第1 |
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実施時期・対象機関等 |
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1 |
実施時期 |
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平成16年4月〜7月 |
2 |
対象機関 |
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九州運輸局、索道等事業者16 (索道事業者14、鋼索鉄道事業者2) |
3 |
担当部局 |
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九州管区行政評価局、長崎行政評価事務所、大分行政評価事務所 |
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第2 |
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実施の経緯、目的 |
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○ |
九州地方においては、観光地やスキー場等に索道及び鋼索鉄道(ロープウェイ、リフト、ケーブルカー。以下「索道等」という。)が設置されており、年間で延べ590万人程度(平成14年度)が利用。 |
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○ |
索道等については、鉄道事業法(昭和61年法律第92号)によりその設備、運転、検査等について安全上必要な基準等が設けられており、索道等事業者には、この基準等に基づき運行・整備規程等を策定し索道等の安全運行を確保することを義務づけ。 |
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○ |
しかし、平成15年10月に長野県内のロープウェイで死亡事故が発生するなど、各地で索道事故が発生しており、索道等の安全運行の徹底が求められている。 |
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○ |
この行政評価・監視は、索道等利用者の安全を確保する観点から、索道等事業者における索道等施設の点検・整備、運行管理等の実態を調査し、関係行政の改善に資するために実施。 |
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第3 |
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通知年月日及び通知先 |
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1 |
通知年月日 |
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平成16年9月21日(火) |
2 |
通知先 |
: |
九州運輸局 |
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第4 |
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調査結果の概要 |
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○ |
索道等事業者は、鉄道事業法、鉄道営業法、国土交通省令等に基づき技術上の基準に従い維持管理することとされ、「整備細則」又は「実施基準」を定めて必要な検査(定期検査、臨時検査)を行い、その結果を記録し保存する義務。 |
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(調査結果の概要) |
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九州7県内の32の索道等事業者(平成16年3月末現在。)のうち16事業者を抽出し、調査(以下、同じ)。 |
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ア |
最大荷重条件下での制動距離の測定等法令等で定められた定期検査等の項目の一部が実施されていないもの。
(14事業者)
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イ |
検査結果の良否を判断するために必要な「整備標準及び限度」の設定や基礎数値の測定が行われないまま検査が実施されているもの。
(9事業者)
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ウ |
索条が磨耗により交換基準に達しているにもかかわらず、交換基準についての理解が不十分なため、そのまま使用を続けているもの。
(1事業者)
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エ |
検査結果の一部が記録又は保存されていないもの。
(9事業者)
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オ |
検査対象設備が更新等によりなくなっているにもかかわらず整備細則等が改正されていないもの。
(3事業者)
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(改善所見の要旨) |
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九州運輸局は、索道等事業者に対し、次の事項について指導を徹底する必要がある。 |
1) |
法令等で定められた点検・検査を励行するとともに、その結果を適切に記録・保存すること。その際、整備標準及び限度等を適切に設定する等により、良否判定を的確に行って、施設・設備の整備を実施すること。 |
2) |
整備細則等を見直し、整備細則等と検査の実態とが一致しないもの等変更が必要なものについて改正を行うこと。 |
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○ |
索道等事業者は、施設・設備を常に安全な状態に整備しておく義務。 |
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○ |
施設を変更するときは、地方運輸局長による認可又は届出が必要。 |
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(調査結果の概要)
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ア |
乗客等が線路内等、搬器と接触するおそれがある危険箇所へ立ち入ることを防止するための防護設備(柵、フェンス等)の設置又は管理が不十分なもの。
(4事業者)
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イ |
変更認可申請を行わないまま錘の重量を変更し、又は変更届出を行わないまま搬器数を減じているもの。
(1事業者)
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(改善所見の要旨) |
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九州運輸局は、索道等事業者に対し、次の措置を講じる必要がある。 |
1) |
利用者の安全を確保するため、索道等施設の維持管理の徹底を図るよう指導すること。 |
2) |
索道等施設の変更に伴う認可申請及び届出を励行させること。 |
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○ |
索道等事業者は、索道等の運転の安全確保に努める義務。 |
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○ |
気象業務法に基づき、災害の防止等に利用する風速計については、精度を確保するため、有効期間5年の検定制度あり。 |
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○ |
索道等係員は、索道等を安全に運転するために十分な知識及び技能の保有が必要。 |
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○ |
索道等事業者は、施設の維持及び管理を行なう索道技術管理者等を選任する義務。 |
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(調査結果の概要) |
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ア |
運転速度の設定及び運転速度の超過を検出する装置の検出速度の設定が不適切なもの。
(3事業者)
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イ |
運転の可否を判断するための風速計の維持管理が不十分なもの。
(9事業者)
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(ア) 風速計が故障したまま運転しているもの。
(2事業者)
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(イ) 風速計の精度確保のための検定を受けていないもの。
(7事業者)
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ウ |
索道等係員に対する教育訓練を計画的に実施していないもの、教育訓練対象者の拡大が必要なもの。
(3事業者)
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エ |
索道技術管理者等に選任されている者が異動転出した後、後任が未選任のもの。
(1事業者)
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(改善所見の要旨) |
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九州運輸局は、索道等事業者に対し、次の事項等について指導を徹底する必要がある。 |
また、風速計については、その精度の確保を図るため、気象業務法に定める5年ごとの検定制度の周知措置を講じる必要がある。 |
1) |
運転速度及び運転速度の超過を検出する装置の検出速度の設定を適切に行うこと。 |
2) |
強風等気象条件を的確に把握して安全運行を確保すること。 |
3) |
索道等係員に対する教育訓練を計画的に実施するとともに、対象者の拡大に努めること。 |
4) |
索道技術管理者等の選任が不適切となっているものについては、早急に是正措置を講じること。 |
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○ |
索道等事業者は、国土交通省令により救助作業方法を定め、係員を訓練する義務。 |
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(調査結果) |
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ア |
救助訓練対象者の拡大が望ましいもの、救助訓練の記録が不十分なもの。
(5事業者)
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イ |
救助の作業方法等を定めた救助作業マニュアルを整備していないもの、事故発生時の救助体制が実態と合っていないもの。
(2事業者)
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ウ |
救助訓練が、実施容易な場所に固定化しており、救助作業が困難なより条件の厳しい場所等において実施することが望ましいもの。
(7事業者)
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(改善所見の要旨) |
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九州運輸局は、索道等事業者に対し、次の事項等について指導を徹底する必要がある。 |
1) |
救助訓練対象者の拡大を図るとともに、実情に即した有効な救助作業マニュアルを整備することにより、実効性のある救助訓練の実施に努めること。また、救助訓練の実施の記録を的確に行うことにより、その後の訓練に活用すること。 |
2) |
救助訓練をより条件の厳しい場所等において実施するなど、救助訓練の充実に努めること。 |
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○ |
九州運輸局は、鉄道事業等監査規則に基づき、毎年度計画を定めて管内索道等事業者の保安監査を実施 |
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(調査結果) |
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ア |
九州運輸局における、平成10年度から15年度までの6年間の保安監査の実績をみると、計画対象事業者数21に対して実施事業者数は11と約50パーセント。 |
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イ |
調査対象事業者のうち10年度から15年度に保安監査を受けた6事業者のその後の改善状況をみると、九州運輸局の改善結果の確認が不十分であることから、2事業者において、未改善のものが認められた。 |
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(改善所見の要旨) |
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九州運輸局は、次の措置を講じる必要がある。 |
1) |
効果的かつ効率的な保安監査の実施方法を検討し、保安監査の実施に努めること。 |
2) |
保安監査の指摘事項のうち、事業者からの改善報告提出時に改善予定のものについては、適切にフォローアップを行いその励行状況を確認すること。 |
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以上の他、[1]乗降位置表示等の適正化、[2]運転状況の記録の徹底、[3]救助用具の配備の適正化、[4]廃止施設の安全管理対策の実施等についても改善所見を通知。 |