社会福祉法人の指導監督に関する行政評価・監視結果(要旨)

第1   調査実施時期・対象機関
   実施時期
 平成14年4月〜7月
   対象機関(関連調査対象機関)
 福岡県、福岡市、社会福祉法人(特別養護老人ホーム 15)

第2   実施の経緯
   社会福祉法人は、社会福祉法(昭和26年法律第45号)に基づき、養護老人ホームの経営、居宅介護事業などの社会福祉事業を行うことを目的として設立
  社会福祉施設を経営する法人数(平成13年度): 福岡県内 809
   総務省は、厚生労働省に対し、平成4年6月及び9年7月、「社会福祉法人の指導監督に関する行政監察」結果に基づき、管理運営体制の適正化、会計管理の改善、社会福祉施設・設備の整備に係る補助事業の適正化等について勧告。また、平成10年11月及び12年3月、「補助金等に関する行政監察」の結果に基づき、不適正交付補助金の返還、採択審査の適正化等について勧告
   平成12年6月、社会福祉事業法(現社会福祉法)の改正に伴い、厚生労働省は、社会福祉法人審査基準(以下「法人審査基準」という。)及び社会福祉法人定款準則(以下「法人定款準則」という。)を改定、社会福祉法人会計基準(以下「法人会計基準」という。)を制定するなど、改善措置を講じてきているところであるが、社会福祉法人については、事業運営の一層の適正化等が必要 
   この行政評価・監視は、社会福祉法人における社会福祉事業の適正な運営を確保する観点から、社会福祉法人の運営状況及び社会福祉施設・設備の整備に係る補助事業の実施状況を調査し、関係行政の改善に資するため実施

第3   通知年月日及び通知先
 
1 通知年月日   15年7月25日
2 通知先   福岡県、福岡市

第4   調査結果
   社会福祉法人の運営の適正化
<制度の概要>
 ・  社会福祉法人は、社会福祉法のほか、法人審査基準、法人定款準則、法人会計基準等に基づき、適正な運営を行うことが必要
 ・  社会福祉法人に対する指導監督等

  社会福祉法人の運営の適正化イメージ

    <参考通知要旨>
1) 法人の役員及び組織
 ・  理事会に全く出席していない者を理事に選任しているもの (調査した10法人のうち1法人)
 ・  理事と親族等の特殊の関係にある者を制限数を超えて理事に選任しているもの (調査した10法人のうち2法人)
 ・  法人運営に密接に関連する業務を行う者を監事に選任しているもの (調査した10法人のうち1法人)
2) 会計の管理
 ・  法人会計基準に基づいた経理規程は策定されているが、実施事業について経理区分していないもの (調査した10法人のうち6法人)
 ・  随意契約に付すことができる場合の基準に反して随意契約を行っているもの (調査した10法人のうち9法人)
3) 法人監査における指導処分
 ・  所轄庁が法人監査のために作成した監査調書又は法人に作成させた調書等の記載事項に不備があり、不適切事例を確認できるものとはなっていなかったことから、法人監査時に不適切事例を把握できなかったもの (調査した10法人のうち7法人)
 ・  法人監査担当職員が法人監査において把握した不適切事例とこれに対する指導・処分の内容との照合や指導・処分が適切に行われているかについての所轄庁の審査が励行されていないことから、不適切事例について、法人監査時に把握されていながら、特段の理由もなく指導・処分が行われていないもの (調査した10法人のうち3法人)

   社会福祉施設・設備の整備に係る補助事業の適正化
<制度の概要>
 ・  社会福祉施設・設備の整備に要する費用の一部を補助
  国2分の1、都道府県4分の1
  平成13年度国庫補助金額:約1,365億円
 ・  補助金は公正かつ効率的に使用されることが必要。補助金の交付目的に反した使用等は禁止
  (補助金等適正化法)
 ・  社会福祉法人は、国庫補助事業を行うために締結する契約の相手方及びその関係者から寄付金等の資金提供を受けることは禁止
  (厚生労働省通達)

    <参考通知要旨>
 補助事業により整備した施設・設備の工事請負業者等から寄付金を受け入れている例あり
 (調査した5法人のうち2法人)