2 郵政行政の推進 (1) 郵政事業のユニバーサルサービスの確保 ア 郵便料金の改定及び郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方に関する検討 インターネットやSNSの普及等による郵便物数の減少や、燃料費等物価の高騰の影響もあり、2022年度の日本郵便の郵便事業の営業損益は民営化以降初めての赤字となったことに加え、その後の見通しも非常に厳しいものであった。これを踏まえ、2024年6月13日に、総務省において、定形郵便物 1 の料金の上限を定める「郵便法施行規則」(平成15年総務省令第5号)の改正を行った。これを受けて、同日、日本郵便から郵便料金変更の届出がなされ、同年10月1日に郵便料金の改定が行われた。 また、上記の改正にあたり付議した「物価問題に関する関係閣僚会議」等において、郵便事業のより安定的な提供を将来にわたって確保する観点から、郵便料金に係る制度の見直しの検討を行うよう求められたこと等を踏まえ、総務省は、情報通信審議会に対し、「郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方」を諮問し、2025年7月に答申を受けた。 同審議会での議論を経て取りまとめられた答申では、@「郵便事業における収支相償」の規定を見直し、日本郵便の経営判断の余地を拡大、A「上限認可制度」のような日本郵便の発意に基づき定形郵便物の上限料金設定の手続を行う制度の導入、B定形郵便物の料金の上限額に係る算定基準等について総務省において検討の場を設けて議論を行う、などの方向性が示された。 この答申を踏まえ、総務省は、「郵便事業における収支相償」の規定を緩和し、郵便事業以外の事業の収支の状況も勘案して郵便料金を設定することを許容するとともに、定形郵便物の料金の上限額を日本郵便の申請に基づき総務大臣が認可する制度に見直すなどの措置を講ずる「郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案」を2026年3月に国会に提出した(同年6月成立)。 あわせて、総務省は、2025年9月から「郵便料金に係る算定基準等に関する検討会」を開催し、定形郵便物の料金の上限額に係る算定基準等について検討を行った。今後、検討の内容を踏まえて、算定基準等を作成・公表することとしている。 イ 郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度 郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため、2018年6月、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度が創設され、2019年4月から制度運用が開始された。独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)が総務大臣の認可を受けて交付金の交付、拠出金の徴収等を実施しており、2026年度の日本郵便への交付金の額は約3,334億円であり、拠出金の額はゆうちょ銀行が約2,740億円、かんぽ生命が約595億円となっている。 ウ 日本郵政グループの経営の健全性・ガバナンスの確保に向けた取組 総務省では毎年度、郵政事業のユニバーサルサービスを提供する責務の履行にあたり、安定的かつ円滑に提供できる業務執行体制が確保できているか、資金計画や収支予算が妥当か、公益性及び地域性が十分に発揮されるようになっているか等を確認する観点から、日本郵政と日本郵便の事業計画を認可している。あわせて、その認可にあたり、両社に対して、事業計画の実施にあたってそれぞれ取り組むべき事項について要請している。また、2022年からは郵政モニタリング会合を開催し、両社における要請事項への取組について、その見通しや進捗状況を確認しているほか、2025年度には日本郵便におけるガバナンス強化をテーマとした議論を集中的に行った。 1 「郵便法」(昭和22年法律第165号)第67条第2項第3号に規定するもの(第一種郵便物(郵便書簡を除く。)のうち大きさ及び形状が総務省令で定める基準に適合するものであって、その重量が25グラム以下のもの)を指す。