はしがき

 我が国の水道事業は、平成14年度末にその普及率が96.8%になるなど、地方公営企業を代表する事業として、また、国民生活の基盤となる社会資本として極めて重要な地位を占めている。
 しかしながら、長引く景気の低迷、国民意識や産業構造の変化による節水型社会への移行等により、水需要の大幅な伸びは当面期待できない状況にある一方で、地震等の自然災害に対するライフライン機能の強化等に要する経費に加え、昭和30年代から40年代にかけて新設された水道施設の改良・更新に伴う経費の増加が今後も見込まれるなど、水道事業の経営を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっている。
 したがって、今後の水道事業は、我が国の経済社会の重要なインフラとして最大限合理的かつ効率的に経営されなければならず、そのためには、民間企業の経営手法と市場経済下で展開されている競争原理を水道事業に見合った適切な形態で積極的に取り入れていくことが必要であり、具体的には、(1)顧客志向、(2)目標による管理に基づくマネジメントサイクルの確立、(3)管理の効率化、コスト削減等のための戦略的「アウトソーシング」、(4)利用者が事業体を相互に比較評価して成果等を確認できる「情報の開示」等を取り入れていくべきである。
 また、経営規模が小さく、本来であるならば、水道事業体として自ら果たすべき課題について、財政面、技術面、人材面等から十分な対応が困難な事業体については、地域住民に対するサービス水準の向上等を図る観点から、地域の実情に応じ、市町村合併と併せ、統合化・広域化を推進し、財政・技術基盤の強化を通じた効率的な経営体制を図ることが求められている。
 こうした水道事業を取り巻く厳しい環境の中で、事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。
 本指標は、平成14年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、様々な角度から分析したものである。
 本指標を、今後の経営改善に当たっての尺度として積極的に活用され、経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。
平成16年3月           
総務省自治財政局公営企業経営企画室長
          兵谷  芳康
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平成14年度水道事業経営指標