盤技術の高度化と信頼性の確保 (1) 量子計算機時代に対応した暗号技術の高度化 暗号技術は、インターネット利用をはじめとした様々な場面で使われている。一方で、量子計算機(量子コンピュータ)に関する研究開発が加速しており、将来的に実用的で大規模な量子計算機が実現した場合、現在利用されている暗号技術の安全性が低下(危殆化)することが懸念されている。また、現時点では解読できない暗号化データを収集・保存し、将来、量子計算機の発展後に解読を試みる、いわゆる「Harvest Now, Decrypt Later (HNDL)」攻撃も想定されており、情報の機密性や長期的な保護の観点から、耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography:PQC)への移行を見据えた検討が重要な課題となっている。 こうした状況を踏まえ、政府機関等における耐量子計算機暗号の利用に関する検討を進めるため、2025年6月に関係府省庁連絡会議 10 を設置した。同連絡会議では、量子計算機の進展が暗号技術に与える影響を整理するとともに、政府機関等におけるPQC移行の考え方や対象、進め方について検討を行い、同年11月に中間とりまとめを公表した。今後は、この中間とりまとめを踏まえ、2026年度中に工程表(ロードマップ)を策定し、政府機関等における計画的なPQC移行に向けた取組を進めていくこととしている。 また、政府の情報システムで利用される暗号技術については、CRYPTREC 11 において「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC暗号リスト)」としてまとめられており、これについてもPQCへの対応が求められている。そのため、一部のPQCについて安全性等の評価を実施した上で、2026年3月にPQCに対応するためのCRYPTREC暗号リストの改定を行った。PQCの安全性等の評価は順次実施しており、今後もCRYPTREC暗号リストの継続的な改定を通じて、政府情報システムにおける暗号技術の安全性確保に取り組んでいく。 10 政府機関等における耐量子計算機暗号(PQC)利用に関する関係府省庁連絡会議 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/pqc/ 11 Cryptography Research and Evaluation Committeesの略。デジタル庁、総務省、経済産業省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により共同運営されているプロジェクト。https://www.cryptrec.go.jp/