共生のまちづくり懇談会 第6回会議 議事要旨
- 日時:平成12年11月29日(水)午前10:00〜12:00まで
- 場所:自治省大会議室(11階)
- テーマ:まちづくりを進めるに当たっての整備手法について
- (中心市街地活性化等を例に)
【住民参加について】
- 行政の取組と住民のニーズとの間ではミスマッチがある。行政はもっと住民の意見に熱心に耳を傾けるべきであり、住民が本当に望んでいることを聞く場を提供すべき。自治省では、そういった経費を支援する「わがまちプラン」を来年度の重点施策としている。
- まちづくりの基本構想策定に際して、意見の取りまとめまでを住民が主体となって行っているケースがあるが、住民間の調整ができないとうまくいかない。
- 住民だけだと、ある程度まで進むと行き詰まりも出てくる。そういった時にこそ行政の援助が必要になる。
- 今までまちづくりに関して動きのなかった地域は、人材が全くないというのではなく、単に「きっかけ」がなかっただけであり、住民に密接に関係してくる問題があれば、まちづくりに取り組む態度も違ってくるはず。
- そのため、住民が対等な立場で発言できる場づくりが重要ではないか。また、参加している人は、まち全体を考えるよりも、実際は私利私欲で動いている場合が多いので、まず、行政は住民に自分達の住んでいる街について真剣に考えてもらえるような環境を整備すべき。
- 実際にそのまちで生活している人、主婦は生活実感があり、また現実的な視点から発言するので、住民参加では欠かせない存在である。
【地域レベルの住民組織の役割】
- 江戸時代にも「地域のルールづくり」をやってきており、現在でもうまくやれるのではないか。
- 行政が持っている権限を地域住民まで移譲するための制度の構築について、国の積極的な対応が必要である。
- 地域住民に権限を移譲した場合、議員の役割の低下という問題も生じてくる。
- ドイツでは、一定金額以下の事業は地域協議会が決定権をもち、議員と地域との棲み分けができている。
- 自治体は、住民参加のモデルケースを積極的に示していくべき。また、国は、まちづくりに関する自治体の取組(失敗した事例も含めて)を他の自治体や住民に対して情報提供していくことが必要。そのためには、自治体職員の意識改革も必要である。
【まちづくりにおける公共性について】
- (私的所有権万能から比べると)現在は「公共性概念」の過渡期に当たるのではないか。公共性を確保することが、結局は家族や財産、安全といった個人の利益につながるという考え方が重要であり、そのためのルールを作っていこうということ。従来のように上から押しつける公共性は受け入れにくい。
- 中心市街地活性化を例にとった場合、周辺整備に対しては補助金等を使って格段に整備されるにもかかわらず、肝心の商店は何も変わらない。これを是正するために商店に補助を行なおうとすると、私的財産への補助として認められず、また規制をかけようとしても、私的所有権の侵害として認められないとする考え方が、まちづくりを邪魔している。何が「公共」なのかについて、きちんと問題提起する必要がある。
- 例えば、木造住宅を耐火構造住宅に変えることは火災の延焼を防止する公共性を持つにも関わらず、その結果、固定資産税が高くなるのでは、誰も整備しようとしない。
- さらに、(個々具体的な取組も重要だが、)まちをどのような方向に進めていくのかという全体像の中で捉えていかないと、失敗に終わってしまう。そうさせないためにも、計画段階でどのような事項について公共性があるのか明確にしなければならない。
- 地域のつながりを大切にしていた江戸時代のような「共有の概念」を見直すべき。
- 今までの「公共性」は、役所の利益として捉えられてきたのではないか。住民自身の利益として認識することが必要で、行政は地域住民全体の利益であることを認識させる必要がある。
- 近年は、環境や住み易さに配慮したコンパクトにまとまったまちづくりが注目されている。行政は環境や移動、経済的負荷の低減について、ある程度の方向性を示すべき。