平成16年度総務省政策評価会(第2回)議事要旨


1 日時:
平成16年6月24日(木)1000分〜1155

2 場所:総務省8階 第一特別会議室

3  出席者:
    中邨    章  明治大学政治経済学部教授(座長)
荒巻  禎一  前京都府知事
上山  信一  慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
海老澤順三  北海道上磯町長
小澤  浩子  赤羽消防団団本部分団長
北大路信郷  明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
國井  秀子  株式会社リコー執行役員ソフトウェア研究開発本部本部長
多賀谷一照  千葉大学学長補佐兼法経学部教授
滝澤  光樹  株式会社インテック常務取締役技術本部長情報セキュリテイ担当
武田  安正  アクセンチュア株式会社統括パートナー
 【総務省側出席者】
  平井大臣官房長、笹本大臣官房政策評価審議官、戸塚大臣官房参事官、
吉良大臣官房会計課長、田中大臣官房企画課長、
滝本大臣官房政策評価広報課長、後藤大臣官房政策評価広報課企画官

4 議事概要:
 (1) 笹本大臣官房政策評価審議官挨拶
 (2 ) 事務局から説明
  ・平成16年度実績評価書(案)について
・総務省における政策評価の活用について
・職員の意識改革の進展を中心とした評価の導入効果の調査(案)について
 (3) 質疑応答
 (4) 事務局から今後の予定について説明
 (5) 平井大臣官房長挨拶

5 評価会においてメンバーから出された主な意見等:

【実績評価について】
評価書には、一般の方々が読んでみて分かりやすいように、各項目に何が書いてあるのかということを示すマニュアルが必要ではないか。
7(1)アの「評価結果に活用」は分かりにくい。
各政策の評価については十分に意見が出たとは言えず、全体の評価だけだったと思う。各政策について評価会の意見を聴取したと記載すると、すべての政策について個別に議論したという誤解を与えるので、表現の工夫が必要。
各委員が分担してじっくり再評価する作業はしていない。調書のすべてに、「評価会の意見を聴取した」と記載するのはおかしい。そもそも評価会は個々の評価結果をオーソライズする場ではない。第1回評価会は私は欠席したが議事要旨を見ると個別政策についての意見が主であったように見受けられる。評価制度とその運用全般についての委員会のはずであり、方針がずれてきているのではないか。
実績評価の取りまとめ作業の膨大さを考えると一部作業の外注も考慮すべき。例えばイギリスでは、監査専門の機関が評価作業を行う。ちなみに我が国の独立行政法人では膨大な資料を委員が見て一次評価を行っている。あれも長続きしないはずだ。今後は、第3者機関で個別の評価を行うのか、監査法人のような機関に委ねるのか検討する必要があると思う。全府省的な問題でもあり、制度を見直す時期と思う。
一般市民の立場からすると評価書すべてをみることは現実的には難しい。一般には、最初に、「6 政策評価の結果」見る傾向にあると思われるため、課題と評価結果を見やすくすべき。
制度が定着しているし、職員の意識は変化してきており、その調査を行うことは良い。
これまで費用対効果などによる説明が少なく、その結果、国民の不信が増大してきたことが政策評価を必要とした背景としてある。国民にとって関心がある政策について、状況を調べることが出来るようデータ等が十分に掲載されている評価書を作成することは、それ自体たいへん意味があり、民主主義を担保するためのコストはかかるがそれは仕方がないこと。
アウトプットとアウトカムの議論だが、旧自治省の政策については元々、PやCに区分すること自体難しく、そのように区分することは馴染まないのではないか。
一例だが、情報通信政策について、国際的な視点から、我が国の情報通信のポジションが分かるように、先進的であるとか遅れている部分があるなどの記載が出来ると良いのではないか。
今後は、内容について、現在の要旨を評価書本体とし、現在の評価書本体を資料編として活用するなどの工夫により評価書本体の総量規制をする必要があるのではないか。
法律で定められた事項について記載すると本編が分厚くなることは仕方がない。調べたい人誰もが見られるデータベースとするべき。
総務省は、国民一般が想像するよりもずっと熱心に政策評価に取り組んでいる。そのことをもっと国民にアピールする方法を考えるべきではないか。
キ−1についてはたいへん役に立つデータが添付されているが、他の政策の評価書と比べると資料が多く違和感がある。
行政への信頼という観点では、世界的にたいへん遅れており、国連が2006年を「行政の年」としているほどである。我が国では透明度やアカウンタビリティについてうまく取り組んでいるので、行政への信頼性は高いと言えるのではないか。

【政策評価の活用について】
国土交通省や財務省、農水省など他省庁では評価結果を日常のマネジメントの改革に活かす努力をもっとやっている。総務省の場合、政策評価の報告書の作成に重きを置き、改革に活かすという意味では最低限の取り組みしか見られない。日常業務における改善に結びつけることが重要。
評価の反映についての流れが3年分の仕組みがあれば、評価と予算等の大きな流れがワンサイクルで分かると思う。また、全体的な流れだけではなく、ラディカルに変わる場合にはどのようなメカニズムが働くのか、どこでその議論が行われているのかなど示しておいてほしい。
大きな政策転換について、例えば、放送ならデジタル化、地方自治なら地方分権化などについて、実際は、行政としての決断があれば、政治的な決断もあると思うが、これらを政策評価の中でどのように説明できるかということも課題である。
電子政府や電子自治体について例にすると、政策を推進しても、国民の日常生活の中では変化が感じられておらず、アウトカム指標に成果が見られると言うと、国民から単に批判されるだけになるのではないか。
国民と対話する意識、国民の声を盛り込む視点・仕組みを評価の活用の中に位置づけてほしい。
来年度の評価は5月末までに行うことを検討してはどうか。政策評価のとりまとめ後に予算要求サイクルにいく仕組みにすべき。
決算のまとまる時期などの制約があり、すべての政策の企画立案をこの評価制度の中で対応することは無理がある。国民からの急な要求など政治的に急して出てきた課題などは、大臣のトップダウンなどでこの評価スキームとは別に対応すべき。
政策評価制度の主たる目的は、国民への説明責任や、国民が評価を見たいときにすぐに見ることが出来る状態を確保するということであり、それが制度への信頼感に結びつくものであると思う。そういう意味では、政策評価に対して、即効性を期待することは難しいのではないか。
予算や組織の話は重要であるが、政策評価の結果は予算や定員の議論に使うだけではもったいない。局長・課長クラスが政策決定に活用することが最も重要。国土交通省では、政策評価会とは別に懇談会を作りその中で原局の取り組みなどを発表させたりして評価を実践につなぐ活動をしている。
国土交通省や農林水産省の政策評価の例が良いということについては、両省が公共事業を実施する言わば事業官庁であり、従来から大蔵省(財務省)に予算要求において説明してきた経緯を考えると、現在もCVM(Contingent Valuation Method)や代替法などを駆使して数値化していることはある意味当然のこと。総務省については、旧自治関係の政策では来年度以降さらに数値化の努力が必要。
ルーティン及び非ルーティンの政策について、予算の枠組みにおいてどのように捉えているのかということを考えていく必要がある。

【職員の意識改革の進展を中心とした評価の導入効果の調査について】
調査を実施すること自体は良いこと。しかし職員の意識が変わったかどうかを職員自体に聞くだけでは真実は分からない。政策評価導入によって課の仕事や政策がどのように変わったかなども聞くと良いなお、「職員」の意識よりも、管理職に対してインタビューするなど幹部の状態を調査するほうが大切。
周囲においてどのような影響が生じているかということを明らかにするため、多面的に調査を行うことが大切。
町村の職員は意識改革の重要性を認識しているものの、なかなか困難である。その障害を取り除き、意識改革を表現できるような体制を構築することが大切。
管理職も対象にしたアンケート実施自体は有効。今回1回だけのものではなくて、年を経て比較することが出来るよう工夫してほしい。
総務省の政策評価に対するこれまでの取り組みには著しい進展がある。評価会ではそのことに対して敬意を表しているので、総務省においては今後もより一層がんばってほしい。


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