総務省の政策評価に関する有識者会議事要旨


  1.  日時:平成20年6月3日(火)16時00分〜18時35分

  2.  場所:総務省8階 第1特別会議室

  3.  有識者会議委員出席者:
        森田   朗 (座長) 東京大学公共政策大学院法学政治学研究科教授
      北大路信郷   (座長代理)   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
      荒川   亨   株式会社ACCESS代表取締役社長兼最高経営責任者
      梅田 次郎   株式会社日本能率協会コンサルティング・行政経営アドバイザー
      小澤 浩子   赤羽消防団団本部分団長
      柿本 善也   前奈良県知事
      澤田 秀男   前横須賀市長
      土井美和子   株式会社東芝研究開発センター首席技監

  4.  有識者から出された主な意見等

    <評価全般について>

    ○政策の基本目標の達成には、国民の意識の醸成・協力が必要な場合もある。アウトカムを国民と共有する(Shared Outcome)という考え方に立ち、国民に対して何らかのメッセージを発することも必要。


    ○ロジック・モデルを作成することにより、国民への説明責任という観点から、非常にわかりやすくなった。


    ○ロジック・モデルについては、矢印がすべて下から上へのボトムアップとなっているが、上から下への矢印を考えることにより、政策の最上位の目標を達成するための各施策の必要性の議論がしやすくなる。


    ○ロジック・モデルにより、因果関係がはっきりした。これを用いて、目標と手段の関係(手段の合理性など)を検証していくことになる。アウトカム指標については、総務省単独で達成できるものと、その他の要因が影響するものと区別するとさらに分かりやすくなる。


    ○どの政策にも共通して言えることであるが、情報を入手し、それを整理して国民に提供することは非常に重要なことである。しかし、そうした情報の入手・提供を行う組織体制が不十分である部分が見受けられるので、今一度情報の持つ重要性について考える必要があると思う。


    ○自己評価の中で、いかに評価の客観性を高めるかが課題である。地方自治分野でいうと、自治体が総務省の政策にどのような要望、評価をもっているかについて、市長会等を通じて把握してみてはどうか。


    ○ロジック・モデルを中長期的に継続してほしい。翌年度の目標を設定する際にも、ロジック・モデルを見直すことにより、常に内容を高めていくことを期待する。


    ○評価結果をもとに、いかにメリハリをつけるかが重要。評価そのものへの労力・コストも考えながら、効率的な評価を期待する。


    <個別政策について>
      1) 国民生活と安心安全
      (政策20)消防防災体制の充実強化
       

    ○  火災予防は、国民一人一人の自助意識を醸成することが根幹である。防災教育など、他省庁との連携も必須と思われるので、ロジック・モデルに書き込むことはできないか。

    ○  以前は火災時の被害の減少に力点が置かれていたが、そもそも火災を発生させないことが重要である。一定面積以上の火災の件数、死者数の出た火災の件数を指標に加えたらどうか。

    ○  心肺停止傷病者に対する応急手当の実施有無別救命率は、まだ低い段階なので、率でだけではく、括弧書きで実数も示したほうがよい。

    ○  救命講習実施回数・救命講習受講者数については、国民の参加率がわかるように、率で示した方がよい。

    ○  課題と取組の方向性について。火災予防を打ち出す。防災対象物定期点検の実施率は未だに約半数。推進が必要。防災拠点となる公共施設等の耐震化については触れてあるが、集合住宅や一般住宅の耐震化も加えるべきではないか。その他、文言で気になる点があるので、後ほど事務局に伝える。

    ○  救急出動件数に関連して、救急出動の内容が適切なものだったか、本当に救急車が必要であったか等を示す指標も加えてはどうか。救急車が現場に到着してから、医療機関に搬送するまでの時間も指標に加えてはどうか。

    ○  最終目標とされている国民の安心・安全の確保というのはスケールが大きい。政策名とされている消防防災体制の充実強化と上下関係は適当か。


      2) 情報通信(ICT政策)等
      (政策16)郵政行政の推進
       

    ○  ロジック・モデルの最終目標が基本目標と一致していないのでは。「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発達」では概念が広過ぎる。

      (政策10)情報通信技術の研究開発・標準化の推進
      (政策15ICT分野における国際戦略の推進
       

    ○  政策1015だが、標準化提案と言っても、具体的にどの分野での標準化提案をするかを指標にしないと、評価しにくいのではないか。今の指標をもう少しブレイクダウンした方がいいのではないか。提案件数だけではなく、重要な提案を通した件数を指標として出せばよいのでは。


      3) 行政改革・行政運営等
      (政策1)国家公務員の人事管理の推進
       

    ○  ロジック・モデルについて、「国家公務員の人事管理の推進」が上位の目的とされているのは違和感を覚える。

    ○  課題と取組の方向性について、施策が順調に進捗しているだけではなく、課題を検討することが必要。

      (政策3)行政評価等による行政制度・運営の改善
       

    ○  指標等をみると数値化された指標がない。政策3は、「評価制度の推進」自体が施策として構成されていることもあり、政策評価の質の向上を図る観点からも数値目標を設定すべき。


      4) 地方行財政等
      (政策5)地域振興
       

    ○  政策名が地域振興とあるが、大きすぎる印象がある。地域振興は国家としての最重要課題の一つであり、各省庁も行っているので、総務省としての打ち出し方は他の表現としたほうがよいのではないか。



    (文責:官房政策評価広報課)