資料名 資料3 民間放送事業者構成員提出資料 注意 一部、当日の発表において発言予定の内容を基に作成している箇所があるため、PDF版資料の記載内容とは異なる場合があります。 <1ページ目> 字幕放送への対応について(在阪局の事例から) 2022年12月 株式会社毎日放送 <2ページ目> 在阪準キー局(4局)および毎日放送の字幕付与率の推移 在阪準キー局(4局)ABC/KTV/YTV/MBS 普及目標の対象となる番組における字幕番組の割合 2017年度 99.0% 2018年度 99.7% 2019年度 100% 2020年度 100% 2021年度 100% 総放送時間に占める字幕放送時間の割合 2017年度 60.2% 2018年度 62.1% 2019年度 64.0% 2020年度 65.6% 2021年度 67.3% 毎日放送(MBS) 普及目標の対象となる番組における字幕番組の割合 2017年度 98.6% 2018年度 98.7% 2019年度 100% 2020年度 100% 2021年度 100% 総放送時間に占める字幕放送時間の割合 2017年度 50.2% 2018年度 52.3% 2019年度 53.7% 2020年度 52.9% 2021年度 54.4% <3ページ目> 字幕付与拡大に向けての施策(毎日放送) ・普及目標対象となる番組以外でも積極的に字幕付与(深夜ドラマ・アニメなど) ・生字幕体制の強化 @生放送情報番組での生字幕付与 土曜あさ7時59分から「サタデープラス」(全国ネット 86分枠) 土曜あさ9時25分から「せやねん!」(関西ローカル 196分枠)など Aスポーツ生中継で生字幕付与(野球・ゴルフ・ラグビーなど生中継で100%実施) Bローカルニュース番組での生字幕付与(キー局TBSが開発した生字幕付与システム「もじぱ」を導入。次ページに詳細) C機材増強・人員確保など <4ページ目> キー局・TBSテレビが開発したAI生字幕付与システム「もじぱ」を活用した字幕付与事例(毎日放送) ・ 2019年から株式会社TBSテレビとソニービジネスソリューション株式会社が共同で実証実験を進めてきた、音声解析AIを活用してテレビ字幕を自動的に生成するシステム「もじぱ音声認識テキスト化システム」(以下、もじぱ)が、2020年11月TBSテレビで正式導入されました。 ・「もじぱ」は、音声からリアルタイムで自動的に字幕を生成。担当者が生成された字幕をディスプレイ上で確認し、必要に応じて内容を微調整し番組に字幕を手動で付与します。報道番組に特有な時事用語や人名などを事前に登録し、字幕として認識させることも可能なシステムです。 ・ 毎日放送では生字幕付与向上につながると2021年度から「もじぱ」導入を検討。「もじぱ」の委託販売を請負う株式会社トラフィック・シムからシステム購入。2022年6月テスト運用、7月本格稼働しました。 ・ 現在は昼11時50分頃「MBSローカルニュース枠」約3分間で「もじぱ」での生字幕付与を実施。さらに拡大すべく検討中。 ・ 運用は、ニュース原稿を事前に手元用意、自動生成された字幕をオペレーター2人で内容確認・誤字修正・送出ボタン押し。 ・ 現在の精度は、1分ニュースで2、3か所修正が入ることが多い。 (画像2枚。オペレーター2人がテレビ映像を確認し、「もじぱ」を操作する様子。) <5ページ目> 今後の課題 @生放送情報番組がタイムテーブルで大きなウエイトを占めている現状、生字幕への対応強化が課題。生字幕対応オペレーターの確保、金銭負担増、ともに厳しい。出演者が多い生放送情報番組ではオペレーター増やすことで字幕作成は可能だが、すべて送出するのは厳しい。 AAIを活用したリアルタイム生字幕も、現時点では最後は人間によるチェックが必要。毎日放送でもシステム上は、深夜などであっても「もじぱ」電源ONすれば生字幕を出すことは可能だが、まだ、AIのみでは「正しい字幕を出す」という放送局の責任が果たせていないと判断し、踏み込んでいない。(オペレーター常駐が現時点では必要) B人命・財産に関わる災害時での対応が最重要課題と認識しています。 <6ページ目> 解説放送への取り組みについて(2022年) 2022年12月 フジテレビ <7ページ目> フジテレビにおける過去5年間の解説放送付与率実績 普及目標の対象となる番組における解説番組の割合、総放送時間に占める解説放送時間における割合 の順に ・2017年度 14.5% 5.2% ・2018年度 15.1% 5.7% ・2019年度 17.5% 5.6% ・2020年度 13.7% 4.8% ・2021年度 18.3% 7.0% ・2022年度 (10月末現在)19.0% (10月末現在)7.2% <8ページ目> フジテレビにおける現状の取り組みについて 地域格差軽減を目指し、GP(ゴールデン・プライム)帯を中心とした全国ネット番組に積極的に付与していきたい @制作体制の見直し 2027年度まで右肩上がりでの拡充計画を予定していたが、2020年度における付与率は、前年度より17.5%から13.7%と3.8%も減少。 これは、もともとスケジュールの問題で解説放送付与できる番組が限られているうえ、コロナにより収録や編集スケジュールに大幅な狂いと変更が生じたため、納品遅延が頻発。 それに伴い、スケジュール的に解説放送を付与できる番組が前年度より激減したことが理由。 そのため、番組制作スケジュールの見直しを全社的に行い、2021年度は月曜9時、木曜10時の全連続ドラマへ解説放送を付与。 (9ページ目に続く) <9ページ目> A地上波のみならず、配信版へも字幕放送と解説放送を付与 今クールで放送中のドラマ「silent」は、主人公が聴覚障がいを持っているという設定のため、字幕放送と解説放送はマストと考え、社内各所協力のもと、通常の地上波放送に加え、リアルタイム配信を除いたすべてのAVOD(広告付き無料動画配信)、SVOD(定額制動画配信)に配信版でも字幕放送と解説放送付きで放送。 B地上波では放送されない番組にも字幕放送、解説放送を付与 11月17日より3回にわたって配信される「silentドキュメンタリー番組」は地上波では放送されないが、視聴者からの高いニーズに応えるため、積極的に付与を決定 (10ページ目に続く) <10ページ目> Cドラマや邦画以外のジャンルにも新たに解説放送を付与 2022年4月より、毎週金曜日23時から23時40分まで放送のバラエティ番組「全力!脱力タイムズ」への解説放送を付与開始。 今後も、様々なジャンルの番組へ解説放送付与を検討していきたいと考えている D系列局への協力 解説放送の認知向上と地域格差の是正を図り、系列局が制作する全国ネット番組はもちろん、ローカル番組でも解説放送付与について相談や要請を受けた場合、積極的に協力している。これまで共同テレビのみだったが、2019年より、もう1社(FCC)にも委託が可能となった (11ページ目に続く) <11ページ目> E解説放送の質の向上を目指し、定期的にミーティング <例「silent」> ・手話で会話を手話で行うシーンが多くあるが、手話部分の会話を解説放送ではどう対応するかを放送開始2か月以上前から議論。 案1:「手話で『(台詞部分)』と会話している」など客観的にナレーションをつける。 案2:手話台詞部分だけボイスオーバーする 上記2案のいずれにするか台本や映像を早めに入手して検討を重ね、手話台詞部分だけボイスオーバーする形式にし、複数のアナウンサーを発注し、収録している。また、解説放送を担当するアナウンサーとも事前に綿密な打ち合わせを行っている。 <12ページ目> 今後の課題や検討項目について ・スポーツ番組への生解説 ・データ放送との連携 ・文字スーパーの自動音声化についての研究 ・解説放送のさらなる質の向上 <13ページ目> 手話放送への対応と課題 2022年12月 テレビ東京 手話放送への取り組みについて、テレビ東京での事例を発表いたします。 私はテレビ東京 総合編成局編成部 上野と申します。宜しくお願い致します。 <14ページ目> テレビ東京では現在、4つのレギュラー放送番組で手話を付与しています。 「ウォッチ!7」はテレビ東京の広報番組で、隔週日曜放送。毎週月曜と火曜の夜9時54分からは、いずれも東京都のスポンサードを受けて制作しているミニ情報番組ですが、これらはいずれもVTR放送となっています。 本日は今年4月から手話の付与を開始した生放送のニュース番組「TXNニュース」について、ご説明させていただきます。 (スライド内容ここから) 22年10月クール:テレビ東京における手話放送(週当たり27分週) ・隔週日曜5時20分〜5時30分「ウォッチ!7」(VTR番組) ・毎週日曜17時20分〜17時30分「TXNニュース」 ・毎週月曜21時54分〜22時00分「東京GOOD」(VTR番組) ・毎週火曜21時54分〜22時00分「東京交差点」(VTR番組) (スライド内容終わり) <15ページ目> TXNニュースですが、毎週日曜夕方5時20分から30分の報道番組です。 そのうち最初の5分がネットゾーン編成で、TXN系列各局で同じニュースが流れます。 後半の5分はローカルゾーンで若干のニュースと、関東地区の天気予報を主に伝えています。まずは実際のニュース制作の流れをご説明します。 <16ページ目> @実際のニュース制作の流れ 手話通訳者は東京手話通訳派遣センターさんから、毎週派遣いただいております。 ニュース本番のおよそ1時間20分ほど前の夕方4時ごろに手話通訳さんにご来社いただき、本日のニュース構成や原稿を配布。 VTRの編集がおよそ16時半ごろあがりますので、全てのVTRにチェックを入れます。 この日はカンボジアで開催されたアセアン関連首脳会議の最中で、ぎりぎりまで新しいニュースが入る可能性があったため、直前での原稿差し替えの可能性もある中での準備でした。 そして17時前後で通しのリハをやり、最終的な動きをチェックします。 天気予報の天気図の動きなども、気象予報士の動きを把握しながら位置関係を手話に落としこんでいきます。 原稿はプロンプターを見て、アナウンサーの声を聴き、目線を下げないよう工夫しています。 ニュース放送後も、必要に応じて反省会を開き、より良いオンエアになるよう意見交換を行っています。 (スライド内容ここから) 16時ごろ ・手話通訳は放送1時間前の16時頃に来局します。原稿を読んで、アナウンサーの下読みを読んで、手話をリハーサルします。VTRもすべて確認。 17時20分 ・スタジオではアナウンサーの下手(しもて)に立って、プロンプターと音を聞きながら通訳します。当初5分はネットゾーン。17時25分から、関東ローカル枠。天気予報も含め伝えます。 18時ごろ ・放送終了後は、必要に応じ当日の反省点などを共有し、より見やすい手話放送になるよう、スタッフと手話通訳者で改善に向け議論しています。 画像5枚 1 手話通訳者が原稿を読む様子 2 手話通訳者が画面を見ながらリハーサル 3 スタジオでニュースを読み上げるアナウンサーと手話通訳者 4 スタジオの機材 5 プロンプター (スライド内容終わり) <17ページ目> Aニュース制作における工夫 今年4月にテレビ東京では生放送への手話通訳を始めて導入しましたが、半年間を経て手話放送に対する経験や知見を積んできています。 当初はワイプの大きさや背景の色、手話通訳者さんのサイズの調整などを試行錯誤しました。このワイプを動かさない前提で、番組のテロップやスタジオの位置、カメラのカット割りなどをすべて「手話仕様」に変更しています。 最も難しい部分が尺の調整です。手話は平均してアナウンサーのコメント読みよりも1秒から2秒程度長くかかるため、場面に応じてクッション尺を設定しています。 特に外国語の固有名詞が頻繁に出てくるような国際ネタで、かつ新しいニュースなどは、指文字などを使用したり、その背景まで含めて手話を考えてもらう必要があるので効果的に伝わるかどうか、毎回慎重に尺の相談をしています。 必然的にアナウンサーの尺出しより、手話の尺出しの方を優先して全体構成を考えています。 また、天気予報やコロナ感染者数などの統計を表示する際も、文字や画像の情報に加えニュアンスを正確に伝えるよう、手話を必ず入れています。そのぶん全面CGだった天気図が若干サイズダウンするなど視認性は低下していますが、手話とのバランスを考慮しながら最適解を探っている状況です。 (スライド内容ここから) ・左側中央に、見やすさを高めるため背景色やワイプの形・大きさを議論し、現在のような形になっています。 ・これに合わせ放送用のテロップなども、レイアウトを一部変更しています。 画像2枚 1 「参院選6月22日公示の見通し」のニュースにおいて、紫色の幕を背景に岸田総理大臣が話している。 2 「民主・共和の舌戦過熱」のニュースにおいて、アナウンサーがスタジオでニュースを読み上げている。 いずれの画像でも、画面左側中央に手話通訳の丸いワイプが映っている。 手話は平均してアナウンサーのコメント読みよりも1〜2秒程度長くかかるため、顔出しリードは1秒長く、VTR中のコメントは2秒長く計算するなど、手話の内容や難度に合わせて原稿の秒数を細かく調整しています。 特に、外国語の固有名詞が多く、新しい話題の国際ニュースは調整に時間を要します。 「地図や字が全面に出るニュースでも、「すべての情報に手話を活かす」前提に変更。天気予報や数字を読ませるための全面CGの画面も更新しました。代わりに地図やCGなどのサイズが若干小さくなっています。 手話通訳者も位置関係が逆にならないよう、工夫して通訳してもらっています。 画像2枚 1 天気予報で日本周辺の天気図を説明している。 2 「東京で新たに6,264人」のニュースにおいて、10月10日(月曜日)から放送当日11月6日(日曜日)までの4週間について、東京都の新規感染者数を表で示している。 いずれの画像でも、画面左側中央に手話通訳の丸いワイプが映っている。 (スライド内容終わり) <18ページ目> B課題や将来的な展望 最後に今後の展望ですが、番組にご協力いただいている手話通訳者さんの高い専門的知識や技能に敬服しているだけに、そういった手話通訳者さんの絶対数の問題というのがあるのではないかと思います。 ある手話通訳者さんは手話教室への参加から始め、放送での手話通訳者になるまで6年かかったそうですが、それでもだいぶ早い方だそうです。また人口に比例して手話通訳者さんの地域偏差もあると思いますので、全国各地域の手話放送の需要に答えるにはまだまだ課題があるのではないか、と認識しています。 TXNニュースでは前半5分がネットゾーン編成ですので、効率の点からも良いと感じていますが、これは「たまたま」の側面も強いので、これを意識して増加させることは別で検討していく必要があります。 同様に、アナウンサー1名による10分間のニュースではない、複数話者が同時進行にお話をする長時間番組などは、必要となる手話通訳者の数も最低4人と大幅に増えるとか、収録番組における手話は、より正確性を担保するために長時間かかってしまうなどの課題もあります。災害報道でもなかなか緊急的に手話通訳者をお願いする余裕も無く、今後長期的に取り組んでいかなければならないと認識しています。 以上でテレビ東京のご報告をおわります。ありがとうございました。 (スライド内容ここから) 手話通訳者の絶対数やコストの問題 ニュース制作と同様か、あるいはそれ以上に、極めて高い専門的知識と技能が必要。 ネットゾーン編成の番組であれば、系列局の難聴の視聴者にも届くが、課題も 手話通訳に適する番組内容の課題 長時間番組、複数話者への対応、テンポの速い番組など。 緊急時における災害報道 自社で緊急時に手配、構築するには極めてハードルが高い。 (スライド内容終わり) <19ページ目> 緊急災害時におけるユニバーサルサービスの対応と課題 2022年12月 テレビ東京 続きまして、緊急災害時におけるユニバーサルサービス放送の対応状況について テレビ東京での事例を発表いたします。 私はテレビ東京 総合編成局編成部 上野と申します。宜しくお願い致します。 <20ページ目> 主に国民の関心事、また緊急災害が発生した場合に、テレビ東京でも放送中の番組に割り込んで臨時ニュースを伝えるカットイン放送、または番組内容を変更して特別報道番組として編成する報道特番対応など、様々な形で速やかに放送する仕組みを持っています。 その中で、難聴者や視覚障害の方にも適切に情報をお届けする方法、3点についてご説明いたします。 <21ページ目> @カットイン、報道特番での生字幕対応 まずは、緊急時におけるリアルタイム字幕の対応状況です。テレビ東京は番組全般の字幕制作をテレビ東京メディアワークスという会社に委託しております。 現状の総務省指針に基づき、テレビ東京の字幕対応は対象番組の100%を維持していますが、それに加えてワールドビジネスサテライトのような複数話者のいる番組にもレギュラーでリアルタイム字幕を付与しています。 タイムテーブルの状況に応じてリアルタイム字幕対象番組もたびたび見直され、変更されますが、現状では深夜帯などは生放送番組がなく、また付与対象時間帯でもないため、24時間体制でいるわけではありません。 よて、即応体制にも限りがあるのが現状となっています。 時間帯により○(まる)や△(さんかく) がございますが、これは番組に応じて生字幕を付ける仕組みが異なっているためです。 (スライド内容ここから) 曜日・時間帯別の、緊急時におけるリアルタイム字幕の対応状況を、○(まる)、△(さんかく)、×(ばつ)の表で示す。 ○(まる) 比較的早期に災害報道への生字幕付与が可能 △(さんかく) 場合により早期に災害報道への生字幕付与が可能 ×(ばつ) 生字幕の付与に時間がかかる可能性が高い (表ここから) 0時 全ての曜日で ばつ 3時 全ての曜日で ばつ 6時 全ての曜日で ばつ 10時 月曜日から金曜日まで まる、土曜日・日曜日は さんかく 12時 全ての曜日で さんかく 15時 全ての曜日で さんかく 18時 月曜日から金曜日まで さんかく、土曜日・日曜日は ばつ 21時 月曜日から金曜日まで まる、土曜日・日曜日は ばつ 23時 全ての曜日で ばつ (表終わり) テレビ東京メディアワークスに対し、テレビ東京の字幕制作全般を委託。 (スライド内容終わり) <22ページ目> 番組内容による、字幕付与の方法の差異 VTR番組への字幕付与は割愛して、ここではWBSのような複数話者が出演する字幕対応と、出演者1名の字幕対応の違いを図に表しています。 複数話者での会話のやりとりが発生し、かつ長時間の番組の場合は、1チーム4名の対応で臨んでいます。一方で話者1名の番組では、担当者も1名で、かつ事前にある程度ニュースの内容を把握する事で何とか対応している状況です。 緊急対応の場合は、リポーターとの掛け合いや専門家とのやりとり、記者会見など内容が非常に大きく膨らみますので、リアルタイム字幕には4名1チームを1ユニットとして対応する必要があります。 (スライド内容ここから) WBS・ひるサテ(複数話者の生番組) リレー入力方式で実施。入力者3名、校正と送出担当1名、計4名で1チーム。 生字幕付与には数年の業務経験に加え専門的な訓練が必要。テレビ東京ではグループ会社が専門社員11名、契約で4名の15名でシフトを組みまわしている。 ゆうサテ、TXNニュース(話者1名のニュース) 入力、兼送出担当1名で対応。 あらかじめ原稿を入手し、ある程度ソフトに事前に読み込ませる事で省力化。 実際の放送を確認して予定字幕を送出する為タイムラグは発生する。 緊急災害における生放送対応については、リレー方式の4名で対応する必要がある。 2021年10月8日千葉西地震(震度5) WBS内の22時41分に起こったため、カットイン終了の24時28分まで生字幕を継続した。 2022年11月3日Jアラート(北朝鮮) 早朝7時51分〜8時52分にカットインを行ったが、生字幕制作の準備まで間に合わなかった。 特に大きな災害が起きた場合 字幕制作者の安全も確保するという前提で、最大72時間の報道特番を想定したローテで対応。 (スライド内容終わり) <23ページ目> よって、WBSやひるサテの放送している時間帯近辺で起きた場合と、それ以外のケースではなかなか対応の速度というのが異なってきてしまいます。 実際に昨年11月の地震によるカットインでは、いわゆる○(まる)の時間帯でしたので対応できましたが、×(ばつ)の時間帯で起きた11月3日のミサイル関連でのカットインには対応が残念ながら間に合いませんでした。 ただし、3・11のような長時間にわたる報道特番の可能性も想定し、字幕制作者自身の安全も確保の上で、最大72時間リアルタイム字幕制作をできるようなローテーションを目指しています。 <24ページ目> 解説放送や手話放送に該当する部分の製作方針 続いて、解説放送の部分に該当する視覚障害者への情報の伝え方、また手話についての対応状況です。 緊急事態における放送では、報道局員もふくめ体制が十分に整っていないケースが大半ですので、特にアナウンサーからの情報伝達に留意しています。地名や震度をはっきり、繰り返しアナウンスすることをメインに、例えば外部の専門家が「ご覧の地図のような状況です」とコメントする場合でもしっかり口頭で抑えなおす、など、音声情報だけでも十分に情報が伝わるようなアナウンスを心がけています。 また、気象庁や総理官邸での官房長官会見など、重大な発表の際には、できる限り手話通訳者の映像を同時に取り込むことを目指しています。 今後の課題という部分では、テレビ東京としては今回二つ上げさせていただきます。 まずはAI技術をベースとした自動字幕生成技術について、認識率は研究に携わる皆様の多大なる努力により向上しており、テレビ東京でも導入について検討している状況ですが、残念ながら認識率自体はいまだ100%という訳ではございません。 特に命にかかわる緊急災害報道において、字幕自体の情報に致命的な誤りが含まれる可能性を排除できない為、そのジレンマとどう向き合うかは放送局全体にかかわる課題ととらえています。 また、放送局側でも手話通訳者を手配し、独自に手話通訳者を入れた放送を行えるのがベストですが、人材の確保や放送局側の受け入れ態勢の整備と、それにかかわるコストなど、現実的な課題をどう克服していくのかは引き続き課題となっています。 以上でテレビ東京の発表を終わります。ありがとうございました。 (スライド内容ここから) 視覚障害者にも分かりやすく アナウンサーによる地震・津波情報の読み上げの注意点 地名や津波など、特に命にかかわる情報は必ずアナウンサーが丁寧に読み上げる。 出来る限り手話を 気象庁会見や政府の会見を生中継する場合は、隣の手話通訳者のワイプを可能な限り入れる。 今後の課題 自動字幕生成技術 命や生命にかかわる緊急放送で「誤報」のジレンマとどう向き合うか 独自の手話報道 24時間体制での人材の確保、受け入れ体制の問題など。 (スライド内容終わり) <25ページ目> ローカル局の現状と課題 2022年12月 広島ホームテレビ ローカル局の代表として、広島ホームテレビマーケティング戦略本部編成局編成グループの秦が、発表します。 <26ページ目> 系列県域局の現状(総務省の公表資料参照) 総務省の公表資料の数値は認識されているということを前提に、ローカル局の概要を3点、列挙します。 在京キー局、在阪準キー局、在名広域局では、字幕放送の割合がほぼ100%であるのに対し、ローカル局は90%に達していない ローカル局の解説放送の割合や手話放送の分数においても、在京、在阪、在名局に、追いついていない 地上系民間放送のうち、在京キー局(5局)、在阪準キー局(4局)、在名広域局(4局)を除くローカル局は、全国に101局存在する(局数では88.6%) <27ページ目> ローカル局(広島県内の4局)の状況 ローカル局の現状を説明する上で、広島のテレビ局4局に対して調査を行い、それをまとめました。 あくまで状況を紹介することが目的のため、局が特定されないよう、A局・B局・C局・D局としています。 @字幕放送の実績 A局:全国ネット番組、8月6日特番、年始特番 B局:全国ネット番組、ローカル単発特番、レギュラーミニ番組×2番組 C局:全国ネット番組 D局:全国ネット番組 A解説放送の実績 A局:全国ネット番組 B局:全国ネット番組 C局:全国ネット番組 D局:全国ネット番組 B手話放送の実績 A局:広島県の広報番組 B局:広島県の広報番組 C局:広島県の広報番組 D局:広島県の広報番組 ※生字幕システム A局:無し B局:無し C局:無し(番組によってはキー局の支援) D局:無し <28ページ目> ローカル局(広島県内の4局)の対応と課題 C緊急災害時の対応 A局:L字対応 B局:L字対応 C局:L字対応 D局:L字対応 D字幕放送における課題 A局:制作時間の増加、機器導入の費用負担 B局:制作体制構築の負担増、機器導入とランニングコスト費用負担 C局:制作時間の増加、機器導入とランニングコスト費用負担 D局:制作時間の増加、機器導入とランニングコスト費用負担 E解説放送における課題 A局:人材確保、作業時間増 B局:制作体制構築の負担増、コスト増 C局:人材確保、制作時間増 D局:人材確保、制作時間増 F手話放送における課題 A局:通訳士の人材確保、作業時間増 B局:制作体制構築の負担増、コスト増 C局:通訳士の人材確保、放送時チェック体制 D局:通訳士の人材確保、放送時チェック体制 G配信コンテンツへの対応 A局:実績無し B局:実績無し C局:実績無し D局:実績無し <29ページ目> ローカル局(広島県内の4局)の「字幕付きCM」の対応と課題 現在の対応 「字幕付きCM」訴求CMを放送し、視聴者、アドバタイザー、広告会社への認知と理解を拡げる 地元の広告会社やアドバタイザーにも、今年の10月から全てのCM枠で字幕付きCMの受け入れ開始を文書で案内し、字幕付きCMの普及促進を実施 正しく字幕が重畳され、放送するために字幕付きCM素材の放送前確認を実施 課題 広島地区のローカルアドバタイザーのCM字幕はまだ実績がありませんが、今後増えてくるかと思われます 素材制作費や制作期間増による負担増がネックであり、アドバタイザーと広告会社の理解が必要 テレビ局で字幕チェックのために、従来の約3倍の時間が必要 人的負担増 <30ページ目> 民放BS局のユニバーサル放送の現状と課題について 2022年12月 BSフジ BSフジの菅野と申します。BS民放局のユニバーサル放送における現状についてご報告申し上げます。 <31ページ目> キー局系民放5局の字幕放送割合の推移(BS日本、BS-TBS、BSフジ、BS朝日、BSテレ東) キー局系民放5局の字幕放送割合の推移についてですが、2017年以降の数字を表にまとめております。まず昨年度、従来からのBS2K放送に関して、目標の対象番組における字幕放送の5局の平均割合は54.2%と報告させていただいております。総放送時間における平均割合は28.8%です。2018年に放送開始したBS4K放送の昨年度の5局の平均割合は目標の対象番組に対して54.3%、総放送時間に対しては27.3%となっております。 (表ここから) 2K放送 5社平均 字幕割合(目標の対象番組) 2017年 23.3% 2018年 34.6% 2019年 52.2% 2020年 53.4% 2021年 54.2% 字幕割合(総放送時間) 2017年 12.2% 2018年 20.6% 2019年 29% 2020年 28.6% 2021年 28.8% 4K放送 5社平均 字幕割合(目標の対象番組) 2018年 63% 2019年 55.3% 2020年 52.7% 2021年 54.3% 字幕割合(総放送時間) 2018年 36.7% 2019年 29.1% 2020年 27.6% 2021年 27.3% (表終わり) <32ページ目> 字幕放送について 今ご報告したようにBS2K放送ともう一つのチャンネルであるBS4K放送の字幕付与の割合はほぼ同じ数字となっております。現状、民放各局ともBS2K放送とBS4K放送はサイマル放送を行なっている時間が大半で、全ての番組において2K放送側に字幕が付与されていれば4K放送側にもリアルタイムで変換し、字幕が送出される仕組みとなっております。 2K放送、4K放送が非サイマルの時間帯に関しては、それぞれに字幕素材を作成し、登録すれば送出することが可能です。 また生放送番組に関しては一部対応できる局がありますが、まだ未対応局もございます。 字幕付きCMに関しては字幕素材を登録すれば送出できますので2K4K共に受け入れが可能でございます。 いずれにしましても今後もより多くの番組に字幕付与ができるよう衛星放送としての役割を果たしていくべく引き続き取り組んでいきたいと考えております。 解説放送・手話放送について また、解説放送への取り組みに関してですが、昨年度の5局の付与割合は2K4K共に5社平均で対象番組の1.5%でした。BSフジにおいては2時間のドラマとアニメにおいて解説放送の実績がございます。こちらも自社での解説放送付与の番組を増やしていくべく各局とも研究を重ねて引き続き努めていきたいと考えております。 手話放送に関しても今のところ弊社BSフジでは実績がございませんが、こちらも他社の手話事例を研究し実現の可能性を探っていく所存です。 以上民放BS局の報告を終わります。 <33ページ目> 現状の課題と今後の取り組み(2022年) 2022年12月 民放連ユニバーサルサービス部会幹事 テレビ朝日 民放の報告の最後となりますが、民放連ユニバーサルサービス部会幹事のテレビ朝日から、現状の課題と今後の取り組みについてご報告します。 <34ページ目> 行政指針の目標達成に向けて(1) まず行政指針の目標達成の状況です。昨年令和3年度の民放各局の実績を平均数値ではなく局の数でまとめ直しました。関東・関西・中京の広域13局は字幕放送・解説放送・手話放送それぞれに数値目標が設定されていますが、いずれも目標をクリア出来てない局があります。字幕放送は2局、解説放送は3局、手話放送は4局が目標に届いていません。また、県域101局いわゆるローカル局も同様に、字幕放送の数値目標に9局が届いていません。キー局系BS 5局は、字幕放送の数値目標に2K放送では2局、4K放送では1局が目標に届いていません。 行政指針の4年目となり、目標を達成する局も増えてきていますが、まだ目標をクリアしていない局もありますので、全ての局が目標を達成するために、キー局が中心となって目標達成していない局を支援していければと考えています。 (その他の実績ここから) 解説放送については、県域101局とキー局系BS 5局では努力目標。 県域101局のうち46局、キー局系BS 5局のうち、2K放送、4K放送いずれについても4局が目標を達成していない。 (その他の実績終わり) <35ページ目> 行政指針の目標達成に向けて(2) 第1回の研究会で目標の見直しの提言もありましたが、まずは全局が現在の目標を達成することを第一と考えています。その上で、次の行政指針が出される2027年度に向けて関係者で検討を開始していく方向がいいのではないかと思います。特に手話放送に関しては、現在の行政指針が出された5年前と比べて番組は増えてきましたが、ようやくスタートラインに立ったというのが現状です。字幕放送や解説放送と同じような「付与対象番組の何%」という数値目標を設定するためには、今後の手話番組の拡大の状況と合わせて慎重に検討を進めていきたいと考えています。 <36ページ目> 地域格差の解消に向けて 続きまして、地域格差の解消に向けて現状の課題と今後についてです。 先ほどの報告にもありましたが、ローカル局は、在京キー局、在阪・在名の広域局と比べて経営規模が小さいため、コロナ禍の影響により、経営環境の悪化、設備導入の遅れ、運用人員の確保等の課題が非常に大きい状況です。 そのため、キー局、準キー局等の全国ネットの番組で対応をさらに強化することによって、ローカル局でも字幕放送や解説放送等の比率を上げるとともに、キー局が開発した「もじぱ」等のシステムをローカル局へ展開することで運用支援を図っていきたいと考えています。 また、引き続き、設備やシステムを導入する際の助成金の対応や、自動字幕システム等の新技術の研究も進めていきたいと思います。 <37ページ目> ユニバーサル放送の質の向上に向けて(1) 最後にユニバーサル放送の質の向上に向けてです。 NHKと民放広域局から構成される「全国字幕放送普及推進協議会」を発展的に解消し、「全国ユニバーサル放送推進協議会」に組織を改編しました。(2023年夏に総会を実施予定。)字幕放送だけでなく、解説放送、手話放送についても、放送局側の情報共有や技術的な相互協力の新しい枠組みとして強化していきたいと考えています。 また、リモート会議という特性を活用し、在京キー局とNHKが実施してきた障害者団体との意見交換会の枠組みを、在阪準キー局、在名広域局へ拡大することも検討したいと思います。 <38ページ目> ユニバーサル放送の質の向上に向けて(2) そして、新しい技術やシステムの研究についても、この「全国ユニバーサル放送推進協議会」の枠組みで、NHKさんと民放局が歩調を合わせて取り組み、TVer等の動画配信サービスについても、運用負荷の課題やシステムが未対応等の問題はあるが、一歩一歩着実にユニバーサル放送の対応強化を図っていきたいと考えています。 報告は以上です。