平成17年度総務省政策評価会(第4回)議事要旨


  1.  日時:平成18年1月12日(木)1000分〜1200

  2.  場所:総務省8階 第一特別会議室

  3.  出席者:
     
    中邨 章   明治大学大学院長
    青木 國太郎   東京都日の出町長
    荒巻 禎一   前京都府知事
    上山 信一   慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
    大住 莊四郎   関東学院大学経済学部教授
    小澤 浩子   赤羽消防団団本部分団長
    北大路 信郷   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
    多賀谷 一照   千葉大学法経学部教授
    滝澤 光樹   株式会社インテック取締役 CTO 執行役員専務
        情報セキュリティ担当 技術・営業統括本部長
    武田 安正   アクセンチュア株式会社官公庁本部統括パートナー
    増田 昌三   高松市長
    総務省出席者】
      森大臣官房長、阪本大臣官房政策評価審議官、若生大臣官房総務課参事官、
      井筒大臣官房会計課長、武内大臣官房企画課長、
      野上大臣官房政策評価広報課長、明渡大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1 )「政策評価に関する基本方針の改定」等について
    (2 )「平成18年度に総務省において実施する主要な政策ごとの目標設定等について(平成18年度目標設定表)」について
    (3 )今後の政策評価の取組について
    (4 )その他

  5.  配布資料(PDF)
     
    資料1  政策評価制度に関する見直しについて
    資料2  政策評価に関する基本方針の改定について
    資料3  政策評価の実施に関するガイドライン
    資料4 −1 行政改革の重要方針(抄)
      −2 平成18年度予算編成の基本方針(抄)
      −3 平成18年次会計検査の基本方針(抄)
      −4 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(抄)
    資料5  平成18年度政策評価の進め方について(想定日程)
    資料6  基本方針の改定等を踏まえた総務省の課題等について
    資料7  過去の評価会における意見
    参考資料]  
      参考資料1 広報誌「総務省」平成1712月号
      参考資料2 平成17年度総務省政策評価会構成委員

  6.  評価会においてメンバーから出された主な意見等:
    議題1【 「政策評価に関する基本方針の改定」等について】
    (特段の意見なし)

    議題2【 「平成18年度に総務省において実施する主要な政策ごとの目標設定等について(平成18年度目標設定表)」について】
     毎年、実態の改善がないのに目標値をひたすら「100%」としたり、あるいはその上更に目標年度を「毎年度」としているものがあるが、これでは目標設定にならない。背景にはおそらく 1)そもそも目標値の設定が無理な場合、 2)達成できないと分かりながら、例えば中間的に80%と設定すると不謹慎と思われることから100%としている場合、の2つがあるのではないか。現実が少しでも改善すれば成果であり、理想論に過ぎない「100%」はやめるべき。
     目標年度が「毎年度」となっているものは目標としては不適当。全項目を見直しすべて是正すべき。他府省では「毎年度」としてはいないのではないか。
     目標値の「100%」を変えるべきか否かは難しい。仮に「100%」の目標を示した場合、「自分も取り組まなければ」と感じるが、目標値が80%では、「残りの20%にいればよい」と受け止められてしまう。
     目標設定表についてのパブリック・コメントを行う際、国民が目標値に関する意見を出すのはなかなか難しいと思う。目標値等についての意見を求めるならば、説明なり資料を丁寧でわかりやすいものにして、そうした意見が出るようにして欲しい。
     実績評価書151ページの政策17は、目標値80%に対して毎年度のデータが100%となっている。このように既に目標を達成しているものについては、指標を組み替えるべき。
     「過疎地域等において新たに携帯電話が利用可能な状態となった人口数」において、対17年度比20万人と従来より高く目標設定している例があるが、これにどのような意味があるのか表現しきれていない。全体で利用不可能な人が何人いるという状況の中で新たな目標を立てたのかについての説明が必要。
     指標は政策目標の全てを表現できるものではなく、あくまでその一部を示すもの。その指標が適切なものか判断するためには、政策ごとの目標が具体的かつ分かりやすいものとなっているかチェックすべき。例えば、「地方行革の推進」では、地方自治体に今後どのようになって欲しいのかを具体的に記載すべき。
     目標設定では、将来の予算、政策決定にどれだけ役立つかに注意すべき。また、評価書には、数値だけでなく指標を取り巻く背景要素も盛り込むべきではないか。
     これまでは指標化を進めるべきと取り組んできたが、指標化すること自体が一人歩きして重要視されているのではないか。

    議題3【 今後の政策評価の取組について】
     「政策評価に関する基本方針」の改定に基づき、これに沿って総務省の政策評価の手続を見直すのは当然であるが、方針の改定を踏まえて総務省は今後政策評価をどのようにしていくのかを示す必要がある。
     また政策・施策の枠組みについては、例えば政策9「地方財源の確保及び地方財政健全化」では、施策が「地方財源の確保等」と「地方公共団体の公債費負担の適正化」の2つだけであり、前者の施策の目標値に「所要額の確保」と記載されているが、この仕事は単なる手続に過ぎない。「健全化」と政策に記載するならば、それに対する施策が必要。例えば資産の売却、徴税率の上昇など自治体においては様々な取組がある。しかしここには総務省における手続きだけが書いてあり、それと「健全化」の関連性が薄い。政策にそもそも「健全化」を掲げるのをやめるか、もしくは施策が足りないか、のどちらかと言える。指標の良し悪しだけでなく、局長等の幹部クラスも入って、政策体系そのものを見直す必要がある。
     地方交付税の不交付団体割合は目標設定表に盛り込まないのか。
     6分野のうち「行政改革の推進」、「分権型社会への着実な移行」は指標化するのが困難ではあるが、現在の指標を活用するためには、政策、施策同士の組み合わせが妥当かどうか検討する必要がある。各部局間で政策が重複していないか、逆の政策を実施していないか等をチェックしてはどうか。
     例えば電子政府や国勢調査などに、行政サービスに対する国民の評価、顧客満足度の視点に立った指標を入れてはどうか。
     政策評価の重点化はキーワードの1つであるが、重要政策をしっかり評価するとともに、評価して効果のある政策をまず重点的に評価することも有用。効果が実感できるものであれば、膨大なエネルギーを払ってでもやるべきという理解が広がるだろう。このまま毎年度評価するより、徹底的に議論し、決着をつけて、思い切ってメリハリをつけた方がよい。
     また、指標化が困難なものがあるのは我々も承知している。例えば政策10の地方税制度の構築における指標などは、代替案を探すのが難しい。
     評価制度への認識が薄い職員が多い。与えられた仕事をこなすのみで、結果への関心が薄いという点は、地方でも実感がある。
     実績評価書に政策の細かい背景全てを盛り込むのは無理なので、脚注で関連白書の該当箇所を指摘する等、工夫してはどうか。
     ラスパイレス指数、経常収支比率や地方交付税の不交付団体の比率、税の滞納率等、世間一般に指標として認識されているものが政策評価に使用されていない。これでは政策評価があまり信用されないのではないか。各部局において、一度どのようなものがあるか棚おろしをしてはどうか。
     また、総務省は制度官庁であることから政策評価が困難であるのは理解できるが、これが言い訳になってはいないか。例えば、京都議定書のように達成すべき数値目標を思い切って定めるのも1つの手法。
     総務省の指標にはこの2つのタイプの指標がないが、国民が実際に求めているのはこのような指標である。前者の一般的な指標のリストくらいは今年度の目標に反映すべき。
     そもそも政策の体系がこれでいいか、あるいは京都議定書型の目標値を示すべきかなど今年1年をかけてじっくり見直してはどうか。
     これまでの3年間は総務省の政策評価の枠組みを作ってきたが、今は政策の中身へ入っている。今後は全政策を評価すべきか、予算とも全てリンクさせるべきか十分に時間をかけて議論すべき。
     政策をさらにグループ化し、総務省のビジョン、あるいはミッションとしてとりまとめることで、政策体系が整理されるのではないか。総務省としての顔が見えるよう、コンセプトを明らかにすることが重要。
     省としてどういう方向に行くべきかをここで決めることはできないと思うが、このような視点もある、ということを示すことは可能。
     政策評価を政策の企画・立案へとつなげることが正に重要であり、政策評価会の役割も含めて、本質的な議論が必要。


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