平成18年度第2回総務省政策評価会議事録


  1.  日時:平成181122日(水)10時30分〜12時00分

  2.  場所:総務省8階 第一特別会議室

  3.  出席者:
     中邨 章 明治大学大学院長・副学長
     青木 國太郎   東京都日の出町長
     上山 信一 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
     北大路 信郷 明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
     多賀谷 一照 千葉大学法経学部教授

    【総務省出席者】
    山川大臣官房総括審議官、村木大臣官房政策評価審議官、
    渡会大臣官房総務課長、下河内大臣官房会計課長、吉崎大臣官房企画課長、
    岩田大臣官房政策評価広報課長、河内大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1) 平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について
    (2) その他

  5.  配布資料(PDF)
    資料1  平成18年度総合評価 今後のおおまかなスケジュール(案)
    資料2  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)における検討項目(案)

    [参考資料]
    参考資料1  行政機関が行う政策の評価に関する法律(抜粋)
    参考資料2  総務省政策評価基本計画
    参考資料3  基本計画の計画期間と実績評価のサイクルとの関係
    参考資料4  経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006(抄)
    参考資料5  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)における検討項目(案)とこれまでのご指摘

  6.  議事録

    【岩田政評課長】  おはようございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私はこの7月に政策評価広報課長を拝命いたしました岩田でございます。よろしくお願いいたします。
     初めに、この政策評価会を開催するに当たりまして、総務省側のメンバーが変わりましたので、紹介させていただきたいと思います。
     大臣官房の総括審議官、山川でございます。
     大臣官房の政策評価審議官、村木でございます。
     大臣官房の会計課長、下河内でございます。
     大臣官房の企画課長、吉崎でございます。
     あと、少し遅れておりますけれども、大臣官房総務課長、渡会も着任してございます。
     なお、本日この会議のメンバーでいらっしゃいます荒巻先生、小澤先生、國井先生、城山先生、滝澤先生、増田先生、村本先生、大住先生はご欠席となっております。それでは議事に先立ちまして、山川総括審議官からごあいさつを申し上げます。
    【山川総括審議官】  総括審議官の山川でございます。本日は、皆様お忙しいところ、ご出席賜りまして、本当にありがとうございます。
     この評価会でございますが、これまでは官房長が直接担当しておりましたが、この7月から総括審議官と官房長との間で業務分担を分けようという話になりまして、7月から私が担当をすることになりました。よろしくお願いを申し上げます。
     本日の議題でございますが、平成18年度の総合評価ということで、これまで実施してまいりました総務省の政策評価をテーマとしてお願いをしたいと思っています。政策評価法の施行後、計5回の実績評価をしたところでございますが、今回の総合評価におきまして、従来の政策評価の在り方というものを見直しまして、その成果を今後の評価に反映するというステップでお願いをしたいと思っております。皆様方には忌憚のないご意見を頂戴したいと思っております。よろしくお願いをいたしたいと思います。
    【岩田政評課長】  それでは平成18年度の第2回総務省政策評価会を始めさせていただきたいと思います。中邨座長、進行をよろしくお願いいたします。

    議題1【平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について】

    【中邨座長】  皆さんおはようございます。それでは、ただ今から第2回目の政策評価会を始めたいと思います。本日議事次第にありますように平成18年度総合評価、テーマ・総務省の政策評価について、いろいろご議論を頂戴するということになっております。それではまず、事務局のほうから資料を含めてご説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
    【河内企画官】  企画官の河内でございます。では、資料に沿いましてご説明させていただきます。
     まず資料1でございますが、平成18年度総合評価、これまで行ってきました総務省における政策評価について総合評価をするということですが、これにつきましても今後の、まずおおまかなスケジュールについてご説明いたします。本日1122日、総合評価についての第1回目としてご議論いただきまして、その後、年が明けまして1月から2月にかけてのどこかの時期で第2回目、6月ごろに第3回目を開きまして7月頃に総評価書を取りまとめたいというふうに思っております。資料の一番下の米印(※)のところでございますが、総合評価書の作成後、その内容を踏まえまして総務省政策評価基本計画――現行の基本計画は来年度までが計画期間となっていますので、平成20年度からの新たな基本計画の作と、あと平成20年度に実施いたします実績評価のための目標設定、こういったものを総合評価書の内容を踏まえて策定作業に入りたいというふうに考えてございます。本年6月の評価会の場で出しました資料では、今年度内に総合評価書の作成と、新基本計画の作成その他をやる書いてあったと思いますが、まずは政策評価、総合評価につきまして、拙速ではなく少しじっくり腰を落ちつけてやりたいということが1点と、あと資料2の説明のところでも申し上げますが、新基本計画を作るに当たりまして、総務省だけではなく行政評価局なり、あるいは財務主計局等々、制度官庁の動きを見ながらやらないといけない部分もございまして、年度内には非常に難しいといったことで、本年6月に出させていただきました資料からは、若干後ろ倒しのスケジュールになっています、ということでぜひこの点をご了解いただきたいと思っております。
     続きまして、資料2でございますが、テーマは総務省の政策評価についての総合評価の検討項目というものにつきまして、事務局のほうで簡単に論点といいますか、検討項目をまとめさせていただいております。
     まず1点目が評価の重点化・効率化ということでして、(1)で政策の性質の違いを踏まえた評価手法ということで、総務省の場合ご案内のとおり、いわゆる公共事業であるとか業行政とは違った制度官庁的な側面を非常に持っています。そういったものにふさわしい評価方式、手法といったものがあるのではないかということを、これまでもたくさん議論いただいておりますので、こういったことについてご議論いただきたいと思ってります。次が評価のメリハリということでして、総務省におきましては、これまで政策評価は26の政策に分けておるわけですが、その26の政策全てについて毎年度実績評価をするということで、これは政策評価を総務省の中で定着させるという趣旨もあり、そういう形でやってきたですが、まずは本当に毎年度評価する必要があるのか、毎年度評価になじまないものもあるのではないかというような論点、あるいはそもそも実績評価という評価方式になじまないものもあるのではないかといったことが論点になろうかと思います。
     次が目標、指標のことでございます。言ってみれば、指標になっていない指標といいますか、これも無理矢理といってはなんですが、全ての政策について、とりあえず実績評価をするということで、無理に指標を作っている部分もあり、必ずしも適切でない指標というものが未だあるというようなご指摘を受けております。これは、裏返せばそういったものについては実績評価ではなく別の方式を採用したほうがよいのではないかというとにもなっていこうかと思います。併せまして、実績評価――これは評価のメリハリとも関係するんですが、実績評価がなじまないものについては、あるいは総合評価といったようなことも考えられるのですが、こういった場合に既存の白書でありますとか、あるいは審議会における議論、こういったものをうまく活用して評価に結びつけていくといったことも考えられるのではないかと思っております。
     3点目が分析・結論の在り方でございます。まず1点、分析の在り方としまして、必要性、有効性、効率性等の観点について、今まではなるべくこの3つの観点について評価をするということで取り組んできたわけです。しかし、例えば効率性の観点からの評価になじまないようなものについても、いわば無理矢理評価をして、少し例文化しているようなものもあるということで、そこは政策の特性に応じて必要な観点について評価をしていくという考え方、一種のルール化も必要ではないかということでございます。
     2点目が端的な結論の在り方です。現在、評価書をまとめた結果について、分類I1から分類IV4まで4つの分類に分けまして、それぞれの件数を記載しているわけですが、今、分類II2と分類III3に全ての政策が集中しております。分類II2に入れることが目標というような誤解を若干生むようなこともありまして、この分類の仕方についても、誤解を生まないような新たなやり方があるのではないかと思っています。
     次は、評価書の様式・公表の方法です。この点につきましては今の評価書が分厚すぎるというご意見と、とはいっても必要な情報はきちんと盛り込まないといけないのではないかというご意見、両様あるように思います。そこはサマリー的なものをうまく作って、必要な情報はまた別冊にするなど、様々な工夫はあろうかと思いますが、そういったような国民から見て見やすい評価書の在り方について、ご議論いただきたいと思っております。
     次が企画立案・予算要求との連携強化です。まず1点目が、企画立案・予算要求における政策評価の活用のための仕組みということで、政策評価はもちろんその評価結果を企画立案なり、あるいは予算要求に反映させていくためにやっているわけですが、そういったことについての総務省における取組が必ずしも十分ではないのではないかといったようなご意見もいただいております。
     2点目が、予算との連携を念頭に置いた政策体系の在り方でして、これは申しわけないのですが、後ろにつけています参考資料の4をご覧いただきたいと思います。これはいわゆる骨太の方針2006の抜粋ですが、この第3章にポツが2つございます。その下のほうですが、政策ごとに予算と決算を結びつけ、予算とその成果を評価できるようにする仕組みについて、引き続き予算書・決算書の見直しを行い、平成20年度予算を目途に実施するということです。どういう方向に行くのかまだ明らかになっておりませんが、これを受けまして財務当局あるいは評価局のほうで今、作業が始まっております。この作業を横で見ながらでないと、私どもの総合評価の報告書の作成、あるいは新たな基本計画の作成というのは難しいのかなということで、先ほどスケジュールを後ろ倒しさせていただきたいと申し上げたのは、この点でございます。いずれにしても、これは制度官庁のほうで取組が進んでいるところだということでございます。
     最後に政策評価実施体制ということで、まさにこの評価会ですが、いろいろ経緯がありまして、いわゆる開催要綱なるものがない形でこれまで開催してきております。そもそもの評価会の位置づけ、役割が何なのかと、政策評価の在り方を議論する場なのか政策そのものの在り方を議論する場なのかといったところについても、必ずしも共通認識がない部分もございます。あるいは委員の皆様方の任期というものについての定めもないということで、この際こういった評価会の位置づけ、在り方というものについても明確化したほうがいいのではないかということで、この点もご議論いただければと思っております。
     資料の説明は以上でございますが、お手元にお配りしました資料の中に、滝澤委員ご提出メモがございます。本日多数の委員がご欠席でございますが、特にご意見のある方は、意見についてメモをご提出いただけましたら、会議の場でご案内しますとしたところ、滝澤委員からメモの提出がございましたので、併せてこの場で紹介させていただきます。
     1点目が予算要求につなげていくことを念頭に置いて、投資対効果の観点からの評価を、事業評価など可能な範囲で取り入れてはどうか。2点目、政策評価の中で、グローバルな視点で海外との比較を行うことにより、日本の強みや弱みの分析をもっと行ってもよいのではないか。3点目、政策評価については、立案側の立場で評価してしまうので、受け取る側、エンドユーザである企業、自治体、住民の声を何らかの形で反映できないか。4点目、政策評価の在り方全般を議論する場と、専門分野に応じて個別の政策の評価書をチェックする場とは分けた方がよいのではないか。といったようなメモをいただいております。簡単ですが、以上でございます。
    【中邨座長】  どうもありがとうございました。本日もう既にご指摘がありましたように、残念ながら大変皆さんお忙しいようでございまして、出席された委員の方が非常に少ないという問題がございますが、今のご説明にありますように、これは平成18年度の総合評価の基本にかかわるような重要な検討項目についての案でございます。大体そこにありますように政策評価の質や内容というのが1つ、それから政策評価をどう活用していくかということが1つと、それから今後の方針が3点目であろうかと思います。今、お聞きをしておりますと、従来我々が4年ほど意見交換していた内容と大変重複するところもあろうかと思うのですが、本日改めてまた、政策評価の質や内容、活用、それから体制と、この3つにつきましてそれぞれご意見を頂戴できればと思います。今回は決して決定ではありませんで、いろいろな意見の表明と表出ということになろうかと思います。中身が大変多岐にわたっておりますので、どこから手をつけたらいいのかよくわかりませんが、いずれにしましても大枠は3つでございますので、この範囲の中でそれぞれいろいろなご意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。上山先生どうぞ。
    【上山委員】  中身については、そんなに大きな異論がない。それから後でまた他の委員も含めてみんなで議論したほうがいいとも思います。それで中身を横に置いておいて、進め方のところで少し先走った懸念があるので述べます。今回は一応総合評価の1つとしてやるということです。従って政策評価の今後の方針を単に見直すという作業では決してない。結果として、この総合評価をやった後、確かに来年度以降政策評価のやり方が変わるわけです。しかし、この作業は通常やるような日常の業務を見直して、来年度どうするか考えるという作業とは性格が本質的に違う。もし単に来年度以降の政策評価をどうするのかを、事務局で考えて我々が議論するということであれば、別に総合評価でやる必要はありません。来年度以降の方針についての案が出てきて、我々が意見を述べて事務局が決めて、来年こうしますと言えばいいわけです。ですから総合評価という手法を使ってやると言った以上、私はもっと客観性が必要になるし、第三者が見て納得感のあるようなものでないといけないと思います。そういう意味で総合評価であるための条件というのが幾つかあると思う。1つは評価対象が適切であるかどうかということです。これはまさに座長がおっしゃったとおり、大きく分けて3つある。今日用意していただいたこの内容については私はそんなに大きな異論はありません。もちろん細かい論点や中身については、これから今日のみならずいろいろ出てくると思いますけれども。何を対象とするのかということに関しては、おそらく納得感が得られる範囲だろうと思う。つまり評価をすること、活用、それから実施体制にまでわたって見る。それを3つセットで総務省の政策評価と言っている。それはそれでいい。
     しかし、総合評価をやる手法に関しては若干違和感がある。あるいはまだご説明を聞いていないからそう思うのかもしれないのですが。やはり政策評価がどうであったのか、という効果の測定をまずしなければいけない。1つは事務当局というか、実際に作業をやっている人たちの問題意識、これはとても重要な材料だと思います。この資料2にある紙は、それが非常に要領よくまとめられている。しかしこれは、単なる1つの材料でしかない。2つ目の材料としては、今までの会議で出てきた論点です。これは参考資料の5に用意していただいており、これも私は非常によい材料だと思います。しかしこれは2つ目の材料でしかない。材料の3というのが多分あって、これは職員の人たちが実際にこの制度にかかわってどう思ったか。これは意識調査――前回か前々回かに出していただいたんですが、私はあれが使えると思います。それから、4つ目はどこまで現実的かわかりませんが、国民がどう思っているかということです。あるいはマスコミでしょうか。評価結果の報告書を公開しますので、それを見た人がどう思うか。わかりにくいとか、あるいは中身に関する疑問なども含めて材料になりうる。
     それから、5番目にステークホルダー(利害関係者)の意見です。これは制度官庁ですから自治体あるいは規制対象の企業、厳密にやるならその人たちがどう思っているか。実際は彼らが必ずしも政策評価の結果を見ていない、あるいは制度すら知らない場合もあるので技術的に可能かどうかわかりませんが、理屈を言えばステークホルダーの意見も聞かないといけない。以上の5種類の材料が存在しうると思います。これらも含めて、とにかく事実と数字、意見を材料として体系的に集めてくる必要がある。それをまず集めないと何も議論できない。集めてきたものには重要だと思われる論点、あまり重要でない論点、それから間違っている意見、誤った事実認識などいろいろなものがある。しかしそれをとにかく集めて並べないと、総合評価という作業の名には全く値しない。実は材料はかなり揃っていると思います。ですが事務局のほうでまとめて、この論点に絞りますというのは、私はまだ早いと思う。いきなりこうやって絞った論点から総合評価をスタートするという作業のプロセス自体が正当性を欠くという疑問があります。
     それから2番目に、出てきた材料を並べた時に、それをどう解釈するかということです。それは例えば、ここの評価会から出てきた意見と事務局の意見が違う、あるいは職員の多くの人がこうしたらいいと思っている意見と、専門家の意見が違うなど、ずれてくることが当然あります。それに関して、最終的には総務省が決める。しかしそれもこういう理由でこのように改良したほうがいいといった分析や解析といったものが必要になる。
     その次の段階になりますと、改善案が出てきます。これはスケジュールについて、例えば18年度は少し簡略形でやって19年度から本格的に新しい方式でやりますというような、その種の具体的なことも含めた実施案だと思います。総合評価自体の、構造というか構成をよく確認しておく必要が、今日の段階ではあるのではないかと思います。
     非常に客観的に言うと、事務局が作った今日の資料は事務局から出てきた材料でしかなく、ここにいる人の意見はまた別の材料でしかない。この2つをいくら重ねあわせても必要な材料は揃わない。
     以上がアプローチに関する意見です。それからもう1つはスケジュール、あるいは最後にどういう形でまとめるかということですが、やはりあくまでこれは総合評価です。今後どうするかということをあまり潜り込ませないほうがいい。評価をしたらこうでした、問題点はこうでした、今後こうするべきです、というところで終わるべきだと思います。
     その上でどうするかは総務省が別途考えるべきことであって、評価報告書の中にそういうものをあまり先取りして入れてしまうと、客観性がどんどん損なわれていく。あるいは限りなく役所の方針ペーパーに近いものになってしまう。スケジュールを合わせるとか、現実的な対応も必要だと思いますが、総合評価という以上、ある種の枠組みというのはやはり崩せないのではないかと思います。
    【中邨座長】  大変多岐にわたるご意見を頂戴しましたが、この上山先生のお話を含めて何か他にございますか。北大路先生、何かどうぞ。
    【北大路委員】  今の上山先生のお話を聞いていて、なるほどと非常に思ったのですが、一方で随分大変そうだなというように思いまして、ある程度スコープを限るというか範囲をある程度限っていかないと、なかなか期間内に評価結果を使った前進ができなくなっても困るかなと思っています。しかし、いずれにしても今おっしゃっていたような要因は揃える必要があるなと感じました。どこまで徹底的にやるかという問題はあるかなと思いましたが、重要な要因をおっしゃっていらっしゃると思いました。特に総合評価はあくまで評価なのだということをしっかりと打ち出す、認識するということは、私たちを含めて重要であろうと思いました。
     内容について、これまで3年以上検討してきて非常に感じていることがございます。政策の性質の違いに関する記述が資料2の冒頭にあり、重点化、効率化という項目になっていますが、重点化、効率化するという前提ではなくて、性質によって違うやり方や考え方、評価のアプローチというのを当然考えるべきではないかと思います。結果的に考えなくていいという結論が出ても別に構わないのですが、これまでの議論の中で、いつも問題の1つの要因になっていた、議論の1つの要素になっていたように思われてなりません。この検討項目案の中で、この部分が後に非常にたくさんの影響を持つなと、例えば指標の設定はもちろんですが、分析のやり方、まとめ方、そして予算との連動というようなことにも影響を持つと思います。
     リストが決して間違っているという意味ではありませんが、例えば、地方行革という重要な仕事の柱があります。私は県のレベルで地方行革をもう十数年間一緒にお手伝いしていますが、実際に地方でみていますと、地方行革を幾つかの簡単な指標、例えば公務員の数などでは到底表せないのですが、それを総務省の側でリードしている時に、予算との連動というのにどういう意味があるのかなと、非常に思います。取り組んでいる仕事の複雑さと比べて、実際の省内の予算とはどんなものなのか。予算に連動して結果が出るようなことは何かあるのか。事業系のものであれば例えば道路の建設など、事業費に対する成果について、相当の因果関係を持つということは分かります。しかし、予算と連動させていく、つまり例えば幾ら幾らの事業予算で、地方の公務員がどれだけ減りました、これだけの成果が出ました、というのでは論理性もあまりないのではないかという気がします。少なくとも、その論理が非常に複雑になるのはもう明らかで、逆に言いますと、この時期にはこの部分をもう少し納得できるようなものにしていく、という機会になるべきではないかと思います。
     政策評価に関しては、スタートしてからこの数年、私は大変効果があったと思っています。1つはいろいろな種類の政策についての一覧性が非常に高まり、同じ形式で同じように中身を知ることができた点です。網羅性がありますので、何をやっているのか非常にわかりやすくなりました。これは一般の国民の方もその気になってきちんとご覧になれば、国の各府省がどういうことを実施し、総務省が何をしているかということもご理解いただけるはずだと思っています。
     もう1つ、職員のアンケート調査をさせていただきましたが、やはり成果に関する関心を非常に強く持っていただくようになったということ、これも非常に大きな成果だと思っています。ある意味でそれは一律的に、区別をせずに政策を扱ってきたことの成果だとも言うことができます。これは例外だったからやめよう、これは議論を放っておこうとしなかった成果かと思っています。ただ、その成果に対して今回非常に関心があるのは、その第一段階の成果は確かにあったのですが、一律的にずっと扱ってきたことに対する、もう少し深い見直しが今度は必要ではないかということです。やらないという意味ではなく、分野によってやり方をいろいろ議論していくことは、絶対必要だと感じています。これをこの機会に実現できたら大変よいと感じています。
    【中邨座長】  何か、青木町長いかがでございましょうか。
    【青木委員】  今、これとは関連があるかどうかは別として、例えば町村においては平成の大合併が進行する、そして負担金、補助金の減額、いわゆる三位一体改革による財源の移譲の問題、そしてさらには地方交付税を面積と人口に統一するなど、次から次に新しい政策が生まれてくる。町村にとっては、それになかなかついていけないといいましょうか、なじめないというような面があり、非常に現場は混乱するということがあります。従いまして先ほど申し上げたように、そうした政策についての評価にも、現実は町村がなかなかついていけないような面もあります。そういう意味で、いわゆる政策の評価を発表する場合にはなるべくわかりやすく、簡明にお願したいと思います。
     特に私は、この委員としてまだ2回目でございますので、内容についても十分熟知できておりませんが、なるべくわかりやすく簡明にしていただくことによって、広く皆さんにご理解をいただけるのではないのかという感じを持っております。以上です。
    【中邨座長】  多賀谷先生、どうぞ。
    【多賀谷委員】  これから、総合評価をする、これからテーマになるということで、今まで事業評価、もしくは実績評価という形で実施してきたわけですが、私自体総合評価を扱ったことはありませんので、イメージがいまひとつつかめず、その点について今日はっきりしておきたいと思います。総合評価は既存の事業をそれ自体として評価するのではなく、ある種の一定のまとまりを持った政策全体の評価というようなイメージでありますし、あるいはある種の横ぐし、横断的な評価を伴うものだろうと思います。その場合、もしそういうものであるならば、今年度、それではどういう観点から総合評価をするのかということを、詰めていただいたほうがよいのではないかと思います。今まで、実績評価という形で総務省の行っている全政策について、かなり思い切ってグループ分けをして、それについて横に見てきました。それでも各政策には内容的にばらつきがあり、1つの基準の評価で見るのは無理だということを、皆さん了解しているのだろうと思いますが、総合評価になるとますますわけがわからなくなる可能性があります。
     それから、総合評価にした場合、総合評価で総務省の政策を全部評価していくのかということも、何か限界があるような気がいたしますので、そこは、あらかじめ決めておかなければいけないのではないかと思います。
     それから、先ほど北大路委員が予算との連動という話をされましたが、総務省の場合、公共事業とは予算の在り方が違いますので、予算と評価の連動といっても、評価される予算に基づいて総務省が自ら特定の公共事業のような事業をするのではなく、通常の議論はそのままいかないだろうと思います。実際上、総務省の、特に地方自治行政関係の予算は、ある種の補助金行政的な形で、補助金で地方自治体に一定の業務を行っていただくという部分があります。そうすると、実際にお金を使って事業を行うのは自治体なので、それをどう評価するかという形になると思います。この場合にはもう1つの視点として、なかなか行政としてはつらいと思いますが、そういう形で補助金を与えて地方自治体に一定の業務を行っていただく場合と、それからそうではなくて、もうひもつきではなくて直接、予算を地方自治体に任せて、地方自治体が自分の独力でやる場合との比較という形のほうが、実態には多分合っているのではないかというような気がいたします。
     それから、最後にもう1つ端的な結論の話ですが、これも基本的に自己評価であり、しかも4段階といってもII2かIII3しか出てこないということです。限界にきているのではないかという気がいたします。1つとしては、自己評価から少しはずれたようなやり方が多分必要だろうということです。1つはなかなか難しいと思いますが、地方自治体関係の政策については地方自治体から評価を求めるというのが、1つのやり方でしょうし、それ以外については、どなたかが書いていますけれども、ダイレクトなユーザーに対して、今日CVM(Contingent Valuation Method;仮想市場評価法)などいろいろな評価方法がありますから、そういう評価方法を使って政策の評価を求めるというのも1つのやり方かなと思います。大体以上です。
    【中邨座長】  上山先生は、1130分に出られるということですので、もし何か他にあればお願いします。
    【上山委員】  総合評価の正当性に私はこだわるのですが、総務省の政策評価自体を総合評価するというのは結局、国民や外の人が一番知りたいことに答えることであり、それは、そもそも成果は出ているのかということだと思います。役に立っているのかと。政策評価自体のアウトカムだと思います。それは単に役に立っている、立っていないと言っていてもしようがない。ある種の仮説を立てて、こういうことができているのならば、役に立っていると思うというような形で証明しなくてはいけません。総合評価に限らず評価の報告書というのは既に何かの業務や組織があって、そこに何かインプットが入ります。そこからスタートです。そこに予算が入ったり制度が変わるなどして、それで何かアウトプットが生まれます。変化が生まれる。その結果アウトカムが生まれます。この今回の総務省の政策評価という総合評価も、その論理ロジックモデルは崩せないと思います。インプットは政策評価制度が始まったということです。組織ができた、体制ができた、みんなで頑張っていろいろなデータを集めて作業した、ヒアリングしたと、この種のことが実際に起きました。これをエビデンス(evidence;証拠、根拠)としてきちんと説明しなければいけない。1年目はこんなことをしました、2年目からはこういう作業をしました、3年目からはこんなヒアリングもしました、4年目には指標の数を増やした、減らした、改良してきました。そんなことも含めて、法律に書いてあるとおり取り組んできたということではありますが、いったい何をしたのかをやはり説明する必要がある。
     次にアウトプットになる。もちろん評価報告書そのものがアウトプットの1つですが、それだけではない。予算の時に成果指標が使われるようになりました、あるいは5カ年計画の基本がこのアウトカム指標を中心に立つようになりました、など。役所の仕事の仕方が変わりました、あるいは少なくとも報告書が出ました、情報公開しましたということがアウトプットだと思います。
     そしてアウトカムですが、それは評価法が想定している。法律に書いてあります。例えば効率性、あるいはアカウンタビリティー。いろいろなことを期待して、この法律を作るんだと書いてある。それが本当にできているのかを測定しなくてはいけない。現実対応は必要ですが、今日の事務局の資料2について非常に気になるのが、これは評価手法の改良案でしかないという点です。事務局が来年度評価する際の作業マニュアルの改定案でしかない。総合評価にはなっていないと思います。ここに書いてあることは、全く間違っていないし、必要だとは思います。しかし、極めて狭いし極めて少ない。あまり間口を広げてしまうとわけがわからなくなるので、ロジックと構成はきちんと確保した上でこのようなこともカバーしつつ、しかし要するに政策評価はうまくいっているのかという非常にシンプルな問いに対する答えを出してください。こうした原点がやや薄れていることが少し気になります。
     もう1点、少し参考になるかもしれないことをご紹介します。国土交通省ですが、あの省は省庁合併したので、合併後の行政組織の運営、行政改革が進んだのかどうかをテーマに、たまたま今年度、総合評価をします。あれも総合評価なのですが、あちらでは政策レビューという名前になっている。やり方については、国交省も非常に悩んでいる。しかしなるほどと思いましたのは、それをテーマにしようとした時に、省議で、単に改革の進捗度を評価するといってもそれは難しいから切り口を5つぐらい決めておこうということで、最初に決めておいたようです。1つは成果主義が浸透しているのかどうか、2番目がアカウンタビリティーが徹底されているかどうか、それから効率化、パートナーシップ、縦割りを越えて部局の枠を越えて仕事をする。こういう切り口にそって評価をする。ある種仮説を想定して、行政改革が進んでいるかどうかを総合評価するわけです。私は同じような、大きな意味の仮説が今回のこの総務省の政策評価にも必要なのではないかと思います。資料2に書いてあることは、そういう意味の大きな仮説ではない。やはり政策評価制度を入れた結果どうなのかという意味で言うと、国民に対する説明責任を果たせたか、あるいは成果主義や効率化が進んだのか、人事や予算、他の制度にいい影響を与えているか、政策の質は上がったのか、その種のことが仮説的に上がってくる。直接的にそれを測定するのは極めて難しいとは思いますが、職員のアンケートやこの場での議論など、先程申し上げたいろいろな材料をうまくつなぎ合わせていけば、そのレベルのこともある程度は言える。評価手法の改良だけに終わらないようにしていただきたいと思います。
    【中邨座長】  ありがとうございました。他に今日ご出席でない方からも、いろいろご意見が集まっているというように聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
    【岩田政評課長】  それでは、この会議の前にご欠席の先生方に目標、スケジュールなどをご説明にあがりまして、その際にいろいろご意見をいただきましたので、順不同でございますけれども、ご紹介させていただきたいと思います。
     まず政策評価の質や内容についてでございます。ここは今までご指摘のありましたとおり、皆さん異口同音に、総務省の政策は事業官庁とは違うという前提がございます。特にメリハリにつきましては、ある先生からは、メリハリには2つ考え方があって、対象の違いによるメリハリ、それからどの政策をとるかという価値前提についてのメリハリがあると。特に後者、どの政策をとるかという価値前提については、メリハリをつけるということはまさに評価以前に、政策の重点化をきちんとするということであろうと。それで重点化された政策についてはしっかりと評価して情報を開示するという必要があり、そういう意味では評価は重要だと。そうでない政策については、むしろ粛々とやればいいのではないか、重点ではない政策について網羅的に評価をすると、かえって形骸化するばかりではないかというご指摘をいただいております。
     また評価のメリハリにつきましては、総務省は幅広い政策を所管しており、大きな問題も抱えているけれども、すべて網羅的に評価するのは時間や労力が膨大にかかって大変であり、メリハリが大切だと。また、評価はいろいろな場面で使われている、例えば学校の評価というようなことについても言われているが、どうもその数値が一人歩きしているという批判もあるので、数値化を進めてきたけれども、そこは少し気をつけなければいけないのではないかというご指摘がございました。
     また、他の先生からは、メリハリをつけるべきであって、きちんと毎年度の数値目標を持ったほうがよい政策と、トライ・アンド・エラーで取り組む政策というものがあり、また毎年見直すのではなくて、ある程度期間が経ったところできちんとした見直しをする政策は、やはり区分けしたほうがいいのではないかというご指摘がございました。
     それから、逆に何年かに1回評価すればいいということにすると緩んでしまうかもしれない、ただ、しっかり評価する年と、簡潔に評価する年を組み合わせるような工夫はあるのではないかというご指摘がございました。
     それから評価の観点でございますが、必要性、有効性、効率性ということで取り組んできて、自分も独立行政法人の評価にかかわっているけれども、なかなか相互に関連し合っていて区分けするのは難しいということ。あるいは、同様に観点につきましては、あらゆる観点を評価しなければいけないというのは、かえって無理が出てきているのではないか、もう少し自由度を持たせたらいいのではないかというご意見もございました。
     次に、総合評価の関係で企画官が説明の際に若干申しましたが、白書や審議会の議論も少し活用してはどうかということにつきましては、ある先生から、政策評価や予算要求の時にいろいろな資料を作る、白書を作るというような作業をしているが、それぞれがばらばらに自己完結的になされており、もう少し相互に流用活用したらいいのではないかというご指摘がございました。
     それから予算と評価でございますが、これについては地方自治体でも非常に重要な問題として悩んでいるところだというご指摘がございました。ある先生は財務省の財政制度審議会にかかわっておられることから、予算と評価の連携については財政制度審議会でも議論をしており、先ほどの諮問会議の、あるいは骨太方針のほうにも書いてあるとおり20年度から実施することになっているが、最大のネックになっているのが単年度予算主義だと。政策というのは、単年度で結果が出るというよりやはり数年をかけて結果が出てくる、ということになると、本当は複数年度予算制度となじむかもしれないと。ところがこの議論を財政制度審議会ですると、憲法や財政法の会計年度主義という点ではネックが出てきているというご指摘がございました。現在、財務省で予算書の項や目を改編することになっていますが、これについてはきちんと各省と詰めなければいけないと。特に総務省の場合には先ほどご指摘がございましたが、事業予算ではございませんので、政策予算のかなりの部分が人件費や庁費のようなものでしか表せないというところが難しい、ということでした。
     それから、同じく評価の活用でございますが、政策評価――企業であれば人事評価の結果を給与やボーナスに結びつけることができるけれども、日本の場合には人事評価とは一応切れている。ここについて、少なくとも管理職の給与や昇進に反映できるようなインセンティブが与えられるようなことはできないかと、これは制度論でございます。それから最後に、評価会の位置づけですが、これもいろいろ先生方のご意見が違うようでございます。ある先生は政策評価会というのは総務省が行った政策評価をチェックする場であると考えておりまして、政策の中身自身を議論するというのはいかがなものかというご指摘がありましたのと、逆に自分はある特定分野について意見を言うようにということで頼まれて評価委員になったのだから、自分はその分野についてものが言いたい。むしろ政策の評価の仕方ややり方、手法についてはあまりよくわからないし、あまりわからないというようなご議論がありました。
     それから、その中間的な意見ですが、政策評価を議論すると、結局は政策の中身に入らざるを得ず、切り分けは難しい。ただ、そこは区別して議論をしないと議論の軸がぶれるというようなご意見をいただいております。さらに全体のスケジュールについてですが、少し後倒しでじっくり時間をかけるということについては賛成をするということ、それから予算制度改革のスケジュール等をきちんと合わせて、幅を合わせて議論をしていったほうがいいのではないかというご指摘をいただいております。簡単でございますが、以上でございます。
    【中邨座長】  私からも、1、2点お話申し上げたいことがあります。1つは第1番目の政策評価の質や内容という点でございますが、長い期間をかけまして政策評価の質や内容の高度化に向けて、いろいろ話をしてまいりましたけれども、だんだんとわかってきたことは、内部評価にはどうやら限界があるのではないかということです。従いまして、この政策評価を今後総合評価として外部に出す場合には、誰に向けてこの評価を発信するのかについて、やはりもう少し我々の間でも役所の中でも、ターゲットを明確にしていただいたほうがいいのではないかという印象を持ちます。つまり外部の皆さんが、内部で評価されたものをどう受けとめておられるのか。先ほど上山先生からステークホルダーというお話がありましたが、ステークホルダーの皆さんがこの総務省の評価について一体どのような感想をお持ちかということを、何らかの形で求めるということも考えるべきだろうという気がいたしました。
     2つ目には、政策評価の活用でございますが、これは上のほうとも関係しますけれども、やはり総務省というのは3つの旧省庁が集まってできたものですから、政策評価をやるとなると、無理矢理に全部1つにまとめてきたというところがありますので、おそらくこの総合評価では思い切って発想の転換をして、3つばらばらになってもしようがないのではないかなという率直な感想を私は持ちます。そうしますと、今までの論議は一体何だったのかということになるかもしれませんが、しかし今後のこと――総合評価はともかくとして今後、これからということになると、あまり3つの制度官庁と事業官庁を一緒にして同じ手法で進めるということにしても、やはりぎくしゃくとしたものが出てくるのではという印象が非常に強いと私は思います。従いまして、今後はそういうことを含めまして、1つはやはり内部評価の限界、そして発想の転換が重要な今後の指標になるのではないかという印象を私は持ちました。私からは以上でございますが、何か他に上山先生ございますか。
    【上山委員】  今、座長がおっしゃった、無理に3つ束ねなくていいという点は私も同じような印象を持ちます。総務省は何をするところで、全体として何をしているのかというのは、ある意味では総括的に一覧性のある説明は必要だと思いますが、やはりPlanDoCheckActionというようなことを言い出すと、私は旧省庁の固まりというのは現実的だと思いますし、ひょっとするともっと小さい局単位ぐらいの方がよいかもしれません。他省庁を見ていると、どうも局単位で管理すると一番やりやすいという感じです。政策評価の最初の3年はおそらくアカウンタビリティー、説明責任というところを非常に重視しましたし、省庁も再編したので省全体で何をしているのかをわかりやすく説明するというところがとりあえず重要だったと思います。後は、とにかく数字にしてみるということが私は意味があったと思います。しかし、もう少し意味のある具体的なところに取り組んでいこうとなると、やはり局長の責任や局の目標、あるいは達成度の測定など、そういうところでやらないとむつかしい。どうも省全体や大臣の責任などといっていると、非常に担い手がぼやっとしてしまうような気がします。そのようなこともおそらくこの活用のところの評価のコメントの中に、何らかの形で入れていけばよいのではないかと思います。
    【中邨座長】  どうもありがとうございました。
    【上山委員】  済みません、失礼します。

              (上山委員 退席)

    【中邨座長】  もう1つ最後に私からのコメントでございますが、政策評価の実施体制についてでございますけれども、やはり3年、4年近いこの委員会でございましたが、そろそろやはり賞味期限も切れてきたのではないかという印象を持っております。ですから賞味期限とは別に使用期限もそろそろ考えてもいいのではないかと。どういう形になるにしろ、一応この総合評価が終わった段階では、こういうたくさんの大変ご多忙な皆さんを集めるという制度にも限界があろうかと思いますし、先ほどのお話のように、ある方は自分の得意分野について政策にも踏み込んでお話したいという意見と、いやそうではなくて、政策の評価を討議するのだという意見、この2つがあります。そういうことも考えますと、今までそれらを一緒にしてきたこの委員会には、そろそろ賞味期限と使用期限で限界に近づいているのかなというのが私の感想でございます。今後どういうことになるのかは、それは役所のほうでお考えをいただいたほうがいいのかもしれませんが、私としては何らかの形で組織の再編成ということもぜひお考えをいただければと思います。
     何か他にございますでしょうか。町長いかがでございますか、何かございましたら。多賀谷先生いかがですか。
     何か事務局のほうで準備をされた他に、我々が意見を交換するようなものがあれば、お話をいただければと思います。いかがでございましょうか。
    【岩田政評課長】  では補足説明でございますが、今日は予算と評価の連携ということを最初のほうでご説明させていただきました。現状でございますけれども、閣議決定には先ほどご覧いただいたとおり、20年度を目途に予算書、決算書を見直すということが書いてございます。実はこれは経済財政諮問会議で出てきた議論を踏まえてございまして、諮問会議ではこの先に成果重視の予算編成、予算編成に成果というものを組み込んでいこうということでございます。そこの工程表、タイムスケジュールとしては、概ね20年度の予算編成を、成果を踏まえた、政策評価を踏まえたものにしていくということでございますが、具体的には今のところ19年の夏に実施する予算編成あたりをめがけて予算書の項、あるいは目、事項の組みかえを議論していくと。ただそれが実際に19年夏の予算編成までに間に合うかどうかはまだ明確ではございませんが、我々といたしましては、それに合わせまして予算要求の項目の立て方を変えていくことが必然になってきますが、併せてそれを政策評価の項目立てとあわせていかなければいけない。現状を申しますと、政策評価の単位は26事項ということになっています。一方、総務省の予算の立て方は項、目で申しますと、総務本省という項の他に例えば国勢調査費や独立行政法人への運営費交付金、あるいは地方交付税への移しかえというような大きな項になってございます。予算の大きな固まりで申しますと、約16兆の予算のうち、15兆が地方交付税への移しかえ、残りの1兆弱が恩給費でございます。残りの1兆弱が事務経費になりますけれども、そのうち相当分が人件費、庁費ということで、実は項で申しますと、総務本省という項の中にあらゆる政策経費が入っているという形になっております。そのあたりをどう見ていくのかでございます。各省を見ますと、これもいろいろな経緯でばらばらでございまして、文部科学省などは、項の段階でかなり政策的に切れています。例えば生涯学習費というのが項で既に立っている、これは昔の社会教育の名残だと思いますが、一方非常に大きいものでは、防衛庁は防衛本省に陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、一括で入っているというぐらい大きい。彼らに言わせますと、例えば石油を買う時に、石油代金が足りなくなったとしても、海上自衛隊で足りなくなった時に国会の議決を経ないで陸上自衛隊の分をまわせるというぐらい弾力的なのですが、政策という意味で本当にそれでいいのかどうかというような議論も財務省でしているようでございます。
     そういう政策と予算を連動させるというような大きな動きがございますので、我々としても政策評価の体系を予算の体系とあわせていくということを、来年の夏にかけてしていこうと、本日はそのスケジュールで少し後倒しになりますが、そういう動きがあったということを補足させていただきたいと思います。
    【中邨座長】  何か他に。どうぞ。
    【多賀谷委員】  これは予算とは全然関係ありませんが、先ほど中邨先生が今後どうするのかと、賞味期限が切れたという形でおっしゃっていましたが、私の現段階の感想を言わせていただきますと、総務省の中ではいわゆる政策的な分野と、そうではなくてある程度、かなり決まっているといいますか、ゾーンとして役割として決まっている分野と両方あると思います。後者は例えば、郵便行政の監督あるいは消防、恩給、そういう分野は、もうどのみち総務省がやらなければいけないし、それからやる役割というのは相対で決まっていて、これは伝統的な評価方法でそれなりにできると思います。問題はそれ以外の分野について、先ほど上山委員は局単位といいましたけれども、私は局単位というよりは、もう少し大くくりで、今の印象では自治行政と通信放送行政と、その2つぐらいが政策として今後重点的にメリハリをつけて、まさに先ほどどなたか、欠席された方からのお話で、重点化された政策の評価ということもありましたが、そういう分野をある程度大くくりにしたほうがいいのではないかと思います。ただし、その政策を今後どうするかということは、まさに総務省自体が自らの責任によって決定する話で、それをこの評価会で判断するというのは任に余ると思います。ただそういう問題について、総務省自体が政策的に判断するのとは別の切り口で、1つの参考になるような、第三者的な形で評価するという方策ができれば、こういう評価会も存在意義があるかなという気がいたします。ただそうはいってもそれは難しいですから、無理だということであれば、これはもう閉会しても私は構わないと思います。
    【中邨座長】  何か他にございますか。どうぞ。
    【青木委員】  事務的なことでお伺いしたいのですが、平成18年度の総合評価は結論がいつ出るのか。先ほど20年度を目標にローリングというか見直しをするというようなお話もありましたが、やはり長所、短所はあるにしても平成18年度の総合評価がきちんと出ると、それを土台にしていろいろな議論も生まれてくると思います。そのあたり、事務的にどういうところで結論を出して次のステップを踏むのか、どうなのでしょうか。
    【岩田政評課長】  資料の1にございますとおり、総合評価の評価書について、出口のところは来年19年7月ぐらいを目途に、決定しようと思います。
    【青木委員】  それは18年度の評価ですか。
    【岩田政評課長】  はい。18年度総合評価の結果としての出口は19年7月ぐらい、これは先ほど申しました20年度からの予算編成ということになりますと、実際には19年の夏には、予算要求しなければいけませんので、それにうまくタイミングを合わせていくというイメージでございます。
    【青木委員】  わかりました。
    【中邨座長】  1つだけお伺いしたいのですが、この実績評価書という、今日お配りいただいたものがございますが、これは大体何部ぐらい印刷されているのですか。
    【岩田政評課長】  評価書、要旨とも500部でございます。
    【中邨座長】  そうですか。なぜそういうことを聞いたかといいますと、例えば東京23区など、地方自治体もこういうことを始めているところが非常に多くなりましたが、正直なことを言いますと、例えば私の知っているところでは、もう見るに堪えないような評価書を作っております。もしそういうところから要望があれば、差し上げていただけると、日本の地方自治体の政策評価の向上に資するところが大変多いと私は思いますので、よろしくお願いいたします。
     他に何かございますか。それでは、今日は委員の方も大変少ないことでもございますので、若干時間は早目ではございますが、私どもの討議はこれで終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
    【岩田政評課長】  本日は長時間にわたり、活発にご議論をいただきありがとうございました。それでは最後に、村木政策評価審議官から一言ごあいさつを申し上げます。
    【村木政策評価審議官】  皆様には大変ご多忙の中、評価会へご出席いただきまして、大変ありがとうございます。また、活発な議論をいただきまして、深く感謝申し上げます。本日は非常に広範、多岐な点について貴重なご意見をいただきましたけれども、その内容を私どもの事務局で整理させていただきまして、年明けに改めて日程を調整の上、第3回評価会を開催し、その論点について委員の皆様に議論をいただき、検討を深めていきたいという具合に考えております。今後とも政策評価のさらなる充実に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
    【岩田政評課長】  それでは以上をもちまして、評価会を閉会させていただきます。
     どうもありがとうございました。



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