資料名 資料8 近藤構成員提出資料 【1ページ】 タイトル 高齢者の立場から考える字幕放送2022 総務省情報流通行政局 地上放送課 「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」第2回 2022年12月13日(火曜日)14時から16時まで 老テク研究会 近藤則子(こんどう のりこ) アンケート調査等協力 NPO ブロードバンドスクール協会 メロウ倶楽部 他 【2ページ】 老テク研究会について 自己紹介 老テク研究会(代表:大島眞理子(おおしま まりこ))は、介護で孤立しがちな女性たちの暮らしを変えたいという思いで、1992年に電子情報通信学会次元研究会ICS研究会の高齢者・障碍者の立場から情報通信サービスを考える分科会として活動を開始しました。 「高齢者こそデジタル技術の恩恵を最も受けられる情報社会の主役」と考え、国内外の企業や行政、市民団体と連携しながらPC、スマートフォン、デジタルテレビ等、情報機器の利用支援・情報ボランティア活動を東京、横浜、仙台をはじめ各地で行っています。 米国の障碍者団体「WID(World Institute on Disability)」(1994年)、高齢者のパソコン学習支援団体「SeniorNet(シニアネット)」(1995年)、「CompuMentor(コンピュメンター)」(1997年)、韓国の「元老坊」(1996年)を招聘。 ICTを活用した新しい社会参加を、高齢者・障碍者の立場でICTを考えるシニアネットフォーラムで紹介。 韓国の元老坊と日本のメロウ倶楽部の日韓交流(1997年・2013年)。 郵政省(当時)の研究会構成員として、郵便局のシニアネットを提言。1998年に創設した仙台中央郵便局の「仙台シニアネットクラブ」は、高齢者団体が中心となった行政、企業が協働したシニアパソコンボランティア。 活動は沖縄、松本はじめIT講習会をきっかけに全国に広がり、シニアPC初心者向けに考案した「Wordで絵を描く―シェイプアート」は、テレビや新聞のデジタル紙面連載をきっかけに人気PC講座になりました。 2000年からは携帯電話、2013年からはNPOブロードバンドスクール協会の会員になり、 スマートフォンの利用支援活動に取り組んでいます。 2017年、ハワイのシニアネット以来、毎年3月には「電脳ひなまつり」、1999年以降は毎年8月に「電脳七夕まつり」を開催。2021年からは定期的に仙台市民と各地をつないで「インターネット防災訓練」を実施しています。 総務省の視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会、消費者保護ルールの在り方に関する検討会、AIネットワーク社会推進会議、内閣府の人間中心のAI社会原則会議、厚生労働省の医療等情報利用ワーキンググループ構成員を務めています。 【3ページ】 活動写真1 東京大学で高齢者向けスマホ講座の講師の三好みどり(みより みどり)さんが、スクリーンの前でLINEの使い方を説明。 活動写真2 横浜の中川地域ケアプラザのボランティアルームで、5名のシニア女性がスマホ講座で学んでいる様子。 活動写真3 原宿のGalaxyストアのイベントコーナーで開催中のスマホサロンの様子。大型スクリーンには、音声音訳アプリVoiceTra(ボイストラ)で日本語と韓国語の翻訳方法が表示されている。 近藤と若宮正子(わかみや まさこ)さん、若宮さんの著書を韓国語に翻訳したチェさんが、画面を見ながらアプリの使い方を説明している。 【4ページ】 私たちは、高齢者が参加しやすく、主催者や講師に負担の少ないスマホ講座・相談会として、 自治会・町内会と連携した「防災」をテーマにした無料スマホ講習会を実施しています。 現在は対面講座開催が難しいこともあり、原宿・仙台・横浜などで実施してきたスマホサロンに加えて、ZOOMを利用したオンライングループ勉強会、個人むけにオンラインサポートを行っています。 活動写真5枚 1 若宮正子さんの自宅パソコン教室 2 横浜市加賀原地域ケアプラザで若宮さんのエクセルアート教室 3 服部真湖(はっとり まこ)さんの自宅でタブレットの使い方を教える三好みどりさんと着物姿の服部さん 4 中川地域ケアプラザで女性のためのスマホサロン 5 カフェでスマホの使い方を習う白髪の女性と老テク研究会の大島眞理子代表 【5ページ】 スマホサロンはオンラインとリアルで継続中 外出自粛で、講師の三好みどりさん(66歳)は自宅からZoomでスマホ講師を務めています。 仙台、横浜のスマホサロンや、メロウ倶楽部のシニアが参加しており、スマホで年賀状を送る講座や、困ったときの相談会は大好評です。 20年来、電脳ひなまつりの実行委員長を引き受けてくれているタレントの服部真湖さんを、三好さんはZOOMでサポートしています。 服部さんは、スマホで撮影した動画を、おうちのテレビでお友達といっしょに大画面で見たい!と思っています。 画像 ZOOMのスマホサロンに9名が参加している写真 活動写真2枚 1 三好みどりさんがZOOMを通じて服部真湖さんの自宅のテレビでスマホの映像を見られるようにサポートしている様子 2 服部さんのスマホと自宅のテレビの様子 【6ページ】 高齢者と字幕放送についてネットアンケート調査と、オンラインによるグループインタビューを実施しました。 アンケートとこれまでの調査の中間報告はNPOブロードバンドスクール協会のホームページから公開しています。 画像は調査の中間報告が掲載されたホームページのスクリーンショット、モバイル用QRコードが表示されています。 (スクリーンショットとQRコードの内容ここから) デジタル機器、サービスに関するアンケート 2022 中間報告 メロウ倶楽部会員のみなさまはじめ、先進的なシニア世代のみなさまのご協力をいただきましたデジタル機器、サービスに関するアンケート2022の結果の中間報告です。 最終報告は2023年1月に公開します。 中間報告PDFダウンロード ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。 2022年11月27日 15時56分 モバイルサイト用QR (NPO)ブロードバンドスクール協会モバイルサイトへはこちらのQRコードからどうぞ! (スクリーンショットとQRコードの内容ここまで) 【7ページ】 ネットアンケート2022の結果 デジタル機器、サービスについてのアンケート回答者 総数98名のプロフィール (ここから) 70代がもっとも多く、9割が60才以上 60代は22.4%、70代は49%、80代以上は17.2% 女性は68.4% 関東甲信節在住は50%で、都市部在住者が多い 夫婦ふたり暮らしが60.2%、ひとり暮らしが19.2%、子供と同居が15.3% 半数が高齢コミュニティ「メロウ倶楽部」所属で、インターネットを利用できるゆとりある高齢者 (ここまで) このページの画像は結果をしめす円グラフ4枚と所属のわかる棒グラフです。 (画像ここから) デジタル機器・サービスについてのアンケート2022(中間報告) (最終報告は2023年1月に公開) 1.あなたのプロフィールを教えてください 年齢 50代以下 3.1% 50代 8.2% 60代 22.4% 70代 49% 80代以上 17.3% 性別 女性 68.4% 男性 31.6% 暮らし ひとり暮らし 19.4% 夫婦ふたり 60.2% 子供と同居 15.3% ホームなどの施設 1% その他 4.1% お住まいの地域 北海道・東北 12.2% 関東・甲信越 50% 東海・近畿・北陸 15.3% 中国・四国 5.1% 九州・沖縄 16.3% 海外 1% 所属 メロウクラブ 48名(60%) 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS) 13名(16.3%) 熱中小学校 2名(2.5%) 高齢社会をよくする女性の会 11(13.8%) ブロードバンドスクール協会 19名(23.8%) ボランティア・地域活動(自治会等) 1名(1.3%) その他 2名(2.5%) (画像ここまで) (8ページに続く) 【8ページ】 テレビについてのアンケート結果 テレビの大きさは 20.6%が50型以上のテレビを利用。40型から50型までは44.3%。40型未満は30.9%。 Androidテレビを使っているか 「使っている」が16.5%。「いいえ」が64.9%。「Androidテレビを知らない」が18.3% テレビをインターネットにつないでいるか? 「つないでいる」が48%。「つないでいない」が48%、「つなぎ方がわからない」が4.1% (画像ここから) テレビの大きさを教えてください 40型未満 30.9% 40型以上50型未満 44.3% 50型以上 20.6% テレビはない 4.1% Androidテレビを使っていますか? はい 18.6% いいえ 64.9% Androidテレビを知らない 16.5% テレビをインターネットにつないでいますか? はい 48% いいえ 48% つなぎ方がわからない 4.1% (画像ここまで) (9ページに続く) 【9ページ】 「テレビのリモコンで字幕ボタンを使っていますか」という質問に対する回答の円グラフ 「はい」が35.1%、「いいえ」が51.5%、「字幕ボタンが何かわからない」が8.2%、「使い方が分からないので使っていない」が5.2% 回答総数は98人 回答者の約2割は80代以上で、1割近くが、字幕ボタンが何かわからない 【10ページ】 テレビまたはスマホを通じたテレビ番組の視聴をより快適にするため(字幕や画面の構成など)に関するご意見、ご要望をいただきました。 1 リモコン、字幕ボタンが使いにくい 3件 ・リモコンで字幕がさがしにくい ・リモコンが使いにくい。 ・リモコンの使い方がわからない リモコンが思うように使いこなせない 2 画面や字幕表示方法を改善してほしい 6件 ・画面の真ん中に字幕が出る時があり、画面が見にくい時もある ・字幕の大きさ、位置、色等を自由に設定できるようにしてほしい。 ・ら抜き言葉がきちんと修正されていることを多くの人が気付いてほしい。 ・字幕が出ることによって、画面上で観たい部分が見えづらくなる時がある。 ・番組の内容によって都度配置を変えてくれると助かる。 ・今見ているチャンネルがどこか分からない。画面に隅に表示があると助かる。 3 便利なアプリ、字幕放送の使い方をもっとテレビ番組で紹介してほしい ・NHKプラスやTVer(ティーバー)の使い方をもっとテレビで紹介してほしい。 ・耳の聴こえが悪いので、私専用のテレビは字幕表示に設定して便利だ。字幕を知るべき人が知らない。 4 その他の要望 ・ドラマなどのバックの音楽の音が大きすぎて、セリフが聞こえづらい。 ・携帯のミラーリングができることは、有難いです。 ・英語圏では既に自動字幕になっている。そろそろ日本語も実現してほしい。 ・最近テレビ画面にQRコードが表示されるようになりましたが、写し取ろうとすると消えてしまい間に合わないことがあります。dボタンを押すと消えたQRコードが探せるなど、何か方法はないのでしょうか。 【11ページ】 テレビ放送の字幕利用について、仙台と横浜の高齢者に聞いてみました。 横浜スマホサロン(参加者7名、全員65才以上の女性、2022月11月22日) ・字幕放送という言葉は全員が「知らない」と回答がありました。 ・リモコンに字幕ボタンがあることを知っている人は4名、使っている人は1名、知らない人は2名でした。 ・テレビの字幕は、銭湯内の大型テレビや病院の待合室で見たことがある。 ・地デジ移行時、「地デジになると、字幕が全てのテレビで標準で見られるようになります」とキャンペーンしていたのを覚えている人はいますか、という問に対しては、誰も覚えていませんでした。 写真2枚 1 仙台の高齢者とのZOOMインタビューの様子 2 横浜の高齢者とのZOOMインタビューの様子 (12ページに続く) 【12ページ】 仙台スマホサロン サポーターの皆さん(参加者9名、男性3名、80代1名、2022年11月24日) ■「字幕放送という言葉を知っていますか?」という問に対して、「知っている」は4名、「知らない」は5名でした。 ■「字幕放送(リモコンの字幕ボタン)を使っていますか?」という問に対して、「はい」は2名でした。 (参加者の発言ここから) Mさん 外国語の番組に使っている。 Tさん(80代) 補聴器を使っているので、字幕放送を使っている。 常に字幕にしている訳ではないが、大事な部分だけテレビのリモコンで字幕にして見ている。耳が聴こえない年寄りは、絶対的に字幕にした方が良いと思っているが、知られていないのが残念。 Nさん リモコンに字幕があるのを今初めて知った。叔母さんが字幕でテレビを見ていたけれど、そういうテレビだと思っていた。リモコンで操作できるとは思ってもいなかった。 Tさん テレビのリモコンで字幕を押せば字幕が出るのは知っていたけれど、字幕放送という言葉は知らなかった。娘が子供をあやしたり、家事をしながら遠くに置いているテレビを字幕放送で見ているのは知っていた。 Nさん テレビを見なくなった理由は、聴覚の衰えを感じて、ニュースは聞き取れるがドラマなどで活舌の悪い女優さんなどの感情移入したドラマは聴きづらく、ボリュームを上げると、夫に「聴こえないのか」と言われて傷ついた。音楽番組しか見なかった。字幕ボタンで字幕放送を見れば、誰にも迷惑をかけずに見られると感じた。 Aさん 90歳になる耳の悪いおじが、高い補聴器を買ったのに使わないで、テレビのボリュームを50くらいにして見ている。字幕は、方言が標準語で字幕になっているのを、喋る相手がいないので認知症予防にそれを声に出して読んでいる。今度行ったときに字幕ボタンのことを教えようと思う。 Mさん 病院のテレビなどを見て字幕放送は知っていたけれど、リモコンに字幕というボタンがあるのは今日初めて知った。自分で字幕ボタンを押して字幕放送にできること知らなかった。 Yさん 字幕ボタンは知っていたけれど、押したら変になるんじゃないかと思って押したことがなかった。お義母さんは耳が悪く、テレビの音量が大きくて同じ部屋にいるのが辛いくらいだった。字幕ボタンをもっと早く知っていれば良かった。 【13ページ】 字幕放送のことを高齢者に知ってもらうにはどうしたらいいか 高齢者宅にテレビを設置する時、チャンネルの切替え方だけではなく字幕放送への切替え方についても伝えてもらうようにしてはどうか。 テレビ番組で字幕放送について紹介したらいいのではないか。 アンケートに色ボタンで参加したり、QRコードを紹介するように、高齢者に人気の番組(例、時代劇、NHK朝の連続テレビ小説、徹子の部屋等)の前に字幕ボタンについて紹介してはどうか。黒柳徹子さんご自身が説明してくれたら素晴らしい。 近所に90代の女性が一人で住んでいるが、テレビの音が大きいと近所から迷惑がられていたので、妻と二人で行って字幕放送のことを教えて字幕表示に変更してきた。 90代でこれを一人でやりなさいと言うのは無理。 近くの方がボランティアなどで手助けすることが必要なのではないか。 市政だよりや区報、社会福祉協議会等の広報誌で紹介してもらえると良い。 自治会・町内会の防災活動のひとつとして要支援活動のひとつにしてはどうか。 【14ページ】 高齢者のほとんどが字幕放送という言葉を知らず、半数近くは字幕ボタンの存在、使い方を知らないことがアンケートなどから予想できます。 知っていればもっとテレビを見ることでき、楽しめそうです。 80代以上の親と同居する家族はテレビの音量問題で困っている。 近所に聞こえるほど大音量でテレビやラジオを利用する一人暮らしの高齢者には、近隣からの手助けが必要。 参考 我が国の総人口(2021年9月15日現在推計)は、前年に比べ51万人減少している一方、65歳以上の高齢者人口は、3640万人と、前年(3618万人)に比べ22万人増加し、過去最多。80歳以上人口は1206万人で、46万人増。 出典 総務省統計局ホームページ 高齢者の人口 https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1291.html 総務省へのお願い 1 災害時要支援者候補として独居高齢者は自治体が把握しているので、民生委員が定期訪問する時に、テレビの字幕放送について説明してもらえるよう、社会福祉協議会を通じて、民生委員向け広報誌に字幕放送の使い方を分かりやすく紹介していただいてはどうでしょうか? 2 放送局に字幕放送についての説明時間を増やしていただくようお願いしてください 3 テレビメーカーに、字幕ボタンに色をつける等の探しやすくする工夫をお願いしてください。 4 テレビ販売事業者に設置の注意説明書に 字幕放送の使い方を大きな文字で分かりやすく説明した紙面を1枚入れていただけるようお願いしてください。