(4) 情報通信基盤を取り巻く国内外の動向 ア 民間事業者等における取組 NTT東日本及び西日本は2024年12月に、最大800Gbpsのユーザー拠点間帯域保証型通信サービスの提供を開始し、2025年10月には、NTTドコモビジネスが、オンデマンドで帯域変更が可能な回線メニューの追加や更なる広帯域の拡充等、機能を強化したAPNサービスの提供を開始した。 KDDIはAIデジタルベルト構想を掲げ、全国の低遅延網・AI計算基盤の構築を進めており、2023年10月に、IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合し、電力使用量を削減した通信網を商用化した。また、関係する企業団体と連携して国際標準化を推進し、2026年6月にはAPN初のITU-T勧告が策定される予定である。 ソフトバンクは2025年9月に、光電変換不要な光伝送技術を用いた「All optical network」の全国のメトロネットワークへの展開を開始した。400G対応の最新ルーターを導入するなどにより、大容量でありながら、消費電力削減を可能とした。 楽天モバイルは2025年9月に、光伝送装置向け遠隔省電力機能を4G・5G商用ネットワークへ本格導入した。これにより、光伝送装置に搭載されている拡張用モジュールの消費電力を削減し、ネットワーク全体としても消費電力の削減を実現した。 低軌道衛星や高高度プラットフォームシステム(HAPS:High Altitude Platform Station)等の非地上系ネットワーク(NTN)については、ソフトバンクが、あらゆる通信技術を一つに統合し、ユースケースに合わせて陸・海・空どこでも通信を提供するユビキタスネットワーク構想の実現に向けて、低軌道衛星とともに、「HAPSアライアンス」等を通じたHAPSの活用を推進している。スペースコンパスとNTTドコモはHAPSの2026年のサービス提供開始を目指した取組を推進しており、2025年2月にケニアにおいてデータ通信の実証実験に成功したことを発表している。 また、携帯電話(スマートフォン)が直接衛星と通信を行う衛星ダイレクト通信について、KDDIが2025年4月からサービスを開始したところ、NTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルの3社は、2026年内のサービス開始を計画している。 イ 社会実装に向けた取組 将来の情報通信基盤の実現に向けては、様々な民間事業者、団体等において社会実装に向けた取組を進めている。 この分野の業界フォーラムであるIOWN Global Forumでは、IOWN構想 7 の実現と普及に向け、2030年頃の将来を見据えたユースケースだけでなく、2025年頃の実用化・事業化を目標としたユースケースを各業界と連携して検討しており、2025年頃の初期導入事例として、金融業界向けデータセンター接続、放送業界向け遠隔・クラウドメディア制作等を挙げている。今後、商用化に向けて仕様策定や実証を進めていくとしている。 実際に、東急不動産では、2023年6月にNTT各社とIOWN構想に関連した技術・サービス等を活用した新たなまちづくりに向けた協業に合意し、最初の取組として、2023年12月に「Shibuya Sakura Stage」へIOWN 1.0を導入した。さらに、NTTは2025年の大阪・関西万博で、IOWN APN技術を用いて、データセンターに集約した制作機能を利用した共同利用型のリモートプロダクション環境を提供した。今後は、リモートプロダクション機能を共同利用型で提供する「メディアハブ(仮称)」のサービス化に向けた検討を本格化させるとしている。 また、国際標準化に向けては、NICTや「Beyond 5G推進コンソーシアム」等を中心に、Beyond 5Gに係る国際的なビジョン作りに貢献してきており、2023年11月には国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)において、我が国の提案も反映される形で、6Gを念頭においた「IMT-2030」の能力やユースケース等を含む全体像を示すフレームワーク勧告が承認された。 さらに、2023年世界無線通信会議(WRC-23)では、HAPS等の非地上系ネットワーク(NTN)を含めたBeyond 5Gの実現に向けた議題において周波数等が確保された。 ウ 海外展開に向けた取組 将来の情報通信基盤に関する取組として、NTT各社は、IOWN Global Promotion Officeを設立するなどしてグローバル展開に取り組んでおり、NTT及びNTTデータグループが米国及び英国においてオール光ネットワークによるデータセンター間接続の実証を実施しているほか、2023年10月、NTTと台湾・中華電信との間で、IOWNによる国際ネットワーク接続の実現に向けた基本合意書を締結し、2024年8月、中華電信のデータセンターからNTT武蔵野研究開発センターまで約3,000kmのオール光ネットワークを開通、2025年11月20日には、分散型データセンターに関する協業を開始すると発表した。これに加え、富士通も、2024年2月に中華電信との間で、台湾におけるIOWN構想に基づくオール光ネットワークの構築に向け、共同検討することを発表した。また、2024年8月、欧州におけるオール光ネットワークのビジネス展開を目的として、ドイツにオープンAPNラボを開設し、2025年11月には、北米でのビジネス展開を見据え、米国にオープンAPNラボを開設した。このほか、光分野においては、この分野の最先端機器が投入される北米市場において、我が国企業が主要な伝送装置のシェア上位に位置している。 7 「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」とは、NTTが主導するあらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想である。