はしがき


 我が国の水道事業は、今日ではその普及率が97%を超え、国民にとって必要不可欠な社会資本として極めて重要な役割を担っている。
 水道事業の経営は、平成25年度決算において約84%の事業が経常利益を生じているなど全体としては安定しているといえる。

 しかしながら、今日の水道事業は、人口減少社会の到来や節水型社会への移行等により、水需要が減少傾向にある一方で、施設の大量更新期を迎えており、耐震性強化によるライフライン機能の向上が求められているなど、取り組むべき課題が多数存在する状況にある。
 こうした課題に適切に対応していくためには、将来にわたって安定的に事業を継続するための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定し、事業の統合・広域化など地域の実情を踏まえた事業規模の見直しを行うと共に、民間的経営手法の導入等、更なる経営の効率化、活性化を図る必要がある。

 このような中で、総務省においては、従来から事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。

 本指標は、平成25年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、収益性、資産・財務状況、効率性・生産性等の多様な観点から分析したものである。

 本指標を、今後の経営改善に当たっての尺度として積極的に活用され、経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。

平成27年3月

         
総務省自治財政局公営企業経営室長
廣 澤 英 治

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平成25年度水道事業経営指標