栃木行政評価事務所

社会福祉法人の指導監督に関する行政評価・監視結果に基づく参考通知(要旨)

参考通知先 :栃木県、宇都宮市
通知日 :平成15年7月25日
実施時期 :平成14年4月〜14年7月

 社会福祉法人は、社会福祉法(昭和26年法律第45号)に基づき、養護老人ホームの経営、居宅介護事業などの社会福祉事業を行うことを目的として設立。社会福祉施設を経営する法人数は増加。

(法人数)   平成9年度 12,181(185) 平成13年度 13,864(213)
( )内は栃木県分
社会福祉協議会を除く
 平成12年6月、社会福祉事業法(現社会福祉法)の改正に伴い、厚生労働省は、社会福祉法人審査基準及び社会福祉法人定款準則を改定、社会福祉法人会計基準を制定するなど、改善措置を講じてきているところであるが、社会福祉法人については、事業運営の一層の適正化等が必要。
 この行政評価・監視は、栃木行政評価事務所を含め全国規模で実施。
 総務省はこの行政評価・監視結果に基づき、平成15年7月25日に厚生労働省に勧告。同日、栃木行政評価事務所においても関連する事項について、栃木県、宇都宮市に参考通知。
       ◇下線をクリックすると、勧告(要旨)がご覧いただけます。

 1 総務省の勧告(抜粋)
1 社会福祉法人の運営の適正化

 (略)

 都道府県、指定都市及び中核市に対し、以下の事項について、技術的助言を行うこと。
1)  今回の調査の結果、組織運営に不適切な事項がみられた法人に対し、早急に改善を図るよう指導すること。
2)  法人に対し、組織運営に当たっては、法人審査基準、法人定款準則、法人会計基準又は入札契約等の取扱いに係る通知にのっとり、厳正に行うよう指導すること。
 また、法人監査に当たっては、法人に対する指導・処分を厳正に行うこと。指導・処分に従わない法人に対しては、業務停止命令、解散命令等を行うこと。

 2  栃木行政評価事務所の参考通知の概要(対;栃木県、宇都宮市)
   上記勧告に関連する栃木行政評価事務所が調査した結果は以下のとおりで、これを栃木県及び宇都宮市に参考通知。

   【栃木県及び宇都宮市に参考通知した事例】
 栃木県及び宇都宮市所轄の社会福祉法人のうち、10法人(県6、市4)を抽出し、法人の運営状況について調査した結果、次のとおり、9法人において延べ23件の不適切事例がみられた。

 (1)  法人の役員及び組織(8法人延べ15件)
  役員の選任
  i1)  理事会に全く出席していない者や出席状況が低調な者を理事に選任(3法人3件)。
  ii2)  役員としての参画は適当でないとされている市町村助役が理事に選任(1法人1件)。

  理事会の運営
  i1)  理事会の議決事項である予算外の新たな義務の負担、定款細則の策定等を理事長が専決など(5法人延べ6件)。
  ii2)  理事会を召集せず全理事に書面による表決で議事を決定(2法人2件)。
  iii3)  法人の土地及び建物を理事長の親族が理事長である社会福祉法人に対して無償貸与するに当たり、理事長が当該案件の審議及び議決に参加(1法人1件)。

  評議員会の設置・運営
  i1)  法人は原則として、評議員会を置くこととされているが(保育所経営のみの法人等を除く)、評議員会を未設置(1法人1件)。
  ii2)  評議員会と理事会が合同で開催されており、評議員会が形骸化(1法人1件)。

 (2)  定款の策定(1法人延べ2件)
 平成12年に改正された法人運営に関する情報開示等を内容とする法人定款準則に対応した定款の見直しが未実施など。

 (3)  会計の管理(5法人延べ6件)
 資産の管理――国又は地方公共団体以外の者から借りている土地について地上権等の未設定、未登記(1法人1件)。
 契約事務――随意契約に付すことができる場合の基準に反して随意契約(5法人5件)。

 (4)  法人監査における指導・処分
 法人監査時に把握した不適切事例について、指導・処分を厳正に行っていない。