平成18年度第3回総務省政策評価会議事録


  1.  日時:平成19年2月21日(水)1500分〜1620

  2.  場所:総務省9階 第三特別会議室

  3.  出席者:
     中邨 章 明治大学大学院長・副学長
     荒巻 禎一 前京都府知事
     上山 信一 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
     小澤 浩子 赤羽消防団団本部分団長
     北大路 信郷   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
     國井 秀子 株式会社リコー常務執行役員
    ソフトウェア研究開発本部本部長
     多賀谷 一照 千葉大学法経学部教授
     村本 孜 成城大学社会イノベーション学部長

    【総務省出席者】
    山川大臣官房総括審議官、村木大臣官房政策評価審議官、
    渡会大臣官房総務課長、下河内大臣官房会計課長、吉崎大臣官房企画課長、
    岩田大臣官房政策評価広報課長、河内大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1) 平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について
    (2) その他

  5.  配布資料(PDF)
    資料1  「総務省が実施した政策評価についての総合評価」(案)のポイント
    資料2  「総務省が実施した政策評価についての総合評価」(案)の構成イメージ
    資料3  今後のスケジュール(案)

  6.  議事録

    【岩田政評課長】  それでは、時間でございますので、第3回総務省政策評価会を開催いたします。
     本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。政策評価広報課長の岩田でございます。よろしくお願いいたします。
     本日は、青木委員、大住委員、城山委員、滝澤委員、増田委員がご欠席でございます。多賀谷委員はご出席の予定でございますが、少し遅れておられます。
     それでは、中邨座長、お願いいたします。


    議題1【平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について】

    【中邨座長】  中邨でございます。皆さんお忙しい中お集まりをいただきまして、大変恐縮でございます。
     それでは、議事次第に従いまして本日の会議を進めてまいりたいと思います。本日の議題は平成18年度総合評価についてでございます。既に前回の評価会でもいろいろとご議論を頂戴しましたが、今年度は総務省の政策評価そのものを総合評価方式によって評価することになっています。政策評価の様々な課題につきまして、ご議論を頂戴できればと思います。
     それでは、事務局からご説明をお願いします。

    【河内企画官】  企画官の河内でございます。資料に沿いましてご説明いたします。
     まず、お手元の資料1、「総務省が実施した政策評価についての総合評価」(案)のポイント、でございます。表紙の下に四角で囲んで書いてございますが、実際の総合評価書をまとめる際には、職員アンケートの結果、その他これまでの評価会でのご指摘等々、具体的な材料を踏まえて記載します。本日はポイントだけをパワーポイントの資料でまとめましたので、それに沿ってご説明します。
     表紙にございますとおり、1から9まで9つの論点のそれぞれについて、これまでの実施状況、その評価、課題と今後の方向性という形でまとめています。
     1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。
     まず、政策ごとの評価方式及び実施頻度の決定です。
     1点目の実施状況ですが、これまで主要な政策の全てについて毎年度実績評価方式による評価を実施してまいりました。
     それについての評価としては、まず、5年間で数多くの実績評価を実現できた。ただ一方で、一部の政策については、指標による分析という実績評価の実施の困難さを指摘する意見が数多くございました。2点目として、毎年度の評価は、職員の意識改革に一定の効果があったと思いますが、一方で事務負担感が強いという意見は非常に多かった。さらに、政策によっては、毎年度ではなく複数年度単位で効果を測った方がよいという意見もございました。
     今後の方向性ですが、実績評価方式以外の評価方式も選択できるようにして、より的確な評価方式を検討することが必要であろうと。2点目としては、事務負担感を解消する、さらには適切な評価時期に重点化するという観点から、一律に毎年度評価するという方針の見直しも検討に値するのではないかと考えています。
     次のページは、指標及び目標値の設定です。
     実施状況ですが、これまでできる限り定量的な指標で数値目標を設定すること、またアウトカム指標を設定する方向で努めてまいりました。また、目標の達成度を指標のみによって測定することが困難な政策については、参考となる指標を設定してまいりました。
     その取組への評価としては、まず、数値目標を設定している政策が全体の69%、アウトカム指標を設定している政策が81%まで増加したということで、わかりやすい指標あるいは目標値の設定といった面で一定の効果があったと評価してよろしいのではないかと思います。ただ、2点目として、設定している指標では政策効果の全体を表せない、一部しか表せない政策もあるという点が反省点としてあろうかと思います。最後に、参考となる指標については、そもそも指標の設定の困難さと各政策の特性との関係が十分に明らかにできていない等、必ずしも十分な効果を上げるには至らなかったという反省があろうかと思います。
     今後の方向性としては、数値目標やアウトカム指標を可能な限り設定するという基本方針は維持しますが、ただ、既に相当程度これらを増加する努力はしてきたということから、あまり無理にここから先も推し進めることで、おかしなことになるのではないかという恐れも一方であるのではないかと考えています。2点目としては、政策効果を適切に測ることのできる指標の設定についても、今後、より検討して努力していくことが必要であろうと思っています。最後に、参考となる指標しか挙げられない政策については、実績評価以外の適切な評価方式の再検討、あるいは参考となる指標をより生かせるような努力について今後検討する必要があるのではないかと考えております。
     次に、3点目として、主要な政策の体系の明示と実施時期でございます。
     これまでの実施状況としては、主要な政策については政策の達成目標、指標、目標値を目標設定表の中で体系的に整理し、政策を実施する年度当初に公表してまいりました。
     この評価としては、政策を実施する年度当初にこれらを公表することで、客観性の高い政策評価の実施に効果があったのではないかと思います。さらには、政策実施段階から担当職員に政策の達成目標等を認識させる効果もあったのではないかと思います。従いまして、この点については、今後も引き続きこうした方向で進めていきたいと考えています。
     4点目が、評価の観点ごとの分析の論理性です。
     これまで、項目に沿った適当な内容となっているか、あるいは分析は論理的か、わかりやすいか、この3点に留意して評価書の作成を行ってきました。
     そのでき上がりの評価としては、例えば実績評価の指標の状況を用いて必要性を論じたり、効率性分析の中で資源投入量と関係なく結論が導かれていたりするなど、評価の観点ごとの分析について的確性、論理性を欠いた記述が散見されたというのが評価であろうかと思います。
     今後は、まず、その記載要領の充実、あるいは原局原課で作成した評価書を我々政策評価広報課で審査していますが、そうした当課の審査能力の向上にも取り組んで、的確な記述に努めていく必要があろうと思います。
     5点目が、政策評価の結論、いわゆる端的な結論です。
     年度ごとに若干の表現ぶりの違いはありますが、類型I1から類型IV4まで4つの類型ごとに定めた標語を記載してまいりました。
     この評価としては、まず、結論の把握のしやすさという面での効果はあっただろうと思いますが、一方で類型I1、類型IV4に分類されるものがほとんどなく、実質的には類型II2と類型III3のどちらかに分類されるという状況でした。しかも、必要性の結論を導く意味合いが強く、必ずしも有効性分析の結論を端的に表せていたとは言えないのではないかという反省がございます。今後は有効性の結論をより端的に表せるような方向で見直していくことが必要ではないかと考えています。
     6点目、評価書の公表です。
     これまで、公表の仕方としては、評価書自体が非常に大部の冊子ですので、報道発表を行うとともに総務省のホームページでオープンにするという形で公表してまいりました。これが最も現実的でもありましょうし、広範囲の国民にとって最も効率的な情報提供の方法ではないかと考えていますので、引き続き公表の方法としてはこの形で行うのがよろしいかと思います。
     7点目、政策の括り方です。
     平成14年から平成16年度においては主要な政策を約80程度に分類していましたが、政策の戦略体系の明確化、あるいは国民によりわかりやすい評価書にすることを狙いとして、平成17年度以降大くくり化し、現在26に分類しています。
     この26の大くくり化の評価ですが、まず、非常にわかりやすいと評価する意見、あるいは大くくり化によってアウトカム指標が立てやすくなることを期待するといった意見があります。一方で、26に大くくり化した後も80程度の小単位での指標と目標値の動向を省内でまとめてきましたが、26の政策単位での評価との重複も多く、作業量の割に十分な効果が見られなかった面もあるのではないかと思います。
     今後の方向性ですが、大くくり化の方向性は維持しつつ、1つは評価結果があまり抽象的になり過ぎない程度に政策を絞り込むこと、もう1つは、政策評価と予算との連携の要請にも対応できるよう、予算書の項と対応する政策を、予算の執行が可能な程度に大くくり化できているかといった点に留意した見直しを行うことが必要であろうかと考えています。2点目としまして、80の小単位での指標及び目標値を設定して動向をまとめるという取組は廃止してもよいのではないかと考えています。
     9ページ、政策評価と予算との連携の要請です。
     これは、平成18年7月に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針の中で定められているものですが、総務省だけでなく、政府全体の課題として、政策評価に用いる政策体系が予算書、決算書の表示科目と対応していないため、政策評価の予算要求等への反映状況が検証しにくいという指摘がされています。このため、予算書、決算書の表示科目と政策評価の体系との整合化のための作業が現在進められているところです。
     次に、8番目、評価結果の政策への反映です。
     現在の実施状況としては、まず1点目、毎年9月になりますが、政策評価の結果の政策への反映状況を取りまとめて公表しています。次に、これは平成15年度以降ですが、総務省において予算概算要求に向けて開かれる省議、これは大臣以下、幹部が出席する会議ですが、その省議等に、政策評価の結果、評価書を会議資料として提出し、活用しているという状況です。
     評価としては、評価結果の政策への反映については定着しつつあり、一定の効果があると考えていますので、今後も引き続きこうした取組をしていくべきだろうと考えています。
     最後の項目ですが、学識経験者の知見の活用です。
     これまで政策評価会において、指標及び目標値の設定あるいは実績評価書案を中心に評価制度の運用全般についてご意見をいただいた結果、様々な改善が実現してまいりました。ただ一方で、前回も議論になりましたが、評価会の役割あるいは委員の先生方の任期といった基本的な事項が必ずしも明確にされてこなかったという点がございます。
     今後は、運営要領等を作成するなどして会の基本的な役割や運営方法について明確化していく取組が必要であろうかと考えています。
     簡単でございますが、これが資料1でございます。
     次に、資料2でございます。
     先ほどの資料1は、最終的にまとめる評価書のポイントを簡単にまとめたものですが、資料2は、いわば評価書の構成イメージでして、まだ中身はございませんが、骨組をイメージとしてお示ししています。特に説明はございません。
     最後に、資料3でございます。
     今後のスケジュール案として、本日2月21日、評価書の構成イメージ及びポイントについてご議論いただきます。その後、2月から5月までの間にかけて、事務局で総合評価書案の作成をしたい。6月に次回の政策評価会を開催し、総合評価書案についてご議論いただきたいと考えています。加えて、6月の政策評価会では、総合評価だけでなく、平成19年度実績評価書についてもご意見を頂戴したいと考えています。できれば、今年7月の段階で最終的な総合評価書を作成したいと考えています。
     最後に、下の米印(※)ですが、総合評価書の作成後、その内容を踏まえて新たな総務省の基本計画あるいは平成19年度実施政策の目標設定の策定作業に入りたいと考えています。
     非常に雑駁でございますが、以上でございます。

    【中邨座長】  資料1、資料2、資料3についてご説明がありましたが、これらについてご意見、ご質問等がございましたら、お願いします。

    【上山委員】  ご説明いただいた内容はよく分かりました。資料1が中身としておそらく一番大事だと思います。これは大事なところを抜き書きしたという意味で主要論点がピックアップしてあると思います。しかし体系的にカバーできているかどうか、あるいは、これ全体が報告書になるとすれば、正統性という意味では、まだ詰めなくてはいけないことが山ほどあると思います。絶対に必要な要素はきちんと書いてある。しかし、十分な要素が全部入っているという感じはしない。
     例えば実績評価に関してのみ議論するということでよいのでしょうか。今回は、実績評価だけを評価の対象にするのか、それとも総合評価自体も評価の対象にするのか。それから、その3つの評価方式以外も含めた公表の仕方や推進体制、さらに評価システム全体を今回の総合評価の対象にするのか。それがよくわからないのですが、まず、そこはいかがでしょうか。

    【岩田政評課長】  まず、本日ご議論いただく対象ですが、資料2の構成イメージをご覧ください。本日はその全てをご議論いただくところまでは、材料を提供し切っておりません。これはあらかじめご了解いただきたいと思います。本日準備した資料1は、前回の会議で概ね論点をご紹介しまして、その時にいろいろご議論いただいたものを中心としています。この評価会では基本的に実績評価書について今までご議論いただいていますので、それを中心に今回まとめています。
     それから、総合評価、事業評価についてはどうかというご指摘ですが、総務省の場合、今回の総合評価を除きますと、今まで2回、総合評価をしています。総務省の政策の統合促進と行政相談の2つです。事業評価については法律に基づき研究開発等々で毎年度評価していますが、これまでこの評価会ではあまり議論をしていただいたことがないと思います。最終的に総合評価書の中では、それらも含めて評価をしたいと思いますが、本日この場でご議論いただきますのは、これまでいただいた意見等々を踏まえまして議論していただきたいと思います。
     それから、公表の仕方等々についても、この資料の最後の方に書いていますが、そういうところで進めていきたいと思っています。

    【上山委員】  資料1の性格はわかりました。
     そうすると、今日の資料1は、資料2の目次でいうと本編の3の(3)、実績評価だけではないが、主に(3)をカバーした資料ということでしょうか。

    【岩田政評課長】  基本的にそのとおりです。ただ、当然、対象や狙いというものは背景にしておりますけれども、現象面から申しますと、そうでございます。それから、公表のところも若干は対象にしているということです。

    【上山委員】  わかりました。
     それはそれでよいのですが、それを前提として、そのこと自体が私は問題だと思います。
     実は、資料2の目次、第3章の中が、実績評価、総合評価、事業評価と方式ごとに分かれています。この方式が、道具としてどうだったか、あるいは道具をどう使ったかについての評価は、第3章の(3)実績評価、(4)総合評価、(5)事業評価で十分カバーできると思います。しかし、総務省が実施した政策評価は、この3つの方式をただ実施しただけではないと思います。少し細かいことを言うと、(3)、(4)、(5)は3つの類型を担当課が原課と相談してデータをまとめて体系化する作業に関する議論でしかないと思います。決められた手法に従ってきちんと評価データを挙げ、加工して文書にするという手続に関する議論でしかないと思います。(6)評価書の公表、(7)評価結果の政策への反映は、全く別の次元の話だと私は思います。別の言い方をしますと、第3章の中が2つに分かれるように思います。第3章の(1)、(2)はわからないでもないですし、(6)、(7)もわかりますが、(3)、(4)、(5)は別の章にした方がよいように思います。中身を見ると、非常に細かい具体的なテクニカルの話が多いのです。
     そこで、1つ提案ですが、第3章の中にこうして全部入れるのはいかがなものか。総論と各論に分けるべきであり、評価という手続の実施と評価を同じ章として扱うのは、違うのではないかということです。
     もう一つ、全く違う角度からですが、今回の評価対象が、今行われているこの3つの作業、評価方式であり、これを今年度も実際に実践しています。測定作業あるいは評価作業と言ってもよいと思いますが、機械に例えると2007年方式の車が走っています。ここで、2007年方式の車を捉えて2008年あるいは次回のモデルチェンジはどうあるべきかという道具のモデルチェンジの議論をするのが今回の総合評価なのか。それとも、車を走らせている総務省という組織が過去5年間、政策評価をきちんと実施してきたかどうかを振り返って議論するべきなのか、どちらなのか。何か車のモデルチェンジのことだけ議論しているようで、矮小化ではないか。逆に言うと、非常によいことをしてきたが、それを書けていない部分がある。よいことというのは、例えば途中で評価指標の見直しをしたり、評価の体系を変えたりしています。参考資料を見ると様々なデータが出ていますが、政策の数を17年度から大くくり化するなど、様々なバージョンアップを試行錯誤しながら途中経過でしています。それが実は、総務省が政策評価をきちんと実施してきているということの非常に重要なメッセージではないかと私は思います。こういうことは書かないのでしょうか。
     法律に定められたとおり毎年報告書を出しました、3つの形式がありました、指標を作りましたということは、必要条件でしかありません。十分条件は、そこから上がってきた内容を実際の業務にきちんと活かしました、あるいは試行錯誤しながら評価のシステム自体をバージョンアップしてきました、予算につながりました、という話です。従って、5年間の歴史、総務省における政策評価の活動そのものを振り返って評価するべきです。今使っている今年の3つの手法がどうかという議論は、一部の各論でしかないと思います。
     そういう意味でも、第3章の(3)、(4)、(5)は、現行モデルで実際使っている3つのマシンがよいのか悪いのかという議論に絞って、別の章にした方がよいのではないかと思います。過去5年の取組はもっと前向きに、結構頑張りました、試行錯誤しながらここまで来ました等、褒めることや定性的なことを含めて書いた方がよい。実は、それを書く場所がない。それがどこに入るのか、よくわかりませんでした。
     あるいは、それを書く筆者や編集者はどういう立場で、どういう切り口で書くのかもあまり見えません。現在の章立てでは、例えば資料2の3ページに取組の構造の検証とありますが、ここには既存の訓令を張りつけると書いてあります。しかし、こんなものを張りつけても総合評価にはなりません。それは建前ですから、ここに単に張りつけても仕方ないと思います。編集長がいて、編集長が責任を持ってまとめる。その顔が見えません。以上です。

    【岩田政評課長】  資料2のイメージがまだ生煮えであり、若干誤解も受けたと思います。ご指摘の資料2は訓令を張りつけるというイメージではございません。構造の検証というところで時系列的なこと、事実関係を書いていくことをイメージしていまして、例えば80あった実績評価の対象の数を大くくり化してきたことも、構造の変化として書こうと考えています。本日の資料ではそのような部分が確かに見えづらく、実績評価だけ、つまり第3章の(3)が資料1というように見えたかもしれません。

    【中邨座長】  よろしいでしょうか。

    【上山委員】  はい。

    【中邨座長】  何か他にございませんでしょうか。

    【北大路委員】  今、上山先生が指摘された部分については、私は資料1のポイントの所で、どういう経緯で大くくり化されたのかということや、だんだんとアウトプット指標が見直されてアウトカム指標が増えてきたこと、定性的でなく定量的なものが増えてきたこと、などの記述があるのだろうと考えていました。そういう意味で、上山先生が指摘されたことはこの中でカバーするのだろうと思いました。
     あとは論理的、体系的、という部分です。目次の構成案にある3つの評価方式は、果たしてこだわるようなものなのか。現実に実績評価が相当大きなウエートを占めているのであれば、そこに相当の焦点を当てたような構成にしてもよいのではないかという印象を持ちました。コンテンツがかなり充実した時に、もう一度編集といいましょうか、目次の体系化をしっかりと議論されればよいのではないかと思います。
     そうした意味で、資料2の目次案より、資料1のポイントという部分を中心に流れを組んだ方が、きちんと実施してきたことがわかるのではないかと思います。資料2の目次の構成が、報告書ということをイメージした、教科書的な作り方になっているために、やや形式的に見えてしまうように思います。
     形式が整っているよりも、内容が非常にわかりやすい、これまでやってきたことが動的にわかるような報告書にしていただいた方がよいと考えています。

    【中邨座長】  他に意見はございますか。

    【多賀谷委員】  資料1に基づいて、1つだけコメントします。
     政策評価の結果について、端的な結論は、類型I1から類型IV4のうちの類型II2、類型III3が今まで中心になっていた。そして、対象政策の必要性の結論を導く意味が強いので、今後は有効性の結論を表せるような方向で見直すということです。一方、政策の括り方の箇所で、政策評価と予算との連携という議論が出てまいります。予算書の項とある程度対応させて、要するに予算要求等に絡めていこうと。その場合に、どうなるのだろうかと思います。
     というのは、政策評価と予算との関連で、今まで考えてきたような、政策評価において実施した作業と、予算との関連で評価書を作るということは、やや視点が違ってくるような気がします。例えば予算は基本的に単年度ですが、今後、評価の実施を毎年度ではなく複数年度とした場合の仕組みと、どう対応関係を立てるのか。それから非常に皮肉な話ですが、今までの評価は、対象政策の必要性の結論を導くということであり、予算の観点から言えば、ある意味、その方が適しているというような面もあります。成果が上がっており、これまでの取組を継続すべきであれば、前年度並みの予算を計上して欲しいという要求になります。また、新たな対策が必要であるという類型III3の場合は、見直して当該政策として別の事業を行うという結論が前提になるのでしょう。これを有効性の結論を表すような形で作り直した場合に、どうなるのかと思います。
     それから予算の場合、財務省に要求する時は、こうした端的な結論だけでなく全体の中でどれを優先して要求していくかという優先順位の話が当然出てくると思います。それと評価作業がどう関連するのか。あるいはそれとは別に要求するのかということを少し頭の中に置いて作業をしていただければと思います。

    【岩田政評課長】  予算との連携については、現在、主計局と行政評価局、それから各省との間で作業が進行中であり、具体的にどのような形になるかまだ見えていません。それもありまして、この総合評価の出口も、年度内という予定から少し延ばさせていただきました。
     先ほどご指摘いただいたことは非常に重要で、主計局が予算査定上求める政策評価の結果と、法律あるいは今の制度が求めている政策評価、あるいは政策評価実施庁として回していくべき政策評価の重点の置き方は、従来、必ずしもはずが合っていなかった。そこをなるべく合わせていこうという営みが今回の予算、決算との連携です。それを技術的にどうするかについてはかなり難しい面がありますが、ただ方向としては、やはり施策を大くくりにしていく。課の単位で80100も政策評価をし、それぞれに予算要求するということではなく、やはり省としての重点政策を踏まえて、アウトカムレベルの成果を測り、それを基にして予算要求する、あるいは決算として見ていくという方向です。
     その次に、必要性、有効性、効率性のどこに焦点を当てるかについては、端的な結論部分ではむしろ有効性を重視したら良いのではないかということです。政策評価法では、「必要性、効率性、有効性、その他当該政策の特性に応じて必要な観点から自ら評価」をしなければいけないと決まっていますし、各観点からの評価について求められればきちんと出さなければいけないと考えています。しかし、現在の類型では、I1やIV4になりますと、もうそこで政策の必要性はないという結論になってしまうことから、どうしてもI1とIV4にはつけない、II2とIII3にしかつけようがないということになります。それでは結局ほとんど意味がなくなっていないかという反省の下、この段階で必要性がある、ないということはあまり表さず、まず有効性について端的に有効だったのかどうかを表すことが大事ではないか。その上で予算をつける、つけないという判断は別途あるでしょうし、効率性についてもう少し踏み込んで分析すべきという部分は、きちんと分析していくということだと思います。
     いずれにしましても、予算との連携の部分はなお進行中ですので、作業の進行に合わせて情報を提供したいと思います。

    【下河内会計課長】  予算と政策評価の関係でございますが、予算を編成し、決算を公表する立場から申し上げますと、予算編成におきましては、どちらかといいますと予算の項と言いますか、予算を編成する項目は割と大きな項目になっていました。一方で決算では、使われた使途ごとに、例えばこれは旅費に使いました、あるいは物を買いましたなど、どちらかと言いますと目的別ではなく使った使途別に公表していました。そこで問題意識を持たれて骨太の中で書かれていますのは、予算と決算を対比しても、実は予算で掲げた予算書の項目が決算においてどのように使われたか評価できないということです。結局、予算編成当局としては予算書と決算書を合わせたいということが当初にございます。そうなりますと、できるだけ政策なり目的別に予算も作っていく。決算もそれに応じて公表すると、非常に比較しやすい。その際には、従前から実施している各省での政策評価の大項目に合わせるのが、やはり最も効率的であろうということで、今、作業をしているところでございます。
     骨太の中では、20年度の予算編成からこうした作業を行うことになっており、具体的には今年の夏の概算要求から大くくりの項を政策評価にできるだけ合わせるということで、事務的には項をどうするのかについて政策評価を担当している政策評価広報課と相談し、主計局と作業をしているところです。
     この予算の大くくりの項を作る際に、総務省の場合、政策評価での政策は26ございますが、予算編成サイドからは若干26の手直しをしたいと考えています。
     と言いますのも、従来の政策評価の中に入っていないものが幾つかございます。例えば人件費や庁費等の共通的な経費は政策評価しづらいものですが、予算を組まなければいけませんので、やはりどこかに項を置かなければいけない。それから、全体の施設費、施設の修繕をする経費ですが、施設費についても、やはり政策評価は出ていませんが、予算を組まなければいけない。また、例えば戦後処理の関係の事業あるいは一部の独立行政法人に対する運営費交付金等については、政策評価から外しているものもありますが、予算は計上しています。それから、選挙関係の経費はなかなか政策評価に馴染まないのではないかということもあり、政策評価を行っていません。選挙関係の経費、政党助成費、あるいは基地が所在している市町村に基地交付金等を交付していますが、私どもとしてはこうしたものも予算的に計上せざるを得ませんので、政策評価に計上していないものを、予算としては26プラスアルファで項として組んでいくことになります。
     また、26の中で幾つか統合したいものもございます。例えば、地方行政関係では、地方の行革の取組を、行革で分類しているものと、地方分権の推進で分類しているものがあります。あるいは地方の人事的な指導もございます。予算的には、例えば地方行政制度整備費等で1本の項にした方がよいのではないかと相談しています。基本的には、26に従来評価をしていなかったものをプラスすることで、予算を立てる項の目標にも、従前実施していた政策評価をセットできますし、決算ができた時の実績にも活用できます。
     ただ、先ほど委員からご指摘いただきましたように、予算はあくまでも単年度ですので、同じ項を26プラスアルファでとったとしても、私どもとしては単年度の予算の目標の設定と、単年度の決算の評価という形が中心になって出てくるのではないかと考えています。そういう意味では、おそらく政策評価は中期でスパンを組んでいるということでございます。私どもでは単年度でやっていくことになろうかと考えています。少し補足でございます。

    【國井委員】  資料1の6ページの有効性の結論というお話で、ここはよいのではないかと思いますが、なぜ有効性分析があまり進まなかったのか。必要性の議論にウエートが置かれ、有効性分析があまりできなかった理由がもう少しわかると納得性があります。おそらく、出しにくいとか、あるいは現状で目標が具体的でないと、なかなか有効性の議論ができない、などという理由があるかと思います。以前の議論に出ていたのかもしれませんが、教えていただけますか。

    【岩田政評課長】  幾つかの問題が絡まっていると思います。まず一つは目標の立て方です。5年間政策評価を実施してきて、なかなか目標が立てにくい分野があったことは確かです。
     もう一つは必要性ですが、目標を立てる時の政策の大きさのとり方や、何を目標にするかということでして、必要性そのものを分析しても、ある意味仕方がないような目標の取り方をすることもあったのではないかと思います。つまり、政策の必要性は当たり前としか言いようがないという取り方をしたところがあります。
     もう一つは、論理性です。様々な数値を並べて評価するのですが、例えば達成度がある年は70%、次の年は80%、だんだん上がっています。従って、この政策は必要ですと、そういう論理立ての評価も、現実にあるということです。
     そうした様々な要素が絡まり、この政策は必要性がないという結論にどうしても持っていきたくない、あるいはそういうものはないということになります。そして端的な結論として、役割を終えた、あるいは成果が上がっていないとは言いづらいとなり、II2とIII3に集まってしまう。必要性の分析をしたからII2とIII3になり、I1とIV4にならないということでもなく、有効性の話をしながらII2とIII3の説明をしているというものが多くございます。やはり本当に必要性があるかどうかを判断するためには、そもそも目標の設定の仕方がきちんとしていなければいけないという問題があります。あるいは、何を政策体系とするかという点があろうかと思います。
     それから、必要性の判断は毎年度すべきなのか。毎年度、その政策が必要なのかと問い直さなければいけない政策と、例えばある程度政策効果が上がった時点、5年や10年経ってから評価するということがあってもよい。端的な結論はまさに毎年度予算要求に向けて評価する際の基準になる部分ですので、必要性ばかりではなく、むしろ、まず有効性とその政策が本当に役に立ったのかどうかを分析することが必要ではないかと考えています。
     ただ、先ほども申し上げましたが、必要性、効率性、有効性、その他必要な観点から評価をすることは、法の要請ですので、必要な部分についてはきちんと評価をするということでございます。

    【國井委員】  有効性の方向で見直しが進めやすくなるかというのは、どうなのでしょうか。まず必要性からという面はあるかもしれませんが、この3つはかなり絡まっています。総務省だけではありませんが、他のところの評価のメンバーにもなっていまして、そこでもこの3つをばらして議論できるかというと、なかなか難しい。本当に次に有効性の方向が全面的に出てくるかというと、それだけがポイントではないような気もします。もう少し抜本的な問題かもしれません。目標を具体的なものにできるかどうかという話、あるいはオルターナティブ、複数の施策があって、どれがよいかという形にすると、もう少し有効性が議論できるかもしれませんが、書きづらいのではないかと思います。本当に評価できますかというところを疑問に思いました。以上です。

    【小澤委員】  端的な結論は、ほとんどが類型II2かIII3であり、かえってわかりにくい、どれもみんな同じではないかという印象を一般の国民の方たちは感じるのではないかと思いました。ご説明を聞くと、今後有効性の分析の結論を端的に表す方向ということですが、具体的に何か腹案はおありでしょうか。どういう形で表すか、これも結局同じような抽象的な文言で、それぞれの違いがあまりはっきり出ないような表し方になってしまう恐れもあるとは思います。いかがでしょうか。

    【岩田政評課長】  具体的にどうするかについては、おそらく次期基本計画策定の時にもう少し議論していただかないといけないかと思います。
     端的な結論という書き方をしたのは、最初はおそらく農水省であったと思います。農水省は、基本的に目標の数値化を100%達成している役所であり、評価結果をA、B、Cの3つに分けています。Aが90%達成、Bが9050%達成、Cが50%未満ですが、基本的にAならそのまま進める、Bならば若干見直しをする。しかしCの場合、50%に達しなければすぐやめるという意味ではありません。より深い原因分析するための手法別評価をする判断材料として導入されたもので、類型化すること自身は目的ではなく手段だと思います。我々の場合、この4つの類型にしているのは、評価書の中できちんと分析して評価結果を書いているはずだが、読み手に端的にわかりやすく記述するということから、まず、4つに分けてみようということで何年か試行してきました。
     ただ、結果的には先ほどのお話のとおり、結局4つに分けても、そのうちII2とIII3だけ、あるいはIII3だけに集まってしまう。しかも、II2とIII3の差はどこかできちんと引けるのかというと、そこも曖昧です。そうであれば、そもそもわかりやすくする手段としての効果を発揮していませんので、そのこと自体を評価して見直さなければいけないということです。今回、有効性に着目してと申しましたのは、有効性と必要性は分けづらいのですが、やはり必要性の有無を結論づけてしまったかのような書き方では、非常に書きづらいので、そこでは必要かどうかではなく有効性で表し、必要性は別途評価する必要があればきちんと評価する、としてはどうかということです。

    【小澤委員】  そうしますと、評価書は政策評価広報課でチェックしているとのことですが、実際には各部局の担当が書いていますので、必要性ではなく有効性を強調するといいましょうか、結論として出るように、あるいは論理的に記述できるように、全ての職員にそうした意識を今後しっかり持っていただくことが大切だと思います。

    【中邨座長】  小澤委員のご指摘は、おそらく有効性というのは非常に主観的な話になろうかと思いますが、今後の課題として主観的な有効性という課題をいかにして客観的な指標にかえていくか、ということだろうと思います。

    【荒巻委員】  頭の整理もしながらお聞きしていましたが、そもそも政策評価制度が議論になり課題になったのは、言うまでもなく1つは費用対効果、行政の企画・立案・実施等において、費用対効果意識がないのではないかということから、企画・立案についてもっと費用対効果を考えるべきという流れが一つの大きな要素であったと思います。今日の資料の中にも書いてありますが、これについてはこの4、5年間の議論や取組によって、かなり職員の間に浸透してきたということで、これは実績も上がり、よいことであったと私も認識しています。
     もう一つは、行政の説明責任、開かれた行政という面から見て、やはり国民の行政に対する信頼感を確保しなければいけない、ということでこの制度を始め、法律化もされましたが、これもインターネット等も含めて公表するなど様々な形で浸透しており、かなりの効果があったと感じています。
     ところが、この制度を維持して定着させるためには、それなりに制度の存在意義、いわゆる制度を作るインセンティブが伴っていないといけないのではないかという点については、予算への反映や決算での反省などが、この評価制度と非常に短くつなげられる仕組みにするということにもかなり取り組んでいただいているので、今後さらに完成に向けて進めていただきたいと思いました。
     もう一つは、他の制度との二重構造や屋上屋という点です。白書やその他の各省の報告等との関係が指摘されながらも、お互いがどのような役割分担をし、それぞれの制度を有効なものにするかについては、まだ完全に整理できていないのではないか。しかも、この点を指摘するところがあまりないようですので、政策評価という立場から、強く言っていただいてもよいのではないかと思います。
     そうした中で、我々のこの評価会の仕事は何かと考えますと、スポーツでいえば、テニスにしても、ゴルフにしても、野球、サッカーにしても、まずルールがなければいけない。そのルールをきちんと作るための議論をして、その中でスポーツの質、レベルを向上するためにはどういう理論でそのルールを作るか、あるいはそのルールをさらに改善していくかという仕事があるだろうと思います。それが実際の実践面になると、どのようなフォームがうまく適合するのか、ということが出てきます。あとはやはり実践する人が一生懸命練習して身につけていかなければ完全なスポーツにならないということでしょう。我々の今までの仕事は、1つはルール作りと理論の深化、あるいは一定のフォームについての議論をしてきて、かなり詰めてきたと思います。あとの比重は、私は実践の方の練習、その他定着のための活動へシフトしていき、やはりこのルールではうまくいかない、もう少し改善、理論づけをしなければいけないというものについて我々の評価会が助ける、提言するというのがこの評価会の立場ではないかと思います。
     一つ一つの試合についてどうだったか、というところまでいくと、もう試合は無数にありますので、とてもこれぐらいの組織と人数で年に何回か議論して対応できるものではありません。やはり要は先ほど申し上げたようなルール作りや理論化、あるいはそれについてチェックし、改善すべきものはしていくということを今後進めていきながら、行政の第一線で練習を一生懸命してもらうというのが今の立場だと思います。そういう意味では、この数年間、皆さんが一生懸命取り組んでこられたし、我々も、思いつきも含めていろいろ提言したことが無駄ではなかったという思いを持って、聞かせていただきました。以上です。

    【中邨座長】  村本委員はいかがでございますか。

    【村本委員】  私自身は新しく参加した者ですので、あまり深いことは言えないかもしれませんが、政策評価については、これから新しいフェーズ、局面に恐らく入っていくのだろうという考えを私は持っています。ご指摘がありましたように、特に予算や決算とリンクするような形で実施されるようになると、個々の政策の評価が、かなり厳密に行わなければいけないという面が1つあります。もう少し悩ましいのは、資料1の2ページにありますように、一律に毎年度実施するものと、評価をしない年もあるというものについては、予算制度とのリンケージで考えると、なかなか難しい問題が出てくる可能性もあるということです。あるいはこれから先は、予算制度では、新しい政策をどのように捉えていくかという問題が出てくるのではないかと思いますが、そういった整合性をこのフレームの中でどのように解決し、あるいは先ほどの有効性、必要性といった議論とどのようにつなげていくかというあたりを、かなりマトリックスで考えていかざるを得ないのではないかと思います。
     そうした課題が今後おそらく出てくるということで、そうした新しいフェーズに対し、今までの評価をきちんとしておくことがポイントになると思い、聞いておりました。以上でございます。

    【中邨座長】  何か他に。上山委員、何かございますか。

    【上山委員】  この評価は、評価の評価、メタ評価なので、かなり高い品質が要求されると思います。そういう意味で、今日は中間段階なので、あまり断定的なことを申し上げるのもどうかと思いますが、老婆心ながら少し先回りして今後の資料のでき上がりに関して気になる点を幾つか、テクニカルな問題ですが、申し上げておきます。
     1つは、先ほど申し上げた目次の構成です。私は、コンテンツが揃ってから作るものではないと思います。目次はやはり徹底的に議論するべきだと思います。もう何を言うべきかはほとんどわかっているはずです。材料がないので今から集めるという感じもしません。材料は十分ある。参考資料にかなり材料があり、今までの評価報告書があります。これ以上材料を集める必要はありません。それを頭の中に入れると、もうストーリーラインは完全に書けるはずです。それが書けるなら目次はきちんと確定できる。
     2つ目は、資料1を見て、総務省もパワーポイントを使ってこうした資料を作るようになったのか、すごいなと感動する部分が1つと、しかしながら、やはりまだ少し定性的だという2つの感想があります。実施状況があり、評価があって、今後の課題がある。この構成は非常によいのですが、やはり最終報告書にされる場合には、こちらの参考資料の中にあるようなデータ、エビデンス(evidence;証拠、根拠)を本文に張りつけないと、やはり信用されません。例えば「意識が変わりました」と文章で書いても、総務省が自分でそう考えているだけです。どこに証拠があるのかということになります。アンケートの結果を全部載せる必要はありませんが、意味があると思うものを引用し、張りつけておく。あるいは、学識経験者に意見を求めた数や、アウトカム指標を設定している政策の比率が上がってきたという点も、文章で書くだけではなく、やはり表そのものをきちんと載せるべきだと思います。
     農水省や国交省の評価報告書が何となくよくできたように見えて、その他の省庁がいまひとつに見える最大の理由は、そこです。数字とデータが本文の中に多く入っている。あの2つの省庁は技術屋さんが多くて、数字とデータの加工が得意なので、数多く張りつけてあるのです。すると、エビデンスとしては非常にパワフルに見えます。データは宝の山であって、どの図を使うのかをまず議論して、それからです。私は、ここの話自体は割とよくまとまっていると思いますが、その質を上げていくようにしていただきたい。
     もう一点、これはまだ作業途中ですので、わかっているのだろうと思いますが、資料1の11ページ、学識経験者の知見の活用において、この評価会のことを書いていますが、そうではないと思います。参考資料の41ページ、個別の様々な評価において学識経験者に意見を求めた数が34.6%とあります。本来、これを議論すべきであり、この評価会のあり方の議論ではない。論点がすりかわっていると思います。データもあるので、34.6%という数字を今後どうするのかという分析をしないといけない。この評価会のあり方論をここで述べても、それは見当違いの論点であると私は思います。
     まだ中間段階なので、やや言い過ぎた感もあり担当者の方はカチンと来ておられるかもしれませんが、もしそうだとしたら、ごめんなさい。

    【中邨座長】  どなたか、他にご意見はございませんでしょうか。

    【多賀谷委員】  今までは、人件費等の共通経費は政策評価の対象としていなかったということで、それが入ってきた時、予算との関係でどうなるのかを考えてみました。例えば設備等については、恐らく、少なくとも効率性の話が出てくるだろうし、人件費に関しては、限りある人的資源をどの政策にどの程度配分するかという点について、恐らくここで言う政策とは別の意味での政策的判断をしなければいけない話だろうと思います。特に総務省のように複数の省庁が合わさった省庁は、そのあたりを政策的に考えないと、不必要な部局に多くの人がいて、必要なところに人が少ないという状況になりかねないと思います。それが政策評価の話とつながるかどうかわかりませんが、もしそれも入るとなると、そういう判断をしなければいけないだろうと思います。

    【岩田政評課長】  幾つかご指摘いただいた部分がありますので、まとめて補足させていただきます。
     1つは、評価あるいは評価類似行為の屋上屋というお話がございました。これは評価の事務負担が非常に多いという意見がいまだにかなり多く、ますます多くなってきているという感があります。これは、全ての政策について全ての部局で毎年網羅的に実績評価をしていることが1つ。それから、評価作業が何に役立っているのか、つまり評価作業が報われないという心理的なものもあろうかと思います。それから、やはり本当に二重、三重に同じようなことをしている。評価という枠組みの外でも、例えば審議会で議論していたり、白書を書くのに作業が評価作業と重複しているということがあると思います。
     我々としてできることは、まず実績評価を全ての政策について毎年実施することについて一度見直しをして、毎年実績評価しなければいけないものは当然評価しますが、そうでないものがあるとすれば、別の評価方法も活用してよいのではないか。例えば、総合評価を数年に1回実施する、あるいは実績評価でも、もし目標年次を3年や5年と立てたのであれば、その3年目か5年目の時に評価をきちんと実施し、その間はデータをとっていく、数値の測定をしていくことを考えてはどうか。また、白書や審議会の作業とかなり重複していて、現実問題として、評価よりむしろそちらの方が突っ込んだ議論をしているとすれば、それも評価の中に少し取り入れたらよいのではないかということです。非常に困っているのは、例えば、参考となる指標しか設定していないのに、それを並べて評価の結論として成果は上がっていると書いているものがなきにしもあらずですが、同じ分野で白書を書いているとすれば、その白書の部分をある程度活用して総合評価的に分析してみることも、評価の立場からいえば作業の効率化につながるのではないかと考えているところです。
     それから、この評価会の位置付け、あるいは有識者の方々の意見をどのように聞いているかということですが、今回お配りした資料は、前回この評価会についての議論がありましたので、この評価会について記載しました。当然、個別の評価を行う際に、個別にご意見を伺っている部分についても分析をするということは、ご指摘のとおりですので、やらせていただきたいと思います。
     それから、一律に毎年評価することについてどうかということと、予算との関連、単年度予算主義との関連ですが、ここも現在、主計局、評価局、各省との間で調整している中身にもかかわってくると思います。予算は単年度主義なので毎年要求しなければいけません。そのための評価調書を主計局に提出しなければいけません。一方、法律に基づく評価は必ずしも毎年実施しなければいけないわけではありませんが、そこは評価調書と評価書の要旨を連動させるという方向で動いていますので、毎年度の目標の達成状況は評価調書で報告し、きちんとした法律上の評価、正式な評価は、例えばまとめて3年後に実施するということも法律上、あるいは財政法上の問題がクリアされれば、できるのではないかと思います。そのことも最初に申しました事務負担の軽減、あるいは評価をして、それが何の役に立ったかという時に、予算に反映するのが原課の職員としては一番やりがいがあると思いますので、そこにつなげていければと思います。
     それから、先ほどの共通経費、人件費や施設費の部分ですが、評価法上は人件費等々の内部管理事務は政策評価の対象政策ではないということで、その分を評価してきませんでした。一方で、東京都で実施しているような、フルコスト原則、民間並みに人件費等を各施策に割り振り評価するということも考えられます。国の場合そこまで進んでいませんので、差し当たり政策評価の体系としては今までの26項目とは別に人件費や共通経費の部分を「項」として立てていくということかもしれませんが、予算査定上で使われるとなれば、何らかの評価は必要だと思います。ただ、それが評価法上の評価になるかどうかは、多分制度的に別のことになろうかと思います。将来的にはフルコスト原則のような話も入ってくるのかどうか。多分、制度官庁でご議論いただけると思います。

    【中邨座長】  何か他にご意見ございますでしょうか。
     本日ご欠席の委員からも幾つかご意見をいただいているようですので、ぜひご紹介いただければと思います。

    【岩田政評課長】  本日ご欠席の委員のうち事前に意見をいただいた方もいらっしゃいますので、順不同ですが、幾つか紹介します。
     まず、実績評価について、政策を網羅的に一律的に評価するのはあまり良くない方法ではないか。それはむしろ形骸化を招いているのではないか。毎年度、数字を入れ替えれば最新の実績評価書ができてしまっているとすれば、それは本末転倒であろう。むしろ重要な政策は総合評価をすべきではないか。ただ、それはゴールを設定した上での総合評価であるべき、というご意見をいただいています。
     それから、総合評価について、白書等との連動と先ほどご説明したのですが、白書を作る作業自体はあまりにも事務負担が多過ぎるので、白書とイコールというのはどうか。ただ、メリハリをつけた評価は重要だ、あるいは分厚い資料を作る必要はないというご意見もございました。
     それから、予算との連携ですが、現在の国会の議決の対象は「項」であり、その「項」の数を減らすことは実際問題難しいので、同程度の数になるのではないか。あるいは、単年度予算主義が財政法等々で決まっていますので、政策評価は複数年での効果をきちんと測り、それを踏まえて予算編成するのが本当だと思うが、なかなか難しいのではないかというご意見もございました。
     それから、政策評価と予算との連携の中で、もっと予算を伸ばすという方向で政策評価を使えるようにならないかという意見がございました。政策評価が予算取りに響くようなものにしたらどうか。一方で、政策評価をもって従来の事業を廃止するとはなかなかストレートに議論できなかった感があるので、企業の発想でいえば、どういう条件になった時には撤退するというエグジットルールのようなものを決めておかないと、切るということはなかなか難しいのではないかというご意見がございました。
     この評価会に関して、そもそもこの評価会のミッションが何であったかについて、ある委員からは評価のやり方のチェックの場だと思っており、個々の政策自体について議論する場ではないと思うというご意見もありました。一方で、自分としては個々の分野ごとの意見を求められて出席したと思っていたというご意見もございました。以上でございます。

    【中邨座長】  ご欠席の委員の意見もお聞きしました。何かつけ加えてご意見ございますか。
     それでは、本日も大変貴重なご意見を頂戴しました。この評価書に向けての方向性は、本日の議論で概ね出てきたような気もします。何回も出ましたのは、今まで取り組んできた総務省の政策評価に対する総合評価のポイントが、今までの成果としては非常によくまとめられているというご意見もございました。私もそのように思います。
     問題は、このポイントをいかに評価書に落とし込んでいくかということであり、そこにはまだまだ問題が残っているような気がしました。先ほど上山委員から、アウトラインをきちんと作って欲しいというお話もありましたが、そうしたことも踏まえまして、やはり成果の部分と実施の体制の確立、この部分をはっきり分けた方がよいのではないか、というのが私の個人的な感想です。
     さらに、これは今後の話になるかもしれませんが、先ほど他の委員からご意見にもございましたが、行政学で最近非常に注目を集めているのは政策終了というアイデアでして、政策をいかにうまく終了に導くかということが外国では徐々に注目を集めているようです。エグジットのルールを確立するというお話がございましたが、今後はこういう問題も出てくるのかという気がします。
     さらに最近、日本ではまだそれほど議論が出ていませんが、ポスト政策評価といいましょうか、既に日本に先んじて政策評価を進めてきた国々では、どうやら政策評価にも様々な問題があるということで、反省、修正があるようです。今後はそうした議論にも評価会ではいろいろとご提言を申し上げるべきだろうという気がしました。
     そうしたことも踏まえて、本日の議論を終えられた後、追加的なご意見がありましたら、ぜひ事務局にお伝えいただきたいと思います。
     なお、政策評価と予算、決算の連携については進行中とのことですので、また情報がありましたら、適宜提供していただければと思います。事務局ではお寄せいただいた議論を整理した上で、次回の評価会には具体的な評価書案をご提示いただければと思います。
     それでは、本日の議題を閉じたいと思いますが、よろしいでしょうか。
     他に岩田課長から何かお話がありましたら、お願いします。

    【岩田政評課長】  本日は貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。本日ご欠席の委員もいらっしゃいますので、本日の結果をお伝えした上で、さらにご意見があれば頂戴したいと思います。また、本日ご出席の委員の方々も追加あるいは補足の意見がございましたら、メール等でいただければありがたいと思います。なお、全体のスケジュールもございますので、本日の会議に関しては年度内にいただけると、その先の作業が非常に進めやすいかと思います。
     また、政策評価と予算、決算の連携について検討は現在進行中ですが、本年夏の予算要求に間に合わせなければいけませんので、情報が入りましたら適宜先生方にフィードバックをし、またご意見もいただきたいと思います。
     なお、今回のこの評価会のご議論やご意見、それから現在集計中の職員アンケートの結果あるいはパブリックコメント等々も実施していますので、その結果を踏まえた上で、事務局で評価書案を作成して次回の評価会にお諮りしたいと考えています。今のところ6月を考えていますので、どうぞよろしくお願いします。

    【中邨座長】  それでは、以上をもちまして本日の評価会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。




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