3.資産の状態


3−(1)企業債償還元金対減価償却費率
                    建設改良のための企業債償還元金
 企業債償還元金対減価償却費率(%)=───────────────── ×100
                    当年度減価償却費―長期前受金戻入

区    分 企業債償還元金
対減価償却費率
28 29 30
当 該 団 体      
類似団体平均      
施設別平均 78.5 74.5 68.1
A  施  設 192.7 181.0 154.9
団体別平均 82.4 78.8 68.3
B団体 101.4 96.8 100.6

※施設別平均は、建設中の12施設を除く245施設についての平均であり、団体別平均は、建設中の施設のみである2団体(2施設)を除く154団体(255施設)についての平均であるため、数値に差が生じる。

【指標の見方】
 企業債償還に関する償還元金とその原資のバランスを示す。
 企業債償還には資本的収入と補填財源が充てられる。補填財源の主たる部分は、現金の支出を必要としない費用から現金の収入を伴わない収益を差し引いて算出した損益勘定留保資金の、過年度分と当年度分の合計額である。
 この比率は、建設改良費(資産の取得および繰上償還)のために発行した企業債償還額に占める、投下資本の回収により蓄積された内部留保の割合を表しており、低いほど償還原資に余裕がある。
 なお、この比率が低くても収益的収支が純損失である場合はその分補填財源が減少することや、取得資産の償却期間と企業債の償還年限の差異が比率に影響していることには留意されたい。

【事業全体の傾向】
 「小規模」が高い。「1.業務の概況」でみたとおり「小規模」は「ダムを有するもの」の割合が高く、「ダムを有するもの」においては工業用水道事業債の償還年限(主に30年)がダム使用権の償却期間である55年を下回ることからこの比率が高くなりやすい。
 同様に「ダムを有するもの」の割合が高い「大規模」「中規模」に比べ「小規模」が高くなるのは、「昭和51年度以降」が多く企業債償還の完了までに時間を要するためである。

【例示の事業について】
 A施設は平均を上回る。「ダムを有するもの」であることや、長期前受金戻入額が減価償却費対比で一定程度を占めることから、この比率が高い。B団体は平均を上回る。B団体は全ての施設が「ダムを有するもの」であり、A施設と同様の理由によりこの比率が高い。

企業債償還元金対減価償却費比率(施設別)
規模別・水源別企業債償還元金対減価償却費比率(施設別)
規模別・年度別企業債償還元金対減価償却費比率(施設別)
水源別・年度別企業債償還元金対減価償却費比率(施設別)
企業債償還元金対減価償却費比率(団体別)


3−(2)有形固定資産減価償却費率

 (注)有形固定資産は、団体別でのみ計上されているため、施設別区分の分析は行わない。
                     有形固定資産減価償却累計額
 有形固定資産減価償却費率(%)=───────────────────── ×100
                  有形固定資産のうち償却対象資産の帳簿原価

区    分 有形固定資産
減価償却費率
28 29 30
当 該 団 体      
類似団体平均      
団体別平均 57.1 57.9 58.5
B団体 53.5 54.3 54.7

【指標の見方】
 有形固定資産の老朽化の程度を表す。
 この比率が高いほど、有形固定資産の取得から年数が経過しており、収益的収支の面では減価償却費が減少しやすい一方、修繕費は増加しやすい。また資本的収支の面では近年大規模な建設改良が実施されていない可能性が高いため、アセットマネジメントを実施の上で更新計画を立案し、老朽化へ適切に対処する必要がある。

【事業全体の傾向】
 「大規模」「中規模」が相対的に高い。「1.業務の概況」でみたとおり、これらは「昭和50年度以前」が多く、施設の老朽化が比較的進んでいることが要因と考えられる。

【例示の事業について】
 B団体は平均を下回る。平成5年度以降に老朽化施設の更新が実施されているためである。

有形固定資産減価償却率(団体別)


3−(3)固定資産に対する建設仮勘定の割合

 (注)固定資産は、団体別でのみ計上されているため、施設別区分の分析は行わない。
                         建 設 仮 勘 定
    固定資産に対する建設仮勘定の割合(%)=────────── ×100
                         固 定 資 産

区    分 固定資産に対する
建設仮勘定の割合
28 29 30
当 該 団 体      
類似団体平均      
団体別平均 10.3 10.7 10.8
B団体 5.9 8.6 9.7

【指標の見方】
 ダム等水源開発施設が、建設期間長期化や産業構造の変化による水需要の伸び悩みにより建設仮勘定として資産に計上されている場合等は、この比率が高くなりやすい。
 資産の取得時点から水需要の見通しが変化し、この比率が長期間にわたって高止まりしている場合は、水需要の見極めを行い、他の利水等へ転換を検討するとともに、減損会計の手順に従った会計処理を通じ、実態に即した資産評価を行う必要がある。

【事業全体の傾向】
 「大規模」「中規模」の団体が相対的に高い。「1.業務の概況」でみたとおり、これらは「ダムを有するもの」が多く、建設期間の長期化やその間の水需要の変化の影響を受けやすいことが要因と考えられる。

【例示の事業について】
 B団体は平均を下回る。いずれの施設も「ダムを有するもの」であるが、現在建設中の施設の規模は小さく、水源開発に係る建設改良費の大部分は供用開始とともに建設仮勘定から振り替わっている。

固定資産に対する建設仮勘定の割合(団体別)


← 目次へ戻る

平成30年度工業用水道事業経営指標