はしがき


 我が国の水道事業は、今日ではその普及率が97%を超え水道は、国民生活に必要不可欠なライフラインとして、地域住民の生命と暮らしを守るという極めて重要な役割を担っている。
 水道事業の経営は、平成30年度決算において約90%の事業が経常利益を生じているなど、全体としては黒字基調である。

 しかしながら、今日の水道事業は、人口減少社会や節水型社会への移行等による水需要の減少に伴う料金収入の減少のほか、高度成長期以降に整備した施設等の老朽化に伴う更新経費の増加、専門人材の確保などの経営上の課題がある。

 こうした課題に適切に対応していくためには、将来にわたって安定的に事業を継続するための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定するとともに、広域化や更なる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要がある。

 このような中で、総務省においては、事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。

 本指標は、平成30年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、収益性、資産・財務状況、効率性・生産性等の多様な観点から分析したものである。

 本指標を、経営戦略の策定や抜本的な改革を検討する上での基本的な資料として積極的に活用され、将来にわたって安定的に事業を継続するための経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。

令和2年3月

総務省自治財政局公営企業経営室長
乾  隆 朗
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平成30年度水道事業経営指標