「国立学校の安全管理等に関する行政評価・監視」の結果

イメージ児童 概略 学校における幼児児童生徒の一層の安全をめざして

背景等
平成13年6月に大阪教育大附属池田小学校で児童等の殺傷事件が発生、四国管内でも類似事件につながりかねない事件が発生
香川県内でも幼児児童生徒の事故が多発
南海地震が今世紀中に発生することが懸念される中、香川県内の学校耐震化率は27.7%で全国最下位
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事件対策を含めた総合的な調査は全国初
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〜15年3月
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調査対象機関
    香川大学
  香川大学教育学部附属7校
矢印 幼稚園 2 矢印
小学校 2
中学校 2
養護学校 1

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行政評価・監視の実施
四国行政評価支局(局長:本間勝己)は、今回の調査の結果、香川大学教育学部附属学校における安全管理等を一層推進する観点から、以下の事項について改善措置を講ずるよう通知

1.事件対策の効果的実施

2.事故対策の効果的実施

3.災害対策の効果的実施
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通知先: 香川大学
通知日: 平成15年3月27日
矢印
回答: 平成15年
   4月30日



    通知事項1) 事件対策の効果的実施
制度・仕組み
文部科学省
幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理に関する緊急対策例の提示
危機管理マニュアルの作成
避難訓練の実施 等
幼児児童生徒の安全確保及び学校の安全管理についての点検項目例の提示

香川大学
文部科学省の対策例、点検項目例等を各附属学校に通知

矢印 現状・実態
  附属7校では、文部科学省が平成14年6月・7月に実施した「安全管理の措置状況調査」の16項目のほとんどが措置済みとなっているが、当局の調査の結果、次のような改善を要する事例がある。

防犯ブザーを押した場所を特定できず、警報装置の機能が不十分(5校)
危機管理マニュアルにおける教職員等の役割分担(緊急連絡、不審者への対応等)が不明確(7校)
事件を想定した避難訓練について、平成13年度以降未実施(1校)、実施回数が不十分(4校)
避難のみの訓練が中心となっており、警備員を参加させての不審者への対応訓練等が不十分(6校)
安全点検について、平成13年度以降未実施(1校)、実施回数が不十分(4校)
避難訓練を実施していないにもかかわらず、実施済みとして整理しているなど、点検内容が不正確(3校)
    矢印
通知要旨
事件が発生した場所が特定できるよう警報装置の機能を改善
緊急時により有効に機能するよう危機管理マニュアルの見直し
避難訓練、安全点検に関する事項を学校安全計画で定める
不審者への対応等を訓練内容に組み込むとともに、不審者対応の中心的な役割が期待される警備員も必要に応じて参加させる
安全点検をより的確に実施



    通知事項2) 事故対策の効果的実施
制度・仕組み
文部科学省
  幼児児童生徒の安全を確保するため、施設設備に関する安全点検の実施を学校に義務付け(学校保健法)
  遊具業者等団体の策定した「遊具の安全に関する規準(案)」を遊具の事故防止対策に活用するよう指導(通知)

香川大学
  文部科学省の指導事項(通知等)を各附属学校に通知

矢印 現状・実態
  附属7校では、施設設備に関する安全点検を定期的に実施、事故発生時には、その発生原因を分析し再発防止措置を講じるなど、事故防止に向けた取組が行われているが、なお、次のような改善を要する事例がある。

安全点検表の中に、具体的な点検事項が示されていない(3校)。遊具を設置する5校においては、i1)安全点検の際、規準(案)を未活用(全校)、ii2)専門業者による遊具の定期的な保守点検を実施していないことから、見落としなどによる危険な施設設備が全校で16件あり
事例: 滑降部全体の平均傾斜角度が45度(規準(案)では35度以下)となっている滑り台(関連する事故が4年間で10件)

事故発生校における再発防止措置が、同様の施設設備を有する他校の事故防止対策に未活用
    矢印
通知要旨
規準(案)の活用、点検事項を具備した安全点検表の整備等による安全点検の的確化
専門業者による遊具に係る保守点検の定期的実施
附属学校間における事故情報の共有化を図るための仕組みの整備



    通知事項3) 災害対策の効果的実施
制度・仕組み
総務省(消防庁)
  学校に消防用設備等の点検・整備、火災・地震を想定した避難訓練の実施等を義務付け(消防法)

国土交通省
  校舎・体育館等の耐震診断の実施及び耐震改修努力を義務付け(建築物の耐震改修の促進に関する法律)

文部科学省
  震災対策の一つとして、設備・備品の転倒等防止措置を指導(文部科学省防災業務計画)
矢印 現状・実態
  附属7校では、消防用設備等の定期点検(業者に委託)及び自主点検を実施するとともに、震災対策として、耐震診断の実施等の取組をしているが、なお、次のような改善を要する事例がある。
消防用設備等である避難口の前や消火器の周囲に電子オルガン・机等を置いてあるもの等(4校)
耐震改修実施計画において、倒壊等の危険性が高く、早急に改修等の検討を行うこととされている耐震指標値0.3以下の校舎等の優先度が低くなっている(2校)
また、耐震指標値が0.3以下の学校等に対しても、耐震診断結果を連絡していない(2校)
教室等に固定措置が講ぜられないまま吊るされたテレビ(3校、24台)、ストッパーがはずされたままステージ上等に設置されたグランドピアノ等(4校、13台)
(注) 耐震指標値が0.3以下は、倒壊等の危険性が高く、早急に改修等が必要
    矢印
通知要旨
消防用設備等の自主点検に当たって、設備の機能面をも盛り込んだ点検表の整備
震災対策として、耐震改修実施計画の見直しを検討するとともに、耐震診断結果を学校に周知すること
また、施設整備に係る点検表に、設備・備品の転倒等防止措置に関する事項を盛り込むこと