はしがき


 我が国の水道事業は、今日ではその普及率が97%を超え、国民にとって必要不可欠な社会資本として極めて重要な役割を担っている。
 水道事業の経営は、平成22年度決算において約88%の事業が経常利益を生じているなど全体としては安定しているといえる。

 しかしながら、少子高齢化の進展や節水型社会への移行等により、水需要の伸びは一部の地域を除き期待できない一方で、水道施設は大量更新期を迎えており、また施設の耐震化を早急に進めることが求められているなど、取り組むべき課題が多数存在する状況にある。
 こうした課題を適切に対応していくためには、中・長期的な経営計画を策定し、事業の統合・広域化など地域の実情を踏まえた事業規模の見直し行うと共に、民間的経営手法の導入等、更なる経営の効率化、活性化を図る必要がある。

 さらに、平成21年度からは地方公共団体の財政の健全化に関する法律が全面施行され、資金不足比率の公表に加え、基準以上の団体には経営健全化計画の策定等が義務付けられたことから、経営状況に関する説明責任が今まで以上に求められることとなった。
 このような中で、総務省においては、従来から事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。

 本指標は、平成22年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、収益性、資産・財務状況、効率性・生産性等の多様な観点から分析したものである。

 本指標を、今後の経営改善に当たっての尺度として積極的に活用され、経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。

平成24年3月

         
総務省自治財政局公営企業経営室長
笠 井 敦

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平成22年度水道事業経営指標