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稼行鉱山における災害防止対策
(1) 保安管理体制の整備
【制度の概要】
○ |
鉱業権者は、保安統括者及び保安技術管理者、保安係員等の保安技術職員を選任し鉱山の保安管理体制を整備(法第12条の2)、職務台帳を整備(規則第34条第2項) |
○ |
選任された保安係員は、施設の巡視・検査を実施し、保安日誌を記載する義務(規則第17条第1項ほか)
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【調査結果の要旨】
九州管内の18稼行鉱山を抽出調査した結果、次の状況がみられた。
ア |
職務台帳に記載することとされている保安技術職員の種類、兼務欄に記載誤りがあるもの(3鉱山)、職務台帳に記載している選任年月日に誤りがあるもの(2鉱山)。 |
イ |
保安係員が、毎日実施することとされている火薬類取扱所の巡視・検査を実施していないもの等(2鉱山)、鉱山に出勤していない保安係員が保安日誌に記載・押印したようになっており、実際に巡視を行ったか疑問があるもの(6鉱山)、巡視結果の記載内容が不十分等その記載が不適切なもの(9鉱山)。 |
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【改善所見の要旨】
九州鉱山保安監督部は、鉱山の保安を確保する観点から、保安統括者会議、監督検査等において、1) 職務台帳の正確な記載、2) 保安係員による巡視の励行及び保安日誌等の適切な記載に努めることについて、鉱業権者に対する指導を徹底すること。 |
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(2) 危害防止対策
【制度の概要】
○ |
鉱業権者は、鉱山で使用する車両系鉱山機械及び自動車に係る危害を防止するために車両番号、制限積載重量、最大積載重量等必要な表示(規則第433条)、定期検査等を実施する義務(規則第437条、438条) |
○ |
鉱業権者は、鉱山道路を安全な構造として、必要な箇所に道路標識、さく等の保安設備を設置する必要(規則第448条)、九州鉱山保安監督部は、鉱山道路の監督指導基準(平成12年同監督部制定)を設けて鉱業権者を指導
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【調査結果の要旨】
九州管内の18稼行鉱山を抽出調査した結果、次の状況がみられた。
ア |
車両系鉱山機械及び自動車に車両番号、制限積載重量又は最大使用荷重の表示を行ってないもの(4鉱山)、車両番号しか表示していないもの等(5鉱山)、管理台帳の車両番号と表示された番号に食い違いがあるもの(1鉱山)、定期点検記録簿の点検の日付と管理台帳における点検日の日付が一部異なっているもの(1鉱山)。 |
イ |
一部の鉱山道路にガードレール等の必要な転落防止措置を講じておらず、又、土盛りが低く指導基準に適合していないもの(2鉱山)、通行車両等の安全と円滑な通行を図るための必要な標識、又はカーブミラー等の保安設備の一部が設置されていない、又は不十分なもの(3鉱山)。 |
ウ |
油脂類倉庫等に火気厳禁の警標の表示が不十分(2鉱山)。 |
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【改善所見の要旨】
九州鉱山保安監督部は、鉱山労働者の災害を未然に防止する観点から、保安統括者会議、監督検査等において、1) 車両系鉱山機械及び自動車には、車両番号等の適切な表示を行うこと、2) 鉱山道路を安全な構造とし、標識等の適切な表示を行うことについて鉱業権者に対する指導を徹底する必要がある。
なお、油脂類倉庫等については火気厳禁の表示を適切に行うよう鉱業権者に注意を喚起することが望ましい。 |
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2 |
監督検査の適切化
【制度の概要】
○ |
鉱務監督官は、保安の監督上必要があるときは、鉱山及び鉱業の附属施設に立入、保安に関する業務若しくは施設の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係人に対して質問を実施(法第35条) |
○ |
九州鉱山保安監督部は、同規定及び鉱山保安監督規程等に基づき、毎年度鉱山に対する監督検査(総合検査、巡回検査、鉱害検査等)を実施
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【調査結果の要旨】
九州鉱山保安監督部の鉱山に対する平成13〜14年度の監督検査の実施状況を調査した結果、口頭指示事項の一部で監督部側と鉱山側とで意識に相違があり、このため折角の口頭指示事項が未改善又は長期未改善となっているものがみられた(3事例)。 |
【改善所見の要旨】
九州鉱山保安監督部は、鉱山に対する監督検査の実効性等を確保する観点から、指示区分や指示事項の範囲、指示方法について統一的な取扱いを定めるとともに、口頭指示時における鉱山側と指示事項の確認、指示後における改善状況の適切な把握を行うこと。 |
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3 |
休廃止鉱山における危害及び鉱害防止対策
【制度の概要】
○ |
九州鉱山保安監督部は、休廃止鉱山についても鉱害一般検査等において毎年度水質汚染の状況、たい積場の状況等の実態を把握 |
○ |
休廃止鉱山の危害及び鉱害防止については、地方公共団体(鉱業権者が存在している場合は、当該鉱山の鉱業権者)が、補助金制度を利用してたい積場の整形、覆土、植栽、坑廃水の処理及び坑口閉そく等の必要な危害及び鉱害防止工事を実施
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【調査結果の要旨】
福岡県内の9休廃止鉱山を調査した結果、危害発生のおそれのある状況がみられた。
ア |
山道沿いに陥没穴や、開放されたままの坑口があるが、閉そくされないまま放置され、しかも、立入禁止柵や警標が設置されていないもの(2箇所)。 |
イ |
山道沿いに開放されたままの立坑があるが、柵囲いを設け立入禁止措置を講じているものの、侵入可能な隙間のある構造となっているもの(1箇所)、水平坑入口に侵入防止のための扉を設置しているが、腐食しており補強措置が必要とみられるもの(1箇所)。 |
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【改善所見の要旨】
九州鉱山保安監督部は、休廃止鉱山における危害の防止を図る観点から、1) 休止鉱山については、鉱業権者に対し適切な改善措置を指示すること、2) 廃止鉱山(義務者不存在)に係る陥没穴や開放坑口については、埋戻し、閉そくの危害防止対策が講じられるよう、関係地方公共団体に要請すること、3) 廃止鉱山が所在する地方公共団体に対し、危険箇所を把握した場合は監督部に連絡させる等して、所要の危害防止工事の実施が図られるよう要請すること、の措置を講じる必要。 |
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