資料名 資料5 長谷構成員(ジェイ・スポーツ)提出資料 注意 当日の発表において発言予定の内容を基に作成しているため、PDF版資料の記載内容とは異なる場合があります。 【1ページ目】 J SPORTSの字幕放送の取り組みについて J SPORTS1から4までの全てのチャンネルで字幕付き番組を放送しています。 2012年の3月、JSPORTS3と4のBSデジタル放送移行の際に字幕放送がスタートしまして、2022年でちょうど10年を迎えました。 2021年の指針の普及対象番組における字幕付与率の実績は4チャンネル平均して80%、J SPORTS4単独では99%でした。 字幕付与している番組、競技は多岐にわたり、画像のとおり野球、ラグビー、そのほかサッカー、バスケットボールなど、みなさんがよくご存じの競技はもちろんスキー、サイクルロードレース、モーターレース、にもジャンル関係なく字幕付与を行っており、年間4200時間の字幕放送制作を行っています。 画像4枚 字幕が付与されている番組の映像 1 野球(2022ワールドシリーズ) 2大学ラグビー 3フリースタイルスキー ワールドカップ 4 サイクルロードレース(パリ〜ルーベ) 字幕放送の運用体制について 4200時間の字幕放送を行う制作体制は、大きく2チーム体制で対応しています。 リスピーカーによる音声認識方式の生字幕チームと手起こしチームの2つです。 LIVE放送番組か収録番組か。そのほか、音声情報量、納期などの番組の性質と、それぞれのチームの強みを鑑みて、番組を振り分けます。割合としては、全体の7割を生字幕チームが担当しています。 (スライド内容ここから) 生字幕チーム(音声認識方式) リスピーカーによる音声認識方式生字幕制作 運用体制(1番組4時間程度まで)リスピーカー1名、文字修正者1名、ディレクター(監督者)1名 LIVE放送や納期の早い番組を音声認識方式で対応(全体の7割) 手起こしチーム ディレクターのみ出社(テレワークも可)、手入力スタッフは全員在宅作業 リスピークでは音声から字幕への情報再現が難しい場合に手入力方式を選択 ディレクターが在宅の手入力スタッフに指示し、それを受けて手入力スタッフはディレクターに字幕原稿を送る。 (スライド内容終わり) 【2ページ目】 生字幕放送の制作体制(音声認識方式)について 生字幕放送の体制について、運用管理の負担を軽減させて効率化を図るという観点から説明します。 生字幕放送の制作体制は、運用管理スタッフが2名。 音声文字変換設備、文字修正設備と文字修正スタッフ、リスピーカー、及び制作ディレクターは全て外部委託をしています。 文字修正作業体制の特徴としては、株式会社フェイスの文字修正者が機材として音声文字変換設備と修正設備を持ち込んで、文字修正や用語辞書登録作業を対応している点です。 生字幕放送として制作する番組のほとんどがスポーツ中継番組ということもあり、試合ごと、対戦カードごと、平行して開催される他チームの試合の選手名やイベントがあるなど、用語辞書に一度登録すればいいというものではなく、常に更新する必要があります。加えて、試合の延長、順延、遅延はつきものです。 この流動的な状況下における安全な放送制作のためのコミュニケーションのことを考慮すると、外部の字幕制作会社で生字幕制作装置によって制作された字幕テキストをリアルタイムに放送局内の送出制御端末に送る方式ではなく、制作設備とスタッフがセットで弊社字幕制作室内にあるほうが望ましいのです。 また、この文字修正作業体制のメリットとして、フェイス社がもつ字幕制作センターとの連携により、トレーニングを受けた修正者を弊社制作体制に常に組み入れることができるということです。 生字幕放送スタッフは、タイピング・リスピークのスキル、そして取り扱う番組の用語知識を身につけてもらう必要があり、スタッフの育成は運用管理者にとって非常に大きな負担になります。 その点、本制作体制では、運用管理者によるスタッフ育成は実質ゼロになります。 目の届く範囲に重要なポジションのスタッフを配置しながら、育成にかかる負担がないというのは、効率的な運用管理においては非常に重要な要素であると考えます。 また以前は管理者が担当していた設備、変換辞書のメンテナンスも全て含めて外部委託できています。 リスピーカーはJ SPORTSを問わず、スポーツ中継番組で活躍する若手スポーツ実況アナウンサーを多数(20名程度)起用しています。 スポーツ実況アナウンサーは、仕事上、選手名、競技用語、競技に関わる情報などを日常的に取り入れており、当然一般人より豊富な知識を持っているうえ、自主的にブラッシュアップしてくれています。 また、アナウンサーとして発声トレーニングを積んでいるので、初期段階から文字変換率が高い、など運用管理者からの教育は基礎のレクチャー以外に発生しません。 さらに、社内番組制作部門、各アナウンサー事務所と連携して、次世代のスポーツ実況アナウンサー育成の場にもなっています。 生字幕放送ディレクターは、多くの生字幕放送運用の実績を持つ株式会社放送映画製作所に発注しています。 放送映画製作所社のポストプロダクションとしての強みを生かして、生字幕放送時のディレクションはもちろん、各リスピーカー、フェイス社との調整や、制作に関わる資料を制作部門から入手するなど、運用体制内外とのコミュニケーションも行います。 ディレクターが生字幕の事前準備、スタッフへの情報共有、生字幕中のチェッカー、 事後の字幕データ編集等すべてを担当し、管理者は運用の進捗管理のみ行います。 3者それぞれの強みを生かした運用体制を敷くことができれば、運用管理者は制作の進捗管理程度の負担のみで生字幕放送制作を進行することができます。 送出制御については、自動送出、自動消去、表示位置固定のため、無人運用です。 CM入り時はリスピーカーが簡単な締めコメントを自作して、リスピークから放送するまでに送出を完了させます。 現在のように外部委託先それぞれの強みを発揮できる業務を委託する体制になったのは5、6年前の話です。 それ以前の制作体制、設備では運用管理業務に加えて、用語辞書登録、制作資料入手、文字変換率向上調整、リスピーカー・文字修正者・ディレクターの育成など、すべて私1名で担当していました。現体制でも、立ち上げ時は新しいスタッフとのゼロからの再スタートでした。 しかし、変換ソフトや修正システムなどの技術は日々進歩しています。スタッフにも知識や経験値がたまり、音声認識率、文字修正のタイピング速度は向上して、より正確な字幕がより早く放送できるようになります。 字幕を早く放送にのせて、聴覚に障害を持つ方も持たない方も、限りなく近いタイミングで番組をお楽しみいただけるようにすること。そのために何をより良くしていくかをJ SPORTS字幕放送制作スタッフは常に考えています。 生字幕放送制作にあたっては序盤な困難なことが様々ありますが、長く続けてノウハウを蓄積することで視聴されている方も、制作者側もメリットを受け取ることができると考えています。 以上