平成18年度第1回総務省政策評価会議事要旨

  1.  日時:平成18年6月19日(月)9時30分〜1200

  2.  場所:総務省9階 第三特別会議室

  3.  出席者:
     
    中邨 章      明治大学大学院長・副学長
    青木 國太郎   東京都日の出町長
    荒巻 禎一   前京都府知事
    上山 信一   慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
    大住 莊四郎   関東学院大学経済学部教授
    小澤 浩子   赤羽消防団団本部分団長
    北大路 信郷   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
    多賀谷 一照   千葉大学法経学部教授
    滝澤 光樹   株式会社インテック取締役 CTO 執行役員専務
    情報セキュリティ担当 技術・営業統括本部長
    村本 孜   成城大学社会イノベーション学部長

    総務省出席者】
      森大臣官房長、阪本大臣官房政策評価審議官、若生大臣官房総務課参事官、
    井筒大臣官房会計課長、武内大臣官房企画課長、
    野上大臣官房政策評価広報課長、明渡大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1)  平成18年度実績評価書(案)について
    (2) 政策評価についての課題及び今後のスケジュールについて
    (3) その他

  5.  配布資料(PDF)
     
    資料1  平成18年度実績評価書総論(案)
    資料2  平成18年度実績評価書要旨(案)
    資料3  平成18年度実績評価書(案)
    資料4  今後のスケジュール(想定)
    参考資料]  
      参考資料1  政策評価会の位置づけ
      参考資料2  平成17年度第4回総務省政策評価会(1月12日開催)での指摘事項と対応状況
      参考資料3  平成18年度施策実施状況調書(案)
      参考資料4  平成17年度に総務省において実施する主要な政策・施策及びその実施手段の概要
      参考資料5  平成18年度総務省政策評価会構成委員

  6.  評価会においてメンバーから出された主な意見等:
    議題1【平成18年度実績評価書(案)について】

     評価書本体より要旨の方が国民の目に触れる機会が多いと思うが、その要旨の性格がはっきりしない。簡潔にするため一部の指標のみをピックアップして書いてあるが、これだけ読むと評価内容が分かりづらい。政策の進捗状況の説明パンフレットか白書ならよいのだろうが、要旨の性格をはっきりさせるべき。
     以下、要旨についての発言。
    (政策3)「各府省における評価の実施及び質の向上」欄で、数値化等の割合が停滞しているのに「一定の有効性がみられる」と分析しているが、根拠があいまい。データを見ると「伸び悩んでいる」と言わざるを得ないと思うのだが。
    (政策7)行政手続条例の策定率が99.4%、情報公開条例の策定率が96.5%という状況で、残りの市区町村はこれらの条例を策定しないまま停滞している。これを「順調に推移」と評価しているが、そうは言えないのではないか。
    (政策16)指標「過疎地域等において携帯電話が新たに利用可能となった人口」について、目標を達成できなかった理由が書いてあるが、技術要因であり目標設定の際に当然想定されたこと。理由とならない。
    (政策19)郵便局配置空白市町村数について、ここ3年間目標を達成している旨の記載があるが、もともと15年度から既に達成している。指標の1つとして評価書本体で簡単に言及するならよいが、わざわざ要旨にデータを記載する必要はないのではないか。
    (政策21)「11社が信書便事業説明会に参加」しているので有効性が認められると分析しているが、説明会の参加人数だけでは有効性は認められないのではないか。評価書にはいろいろ説明がなされているが、要旨だけでは読んでも分からない。また、この指標も要旨にまで記載すべきものか疑問。
    (政策22)死者数が増加しているから火災警報器の普及促進が必要としているが、因果関係の説明が十分ではない。火災の発生件数そのものを減らす対策はどうなのか。また、そもそも件数データの記載がない。これは評価書本体の原因分析も不十分。
    (政策24)救命率についての目標値が設定されていない。救命率の改善状況だけ記載しても、その達成状況が分からない。白書なら改善状況だけでもよいが、これでは評価とは言えないのではないか。

    (政策22)火災件数が増加している中、その減少が本来の目的なのに、火災警報器の普及促進が必要とされている。まず火災件数を減少させることが大前提で、次に火災警報器の普及促進の話が来るべきではないか。「火災警報器を設置すれば安全」と誤解される恐れがある。
     また、消防団員数が毎年1万人程度減少している。目標値として団員数100万人、うち女性団員数10万人と設定しているが、もっと現実的な数を設定すべきではないか。
     さらに、消防団に入団しても短期間で退団する人もいるので、「定着率」を指標に設定してはどうか。
    (政策24)救命講習の受講者数を計上しているが、一度受講したからといってすぐ効果が出るものではない。再教育講習の受講者数が大事なのではないか。
    (政策6)女性国家公務員の採用の拡大について、II2・III3種では減少している。フォローアップを実施するとしているが、どのような問題があるのか等を分析し、女性が就業継続できる環境となっているか記載すべきではないか。
     重点分野ごとに評価結果に偏りがあるが、これは何故か。
     評価結果を「端的な結論」として類型化しているが、前回は類型III3としていたのに今回は類型II2とした政策については、その理由を示すべき。
     制度改革等があった場合、あらかじめ設定していた指標では分析が不可能となるケースが想定される。そうした場合、その指標をどう扱うか等について検討する必要がある。
     政策評価の目標として、類型III3のものを類型II2にしようとしてはいないのではないか。政策の達成目標は広く抽象的なのだから、各年度において諸情勢が変わると、新たな課題が出てくるものであり、むしろ類型III3となるのが普通なのではないか。
     効率性の記述をしている政策があるが、効率性をどのような尺度で捉えているのが分かりにくい。効率性の分析では、投入した資源の量を把握することが前提だが、そこに触れていない。
     「端的な結論」が類型III3のまま続いている政策は、何年間も「見直しが必要」とされていることになる。III3にした場合は見直しの計画を示すことが必要であり、何を見直したのか、翌年にその計画がどうなったかという時系列評価を行うべき。
     類型II2は、類型III3よりもよい状況で、類型II2が類型III3になると悪いということなのか。この辺り、誤解をまねく恐れがあるのではないか。


    議題2【政策評価についての課題及び今後のスケジュールについて】

     地方交付税について、人口や面積を基本とした算定方法の簡素化を推進するとあるが、地方の状況に応じたきめ細かな対応が必要ではないか。
     この政策評価会は、個々の政策について意見を言う会なのか、それとも政策のチェックを行う会なのか、位置付けが不明確。そもそも政策評価の位置付けは何処にあるのか。
     評価制度は3年間やってきており、(総務省内で)形は定着したと考えている。この形をあまり変えてばかりいると、評価の継続性に問題が出てくるので、その辺りを総合評価でさらに議論すべきではないか。
    (政策3)政策評価の政策への反映が100%としているにもかかわらず、見直し・改善が20%というのはどういう意味なのか、分かりにくい。説明を記載すべきではないか。
     予算・決算と政策評価の位置づけをどのように考えるのか、その限界を見極める必要がある。次回の評価ではその辺りをさらに検討して欲しい。
     モデル事業について、多大な費用をかけてもあまり利用されていないのが現状。行政の情報化が実際にはうまく進んでいないことを認めて評価をすべき。評価書では主に国の事業を主体に記載しているが、特に深刻なのは地方公共団体の情報化であり、その達成度を指標に入れるべきではないか。
     行政の情報化では、いわゆるレガシー・システム(旧来型の電子計算機システム)についても、何らかの形で指標を設定し、評価すべきではないか。
     世界の中での日本とはどのような国なのか、国際貢献、競争力、国際比較の中での評価軸をもう少し強く出していくべき。
     重点5分野についての、マクロ的な評価も必要ではないか。
     「端的な結論」における「見直しが必要」との表現は、適切かどうか。「今後の課題」と「見直し」の項目が必ずしも一致しておらず、議論が必要ではないか。
     国主導の研究開発は実用化面の実績が弱いので、「実用化率」を指標に加えるべきではないか。
     評価書をまとめるまでのプロセスややり取りが実は大事だったのだろうと思う。政策12のように、評価の結論を導いた理由が書いてあれば我々も判断しやすかった。
    (政策19)郵政関係の評価は、郵便事業に偏っているが、郵貯・簡保についてももっと記載が必要ではないか。また、平成19年度の郵政民営化の話から入っているが、民営化までのプロセスについても記載があるとよいのではないか。
     国際会議に何回出たかだけを指標にして評価するのは適切とは言えないのではないか。
     「端的な結論」の類型は大くくりになっており、実際に使用されている類型は2種類のみである。特に要旨では、評価結果が最初に記載され、その後の分析も簡潔なので、各施策のうちどれが有効だったのかが把握できるような工夫が必要。
     総合評価では、「各部局にとって記載しづらい欄はどこか」などを、実務的なレベルで把握してはどうか。各部局の現場レベルでは、評価結果をどう判定すべきか困っているのではないか。
     総務省の場合、指標の数値化は既に困難な状況となっている。これ以上の数値化は意味がないように思えるので、やめてもよいのではないか。その辺りを総合評価で分析して欲しい。
     今後の政策評価は、政策の評価をするのか、政策を誘導するものなのか、区別をはっきりさせておく必要がある。事実を述べるのか、価値判断をするのか、あいまいになっている。


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