農薬の使用、管理等に関する行政評価・監視結果(要旨)



第1   調査実施時期・対象機関
     実施時期
   平成13年12月〜平成14年3月
     対象機関
   九州農政局
 (関連調査対象機関)
   福岡県、福岡市、農薬製造業者(3)、農薬販売業者(10)、防除業者(8)、農業者(7)
   農業協同組合(5)、農業用廃プラスチック適正処理推進協議会(5)

第2   実施の経緯
     農薬については、農作物の生産性の向上、品質の向上、労力の軽減等のため農業生産活動上極めて重要な資材であるが、農薬による中毒・死亡事故や農作物に係る被害が後を絶たず、適正な使用及び管理の徹底が強く求められている。また、ビニールハウス等に使用される農業プラスチックの廃棄物については、不適正な焼却によるダイオキシン類の発生等の危険性もあることから、特に適正な処理が求められているところ
     総務省は、農林水産省等に対し、平成5年6月に「野菜の生産流通対策等に関する行政監察」結果に基づき農業用プラスチック廃棄物の処理対策の充実等について勧告、平成6年12月に「農業における環境保全対策に関する行政監察」結果に基づき農薬の適正使用の確保等について勧告。しかしながら、依然として、農薬の適正な使用及び保管管理が図られておらず、また、農業用プラスチック廃棄物の組織的な回収・処理が進展していない状況
     この行政評価・監視は、農薬の使用及び保管管理の適正化を図り、また、農業用プラスチック廃棄物の適正な処理を推進する観点から、その実態を調査し、関係行政の改善に資するため実施

第3   通知年月日及び通知先
     通知年月日  平成15年2月7日(金)
     通知先     福岡県

第4   調査結果
     農薬使用の適正化
制度の概要>
     農林水産大臣は、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づき、個々の農薬ごとに有効性、安全性等を検査の上、適用病害虫の範囲、使用方法等を定め、登録。また、農林水産大臣は、農薬を使用する者が遵守することが望ましい基準として、農薬の成分ごとに、農作物名、剤型、使用方法、使用期間及び使用回数について、農薬の安全かつ適正な使用に係る組合せを示した農薬安全使用基準を制定
     一方、都道府県は、農薬安全使用基準と農林水産大臣の登録を受けた農薬の使用方法等(以下、両者を合わせて「安全使用基準等」という。)を基に、当該都道府県における主要農作物ごとに、農薬の商品名、剤型、使用時期、使用回数、適用病害虫、希釈倍数等について、農薬の安全かつ適正な使用に係る組合せを示した防除基準を作成し、農業者等に対する技術指導に活用


《参考通知要旨》
   福岡県が防除基準に掲載している農作物中、10作物について農薬の使用方法等に係る掲載状況をみると、310通りの農薬の使用に係る組合せのうち6作物に係る9通りの組合せ( 2.9パーセント)の内容が安全使用基準等と不適合
 ・ 適用農作物及び使用回数が不適合    1例
 ・ 適用農作物が不適合    4例
 ・ 使用回数が不適合    3例
 ・ 使用期間が不適合    1例



     農薬の保管管理の適正化
制度の概要>
     農林水産省は、「農薬の保管管理の徹底について」(昭和62年6月10日付け62農蚕園芸局長通知)に基づき、農薬を鍵のかかる場所に保管するよう販売業者、農業者を指導
     厚生労働省は、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号。以下「毒劇物取締法」という。)及び「毒物及び劇物の保管管理について」(昭和52年3月26日付け薬発第313号薬務局長通知)に基づき、毒劇物を鍵のかかる設備のある専用の堅固な施設で貯蔵、陳列し、その場所に「毒物」等の表示を行うよう販売業者、農業者を指導
     都道府県知事は、農薬取締法及び毒劇物取締法に基づき、販売業者、農業者を対象に立入検査を行い、農薬の保管管理の適正化を指導


《参考通知要旨》
1)    農薬の保管管理については、農薬取締法及び毒劇物取締法に基づき、販売業者、防除業者及び農業者における遵守事項が定められているが、以下のとおり、保管管理が適正に行われていない状況あり
   施錠設備のある保管庫に施錠のうえ保管すること等とされているが施錠設備がないもの等
   農業者      7中5(71.4パーセント)
   毒劇物指定農薬の専用の貯蔵・陳列場所を設置し、その場所には「毒物」等の表示を行うこととされているが、これらを行っていないもの等
   販売業者   6中2(33.3パーセント)
   農業者      5中4(80.0 パーセント)
2)    福岡県農薬取締法所管部局では、立入検査の重点実施方針や実施計画を作成しておらず、農業者に対する立入検査を未実施