5.施設の効率性(稼働状況)


5−(1)契約率、施設利用率
         契 約 水 量
 契約率(%)=──────── ×100
         現在配水能力

           1日平均配水量
 施設利用率(%)=──────── ×100
           現在配水能力

区    分   契   約   率     施 設 利 用 率   (参考)契約率と施設利用の乖離率
H29 H30 R1 H29 H30 R1 H29 H30 R1
当 該 団 体                  
類似団体平均                  
施設別・団体別平均 76.3 77.1 77.4 54.9 55.5 55.2 28.0 28.0 28.7
A施設 18.3 31.4 32.3 13.6 13.9 19.3 25.7 55.7 40.2
B団体 96.0 96.2 96.2 58.7 59.7 59.5 38.9 37.9 38.1

           ┌          ┐
           │   施設利用率   │
  ※乖離率(%)= │1−─────── │ ×100
           │    契約率    │
           └          ┘
【指標の見方】
 契約率が高いほど給水収益が増加しやすく、固定費の回収が可能となる。
 施設利用率が高いほど使用水量が多く、実質的な利用実態を表す。

 現在、契約率が施設利用率を大きく上回っている。給水先事業所が将来の使用量増加を前提に契約水量を決めた場合や、季節による使用量の変動を前提とした契約の場合もあるが、過去において契約水量に近かった使用水量が産業構造の変化等によって減少し、乖離が生じている場合も多い。今後は契約水量の減量要望等により減収となる可能性を考慮する必要がある。

【事業全体の傾向】
 配水能力規模別で見ると、いずれの比率も配水能力規模が大きいほど高い。また、水源別で見ると、「ダムを有するもの」の契約率と施設利用率との乖離が大きい傾向にある。

【例示の事業について】
 A施設はいずれの比率も平均を下回る。低い契約率が給水収益低迷の要因であり、固定費の回収ができない状態になっている。B団体は契約率が100%近傍である一方で施設利用率は平均並みと乖離が生じているため、上記のような注意が必要である。

契約率及び施設利用率:対現在配水能力(施設別)
規模別・水源別契約率及び施設利用率:対現在配水能力(施設別)
規模別・契約率別施設数
規模別・施設利用率別施設数
契約率及び施設利用率:対現在配水能力(団体別)
規模別・契約率別団体数
規模別・施設利用率別団体数


5−(2)導送配水管使用効率

                   年 間 総 配 水 量
 導送配水管使用効率(千m/m)=──────────────
                  導水管・送水管・配水管延長

 (参照項目)
            1 日 平 均 配 水 量
  施設利用率(%)=────────────── ×100
            現 在 配 水 能 力

             導水管・送水管・配水管延長
  管渠延長大小(m)=──────────────
             現 在 配 水 能 力

                           給水先事業所数
  配水管延長10q当たり給水先事業所数(箇所)=────────────
                          配水管延長÷10,000

区   分  導送配水管 
  使用効率 
施設利用率(再掲)  管渠延長の大小  配水管延長10q当たり給水先事業所数
H29 H30 R1 H29 H30 R1 H29 H30 R1 H29 H30 R1
当 該 団 体                        
類似団体平均                        
施設別・団体別平均 0.49 0.49 0.49 54.9 55.5 55.2 0.41 0.41 0.42 8.55 8.52 8.34
A施設 0.02 0.02 0.03 13.6 13.9 19.3 2.49 2.50 2.50 19.78 21.28 21.28
B団体 0.72 0.73 0.73 58.7 59.7 59.5 0.30 0.30 0.30 10.53 10.35 10.35

【指標の見方】
 管渠延長1単位あたりの年間総配水量により、施設の効率を表す。同種・同規模の施設・団体より小さければ、管渠延長に対して配水量が少なく、施設の稼働率が低いことを表す。ただし配水能力当たり管渠延長が大きい(地理的条件が不利な)場合や配水管延長当たり給水先事業所数が小さい(密度が低い)場合にこの比率は小さくなりやすいため、併せて考慮する必要がある。

【事業全体の傾向】
 この数値は体積を距離で除しており配水能力規模の大きな施設ほど高くなりやすいため、同規模間で比較する必要がある。「小規模」「極小規模」が多い「地下水のみ」は比率が低くなりやすく、逆に「大規模」「中規模」が多い「ダムを有するもの」「表・伏・湖のみ」は比率が高くなりやすい。

【例示の事業について】
 A施設は平均を下回る。契約率が低いことに加え、管渠延長大小が平均を上回り取水施設から配水先までの距離が長い地理的条件が影響しているためと考えられる。B団体は平均を上回る。高い契約率に加え、配水管延長10q当たりの事業所数が平均を上回り、配水先の集積度が高いためと考えられる。

工業用水道施設区分概要図

導送配水管使用効率(施設別)
規模別・水源別導送配水管使用効率(施設別)
導送配水管使用効率(団体別)
管渠延長大小(施設別)
規模別・水源別管渠延長大小(施設別)
管渠延長大小(団体別)
配水管延長10km当たり給水先事業所数(施設別)
規模別・水源別配水管延長10km当たり給水先事業所数(施設別)
配水管延長10km当たり給水先事業所数(団体別)


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令和元年度工業用水道事業経営指標