「労働局長による助言・指導」とは、労働局長が、個別労働紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆することにより、紛争当事者が自主的に紛争を解決することを促進する制度です。
 なお、これは、紛争当事者に一定の措置の実施を強制するものではありません。

イメージ 労働局長による助言指導の手続きの流れ


注 対象とならない紛争
   労働組合と事業主の間の紛争や労働者と労働者の間の紛争
   裁判で係争中であるまたは確定判決が出されている等、他の制度において取り扱われている紛争
   労働組合と事業主との間で問題として取り上げられており、両者の間で自主的な解決を図るべく話し合いが進められている紛争




労働局長の指導・助言

 《ケース1》配置転換にかかる事案(労働者からの申し出)


     申出人は、○○市にある店舗で勤務するという条件で入社した。その後、同店から△□市にある別の店舗への配置転換の通告が行われた。
 今回の配置転換は会社の一方的な措置で納得できないので、契約期間満了日まで、従前の店舗で勤務できるように、同措置の撤回を求めて、助言・指導の申し出を行った。

 ○○労働局長の助言により、紛争当事者間の話し合いがもたれ、申出人に対する配置転換命令が撤回され、引き続き従前の職場で勤務することができるようになった。

 【事業主からのコメント】
 企業が法等を知らないうちに問題を起こすこともあり、労使双方の大きな問題になる前の早い段階でその問題解決に向けた行政機関の助言・指導が行われ、結果として速やかに解決を図ることができ、企業にとっても有益であった。





 《ケース2》懲戒処分にかかる事案(労働者からの申し出)

     申出人は、課長から課長代理への降格を命じられた。降格の理由は申出人が部下の不正行為の噂を流布したことが、課長として相応しくないためであると説明されたが、噂を流布した事実はなく、納得いかないので処分の撤回を求めて、助言・指導の申出を行った。

 ○○労働局長より、被申出人に対し、事実関係の調査の結果、申出人が噂を流布した事実は認められず、申出人に対する処分については、懲戒権の乱用となるので懲戒処分を撤回するよう指導文書を交付したところ、被申出人は懲戒処分を撤回し、課長への復帰を命じた。また、降格に伴う役職手当の減額分についても、遡って支給された。

 【労働者からのコメント】
 簡易で、お金もかからず、労働局長の指導により是正され、大変ありがたく感じている。この制度があってよかった。