1 |
適用事務の実施状況 |
( |
1) 厚生年金及び共済年金を脱退した者に対する加入励行の促進
【制度の仕組み等】
○ |
国民年金は、国民年金法第7条に基づき、20歳以上60歳未満の者で厚生年金及び共済年金に加入していない者が全員加入することを義務付けられている制度 |
○ |
社会保険庁では、20歳に到達した者については、平成7年度以降、加入勧奨に応じない者に対して職権適用。20歳到達者以外の者については国民年金の未加入者の把握及び確実な適用、第2号被保険者資格喪失者に対しては種別変更届出の励行促進を指導
また、福岡社会保険事務局(以下「福岡社保局」という。)では、年齢が35歳未満の者については、できる範囲内において職権適用し、当該通知書と納付書を送付 |
【調査結果】
1) |
南福岡社会保険事務所(以下「南福岡社保」という。)では、平成14年4月から9月の6か月間に厚生年金及び共済年金を脱退した者(以下「第2号被保険者資格喪失者」という。)は18,153人、このうち、資格喪失日から8か月経過後においても、未届出者が2,530人(13.9パーセント)
資格喪失日から6か月経過後の勧奨の後、社会保険庁から未適用者一覧表が2回(8か月及び17か月経過後)配信されるが、その取扱いについて社会保険庁より示されていないことから、特段の措置なし |
2) |
平成15年8月における第2号被保険者資格喪失から17か月経過後の未届出者は、南福岡社保及び八幡社会保険事務所(以下「八幡社保」という。)で合計2,515人、このうち、383人の年齢をみると、35歳未満の未加入者が204人(53.3パーセント) |
【改善所見】
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福岡社保局は、国民年金の未届出者の一層の適用促進を図る観点から、社会保険事務所(以下「社保」という。)に対して、社会保険庁から配信される国民年金未適用者一覧表を活用し、適用促進を図るよう指導する必要がある。 |
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( |
2) 学生納付特例制度の周知
【制度の仕組み等】
○ |
学生納付特例制度は、平成12年4月1日に創設。大学、短大、高等学校、専修学校及び各種学校等に在学する20歳以上の学生等で前年の所得が一定額以下の者が申請を行った場合に、在学期間中の保険料の納付を猶予する制度 |
○ |
福岡社保局は、20歳到達者については年金手帳交付時又は戸別訪問時に制度周知、また、平成12年度以降毎年度(5月頃)、社会保険庁が作成したポスター及びリーフレットを社保管内の各大学等へ配布し、学生に周知するよう社保を指導 |
【調査結果】
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20歳以上の学生等が在籍している学生納付特例制度の対象校255校のうち、1)平成14及び15年度にポスター及びリーフレットを配布していない大学等が11校(4.3パーセント)、2)平成14年度は配布しているが、15年度は配布していない大学等が51校(20.0パーセント) |
【改善所見】
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福岡社保局は、社保に対して、学生納付特例制度の対象となる大学等に対して、継続的にポスター及びリーフレットを配布するよう指導する必要がある。 |
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2 |
保険料収納事務の実施状況 |
( |
1) 納付督励の効果的実施
ア |
外部委託による電話納付督励
【制度の仕組み等】
○ |
福岡社保局は、社会保険庁通知に基づき、外部委託による電話納付督励を実施 |
○ |
外部委託による電話納付督励の対象は、新規未納者及び短期未納者 |
【調査結果】
1) |
平成15年8月の外部委託による電話納付督励から2社保の合計200件を抽出。このうち、納付約束をした者(71件:35.5パーセント)に対しては、口座振替勧奨を行うこととされているが、これを行った事蹟の記載なし:36件 |
2) |
委託事業者から、「電話納付督励実施結果報告書(被保険者別)」等において口座振替勧奨結果の報告を求めていない。 |
【改善所見】
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福岡社保局は、外部委託による電話納付督励をより実効あるものとする観点から、次の措置を講ずる必要がある。
1) |
委託事業者に対し、納付約束した者に対する口座振替の勧奨状況の事蹟を的確に記載するよう指導すること。 |
2) |
委託事業者が行った口座振替勧奨の結果については「電話納付督励実施結果報告書(被保険者別)」等により報告を求めること。 |
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イ |
国民年金推進員の活動推進
【制度の仕組み等】
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社会保険庁通知において、未納者対策の積極的な展開のための推進員の活用、推進員の職務、推進員の勤務時間等を明示 |
【調査結果】
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南福岡及び八幡社保に配置されている国民年金推進員(南福岡社保11人、八幡社保8人。以下「推進員」という。)について、平成15年8月を中心に活動状況等を調査
1) |
午前8時から同10時(南福岡社保は午前8時から同9時)、あるいは午後7時から同9時(南福岡社保は午後8時から同9時)までの時間帯において戸別訪問する推進員なし |
2) |
戸別訪問のための事前準備及び結果の報告等を行うために社保におおむね1週間につき1日出勤するとともに、自宅において事前準備・報告等の事務に1〜2時間要している推進員あり(5人) |
3) |
戸別訪問時の納付督励等の実施について、
i ) |
納付約束をした者に口座振替勧奨を行った事蹟の記載なし:5件 |
ii ) |
未納理由を経済的困難と回答した者に免除制度の周知を行った事蹟の記載なし:5件 |
iii ) |
本人と接触しているのに未納理由を把握した事蹟の記載なし:13件 |
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【改善所見】
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福岡社保局は、推進員を一層効果的に活用する観点から、社保に対して、次のとおり指導する必要がある。
1) |
推進員の勤務時間については、推進員をより一層積極的に展開することを考慮したものとすること。 |
2) |
推進員の戸別訪問については、勤務時間をより有効に活用させること。 |
3) |
推進員の戸別訪問時の納付督励については、口座振替勧奨等の事蹟を的確に記載すること。 |
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ウ |
系統的な納付督励の推進
【制度の仕組み等】
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未納者に対する対策については、社会保険庁通知で、1)催告状の送付(社会保険庁が年6回実施)、2)電話による納付督励(新規未納者及び短期未納者を中心に実施)、3)推進員を活用した戸別訪問等を系統的に実施、また、未納期間の長期化を防止し収納の確保を図ることを明示 |
【調査結果】
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2社保における平成15年4月から6月に未納月がある者を合計200人抽出し、平成14及び15年度(4月から9月)までの間において福岡社保局及び2社保が行った納付督励状況を調査
1) |
新規未納者に推進員等が長期間(未納発生後7か月以上)接触した事蹟がなく未納期間が継続(平成14年度:4件、15年4月〜9月:1件) |
2) |
納付約束したが納付されないまま、長期間(5か月以上)接触した事蹟なし(平成14年度:2件、15年4月〜9月:4件) |
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【改善所見】
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福岡社保局は、未納期間の長期化を防止し収納の確保を図る観点から、社保に対して、新規未納者や納付約束した者に対する早期の電話による納付督励、推進員等の戸別訪問による納付督励に、なお一層努めるよう指導する必要がある。 |
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エ |
集合徴収の実施
【制度の仕組み等】
○ |
集合徴収は、社保が、過年度保険料(前年度及び前々年度の保険料)の未納者に対して、来訪を求め年金相談を兼ねて、地域の実情に応じ効率的かつ効果的に実施することとされている。 |
○ |
集合徴収の来所者に占める納付約束、収納件数の割合は、南福岡社保の場合、平成14年度48.0パーセント、八幡社保の場合、同じく46.8パーセントと収納効果あり |
【調査結果】
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2社保では、主として市区町村の役場会議室で、平日の午前10時〜午後5時の時間帯に開催しており、集合徴収案内状送付件数に対する来場者数の割合は、南福岡社保の場合、平成14年度1.0パーセント、同15年度1.7パーセント、また、八幡社保の場合、同じく2.2パーセント、5.9パーセント |
【改善所見】
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福岡社保局は、社保に対して、集合徴収の来訪者の増加を図る観点から、大型商業施設等の利用、夜間開催の実施等について検討するよう指導する必要がある。 |
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( |
2) 口座振替制度等の周知促進
【制度の仕組み等】
○ |
社会保険庁は国民年金保険料の口座振替による納付について、各種広報媒体等により周知を図ることを指導 |
○ |
保険料の収納窓口が、平成14年度から、社保、日本銀行の本支店・代理店・歳入代理店、郵便局のほか、国民年金基金(連合会)・農協・漁協・信用組合などに拡大 |
【調査結果】
1) |
国民年金保険料の収納窓口に指定されている管内の金融機関に「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」を送付し窓口への備付けを依頼しているが、119機関(日本郵政公社を含む。)のうち12機関(4信用金庫、及び8漁協)について送付漏れ |
2) |
福岡社保局が作成したチラシに、国民年金保険料の口座振替の手続先として社保を未記載 |
3) |
福岡社保局のホームページ及び2)のチラシに、国民年金保険料の納付窓口として社保を未記載 |
【改善所見】
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福岡社保局は、保険料の確実な収納を確保するための最も有効な手段とされる口座振替制度の周知等を図る観点から、次の措置を講じる必要がある。
1) |
国民年金保険料の収納窓口に指定されている管内の金融機関のすべてに対して、国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書を送付し、窓口への備付けを依頼すること。 |
2) |
口座振替制度を周知するチラシについては、手続先として社保を明記すること。 |
3) |
保険料の収納窓口を周知する福岡社保局のホームページやチラシについては、納付窓口として社保を明記すること。 |
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3 |
社会保険事務所の窓口サービスの改善 |
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【制度の仕組み等】
○ |
社会保険庁では、平成14年11月1日から、社会保険事務所等における1)昼休み時間帯の窓口対応を行うこと、2)社会保険オンラインシステムの稼動時間を午前8時30分から午後5時までに延長し、オンラインシステムを活用した相談業務等の充実を指導 |
○ |
福岡社保局管内では、平成15年2月1日から、職員の交替勤務による昼休み時間帯の窓口対応を開始 |
○ |
南福岡及び八幡社保では、高齢者・身体障害者等来訪者の安全及び利便を図るため、身体障害者用駐車場等を整備、受付番号発券機及び空気清浄機を設置 |
【調査結果】
(1) |
オンラインシステム稼働時間延長に伴う就業時間等の周知
管内の11社保が行っている執務時間終了後の電話照会に対する録音テープの内容について、
1) |
執務開始時間又はコンピュータ稼動開始時間を30分又は40分遅くしているなど内容が間違っているもの(4社保)、また、昼休み時間帯(12時から13時まで)は、業務を行っていないこととなっているもの(1社保) |
2) |
執務時間を全く周知していないもの(4社保) |
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(2) |
昼休み時間帯における窓口対応
南福岡及び八幡社保では、1階の年金相談室の来訪者に対して、午後の相談開始は13時と案内しており、昼休み時間帯に同室の待合室に来訪者が待機している状況 |
(3) |
高齢者・身体障害者等の安全及び利便を図るための施設・設備の整備
南福岡及び八幡社保の国民年金担当課へ通ずる階段の手すりに沿って2階へ上る場合、国民年金基金の看板又は空気清浄機にそれぞれ行き当たる。 |
【改善所見】
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福岡社保局は、国民に対するより一層の行政サ−ビスの向上を図る観点から、社保に対して、次のとおり、指導する必要がある。
1) |
就業時間終了後の電話照会に対応する録音テープについては、訂正等を行うこと。 |
2) |
昼休み時間帯に年金相談室の待合室で待機している来訪者に対して、窓口対応がより向上するよう検討すること。 |
3) |
視覚障害者、高齢者等が利用する場合、不便となっている施設・設備については、障害物除去等の措置を講じること。 |
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