総務省の政策評価に関する有識者会議 議事録
- 日時:平成20年6月3日(火)16時00分〜18時35分
- 場所:総務省8階 第1特別会議室
- 有識者会議委員出席者:
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森田 朗 |
(座長) |
東京大学公共政策大学院法学政治学研究科教授 |
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北大路信郷 |
(座長代理) |
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授 |
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荒川 亨 |
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株式会社ACCESS代表取締役社長兼最高経営責任者 |
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梅田 次郎 |
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株式会社日本能率協会コンサルティング・行政経営アドバイザー |
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小澤 浩子 |
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赤羽消防団団本部分団長 |
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柿本 善也 |
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前奈良県知事 |
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澤田 秀男 |
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前横須賀市長 |
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土井美和子 |
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株式会社東芝研究開発センター首席技監 |
【総務省出席者】
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増田総務大臣、桜井大臣官房総括審議官、竹澤大臣官房政策評価審議官、
大波大臣官房秘書課調査官、関大臣官房総務課長、
矢島大臣官房会計課企画官、阪本大臣官房企画課長、
讃岐大臣官房政策評価広報課長、藤江大臣官房政策評価広報課企画官、
主要な政策を担当する課室長 |
- 議事次第
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(1) |
増田大臣挨拶 |
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(2) |
平成20年度総務省の主要な政策に係る評価について |
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(3) |
その他 |
- 配付資料(PDF)
- 有識者から出された主な意見等
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。政策評価広報課長の讃岐でございます。よろしくお願いいたします。
本日の会議は、冒頭に増田総務大臣からの挨拶を予定しておりましたけれども、国会、衆議院の総務委員会に今行っておりますので、増田総務大臣の挨拶は会議の終わりにさせていただくということで調整いたしました。したがいまして、6時20分には会議を終えて、大臣をお迎えすると、こういうふうにさせていただきたいと思います。
それでは、開会に当たりまして、総括審議官の桜井からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
【桜井総括審議官】 本日は、大変天候の悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。有識者会議委員の皆様におかれましては、日ごろ政策評価につきましてご指導いただいております。厚く御礼申し上げたいと思います。
本日は、お手元にございますように、今年度の総務省の主要な政策にかかる評価につきまして、その方向性についていろいろ忌憚のないご意見をいただくということでお集まりいただいたわけでございます。
ご案内のとおり、総務省の政策評価につきましては、できるだけ客観的、具体的な数値目標を定めるといった、いろいろなことをやってきているわけでございますが、前回のたしかこの有識者会議におきましてご議論いただきましたロジック・モデルを今年度の評価から導入して、
個々の政策の関係性といいますか、そういったものを明らかにして、課題を的確に把握するという試みを今年度からやっていくということにしているところでございます。これによりまして、政策のPDCAサイクルというものをきちんと達成していきたいと考えているところでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
また、本日、担当の各部局の課長クラスが出席しておりますので、ぜひそういう意味でも忌憚のないご意見をいただければと思っている次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
【讃岐政策評価広報課長】 本日ですけれども、青木委員、村本委員、山本委員は、所用のためご欠席となっております。土井先生は、ちょっと所用のため、早めに17時ごろご退席される予定でございます。
それから、もう1つ、議事に入ります前に、前回の有識者会議以降、4月1日付で人事異動がございました。同日付で、大臣官房政策評価審議官に新たに就任いたしました竹澤審議官でございます。一言ご挨拶申し上げさせていただきたいと思います。
【竹澤政策評価審議官】 4月1日付で政策評価審議官に着任いたしました竹澤正明と申します。どうかよろしくお願いいたします。
私は、平成13年1月から平成15年夏まで、人事・恩給局に在籍をいたしておりましたけれども、今回は総務省の政策全般にかかわる仕事であり、幅広くて、かつ非常に多角的な視点が必要な任務でございますので、先生方のご指導をいただきながら、しっかりと任務に励んでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、ここから森田座長に進行をお願いしたいと思います。座長、どうぞよろしくお願いいたします。
【森田座長】 皆様、こんにちは。それでは、早速ですが、本題に入りたいと思います。
本日の議題は、「平成20年度総務省の主要な政策に係る評価について」となっておりまして、総務省の主要な政策のうち、12の政策の評価の方向性についてご意見をいただきたいと思っております。各政策につきましては、事務局から説明をお願いいたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 まず、今回、新たな評価手法で評価をしていただくと、これを前回までご議論いただいたわけですけれども、まず最初に、これから作っていく評価書の構成ですけれども、資料1という1枚紙をごらんいただければと思います。これは、いわば評価書の目次のようなものでございまして、これを各政策ごとに作っていく、文章を書いていくということでございますが、その構成を言いますと、まず最初に政策の概要、それから次に政策を取り巻く環境を2として書き、3として、その政策効果の把握の手法をまとめるということですが、(1)として、政策目標を達成する過程をフローチャート形式であらわしたロジック・モデルという図の形式で説明をしようと。その(2)としまして、それぞれのフローごとに、どれだけ進捗していくのかというのを指標で、できる限り数字であらわそうと。これを「政策効果の把握の手法」というところに記載しようということであります。これは、今年度からの新たな試みということでございます。
そして、4といたしまして、それらをもとに政策の総合的な評価、分析を行うということですけれども、(1)は評価結果を総括的に書くということですが、(2)として、その目標に至る政策効果の把握・分析を踏まえて、政策の必要性、有効性、効率性、その他の観点から政策の内容を評価する。これは、こういう観点でやろうというのが政策評価法にも規定されているということであります。
それを踏まえて、5として、「今後の課題と取組の方向性」と、いわば結論、それから今後の改善策を、言い換えれば、政策の自己革新なり改善をどのように進めていくのかということをここで記載すると。
最後に、第三者的な視点で客観性を確保するということで、学識経験を有する方々の知見をこの場でももちろん活用しておりますし、それぞれの政策ごとにも、どういうふうに活用したのかなどについて記載をする。こういった内容について、今日ご議論いただく12の政策についてまとめていくわけでございますが、今日は、言ってみれば、その骨子の素案といったようなものでございまして、項目の1、3、5が網かけしてありますけれども、これらの項目の骨子をパワーポイントの形式でまとめて、この場でご説明をし、質疑応答をいただき、補足すべき点、充実すべき点、改善すべき点等について幅広く、この段階で、いろいろご議論をいただいた上で、最後にも書いてございますが、7月中旬を目途に評価書を取りまとめる。予算要求への反映なども念頭に、そのタイミングで取りまとめていくと、こういうことを考えているところでございます。
これが全体の構成でございますけれども、何かここまでで特段ございましたら。
【森田座長】 ただいまご説明いただいた点につきまして、何かご意見とかご感想、コメント等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、各政策について見てまいりたいと思います。説明の順番につきましては事務局のほうにお任せいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 説明の順番は、この議事次第の(2)というところに沿って、通常の部局の順番とちょっとずらしてございます。評価内容のイメージのつかみやすさ等々を考えまして、このような説明の順番にさせていただきました。それで、議事次第に書いてありますように、1)から4)まで、それぞれ分野で一応一くくりにして、その分野ごとにご議論いただければと思います。私のほうから簡単に説明した上で、各部局の担当課長の方に出てきていただいていますので、必要があれば補足をいただき、その上で質疑応答というふうに進めていただければと思います。
まず、最初、国民生活の安心安全ということで、「消防防災体制の充実強化」という消防庁でやっている政策でございますが、ここからご説明させていただければと思います。
政策番号20から始めます。資料4というのがございまして、これは前回、前々回ご議論いただいた、それぞれの政策ごとの目標でございます。これは文章の形になっているものでありますが、これを図のような形にして、今回ロジック・モデルとしてお示ししたものですので、必要に応じてご参照いただければと思います。
それでは、政策20の「消防体制の充実強化」ですけれども、まず政策の概要、基本目標ということを最初に書いてございます。基本目標ですけれども、消防組織の体制強化や大規模災害への備えを図るとともに、火災予防、地域防災力の強化等々を展開することによって、国民の安心・安全を維持・向上させるという大きな目標でございますが、1枚おめくりいただければと思います。一番上に赤で囲っている「国民の安心・安全の確保」というのが究極の目標ということでありまして、基本目標を文章にすると、右側に黒い字で書いてございます。
これをどのように消防庁の中の政策として実現していくのかというのをブレークダウンすると、一番下に赤の枠が4つございますけれども、「火災予防対策の強化」「地域防災力の強化」「救急業務の充実・高度化」「国民保護体制の整備」と。その下にそれぞれの課とか室とかが書いてあるものであります。そこで、その目標を実現するための手段の関係を分析をして、図の形にしたものがこれということでございますが、まずブレークダウンした1つ目が、「火災予防対策の強化」ということです。その2つ上の箱を見ると、火災等の件数を減少する、あるいは被害を減少させるという、これを1つの指標として政策目標の実施状況、達成状況を測っていくということでありまして、この指標についてどういう状況かというと、次のページの紫の「指標等の進捗状況」ということでございますが、一番最初、火災による死者数を25%減。目標開始年度の約1,200人を5年間で25%減したいという目標に応じて、この3年間の実績というのが右に書いてございます。1,200人から1,152人まで減ってきているということで、一定の減少は見られるということであります。
さらに、そのもう1つ下のフローチャートで言うと、下の適正な火災予防活動を実施する等々については、定期点検の実施率を上げていくというのがそのための手段であろうということで、これは70%を目標とするということで、50%弱というところで推移をしているということでございます。総じて火災の死者数は減っているということでありますが、これをどのように評価するのかということだと思います。
それから、次に、「地域防災力の強化」。消防体制等の評価ということについてですが、かいつまんで説明させていただければと思いますけれども、消防体制の組織強化ということで、指標としては、紫のページの5番目以降ということで、緊急消防援助隊を平成20年までにおおむね4,000隊というのが目標で、これを増やしていくとか、さらに消防団員数は平成17年4月1日時点で90万人程度ということですが、これをできる限り増加させたいというのが地域防災力の強化のための重点施策になっているわけですけれども、なかなか伸びていない。女性などは非常に増えているんですけれども、実際の総数はなかなか伸びていないということであります。
次のページ以降に、自主防災組織等々の指標が書いてございますが、ちょっとこれは説明は省略させていただきます。
さらに、そのフローチャートの3つ目のグループとしまして、「救急業務の充実・高度化」。救急救命ということでありますけれども、これは図の一番上に書いてある救命率の向上ということが一番最上位の、その効果をはかる指標ということになろうと思いますが、それは紫のページの2枚目を開けていただきますと、4つ目の指標、救急救命士制度の導入による救命率の推移です。平成19年は、まだ数字が出ていないようですけれども、平成17年は7.6%、平成18年は8.8%と、このように向上をしている。これはあらかじめ数値目標を立てるというわけではなくて、とにかく向上させようという方向性だけ示されているということですが、その方向に向かっているということでございます。さらに、救急救命士の配置された救急隊の割合についても徐々に伸びてきており、指標の向上が見られているところでございます。
1枚ページをめくっていただきますと、目標値とか方向性を示せないような参考指標として示した数値の一覧なんですけれども、救急救命で言いますと、4つ目ですね。救急出動件数の推移ということですが、救急車を呼ぶような事案が、最近、社会問題にもなっているようですけれども、ちょっとしたことですぐに救急車を呼ぶというようなことで、そういう中で、できるだけ早く行って、早く病院を探すという、そこが非常に難しくなっている。病院の関係で言えば、これは総務省というよりも厚生労働省の関係ですが、たらい回しになったりとか、大変大きな社会問題になっている。こういう中で、救命率を上げていくというのが課題になっていて、これはあくまでも、その状況を示すデータということですけれども、救急出動件数は五百数十万件ということで、これは10年前に比べると5割増ということであります。その中で、救急自動車による現場到着までの平均時間は6.5分、あるいは6.6分と、こういう状況になっています。
最後、4つ目に「国民保護体制の整備」ということですけれども、これは有事の際に揺るがない保護体制の確保ということで、ここは訓練の実施率等で、その進捗状況をはかっているというものです。
このような指標の状況を踏まえて、次に紫のページをめくっていただきますと、「課題と取組の方向性」というページが、やや薄いオレンジで出てくるわけでございます。これにつきまして、最初の・の文末のところには、「死者数の減少に向け引き続き取組を推進していく」。過去の増加傾向には歯どめがかかっている。そのための様々な条件整備が進んだと、こういうことであるということが書かれているとともに、1つ飛ばしますと、防火対象物点検というのは、先ほど70%を目標として、現在50%程度ですけれども、「70%の実施率となるよう、さらに推進する必要がある」というふうに書かれております。
そして、次に消防体制の関係ですけれども、オレンジの2枚目のページで、2つ目の・の3行目ですけれども、消防団員の確保については、団員を増やす方向で目標を示しておりますが、団員の減少人数は縮小しているものの、新任団員を上回る団員が退職したことにより、新任団員数は退職団員数をカバーするには至っていないが、団員確保という意味では、一定の成果を上げていると。なかなか問題はあるけれども、努力を進めていって、さらに努力が必要だと、こういうことかと思います。
次に、もう1枚めくっていただきまして、救急のところですけれども、2つ目の・ですが、救急業務については、先ほど申し上げたような社会問題にもなって、救急車の需要が高くなっていて、そういう中で人命救助にどのようにつなげていけばいいかということについて、救急搬送についての実態調査を平成19年度に実施して、消防・医療機関等、関係機関相互の連携強化のあり方について取りまとめるとともに、「全国メディカルコントロール協議会連絡会」を立ち上げるなどの急務となっている対策をとっている。今後とも着実に救急業務の充実・高度化を図っていくことが必要だと、こういう方向が出ているところであります。
以上、消防については、総務省のいろいろな政策の中に、非常に具体性が高くて、わかりやすいという面もあり、全体を詳しく説明をさせていただきました。
とりあえずここで切って、議論を進めていただきたいと思いますけれども、消防庁から何か付加する点、あるいは私の説明が不正確な点があれば訂正をお願いしたいと思います。
【消防庁総務課長】 今説明いただいたことで、大体概要を網羅していると思いますが、ロジック・モデルのところに返っていただきまして、本国会で、消防法と消防組織法の改正をしてございまして、このモデルで申し上げますと、左の「火災予防対策の強化」のところですが、矢印2つ進んで、「火災等の件数の減少、火災等の被害の減少」ということで、危険物施設における事故件数の減少というようなことを念頭に、危険物流出事故の調査の実施について、消防法の改正をしております。
そのちょっと右下に目をやっていただきまして、「地域防災力の強化」の左側の2つ目の囲み、「緊急消防援助隊の充実強化」についてですが、これも緊急消防援助隊の機動力の強化ということで、消防組織法の改正を行いまして、先月審議いただきまして、採択されております。法律改正も行っております。ということを申し添えます。
以上です。
【森田座長】 よろしいですか。
【讃岐政策評価広報課長】 はい。
【森田座長】 ただいま事務局のほうから説明がございましたが、各政策の評価の方向性についてですが、今の消防防災体制の充実強化ということにつきまして、ご質問、ご意見があれば伺いたいと思います。ご意見については、全般的なことでも構いませんし、この政策についての個別的な事柄でも構いませんので、どうぞご発言を自由にお願いいたします。
【小澤委員】 国民の安心・安全を確保するための消防体制の強化充実には、国民1人1人が自分は自分で守る。近隣の方と協力して守るという、自助・共助の意識の醸成というのは非常に重要だと思います。このロジック・モデルの中で、火災予防にかかるところに関しては、意識の醸成ということが書かれておりますけれども、この体制の充実強化の全部の底を支えるのが1人1人の意識の醸成、意識を高めるということではないかなというふうに感じました。
また、防災教育等、いろいろな分野においても、国民の安心・安全を図るためには、他省庁との連携を非常に密にしなければいけない分野というのもあるかと思うんですが、その辺はやはり、総務省の消防庁のロジックの中には書き込むことができないのかなというふうに感じました。
それから、少し細かいことを申し上げてもよろしいでしょうか。火災は、今までは死者、被害者を少なくするということが大きく叫ばれておりましたけれども、やはり件数自体を、火災を発生させないということがまず一番重要なことだと思います。今年度を見ましても、随分今年は大きな火災が多いというのが私たちの周りの感想でもありまして、この下から2番目、一番左の箱の中に、件数の減少というのをはっきり書いていただいたことは大変評価できるのですが、それであるならば、この紫色の指標の死者数にあわせて、例えば、ある一定面積以上を焼失してしまった住宅火災の数が去年どれぐらいで今年どれぐらいとか、亡くなった方の出た火災が増えてしまっているのか、今年は前年より少ないのかというような指標もあったらいいのかなというふうに思います。
また、消防団員に関してなんですが、消防団員に関する指標及び目標値が、ちょっと離れて出ております。団員数と、協力事業所、確保に向けた取組状況というのが少し離れていますので、これは消防団関係であれば、まとめていただいたらどうかと思いました。
また、心肺停止傷病者に対する応急手当の有無別救命率というのがパーセンテージで出ていますけれども、家族等が応急手当をして、その後、生存している方の数というのを、応急手当をすぐしなかった場合と比べると0.3%の差とか、非常に数字が小さいので、この辺が括弧でもよろしいので、実数を書き込んではどうかと思いました。1人の命というのは大変重いわけですから、何人ぐらいの方が1カ月後生存していたかということがわかったほうがいいのではないかと感じました。
また、それと反対に救命講習の受講者数なんですが、これは実数が出ています。大変大きな数ですけれども、多分、住民に対する参加率というところから見ると、まだまだもう少し頑張らなくてはいけないという数字かと思いますので、この辺の数字の出し方に少し工夫をしていただいたらと思いました。
また、オレンジ色の「課題と取組の方向性」に関してなんですが、ここにもやはり火災発生そのものを少なくするということをはっきりと打ち出していただきたいというのが1つ。それから、防火対象物の定期点検が、約半数の実施にとどまっているという部分を見ますと、どうしてなんだろうという疑問が湧くわけですが、この辺が国民の方にもわかりやすい書き方に工夫していただけたら、もっと実施率を高めるためにこうしたほうがいいという全体の動きになるかと思います。
それから、防災拠点となる公共施設等の耐震化なんですが、これはもちろん重要なんですけれども、これだけではなくて、例えば、集合住宅であるとか、賃貸の集合住宅、あるいは一般の家の耐震というのも重要であるということをどこかに入れるべきかなと思いました。
また、このオレンジ色のところの文章に関して、2カ所ほど、ちょっと手直ししたほうが読みやすいという場所がありますので、これは後ほど事務局の方にお話ししたいと思います。
以上です。
【森田座長】 ありがとうございました。ただいまのご指摘について、何か。
【讃岐政策評価広報課長】 各部局の方が来ておりますので、まず個々の話について、大変盛りだくさんにいただきましたので、一部は事務局で引き取るということもあろうと思いますけれども、お答えになれる範囲で。
【消防庁総務課長】 他省庁との連携につきましては、従来から消防庁は関係省庁と連携をとってございますが、書いたほうがわかりやすく、目標として何か言えるようなものがあったほうがいいのかどうかは、原課と打ち合わせをしておきたいと思います。
それから、資料のつくりとして、実数についてもう少し書き込むというご指摘がございましたが、それにつきましては、実数がございますので、書き込んで、わかりやすい資料づくりをしたいと考えております。
その他、ご指摘ございました点、もう1度洗い直しまして、表現的に入れたほうがいいもの、修文すべきものは事務局のほうとも相談させていただきまして、改正していきたいと思っております。
【森田座長】 ありがとうございました。
【小澤委員】 ありがとうございました。
【森田座長】 ほかにいかがでございましょうか。土井委員、どうぞ。
【土井委員】 素人的な意見で申しわけないんですけれども、先ほどもご指摘がありました、救急出動件数の推移というお話と、あと救急自動車による現場到着所要時間ということなんですけれども、救急出動件数の推移ということで、今件数を書いていただいているんですが、先ほどお話があったように、その内容が適切であったかどうかというのを、可能ならばということなんですが、もう少し何か資料とかがあれば、本当に救急車が必要であったのかどうかというようなことがわかるようになっていくということも、実際に国民の意識を喚起するためには必要なのではないかと思いました。
あと、もう1点、これも可能であればということなんですが、現場に到着する時間、6.5分、6.6分ということで、非常に速く到着しているんですが、その後、実際に医療施設に到着するまでの時間が今課題になっているかと思うんですが、これに関しても、もし可能であれば、今後指標として検討いただいたほうが、実際に医療の現場に着く時間がどうであったかというところがわかってくると思います。可能であればということです。
【消防庁総務課長】 ただいまのご意見でございますが、救急出動件数につきましては、今、救急の事業の適正化ということで、消防庁では広報に努めておりまして、いろいろな理由で救急を利用されることについて適正化を図ろうというような動きがございまして、当然ご意見にありましたような、救急出動件数の内容がわかるようなものということであれば、資料として調査したものがございますので、資料の中にまた参考として掲載ということは可能かと思います。
それから、救急出動の時間ですが、以前は短かったのが、だんだん件数が随分多いものですから、現着時間が延びているという問題、これも問題でございまして、いろいろと議論しているんですが、それから到着してから医療機関への、さらなる搬送時間ということで、これも非常に社会問題になっておりまして、ここを短縮するというのは、消防だけの努力ではなかなか難しいものがございまして、この件につきましては、厚生労働省のほうと今協議をしているところでございます。ただ、目標を掲げて、消防庁だけでどんなに頑張っても、難しいものがございまして、そこのところはご理解いただきたいと考えてございます。
【森田座長】 よろしいですか。では、柿本委員から。
【柿本委員】 私、ちょっと思いつきで、今ちょうど、中国とか東南アジアで大災害が起こっています。この国際的な救助体制というのは、消防庁の政策の中の範囲内か範囲外であるか、ちょっとわからないんですが、もし範囲内だという前提にしてちょっと申し上げると、どうも人的あるいは技量の面ではレベルが高い方が派遣されているようですが、機動力とか、もっと体制の整った積極的な面では、どうもよその国のほうが進んでいるような報道も見られます。これは日本みたいな国がそういう比較をされたら格好悪いと私は思いますので、ここに政策に載ることであれば、何か、ちょうどこのところ、大きな災害が起こっていますので、何かお考えいただいたらどうかなと、こう思いますので。
【消防庁総務課長】 ただいまのお話ですが、近年、大災害が起こっておりまして、一番近いところで申しますと四川の地震に対して、我々はIRTと言っているんですが、国際救助隊というものを出しております。これにつきましては、まず被災国からの要請があって初めて、外務省が取りまとめて動くということで、消防は関係消防本部の救急隊員を登録しておりまして、当番制で速やかに中国に今回も出発したところでございます。
ですから、これは国際的な要請があればすぐ動ける体制整備というのは我々はできておるというふうに考えてはおるんですが、その辺、今回も1度中国に出ようとしたんですが、要請を1度向こうが見送って、体制は組んだんですが行けなくて、結果的に生きたまま救助というのは難しかったということもございまして、なかなかそこは努力目標を掲げても、外国、他の被災国との関係がございますので、なかなか難しいかなとは思うのですが、活動は非常に中国からも評価されたというふうに我々は考えておりまして、それなりの成果を得たものと考えているんですが、ちょっとそこの努力目標というのは難しいかなと考えております。
【柿本委員】 実は、こういう発言を申し上げたのは、いい人が行っているという評価もちゃんとある。しかし、どうもロシアとかドイツの報道を聞くと、自分たちのいろいろな器具、装置もそろえて行っているんですよね。だから、どうも、これは私の知識が足りないのかもしれない。日本の国際援助はボランティア的な段階にあるのではないかと。よその国は、それがもう独自で、総合的に動ける体制という、もう1つ積極的な点が出ているのではなかろうかというふうに、これも器具だけでございますが、もしそうだとしたら、時々、「日本は」と言って肩をそびやかす国にしては、援助になるとボランティア的なレベルだと言われたのでは、将来恥ずかしいだろうと、ちょっと余分なことですので、もう回答は結構ですから。
【森田座長】 それでは、北大路委員。
【北大路座長代理】 この消防に限らず、全般に言えることだと思うんですが、いわゆるシェアード・アウトカムといいましょうか、行政府と社会、国民が共有する社会目的を、みんなで社会として達成するということが、政策評価の場合は基本になると思っているんですね。今いみじくも消防庁だけではなかなかというご発言がありましたけれども、当然、国民の側の責任というようなことを明確に表現すべきだと思います。今、この課題と方向性の文言を見ると、一貫して「頑張る」と書いてある。「取組を強化する、図る、推進する」。そうしますと、国民は何もしなくていいような、政府任せというような印象を、誤解を招いてしまいます。国民の側が大変頑張ってくれないと困るものだと。無用な救急出動などを是非しないようにというメッセージが伝わってくるような表現というのが、この政策評価の場合には絶対必要だと思っておりますので、ご検討いただければと思います。
【梅田委員】 関連で。
【森田座長】 はい。じゃあ、梅田委員。
【梅田委員】 すみません。今のご発言に関連というか、同趣旨になるかもわからないんですが、この基本目標の達成過程、いわゆるロジック・モデルをつくられて、非常にわかりやすくなっている。そして、指標も関連のところに赤字で書かれているので、その関連が表で見るよりも非常にわかりやすくなっているというのはあるんですが、今のご発言と関連あるんですけれども、発想が下から上に向いていっている嫌いがあるといいますか、つまり行政側が現実に行っていることから矢印が上に向いていっているんですね。
それはそれで確かに現実にやっていることを評価するわけですから、ある面はそれでいいんですが、今回、今日の討議テーマではない、この網がかかっていない4の「政策の総合的な評価」のところが空白になった上で、5の「今後の課題と取組の方向性」が出ているので、つまり、4のところの評価は、当然今やっている仕事から上位の基本目標にどれだけ寄与しているか、貢献しているか、達成しているかということを評価していくとともに、今度は基本目標から、それをさらによりよくするためにはどうしたらいいかというと、下からのボトムアップだけではなくて、逆に下を向いて、矢印がおりてくる。先ほどのご発言に関連するんですけれども、行政側だけではなくて、国民側もあるとか。このテーマで言うと、国民の安全・安心の確保という大テーマから4つにブレークダウンされている政策の柱がありますよね。それを達成するためには、こういうことをしなければいけないというのを、今後評価書として書くときは多分この4のところで記述するのではないかと。それを踏まえた上で、今後の課題と取組の方向性が述べられないと、論理的におかしくなってしまう。
これは、今日は中途段階ということでいいんですけれども、課題と取組の方向性が、例えば、大目次もなくて、羅列されているのは、その典型であり、そうせざるを得なかったんだろうなと思うのであります。だから、完成版においては、課題と取組の方向性は、このテーマで言うと、4つの柱があるわけですから、この4つの柱がこれでいいかどうかは議論をちょっと別に置いておいて、この4つのテーマをよしとすれば、この4つのテーマごとにまとめて、総論から――総論といいますか、トータルの話から個別の課題と方向性を述べていかないと、こういうふうに羅列しているだけになってしまったのはやむを得ないんでしょうけどね。今日はやむを得ないんでしょうけれども、それは4をいかに分析・評価をするかということではないかなと。先ほどのご発言に関連すると思いましたので発言させていただきました。
以上です。
【森田座長】 これについては。
【讃岐政策評価広報課長】 北大路先生と梅田先生の意見、このテーマに限らず、今回の私どもの政策評価全般にかかわる課題であろうと思います。
まず、一般的な認識として申しますと、確かに政策評価を、我々あるいは政府全体として始めるきっかけとして、1つは説明、国民に対して行政がやっていることの説明責任をいかにして果たすか。それによって信頼性を確保できるかということと、その次に、もう1つは、それを自分たちで見直すことによって、何か改善点、この委員会では、自己革新、自己改善というふうにいつもご指摘を受けておりますが、そういう点を見出して、次に進めていくという、その2つを強く意識していたところでありますが、今日の北大路先生の発言は、さらに突き進んで、国民に対して、目標を達成するための何か、国民も認識すべき点についてのメッセージをさらに発するということもあるのではないかということで、これについては、今後の重要な検討課題の一つとして、今後の評価の全体の構成を考えるときにさらに議論させていただければと思います。
それから、もう1つ、梅田先生からのご指摘ですが、確かに資料1で目次をお示ししたところですが、今日は項目4の分析・評価のところがまだ抜けています。論理的に分析をするためには、この4のところが本当は必要不可欠なんですけれども、今回、時間的な制約の中で全体の柱をお見せするということで、いきなり項目5の結論が出てきて、項目4は、ちょっとまだ頭の中にある段階ということであります。むしろ5からさかのぼってもいいんですけれども、必要があれば、この4のところで、政策の必要性とか、有効性とか、効率性を分析する際の視点について、こういう点でもって切り込めば、別の結論が出るかもしれない、あるいは別の改善点が導き出されるかもしれないという、そういう問題意識でこの場でご議論いただければと、そういうふうにも思っているところであります。したがいまして、充実させる点、さらに改善すべき点についてはよく認識して進めていきたいと思います。
【森田座長】 本日はそういう、このやり方についてのいろいろご指摘をいただく機会だと思っておりますので。では、澤田委員。
【澤田委員】 最初のこの図は、大変わかりやすい図になっていると思います。一番下に、課とか室という組織別のミッション、つまりそれぞれの組織の達成すべき目標を並べてあります。そのためには何をするかという具体的な事務事業や下位レベルの施策を上向きの矢印で上に書いてあるということは非常にわかりやすいと思います。このようなことは、日常的にもそれぞれの組織ごとに考えてはいるのでしょうけれども、このように図に示すことによって非常にわかりやすくなったと思います。そして、上位の成果目標の達成に向けていくということはいいと思います。
ただ、先ほどもご意見がありましたように、消防防災体制の充実強化という政策があり、その下に国民の安心・安全の確保という極めて大きな目標が書いてあります。国民の安心・安全の確保ということは、政策20よりも上位に来るべき達成目標であると思います。それを4つの紫色の成果目標に分けてある。それが下から上に持ち上げてあるものですから、先ほどのようなご意見になるんだと思いますね。これは双方向で、もう1つ上から下へ、国民の安心・安全の確保のために具体的に大きな政策としてどういうことをやったらいいかということとして4つに分けるということで、双方向の表示をしたらどうかという気がいたします。
そのように考えてみると、その下の部分でも、もっぱら下から上でなくて、上から下というような矢印もあわせて表示するということがわかりやすいように思います。それが1つです。
それから、もう1つ、ちょっと具体的な話になって恐縮ですが、救急体制の整備がうたわれているんですが、大変人員も要るし、財政的にも大きな負担になるということで、なかなか進まない。一方、消防隊のほうには、救急救命士の資格を持った隊員も随分いると思うんです。救急隊はしょっちゅう出払っているけれども、消防隊は火災発生に備えてですが待機している時間が結構あるということで、横須賀市においてはかなり早い時期から、119番の電話が鳴ったときに、救急隊がいない場合に消防隊が待機しているときには、消防隊がまず駆けつけて初期対応をしていく。そして出払っている救急隊がやがて駆けつけて引き継ぐというようなことをやっているわけです。救命率を少しでも高めるためですが、それを横須賀市で「救急消防隊」と言っています。各地の自治体に広がりつつあります。そのように、消防隊を救急業務に活用することは、消防庁の立場として奨励すべきなのか、やむを得ないものなのか。それとも、望ましくないものなのかということが1つ。やむを得ない、もしくは差し支えない、むしろ奨励すべきものだということであるならば、そのようなことを施策としてここに表示することはどうかということについてお聞きしたいということです。
【讃岐政策評価広報課長】 まず個別の話について、もしお答えいただければお答えいただいて、全体の話は私から。
【森田座長】 簡潔にお願いします。
【消防庁総務課長】 個別の件についてご説明したいと思います。現在、救急隊が確かに救急需要に追いつかず隊が不足しているというのは先ほどご説明したとおりなんですが、救急隊の出動にあわせて消防隊も出動したりしている消防本部もありまして、それぞれ各消防本部、手をこまねいておりませんで、いろいろな施策を講じております。ただ、それは各消防本部で、地域のいろいろな特性を考えてやってございまして、今、委員がご指摘の、それに対して消防庁の考えといえば、差し支えないというような見解を持ってございます。ただ、各消防本部独自でいろいろ考えていることでございますので、政策評価で一定の目標値なり数値を分析するというのは、なかなか難しいのかなというふうに考えております。
以上でございます。
【讃岐政策評価広報課長】 あと、上のほうの目標が高過ぎるのではないかとか、あるいは双方向のいろいろな矢印があるのではないかとか、さらに、事前にご説明した先生から、横とか斜めとかの矢印もあるのではないかとか、あるいはレベルというものが本当に縦横で合っているのだろうかとか、これは、この消防に限らず、御覧いただければ、様々出てくるのだと思います。それをある程度割り切って、今の段階でこのように整理したんですが、これはやはり逐次レベルアップを図っていくというのは重要であろうと思います。どこかで割り切らなければいけないですし、また、このロジック・モデルというフローチャートも、今回この評価で初めて各部局にご協力いただいてつくったわけでありますけれども、これも本来、次に目標をつくるときに、秋に目標をつくるときにあわせて、本当は議論しなければいけないのではないかという問題意識もございますので、今のモデルをより洗練していくという作業は引き続き、次回以降も進めていくということで、今回できる範囲で整理をさせていただきたいと思います。
【森田座長】 1件目でかなり時間をとっておりますけれども、よろしゅうございますか。
では、ちょっと私も一言だけ、先ほどの北大路委員と梅田委員のご発言にかかわることですけれども、これまでの表形式と比べまして、政策がどういう流れになっているかという因果関係が非常にはっきりしたというのは、このロジック・モデルで随分改善されたと思っております。これ自体が、ある意味で言いますと、何が目標であり、その目標を達成するために何が手段であるか。そこの関係が明らかになってくるということで、そのためには、ある目標を達成するために、どういう手段があり得るのか。その手段が合理的であるか。そして、その手段をきちんと達成しているかどうかと、その辺につきまして評価がしやすくなってきたのではないかと思っております。
ただ、もう一段申し上げますと、因果関係にはなっているんですけれども、いわゆるアウトカム指標で、ほかの要因がかかわってきて結果が出るものと、総務省が単独でおやりになる部分とが、そこのところをもう少し識別できるような形であらわされると、評価がしやすくなるのではないかと申します。その目標に対して、本来その手段そのものが有効であるか。必要であるか。そして、その手段の行使の仕方が効率的であるか。これが先ほど梅田委員からご指摘がありましたけれども、まさに4番目の評価というのはその点にかかわってくるかと思っています。
そういう意味で言いますと、今お話がございましたように、この表をさらに洗練していただきたいと思いますし、もう1点は、梅田委員からご指摘があったところと同じですけれども、やはり評価があって初めて課題というのは出てくるかと思いまして、課題と取組の方向性の1枚目のところに出ていますけれども、3番目のところで、先ほどご指摘のありました防火対象物の点検については、70%の実施率となるように推進する必要があると書かれておりまして、これはまさに、そういう目標でということだと思いますけれども、問題は、70%にするために何をされるのかというところが一番ポイントではないかと思っています。このお答えは結構でございます。ちょっと整理をさせていただきました。
それでは、続きまして、次の政策に入らせていただきたいと思います。では、ご説明をお願いいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、次に2)というところの「情報通信(ICT政策)等」とありますが、最後に郵政が入っているということでございます。時間も押していますし、1つ1つ30分ずつやると1日たっても終わらないので、若干説明に強弱をつけさせていただき、しかしご意見は、どの課題についてもいただくと、こういうふうに進めさせていただければと思います。
それでは、まずICT政策の中の1つ目ですけれども、「情報通信技術の研究開発・標準化の推進」という政策10でございますが、これは主要な政策の概要のところですけれども、情報通信技術の研究開発と標準化、技術部門の仕事というふうにご理解いただければと思います。
次のページを開けていただきますと、基本目標の達成過程ということでございますが、下のほうの赤が2つございますけれども、1つが「情報通信技術の研究開発の推進」と、もう1つが、日本発の「標準化の推進」と、これを政策手段の2つの柱に掲げているところであります。
研究開発については、下のほうをごらんいただきますと、論文数が目標で掲げているものが大体1,000課題ぐらい、今年度はまだ集計ができておりませんけれども、百数十課題、1,000件程度の研究開発をし、一定程度の評価を得ているものの割合というものを90%以上にするとの目標で、ほぼ100%が3年間達成されている。
下のほうの課題というところをごらんいただきますと、やはり、この研究開発について、課題の1つ目の「・」の一番最後、研究開発課題の重点化を図るということですが、その前の行には、研究開発の目標を明確化して、効率的に進める。こういうことで、非常に多くの研究課題があり、これについて一定の予算額以上のものについては、研究開発としての評価も受けているわけですが、全体として、どのような状況であり、どのように進めていくのかということについて、このように評価書の中で認識が示されているということでございます。
もう1つが、情報通信技術の標準化ということですけれども、この標準化を進めることによって新たなICT市場の創出であるとか、日本製品の優位性の確立を図っていくという目標のために標準化を進めるということで、これは国際機関において標準提案を行う件数の目標を毎年毎年20件としておりますが、それを上回る成果というものが上げられていると。引き続き戦略的に取り組んでいく必要があろうというまとめになっています。簡単に説明を終わらせていただきました。
次が、「電波利用料財源電波監視等の実施」という政策14でございます。これは、電波利用料を財源として行う事業というふうにご理解いただければと思います。1枚目の政策の概要のところですが、一番下に、平成19年度予算額とございまして、653億円ということで、これだけの額の電波利用料の収入がある。これは例えば、携帯電話1台1台からテレビ局に至るまで、電波を利用している人たちが応分に支払っている電波利用料の総額が、この程度になり、そして、その電波利用料を使って、このページの上から3分の1以下のところに、電波利用共益事務として、次に掲げる事業を行うということで、これを図示したものが次のページのロジック・モデルであります。
その電波利用料財源を使って、電波の適正な利用の確保を図るための様々な事業が行われており、全体額は非常に多額のものになっているということでございます。それで、それらの事業が一番下の赤い四角として6つぐらいに大きく分かれているんですが、一番左が、「電波監視業務の実施」と「電波監視施設の維持運用」ということでございまして、これは不法な無線局が電波を発して混信などが生じていて、どこかで携帯が通じなくなったとか、あるいは要人の警戒などに支障を生じるとか、様々な不法電波の取り締まりを行うために、何らか基地局みたいなものを設けて電波監視業務を実施するということで、先ほどの653億円のうち、予算規模は70億円ぐらいになっております。
この政策は、総務省の政策の中でも、これだけの予算を使って自ら事業を行っているという特性がありますものですから、1つのケースとして、ちょっと詳し目に説明をさせていただいているわけでございます。
それから、2つ目の赤い箱のところに、「総合無線局監理システムの構築・運用」とございますけれども、無線局数が紫のページでございますが、これは1億局ぐらいあるわけでございますけれども、こういうものをデータベースを使って監理をするとともに、申請などについてオンラインで申請ができるようなシステムを構築していこうということでございまして、予算規模で大体80億円ぐらいということになっております。
それから、次が「電波資源拡大のための研究開発」ということですけれども、電波は周波数帯が非常に逼迫してきているわけですけれども、それをいかに効率的に利用するのか、すき間をうまく使うとか、様々な研究を進めて有効に使うための研究開発を各分野で進めているということでございまして、これは大体、平成19年度予算で100億円程度の予算が使われているということです。
それから、次に、「周波数逼迫対策技術試験事務」ということで、さらに電波を能率的に利用するための技術基準を策定するために、様々な試験・実験をするための事業ということで、四十数億円の予算が使われてということでございます。
それから、もう1つ、「特定周波数変更対策業務」ということですけれども、古い無線局を新しい無線局に変えることによって、周波数が、古いところでこんなに使っていたのが、新しいところでは少し幅が浮くようなものに更新するようなものがあれば、それに対して、それを奨励するという意味で給付金を、一定条件のものに一定額の給付金を交付するという事業でございまして、ここに約200億円の予算が平成19年度に計上されています。
さらに、「無線システム普及支援事業」ということで、「電波不感地帯での携帯電話用優先伝送路の整備」とございますけれども、端的に直感的に言いますと、携帯電話が通じないような地域をできるだけ解消していって、電波を国民があまねく利用できるようにしていこうと、こういう体系で事務事業が構築されていて、電波の適正な利用の確保のために電波利用料財源が使われているということでございます。
関連指標については、下に整理されているところでございますけれども、課題と取組の方向性というところで、特に一番最初では、この実施に当たって、どのように電波利用料が使われているか、電波を発射する無線局の免許人等から電波利用料を徴収していますので、透明化の向上に取り組む。あるいは、次ですけれども、電波監視のほうと関係するといいますか、不法・違法無線局が減少するように、国民に対するルールの周知を図る。さらに、免許の手続きについて電子化を推進して、国民負担の軽減を図る。技術の向上によって、電波の有効利用がより図られるようにする。最後に、携帯電話等について、困難地域をできるだけ解消していくと。さらに引き続き推進していこうと。こういう方向性が示されているということでございます。
これもなかなか、一口に電波の監視と言っても、必ずしも定型的な業務というわけでもなく、それぞれは非常に技術レベルの高い仕事であったりするわけでございまして、そういうものをどのように有効かつ効率的に進めていくのかという、そういうことを評価した上で結論に結びつけていく必要があろうと思います。ちょっとここは詳し目に説明させていただきました。
また、次ですけれども、政策15というところで、「ICT分野における国際戦略の推進」ということで、基本目標のところに、二国間・多国間の国際課題を推進する。あるいは、日本としての国際競争力の強化に向けた取組を進めるということが大きな目標として掲げられていまして、予算が23億円ということですけれども、これは国際会議の開催とか、あるいは出席とか、あるいは情報収集・分析とか、国際機関への分担金でありますとか、国際共同実験を進めるとか、そういった予算で構成されているようであります。
次のページに、全体の体系が示されているものですけれども、左側が二国間・多国間の枠組みによる国際課題を解決するための取組ということで、それぞれ会議あるいは先進国、あるいはアジア各国との協力と、こういったものが示されているということであります。
もう1つ、ICT分野における国際競争力強化に向けた様々な活動というものを進めていくと。こういうことによって目標を達成していこうというものでございまして、実績値につきましては、次の紫のページで示されているとおりであります。
それを踏まえた課題と取組の方向性ということですけれども、二国間・多国間での協議等について引き続き対応していく。アジアへの協力を進めていく。さらに情報発信を進めていくと、このような課題に引き続き取り組んでいかなければいけないということでございまして、これは担当部局は、総合通信基盤局の国際部となっておりますが、今回、組織改編を行いまして、国際戦略局――仮称ですけれども、これをこの夏に立ち上げるという予定になっています。
もう1つ、政策16のところですけれども、これは「郵政行政の推進」ということで、基本目標のところは、郵政民営化を円滑に進めるということと、信書便事業というものの事業環境の整備を進め、サービス・競争力の強化を進めるというものです。さらに国際協力、国際競争力の確保ということでございまして、次のページに体系が示されてございますけれども、一番左のほうが郵政民営化を着実に推進するという意味で、公社、これは平成19年度の評価ですので、公社から会社に移行するときでございますが、そのように書いてございますけれども、郵政の各会社の適正な監督を進めるということ。さらに、真ん中のほうは、国際協力、国際協調。さらに右側のほうは信書便事業を通じて民間参入を推進すると、このような政策課題実現のプロセスが示されているところであります。
課題と取組の方向性。今言ったことに本当に対応することでございますけれども、郵政グループ各社に対する監督を進めて、郵政民営化を引き続き進めるとともに、2つ目、国際協調の推進、さらに信書便制度について実効性を高めていくと、このような整理がなされているところでございます。
以上、簡単にご説明いたしました。特にどこかに限らず、ご自由にご議論をいただければと思います。
【森田座長】 それでは、担当課長さんからの補足はよろしいですか?
【讃岐政策評価広報課長】 すみません、担当課長から必要に応じて補足をしていただきたいと思います。
【森田座長】 特にあれば、お願いいたします。
【総合通信基盤局電波利用料企画室長】 電波利用料企画室長でございます。
政策14でございますけれども、事前にごらんいただいている資料から、少し修正をしているところがございますので、その部分を簡単にご説明させていただきたいと思います。
1枚目のところ、以前に比べまして随分詳しくなっているかと存じますが、政策の概要のところ、その必要性を法定をしている部分、「電波法全体の目的である電波の公平かつ能率的な利用」という、これを行うために電波利用料の事務があるということを少し追記をしてあります。
それから、予算額は、これは当たり前でございますけれども、特定財源でございますが、一般会計の中に入っておりますので、財務省への要求があって、そこでまず実際の必要額というのを毎年調整をしております。それから、実際にこれは3年間分でこの額を決めるという、プロセスを経ておりますが、その際に、例えば公開による研究会、パブリックコメントを行うなどの多くのプロセスがありますので、その部分を少し追記をさせていただきました。
それから、電波利用共益事務。先ほどご紹介いただきましたが、以前6つ、その後ろのロジック・モデルのところに載っている6つの部分に加えて、今11項目ここに書いてございます。実は、つい先ごろ、電波法の審議がございまして、その際に、今まで使途の例示という形で載っていた電波利用料の事務を限定列挙、すなわち完全に電波利用料の事務というものをここで限定せよという、そういう国会からの審議の結果で出てきた法案の修正部分がございますので、11項目をすべて書かせていただいております。したがって、平成17年度の結果という意味では、本当は正しくないのですが、今後の平成20年から22年を見るという意味では、こういう11項目の事務をもって電波利用料の事務を行うということになりますので、その部分をあらかじめ書かせていただいております。
それから、先ほど見ていただいたロジック・モデル、そういう意味では、平成20年から22年のところで、実際に行う事務、平成19年での事務では隠れている5つの部分で必要な部分は、また必要に応じて追記をしていくということになろうかと思います。
先ほど事務局のほうからもちょっと説明をしていただきましたが、特に一番左側の電波監視それから総合無線局監理システムというのは、私ども自身が現場として運用していると。電波監視はまさに不法な無線局を追跡して回るというところまでやっております。実際見ていると。機械類で不法無線局がどこに出ているかというのを見るだけではなくて、実際に不法な電波を出している人たちを、ある意味で捕まえる。私どもは警察権はございませんが、警察に引き渡す前のところまで私どもの仕事でやっております。
それから、総合無線局監理システムは、今ですと、例えばオンラインの申請にかかる部分まで含めて、実際に無線局の免許の申請が出てきたときに、実際にその電波が使えるかどうかまで調べる必要があります。それから、どういう種類の無線局であるかということを、このデータベースが特定をしているということ。それから、逆に例えば携帯電話の場合ですと、どういう周波数が使えるかについて周波数を公表しているのもこのシステムでやっております。ですので、もしご興味があれば見ていただければと思いますが、周波数がどこが使えるかというリストを、このシステムを使って公表しておりますので、例えば、ある電波を用いたシステムを使って何らかのサービスをやりたいときには、このシステムを使って、どこが使えるのかというのをあらかじめ見ていただく。そういう用途にもこれは使われております。
このようなものを全体をまとめて、ちょっとそのほかのものと若干違うかもしれませんが、黄色いところは、勝手ながら整理をさせていただいておりまして、その一番下の、だいだい色の直上のところにあるのは個別の下位のレベルの施策が直接目的としているものを書かせていただきました。その上で、実際にその政策によって達成されるであろう私どもの政策、例えば一番左の電波監視の場合は、混信・妨害の排除といったもの。それから、総合無線局監理システムの場合は、申請処理を迅速化できる、効率化できるといったもの。こういったものを書かせていただいた上で、上のほうに「電波利用の適正化」、一番最後の目的である「電波の適正な利用の確保」と、そういった形でロジック・モデルのほうを今書かせていただいております。
それから、一番最後の課題の取組と方向性のところは、先ほどご意見もあったかと思いますが、この6つのロジック・モデルの一番下にある下位のレベルの施策にできるだけ合わせた形で1つ1つ書いてございます。一番上に関しましては、先ほど国会の審議の中にも出てきた、特に653億円というかなりの額に及ぶものについて、やはりその使途を明確にせよと。それから、それをどのように使っているかということを透明化をもっと見せよという、そういうお話がございましたので、それを追記してございます。
残り4つにつきましては、そのロジック・モデルのうち、特に主なものというのを書かせていただいております。
以上でございます。
【森田座長】 ほかはよろしいですか。それでは、時間も押しておりますので、どうぞご発言をお願いしたいと思います。では、北大路委員。
【北大路座長代理】 政策16の郵政行政についてちょっと。ロジック・モデルですが、基本目標の文言が、ほかの同様のシートの中で、必ず右上に書かれていて、その中の基本目標の中のキーワードを拾って、上位のところには、そのキーワードを使っていらっしゃる。それから、紫の部分も何のためにとか、手段的なことをお書きになって、拾っているという印象を持っていたのですが、このケースについては、何か基本目標の表現というのが、例えば、だいだい色のトップの目的である「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発達」というところ、こういうキーワードが見つからないのと、あるいは、その下の紫の「利用者の利便の向上」「サービスの多様化」。多様化というような言葉は出てくるんですけれども、何か、私はこれまで、この2段、オレンジの丸とその下の紫というのは、大体基本目標の文言を2段にブレークダウンしたような形で上位の目的をあらわしてきたのかなと思っていますが、それはそのようなやり方ではないのかなと思ってみたんですが、何か理由があるんでしょうか。
【讃岐政策評価広報課長】 これは、そこまで精査は十分できていないところがあろうかと思います。改めて全体を見て精査をさせていただきたいと思います。
【北大路座長代理】 いずれにしても、ちょっと国民生活の安定向上、国民経済の健全な発達というのは、ちょっと概念が広過ぎるような気もしないではない。
【森田座長】 何か担当の方、ございますか。よろしいですか? それでは、ほかにいかがですか。
【小澤委員】 私もこれを拝見したときに、今、北大路先生がおっしゃったのと全く同じ感想を持ちまして、郵政行政の推進の、先ほども国民の安全・安心というのは、大分かなり大きな目標であるという、最初の防災のところでも出ましたけれども、あそこは目標の文言の中に書いてある言葉が出ていたんですが、郵政行政の推進と、この「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発達」というのが、すぐつながってこないような印象を受けましたので、この辺、もう少し精査をしていただきたいと思います。
【森田座長】 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、荒川委員。
【荒川委員】 政策10と15についてですけれども、ユビキタス社会なりICT分野の国際戦略の推進を行っていくためには、もう少し具体的に、どのような分野で、どういうふうな、例えば標準化提案を行うとか、そこに予算をつけるとかというようなことをしないと、単に何件の提案を行いましたというようなことだけでは評価しづらいのではないかと思うんです。具体的にいろいろな活動をなさっていただいていることは理解しておりますけれども、日本がユビキタス社会を実現するためには、どういう分野で標準をとり、また、そういうところに誘導していかなければいけないのかですとか、それを推進していくための国際的な戦略というのは一体どういうところにポイントを置かなければいけないかというところが、もう1つブレークダウンされたほうが政策評価としてはしやすいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
【讃岐政策評価広報課長】 まず、もう少し、この資料をどこまでブレークダウンできるのかというようなことについて、これから評価書に書く記述の中でどこまでできるのかということはよく調整したいと思います。担当部局から何かコメントがあれば、いただければと。
【情報通信政策局技術政策課長(代理)】 はい。技術政策課でございます。先ほどのご指摘でございますが、まず政策10ですね。課題と取組の方向性のところに一部触れてございますが、現在、研究開発、標準化、それぞれどういった戦略で進めていくかということを情報通信審議会に総務省のほうから諮問させていただいて、検討しているところでございます。その内容につきましては、近々にもまとまろうかと考えております。ですので、先ほど事務局のほうからもございましたように、どこまで書き込めるかというところはまた別ではございますが、内容については検討しているということでご理解をいただければと思います。
【荒川委員】 それは、いつぐらいにまとまるんでした?
【情報通信政策局技術政策課長(代理)】 今のところ、情報通信審議会の総会が6月、今月ございます。ですので、そちらで答申についてご審議をいただくという予定はしております。
【荒川委員】 それを受けて、もう少し具体的に、この中に落とし込みがなされるというふうに理解してよろしいですか。
【情報通信政策局技術政策課長(代理)】 どこまで細かく書けるかというところは、事務局と調整させていただきたいと思います。
【荒川委員】 大戦略としてですが。
【情報通信政策局技術政策課長(代理)】 戦略の中身については、先ほどご指摘のように、どういった分野について重点を置いていくかとか、そういったことも細かく書いております。ですので、一方で、こちらの政策評価については、どちらかというと、もうちょっとマクロなレベルの評価をされているのかなという印象を一方で持っておりますので、事務局とご相談をさせていただいて、できるだけ書けるように努力をしたいと思います。
【荒川委員】 必ずしも出されている件数ではないと思うんですよね。非常に重要なことを、1つ、例えば、ITUなりIETFなりに案を通せば、それだけでも十分に活動しているというふうにも言えると思うので、そこはもう少し表に出されてやられたほうが、単に数値を挙げられるよりはよいのではないかなという感想を持っておりますが。
【讃岐政策評価広報課長】 内容について、担当課とよく調整させて頂きたいと思います。
【荒川委員】 すみません。
【森田座長】 それでは、ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の政策のほうに入りたいと思います。よろしくお願いします。
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、次の議事次第で言うと3)ですね。「行政改革・行政運営等」ということで、政策は3つでございます。まず政策1の「国家公務員の人事管理の推進」ということですが、これは総務省の人事・恩給局で取りまとめているところでございます。
これは、ロジック・モデルで、次のページをごらんいただければと思いますが、国家公務員法がございますけれども、それに基づいて、国家公務員の人事管理を適切に推進していくと。いわばここの部局は、人事院という内閣の統括のもとに中立的な機関があるわけですけれども、この部局は政府の中にあって、いわば使用者側、公務員を使用する立場の総理大臣を補佐するという意味で置かれているところでございますけれども、適切な人事管理に関して推進していくということでございます。非常に細かい事業がたくさんあるわけですけれども、大つかみで言いますと、紫のところで左側に、「国家公務員に関する制度の適切な運営・改善」ということで、その中に一番左は、適切な給与水準。これは人事院の勧告に基づいて法律を改正すると、こういう仕事をしていくとともに、次に、オレンジのところで、能力・実績主義とございますが、大きな公務員改革の流れの中で、民間でも能力・実績主義と言われているわけですから、公務員について能力・実績主義を導入する。その前提として、きちんとした人事評価を行う必要があろうということで、人事評価を制度として導入するための試行を今実施しているということ。
さらに、多様な人材の確保ということで、官民の人材の交流、あるいは女性職員の登用などについて書かれている。
さらに高齢化への対応と適切な退職管理ということですけれども、公務員の再就職問題というものが非常に大きく社会問題になっておりますけれども、できるだけ長く公務にいられるような環境を整備する必要があろうということで、高齢化というのは、ここは社会の高齢化とは若干意味合いが違うんですけれども、一言で言うと、公務員が定年にできるだけ近くまで働けるような環境を整備していくこと。さらに右のほうは、どのような組織でもあろうと思いますけれども、職員の服務規律の確保、あるいは労働時間の短縮、能力開発、福利厚生、労務管理といった仕事に取り組んでいるということでございます。
こういう仕事でございますので、なかなか数値的な目標が立ちにくいというのが実態でございまして、数値目標が立っているのは、紫のところの上2つだけでございまして、I 種職員、キャリア職員の女性採用割合30%ということで、今25%まで来ている。さらに、国家公務員の配置転換というのを今進めているわけですけれども、これを4年間で2,900人。これは3年目に来ているわけですが、毎年、七百数十人を実施していると、このような数値目標がございます。
逆に言うと、数値で示せるというのは、これぐらいで、あとは定性的に、もちろん指標は示せるわけですけれども、何をどこまでやるのかというところはなかなか決めがたいことがあると、このような定性的な、あるいは方向性だけ示された数字の指標で評価をしていく必要があろうということであります。
課題と取組のところで、諸施策を適切に推進するとともに、さらに一層公務能率の向上を図っていくと。このようなことが書かれております。
次が、「行政評価等による行政制度・運営の改善」ということでございます。これは総務省の行政評価局の仕事でございますが、一言で言うと、政府全体の政策評価制度の企画・立案、運営を中心とした仕事をしているということで、この有識者会議でご議論いただいている総務省としての所管政策の評価も、この行政評価局が企画・立案している政策評価制度の一環としての位置づけになっているということであります。そういうことから、政策評価というものをどのようにとらえたらいいのかということについて、この会議でもご議論になったところでございますが、本日は、この評価局の仕事の評価ということでご議論いただくことになります。
1枚めくっていただきますと、「行政評価等による行政制度・運営の改善」ということでございますが、大きく言って、一番下のオレンジ色のところがございますけれども、1つ、「政策評価制度の推進」。これは政府全体の政策評価をいかにして企画・立案して向上させていくのかということでございますが、それを達成する道筋として、1つ上の黄色いところ、指標がたくさん掲げられているところを見ますと、評価の質の向上、さらに評価の政策への反映というものを進めていくことによってレベルアップを図っていこうと、こういうことでございまして、その指標といたしまして、まず1つは、重要対象分野に対する評価を進めていこうと。政府の内閣の重点課題のようなものをきちんと評価していくということがまず大事であろうと。
それから、次は政策評価の質の向上ということで、極めて抽象的ではございますが、ちょっと次の紫のところの2つ目ですけれども、質の向上について、どのような指標ではかっていくのか。これもなかなか多面的で難しいところではあろうと思いますけれども、1つの指標として、一言で言うと数値目標の設定されている割合ということでございまして、ここの表を見ますと、評価制度ができた当初は34%ぐらいであったものが、今71%ぐらいまで向上してきて、アップしてきていると。こういうものを1つの指標として評価の質の向上をとらえるということがここでの趣旨であります。
さらに、また戻っていただきますと、政策評価結果の政策への反映ということがございますが、それは次の指標で、達成状況を見ますと、政策評価の政策への反映割合ということが、平成17年度、平成18年度、平成19年度、これは政策評価をやれば何らかの政策に反映されている。しかし、一方で、政策の改善・見直し等が行われた割合というのも2割程度ということです。評価結果はおよそすべて、何らか予算などに反映されているということですが、政策の見直しが行われているものというのは、もう少し絞られてくるわけです。しかし、一定割合は出てきていると、このようなことでございます。
もう1つ、この黄色い枠の中の一番下のところですけれども、総務省が行った客観性担保評価活動の結果に基づく政策評価の改善の状況でございますが、客観性担保評価活動といいますのは、各省が行った政策評価の結果は、すべて総務省の行政評価局に通知をすることになっているのですが、通知を受けた行政評価局は、政策評価が客観的に行われているかどうかという観点から、すべて改めてもう1回、再点検をすると、こういう仕組みになっておりまして、それによって各省の評価に改善すべき点があれば、それを各省にもう1回フィードバックすると、こういう仕組みになっているわけでございます。この会議で議論いただいて行った総務省としての政策評価についても同じようなプロセスで毎年評価局に通知をされ、必要なフィードバックを受けていると、こういうことでございます。
さて、それでは、この客観性担保評価活動の結果ということでございますけれども、次の紫の2枚目の、上から3つ目の枠ですけれども、各省、先ほどの資料で言いますと、千数百件ぐらいの評価活動をトータルで行っているわけでございますが、総務省行政評価局で全体をチェックした結果、20あるいは30、40ぐらいの改善すべき点を指摘をし、評価のやり直しなどを指摘したと。甘い評価については、最終的には評価のやり直しまで求めるという仕組みになっているわけで、それが運用されてこのような結果になっていると。いわば、各省、これで緊張感を持って評価に取り組んで、「お手盛り評価」という言葉が随分前に言われましたけれども、そういうふうにならないような牽制がここでかかっていると。さらに、この活動を通じて評価全体を評価局で見るわけですので、評価のレベルアップなり評価の制度改善についての知見を蓄積し、必要な改善に結びつけていくと、このような活動が行われているということでございます。
評価局の、それ以外の活動ということでございますが、もう1回ロジック・モデルに戻っていただきますと、一番下のオレンジのところに、2番目、「評価専担組織としての政策評価の実施」とございますが、評価局は、出先機関も持ってございまして、みずから実態調査を行って評価を実施すると、こういうこともございます。ここは、各省でまず一時的に評価を行うということになってございますので、省庁をまたがるような政策については、総務省が評価を行う。その上に府省の枠を超えた評価の実施とございますけれども、そのような評価も年に数件程度行っているところでございます。
さらに、3つ目ですけれども、「行政評価・監視の実施」とございますが、これは昔、行政監察と言っておりましたけれども、やはり出先機関などの調査を通じて、例えば、昨年ですと、ジェットコースターで遊園地の事故が起きたときには、同様な事故がないかどうかを全国的に調査をするとか、あるいは随意契約の調査を全国的にするとか、そういうことで行政の合規性等についてのチェックを行っていると、このような活動を評価局であわせて行っていると。
最後に、「行政相談制度の推進」ですけれども、個別の苦情を解決するという機能も持っておりまして、上のほうの黄色いところに、「年金記録の訂正よる国民の正当な権利の実現等」とございますけれども、これは昨年来、5,000万件の年金記録が宙に浮いている、突合が必要だという大きな社会問題になりまして、その突合自体は社会保険庁で行っているわけですけれども、個々に国民個人個人が自分の年金記録に誤りがあり訂正が必要であるという申し立てをした場合、きちんと社会保険庁とは別の第三者にきちんと判定をしてもらう。こういう機能が必要だろうということで、これは昨年の夏から行政評価局で取り組んでいるところでございます。ここは今、紫のページの3枚目を見ていただきますと、3枚目の2つ目のところになりますが、一番左に年金記録確認第三者委員会、それぞれ、この第三者委員会というのを本省だけでなくて、各出先機関全体に作っていて、苦情を受け付けて解決をしているわけです。一番右のほうを見ますと、昨年夏からの申立件数が約5万件で、処理した件数が昨年度末で6,000件であると。昨年は、まだ立ち上げた段階なので、数値目標が立てられておりませんけれども、この平成20年度については、今、年度末にあった件数は、1年間で解決を図るという目標を立てて、今、鋭意それを進めていると。大変な作業量が発生しているという状況であります。
以上が、評価局の仕事の全体像の概要を説明したところでございますが、そういう全体の仕事の中で、特にこの委員会は、これまで政策評価制度というものについて、いろいろご関心がありましたものですから、ここはそういう意味でケーススタディ的に詳しく説明をさせていただきました。
改善の方向性等は、一番最後のところに書いてございますけれども、さらに評価の質の向上を図るための様々な取組、あるいは一番最後は、年金記録問題について迅速に解決すると、このようなことが書かれております。
このパートの最後ですけれども、「電子政府・電子自治体の推進」ということですが、これは、電子政府というのは国のほうで、電子自治体というのは地方の方でございます。いずれもオンラインでの申請とかワンストップとか、それによって利便性を向上させるとともに、行政の効率化を図るということが目標でございます。
次のページを見ていただきますと、これも国と地方を、どうしても分けてロジック・モデルを書かかざるを得なかったということですが、基本的な構造は、それほど大きな差はないと思いますけれども、国では「利便性・サービス向上」ということと「行政運営の簡素化・効率化」ということを、紫のところで目標として立てておりまして、そのためにオンライン利用の促進、あるいはワンストップ、さらに業務の最適化等を進めるということです。地方についても、オンライン利用の促進ということでございますが、指標等につきましては、もう1枚めくっていただいて、紫のページでございます。国に対する申請・届出のオンライン利用率を平成22年度までに50%以上という目標を掲げているわけですけれども、今のところ、昨年度まで15%。地方についても、一番上にございます。17.5%ということで、このような数字の状況になっているわけでございます。
そこで、次のページ、今後の課題といたしまして、2行目に、オンライン利用率は依然低調であるが、電子政府の取組について相当なスピード感を持って進めることが求められていると。従来にないスピード感を持って抜本的にさらに強化していくことが必要であるという課題が述べられているところでございます。
私の説明は以上でございますが、必要に応じて、部局から補足していただければ。
【森田座長】 担当課長さんの方、補足はございますか。政策3の行政評価等に関して。
【行政評価局総務課長】 ただいまの説明の中で、政策評価については各省の政策評価の状況についてというのがありましたけれども、当然、非常に限られた人的資源の中でやっておりますので、私どもの評価の中では2つに分けてやっております。それは、1つはやり方点検、それから、もう1つは内容点検と呼んでおりますけれども、やり方点検のほうは、どちらかというと、形式的なチェックといいますか、各省から出てまいりました評価書をチェックをしまして、数値目標が語られているかどうかとか、基本的な要件が備わっているかとか、そういうところを、これは制度が立ち上がってまだ間もないということもありまして、当初はそういうところをかなりの中心に、各省の評価書を丹念に見てチェックをすると、そういう活動が中心でありましたけれども、最近、内容点検といいまして、実際にその評価の中で、例えば公共事業等について、需要予測等の数値が非常に課題ではないかとか、個々の評価の内容に立ち入って、その疑問点があれば、それを各省に問い合わせて、かつ、そこでその問題点が明らかになれば、評価のやり直しとか、そういうことを求めていくと、そういう活動のほうに少し重点を移しつつあるということでございます。ぜひともその内容点検について言えば、膨大な各省の評価の中で、非常に限られたケースを取り出してやっているということでありますけれども、そういう意味で、なかなか体系的に、網羅的にそういうチェックをやっているわけではありませんけれども、幾つかそういう点をチェックをして公表するということによって、それを各省でも参考にしていただく、あるいは、全体のレベルの向上につなげていただくと、そういうような活動としてやっているということでございます。
【森田座長】 ほかはよろしゅうございますか。どうぞ。
【行政管理局行政情報システム企画課長】 電子政府の関係で、1点補足させていただきます。
オンライン利用は、電子申請が進んでいないということで、一方で諮問会議などでも電子政府関係を議題として、4月1日に議論などされております。目標で、平成22年度50%以上という目標を掲げてございます。事実としてはこういうことございますが、今、議論としては、この目標でいいのかどうかということも含めて、政府内で検討しているところでございます。というのも、平成17年度、平成18年度、11.3%から15.3%と、伸びてはいるんですが、はかばかしくないという実態の中で、さらに抜本的な改善策というものは、有るや無しやも含めて、こうした流れの中でこの目標自体も見直そうという気運が現にありまして、この7月末に報告書がまとまる時点と、新しい目標が公になるタイミングとが合わないと思います。もう少しかかるかもしれませんが、今そういった検討もしているということを補足させていただきます。
【森田座長】 余計なことですけれども、電子自治体の場合の個人認証が100%が目標になっているわけですけれども。
【自治行政局地域情報政策室長】 公的個人認証につきましても、こういう目標がございますので、ユーザーの声を、ニーズを聞きながら、運用面でも改善できるところはかなりあると思いますので、改善をしながら利便性向上について目標達成に努めていきたいと考えております。
【森田座長】 ほかによろしいでしょうか。それでは、北大路委員。
【北大路座長代理】 政策1の国家公務員の人事管理の推進ですが、ここの一番上のオレンジ色の上位の目的の表現は違和感を持ちました。何か人事管理というのは、私もこの分野でいろいろ事業を担当したりしているんですが、かなり手段――手段と申しましょうか、人事管理を手段として何らかの結果を得る。上手な人事管理によって動機づけるとか、そういうような雰囲気で普通使っていますので、一番上にこれが来ていると、人事管理が目的というのは何か・・・・・・。基本目標を見ますと、質の高い行政サービスとか、行政に対する国民の信頼というのは大変高い目的が書かれております。そういうようなほうに向けて、それに近いものにされたほうが何か違和感がないという気がいたしました。
それはそうなんですけれども、今のは単なるチャートのつくり方なんですが、大変私が関心を持っておりますのは、最近は報道でもありますように、国家公務員の採用試験を受ける人が少なくなったとか、あるいは中途退職者が増えたのではないかとか、いわゆる基本的に――すみません、キャリアの皆さんを目の前にして申し上げるのは大変申し上げにくいんですが、何か国家公務員の魅力というのが低下しているとすれば、動機水準というのは国家公務員の場合は、というか、公務員の場合は全体に、報酬よりも貢献することによる喜びと申しますか、動機水準が何よりも一番だと思います。先ほど申し上げたとおり、特に公共部門での人事管理の基本、最も重要な部分は動機づけ。高い意欲を持っていただくことと思っております。その辺のことが、本当に成功しているのかなと、今順調に行っているのかなと。
最後に大変簡素な課題と取組の方向性というふうにお書きになっていまして、全体的には着実な効果を上げているものと認められ、今後とも推進するとおっしゃっているんですが、そんなに「順調だ、順調だ」とおっしゃるだけでいいのかなと。ある程度、こういう政策評価というのは国民に理解を得るというところも必要かと思いまして、ご検討いただければという気がいたしました。
【森田座長】 何かコメントはございますか。
【人事・恩給局総務課長】 最初のご指摘は、まさにそのとおりという気がしますので、基本目標の書き方につきましては、私どもとしても、より適切な書き方があるかどうか、もう1度考え直してみたいと思います。
2点目のほうは、非常に難しいご指摘かと思います。今の人事行政自体がうまく行っていないからこそ、公務員制度改革が必要だということで、改革の基本プログラムを定めた基本法が今の国会でまさに通ろうとしているということかと思います。一番重要な、先生もおっしゃった、働いている人たちの動機水準、モチベーションが下がっているのではないかというご指摘については、非常に頭が痛いところですが、そういうところもあろうかと思います。
この原因につきましては、いろいろな点でも現に指摘されています。卑近なところで言えば、ワーク・ライフ・バランスが崩れているということが大きな問題となっています。滅私奉公的に長時間残業をやっているものの、それに対して得るところがどうも感じられないというところが結構大きいのではないか。何で感じられないのかといえば、処遇の問題もあると思いますし、あとは、いろいろな政治的な要因も絡んできて、いろいろな調整しなければいけない場面が増えているのに、なかなかそれがうまくできない。自分で思ったことが実現できないということもあるのではないかなと思います。大変難しい問題ではありますが、私どもとしてできるのは、処遇の面をいかにして見直していくかということと考えておりご指摘を踏まえて、今後考えていきたいと思います。
【森田座長】 よろしいですか。ほかに。梅田委員。
【梅田委員】 希望として申し上げるだけなんですが、政策3、「行政評価等による」というあれで、今の政策評価法で、一応目標数値、指標を置くということを推進しているわけだから、ここでないというのは、何か非常に皮肉というか、アイロニーというか、推進していくのに目標がないというのも奇妙な現象だなという思いがいたします。
目標値の設定の考え方なんですけれども、これは私の私見でございますけれども、もうこれは政策評価法ができて、五、六年たつんですよね。もっと経つかな。それで、こういうふうに全般的に参考指標でというように、無難といえば無難なんですが、今までの実績を踏まえて、ここ二、三年の課題といいますか、つまり誘導する目標というのがあるべきではないか。実績のない場合は、それは無理だと思いますが、もうある程度実績も出てきた、いわば第二期を迎えておられるのではないかと思うんですが、それを今までの実績を踏まえて、今後の二、三年とか四、五年、この点を改善すべきであるというようなところを目標値として置くのが望ましいのではないかと常々思って、実務的にはそういう設定の仕方というのもあるのではないかと思っておりまして、できれば政策3で目標値を設定していただきたいという思いがいたしております。希望的意見ということで。
【森田座長】 私も同じような思いをしておりますが、ちょっとコメントいただけますか。
【行政評価局総務課長】 勉強させていただきたいと思います。数値目標ということでなければ、ここ二、三年ということで言いますと、重点対象分野、これは経済諮問会議も絡ませて、各省に政策評価情報として非常に有益なものが出てくる分野で、かつ今後の政策展開の中で、政策議論の中心になるような分野というものを特定して、そこに評価の資源を集中化していくと、そういうような動きというのを昨年度からやってきておりまして、これを少し、今年初めて、その評価を今、各省にお願いしておりますけれども、それが出てきますので、そうしたものの充実とか、数値であらわせないところでは幾つかそういう課題設定なりというのは出ているんですけれども、自らやるところではなくて、政策評価制度そのものが各省のみずからの評価というのを前提にしてやっているというところがあって、なかなか数値目標としてやれるようなものというのが、正直、私どもの今までの勉強の中では出てきていないということですので、何かご示唆とかあれば、我々としても勉強していきたいと思います。
【森田座長】 ほかにいかがでしょうか。皆さん、少しお疲れになってきたかと思いますけれども。(笑)政策評価に関して言いますと、この有識者会議で評価の対象になっているわけですけれども、この有識者会議の見解を踏まえて、内部評価されるのは、これはまた評価局の評価の対象になるという、ちょっと複雑な関係ですので、なるべく数値目標を増やせという話になっているときに、確かにおっしゃるような問題があろうかと思いますけれども、これは非常に難しいことだと思いますので、ぜひ工夫をしていただきたいと思いますし、また、委員の方の中でお知恵があれば、ぜひお寄せいただきたいと思っております。
この件もよろしいでしょうか。それでは、次の政策についてお願いいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、最後のグループですけれども、「地方行財政等」ということで、地域振興、地方財政、地方税、さらに選挙というところでございます。
資料として、まず政策5というところですが、「地域振興」ということで、今、地域の活性化などが非常に大きな課題となっているわけでございますが、「地域の特性に合った魅力ある地域づくりを行う地方公共団体を支援する」というのが大きな政策の目標、枠組みであります。予算的には、これは一部補助金などを持っているということでありまして、これは6億5,000万円の補助金と調査経費300万円という、これ自体についての予算というのは非常に少ない。むしろそれを、予算というよりも、いろいろなメニューを示して、誘導していくと、このような政策であるということであります。
次のページに、基本目標。地域活性化の達成過程のロジック・モデルがございますが、まず一番下のオレンジ色の一番左からですけれども、地方公共団体の地域づくりの支援ということでございますが、その上に、地域活性化を実現するための取組を支援するための財政措置を行うために、様々なメニューを示して、そのメニューを採択してもらって、地域活性化を進めていくということです。紫のページの最初のページの後半のほうですけれども、参考となる指標
として、財政措置を行うに当たってのメニューとして示している事業の活用状況というものが示されております。メニューとして示している1つが、循環型社会形成事業の活用状況ということで、これが過去3年間、どのように推移してきているか、少子高齢化対策事業についてはどうであるか、地域資源活用促進事業についてはどうであるかということであります。確かに年度ごとにプラスマイナスがあるわけですけれども、一定程度は確保されていると。こういうものをどのように捉えるのかということかと思います。
いずれにしても、ここは、これ自体が予算措置を、ここでお金を配っているというよりも、こういうメニューを採択することによって起債がしやすくなるとか、そういう効果を伴うことによって、地方自治体で事業を進めやすくなる。そういう意味で間接的な支援措置という位置づけでございます。そういう意味で、なかなか効果というものをとらえがたいということになろうかと思います。
もう1つ、オレンジ色の2つ目ですけれども、「地方公共団体の国際化施策の推進」ということで、ここ1つは、大きな事業といたしまして、JETプログラム。地方公共団体において英語をしゃべる国からの小・中学校の英語を教える人を招くための事業の枠組みということでございます。これにつきましては、実績値が次の紫色の2枚目に書いてございますけれども、平成17年、平成18年、平成19年で、5,800人、5,500人、5,100人。5,000人は超えておりますけれども、一部減っている。これにつきましては、おそらく市町村合併等々の影響などもあろうかと思いますけれども、何らかこれを引き続き効果ある推進策を考えていくと、こういうところだと思います。
それから、次に地方公共団体が実施する地域振興施策ということですけれども、これも何らか誘導していくという意味で中心市街地活性化のための施設整備あるいは公共施設等の設備の推進ということで、これについて施設を作っていく方向に誘導していき、中心市街地の活性化に結びつけていくということでございます。指標につきましては、紫のページに書いてございます。
このようなことを通じて、地域の活性化、国際化を図るということと、もう1つ、右側のほうに、過疎地域の自立促進、辺地等の地域格差の是正ということで、これは、過疎地域について、いかにしててこ入れをしていくのかということで、これについては、そのための補助金などが一定額措置されておりまして、そのための過疎対策事業を実施するとともに、辺地につきましては、公共施設からの距離などで、辺地かどうかという定義をするそうでございますけれども、辺地要件を解消するために様々な施設を作っていく。そういう施策をとっている。これにつきましては、紫の実績値のところの最初の2つがその実績値でございますけれども、自立促進計画というものにつきまして、パーセンテージが、今年度はまだ出ておりませんけれども、はかっていくとともに、辺地数につきましても、いろいろな施設を整備することによって、徐々にその数が減ってきていると、このような効果が上がっているということでございます。
これらを踏まえまして、課題と取組の方向性というところですけれども、最初のほうの地域の活性化という観点で言いますと、地域活性化のための支援について、地方公共団体からどういうニーズがあるのかというのをよくよく把握をしながら支援策を必要に応じて見直しを行っていく必要があろう。支援を行っていきつつも、どのようなメニューがいいのかということを考えていかなければいけないということとともに、JETプログラムにつきましては、小学校における英語教育がこれから必修化されるそうですけれども、有効な活用方策について検討していく。さらに、過疎地につきましては、辺地につきましては、新たな過疎対策のあり方について引き続き検討を進めていく必要があろうと、このように書かれているところでございます。
このグルーピングの残りの政策は非常にマクロ的であったり、あるいは選挙という、なかなか行政だけでとらえきれないような部分を含むところでございます。その中で、この「地域振興政策」につきましては、具体性がこの中では比較的あるかなということで、ちょっと詳し目に、ケーススタディ的に説明をさせていただきました。
あと3つでございますけれども、次が「地方財源の確保と地方財政の健全化」ということで、これは自治財政局の仕事、全体像でございます。基本目標は、自治体の財政運営に支障が生じないように財源の確保を行う、また交付税の算定方法の簡素化を進める。さらに地方公共団体の財政収支を改善させ、財政の健全化を図ると、こういうことでございまして、次のページを開けていただきますと、平成20年度予算額というところで、地方財政計画の規模、全体83兆円となっています。さらに交付税額が15兆円で、地方債が12兆円という、非常にマクロで、大きな地方財政全体をとらえているということではありますけれども、なかなか非常に大きな問題になっているというところでございまして、そういう意味でこの全体を捉えた評価は難しい面があるかなとも思います。
ロジック・モデルにつきましては、今申し上げました基本目標に沿って、地方財政計画を策定し、財政収支ギャップの縮小と財源の確保を図る。さらに、交付税の算定方法の簡素化を通じて、この財政運営の予見可能性を向上すると。さらに、公債費負担の適正化等につきまして、地方債資金の確保、公債費負担適正化を図る等々のプロセスが示されているところでございますが、全体、そのプロセスを指標として示すと、次のページ、紫のようなところになろうかと思います。先ほど申し上げましたけれども、全体の地方財政規模、地方財政計画というのは83兆円という国の予算よりも大きいぐらいの全体の規模の中で何をどうとらえるのかと、こういう非常にマクロ的な、大きなとらえ方になっているところでございます。
最後、課題と取組の方向性ですけれども、地方行財政基盤の拡充を推進等々というものが整理されて書かれているところでございます。
次が、地方税でございますけれども、これも大きな制度の改正なり構築ということでございますが、基本目標として、分権型社会を担う地方税制度の構築のために税制改正を実施するということですが、具体的な総務省としての目標として、国と地方の税収比を1対1を目指して、地方税を充実するとともに、税源の偏在を是正するための措置を検討して、それを実施していくと、こういうことでございます。
次のページにロジック・モデルがございますけれども、紫のレベルでは、地域福祉の充実等に要する財源を安定的に確保するための、今申し上げたような地方税制度をいかに構築していくのか。大きな方向として、次の指標等の進捗状況にございますが、国・地方の財源配分を1対1に近づけていくでありますとか、次のページ、また、大きな税収格差というものがどのような状況になっているのかというような指標が示されているところでございます。
総じてロジック・モデルにもありますけれども、ロジック・モデルの一番下のところに、「毎年度の地方税制度の見直し」というのがございまして、この見直しを通じて大きな問題意識を実現していくために、様々な税制改正を行っていく。その結果、いかに総務省としての目標が達成されてきているのかというのがここに示されていることかと思います。
課題と取組の方向性ですけれども、ここも非常に大きな方向性が示されて、最後に安定的な地方税体系の構築と、こういうようなことでまとめられているところでございます。
最後になりましたけれども、「選挙制度等の適切な運用」。これは自治行政局選挙部の仕事でございます。これは「選挙制度、政治資金制度及び政党助成制度を適切に運用し、民主政治の健全な発達に寄与する」と、このような目標でございます。次のページでございますが、民主政治の健全な発展のための選挙制度の適切な運用等々ということでございまして、「選挙制度に係る調査研究」というのが1つ。それから「選挙等の適切な管理執行と普及宣伝」。特に投票率、若年層の低投票率等が社会的に問題になっているところでございますが、これは結局、選挙にいかにみんな行く気になるかという問題ではあるんですけれども、いかに適切に広報などを行って啓発が行えるかということも1つの指標になるのかということかと思います。それで、投票率等がどのような推移になっているのかというのが、これは3年ごとに、参議院選挙の投票率で、次の紫のところに書かれているわけであります。
それから、もう1つ、選挙の管理執行の適切性というのも1つの指標かということで、紫の2枚目に、管理執行が適切に行われているかどうかということについて、様々な指標が示されていると。
もう1つ、大きな仕事として、「政治資金・政党助成制度の適切な運営」ということですけれども、これも政治家・政治団体から来たものを適切に報告書を管理し、適切に必要に応じて開示を行うと、このような仕事で、なかなか政策的な余地が入りづらい。特に行政として何らかこうするというよりも、これは選挙制度もそうですけれども、むしろ与野党の合意のもとで制度ができて、それを適切に運用するというのが我々の仕事ということになろうと思いますが、それをいかに適切に行ったのかというのを、どのようにとらえていくのかということかと思います。
指標を踏まえて、課題と取組の方向性。選挙の管理執行、さらに投票率の低水準について、どのように取り組んでいくのかということが書かれているところでございます。
以上であります。部局から必要に応じて補足していただければと思います。
【森田座長】 担当課の方、よろしいでしょうか。
それでは、委員の方から、どうぞご発言をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
この地方関係につきましては、柿本委員や澤田委員は、知事、市長をお務めになったところでございますし・・・・・・。
【柿本委員】 先ほど来ご説明なさっているように、大変マクロな部分でございますので、こういう仕組みに、うまく表現していくのは難しいと思いますが、いろいろ工夫していただきたいと思います。私がいちいち申し上げるより、これ全体を見ていて、1つ、先ほど電波のほうで、情報のメディアは大変最先端を行く方向が見せられていると。そのメディアを利用した情報をうまく作っているのかどうか。あるいは、うまく必要な方に示しているのかどうか。要するに、情報の入手とか提供ということについて、もうちょっと関心を持っていいのではないだろうかというような感じがします。例えば、今のジャンルの中で、この税務局のところについては、「国民負担率の内訳の国際比較」というのが載っております。私は、時々しゃべるとき、「日本は先進国のうちで一番税金が安い国ですよ」と言うんですよ。そうすると、七、八割の人が「えっ?」って言うんです。自分の税金は高いと思っている。
というのは、実はこれ、マスコミはこんなもの報道すると人気が出ませんから、書きたいと思わないでしょうけれども、このグラフを見てもらったら、もうそれは如実にわかるし、例えば、その結果、どんどん毎年、何兆円単位で赤字を継ぎ増しているということがわかるんですが、そんなのはほとんどの方が知られていない。
これは一番わかりやすい例でございますが、もう1つは、前に送っていただいたロジック・モデルの説明のところに、いわゆるこのロジック・モデルを導入することの効果として、政策の課題が発見され自己改善のきっかけになるということが書いてあった。だから、今ずっとこういうスキームを追って立てておられると、文章で書くと、基本目標とか、あるいはそういうようなレベルの違う政策が何かもう決まっているように書かれているけれども、実はやっておられる方もそうだし、周りから見ても、時代とともに変わる部分というのはかなりあり得るし、必要なんですね。
そういう部分について何が必要かというと、やはりそういうものを判断する、いろいろな情報をいかに入手していくか。あるいは、それをいかに国民の方に提供していくか、両方あると思うんですが、そういう面についての努力が大変必要なのではないかと。明治や戦後のように、ほかの国の制度をそのまま生のままで導入してくるという時代でなくなったことは事実ですが、それについて、しかし、同時にそういうものを作っていかない国になっているのに、もう学ばなくていいような、例えば比較の話であれば学ばんでいいような、あるいは、現実の話なら、情報が共有できるような体制をつくることが大切だと思うんですが、より一層大変になる。そういう情報の取り扱いについて、何かもうちょっと改めて考えるべきではないかと思います。
私、申し上げた分野と違うことが1つあるんですが、今、公衆電話がどんどん減っているんですよ。これは消防庁と電話のほうとに両方あるんですが、携帯電話は大変便利になってきて何でもやれます。しかし、一たん災害が起こったときは、本当にガラスの城みたいになっていると思うんですね。だれも必要な人が情報操作できないという可能性すらある。それに対して、当然いろいろ考えておられると思いますが、そういうことについて、例えば、先ほどの税制の話もほかの話もそうですが、諸外国でどうしているんだろうか。あるいは国民はどう受け取っているんだろうかと。こういう情報が常に入るような体制というのが必要ではなかろうかと思います。
そのことが国民の持っておられる意識と乖離している面がある。電話で言うと、携帯電話をみんな持っていますから、災害になったら、いろいろな情報がどんどん流通すると思っているんですが、あれは経験した人はわかりますけれども、災害になったら全部とまっちゃいます。緊急電話の仕組みも作っておられますが、これは実は交換手を媒介する方式がありますが、あれは災害になったら通用しないことはよく考えてみればわかると思います。そういう個々のことについて、この場でお答えいただく目的で発言しているのではありません。情報の入手と、あるいはそれを整理して提供する。
地方行政のいろいろな働きもそうなんですね。地方分権がいいというのは、地方がいろいろな材料を手に入れて、自分でいろいろなことを考えるからいいわけです。その人たちに他の地方団体がどんなことをやっているのか、他の国がどんなことをやっているのかという情報を提供されないで、単に昔の感覚で考えていたら、1つも地方分権をしている意味が出てこないと。いろいろ勝手なことを言っていますが、結局、情報というものを改めて、明治や戦後に行政機関やそれなりの関係のところが情報に大変必死になったのと同じ感覚で、何か取り組む必要があるのではないかと思います。どうされたらいいのかわかりませんが、いずれにしても、ちょっとそういうことについてお考えいただいた、あるいはそういう方向で政策を考えるようなものが出てくればどうであろうかと思いましたので、ちょっと余分なことを言いました。
【森田座長】 ありがとうございました。それでは澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】 これは感想のようなものになるんですけれども、1つは、地域振興という政策ですね。打ち出し方としてあまりにも他の政策のタイトルと比べて大き過ぎるんじゃないかという感じがします。地域振興は、国家の最重要課題の一つであり、中央政府の様々な省庁がかかわりあってやっているわけですから、総務省としては地域振興という大きい打ち出し方ではなくて、もう少し、同義語、反復的であっても、基本目標に書いてあるような言葉で書いたらどうかという感じがいたします。
それから、もう1つは、地方自治体というのは、首長が住民の直接選挙で選ばれるわけですから、いわば地方政府みたいなものです。中央の各省庁は地方政府である自治体においては、局であり部であるというようなことです。自治体の場合は、行政評価、政策評価について、住民満足度というのをいかに高めるかということを基本的な視点においていろいろな施策を講ずる。まちづくり市民アンケート調査により把握した市民満足度を考慮して政策や施策の選択を行うのです。また、外部評価という面で、横須賀市では、公募により集めたいろいろな分野の方20人を「まちづくり市民コメンテーター」として、行政への注文をしてもらうとか、あるいは集まってもらって市民アンケート調査の結果を見ながら意見を聞くというようなことをしています。
もう1つ申し上げれば、「まちづくり行政評価委員会」という公募市民、学識経験者、市民団体代表で構成する機関で市の内部評価の結果を審議してもらうという住民協働型行政評価システムを構築しています。地方政府が常に住民と直接接しているのと違い、中央省庁の場合は、国民というのは、地方政府の先にある遠い存在であるというような意識的な距離もあるものですから、それを評価システムの中に組み入れるというのは非常に難しいとは思います。ただ、総務省の場合は、地方自治体と直接接触する機会が多くありますから、何とか都道府県なり市町村なりが具体的に総務省の施策について、どのような希望なり要望なりを持っているかということを、市長会や知事会の形式的な国に対する要望ということでなくて、別の次元で、そういうニーズを具体的に酌み取る、吸い上げるシステムが何かないかということを感じますね。それによって、数値目標まで行いかなくても、かなり具体的な指標や関連指標を見出すことができるかもしれない。そういう感想を持っています。
自治体の場合は、自己評価という内部評価をやって、それを外部評価とセットして評価を確定させるやり方をとっているところが少なくないと思います。行政としてはいい政策を打ち出して、一生懸命やって有効であったという自己評価をしても、住民の方は意外とその政策なりを100%は評価しないこともあります。行政側の満足度と住民側の満足度の間にずれがあるのです。そのずれの原因は何であるか、いかにずれをなくすかということを絶えず検証していくというシステムがあるわけです。中央省庁にはそれがないということはやむを得ないんですけれども、今まで何回か出席させていただいた中でジレンマとして感じます。
それから、もう1つは、自治体は地方政府と申し上げましたが、たくさんの地方政府がありますから、その間に競争原理が働きます。だからベンチマーキングとして、ある指標について、他の自治体と比べてどうなっているのかということが数値でわかります。手っ取り早い話が、税の収納、逆に言えば滞納率ですね。うちはどうしてこんなに、よそと比べて収納率が低いのか。逆に言えば、滞納率が高いのか、原因は何なのかということで、他の自治体と数値で比較できるという、ある意味では利点なんですけどね。それがあります。
それから、数値化できないような施策についても、いろいろな情報で、ある自治体が非常に進んだ施策を展開しているということがわかった場合は、首長のリーダーシップで、組織に対して、その実態なりを調査・分析し、優れたものならそれを自らの自治体に合うような形にして導入するということができるわけです。その点が中央と地方とで基本的な違いがあるのはやむを得ないんですが、そういう中で中央政府としては、自己評価システムの中でいかに客観性を高めるかということの努力を知恵を絞ってやっていくということがこれから基本的に必要なのではないかと思います。
以上です。お答えは特に要りません。
【森田座長】 ありがとうございました。大臣が20分ぐらいにおいでになってお話という話ですが、少しおくれているようでございますけれども、間もなくおみえになるということです。そういう意味で、ご議論いただく時間がそれほど残っておりませんけれども、最後に何かご発言ございますでしょうか。
【北大路座長代理】 この最後の事例のことではなくて、ロジック・モデルの使い方について、ちょっとご検討をお願いできればと思っております。
各委員の方もおっしゃったとおり、本当にこのロジック・モデルをお使いになって、本当にわかりやすいものになったと思っておりますが、ぜひこれを、あまり試行的に1回、2回でやめてしまうのではなくて、中・長期にこういう形でやっていただければと私は希望しておりますが、一般的には評価の期首に、頭にこういうモデルを作って、最後にまたこれで評価をするという形が普通でしょうから、今、発展途上なものですから、どちらかというと、最後の評価の時期にこういうものが出てきましたので、次の評価のサイクルが始まるときに、もう1度これをよく整備していただいて、それでこの次の評価を行うという、ぜひそういう形を確立していただきたいと思っております。
その際に、幾つか、もう少しルール的なものが、ある程度整備されたほうがいいのかなと。それは、先ほどちょっと申し上げました基本目標の文言がございますけれども、これと、この図にしたときの一番上あるいは2段目の表現の関係、そして、例えば一番上とか2番目ぐらいになりますと、抽象度がかなり高いように見受けてございます。そうなりますと、このレベルではもう、例えば指標は要らないのだったら要らないと。そういうような、例えばルールといいますか、ある程度の合意といいましょうか、そういうものを作っていくとか、逆に言いますと、3段目にはぜひとも――3段目というのは、大分具体的な手段になっているので、もうこのレベルで既にアウトカムのレベルだと思いますが、指標はできるだけ追求するとか、そのようなことがあったほうがいいのかなと思います。
それから、今この上位の、上段と2段目のところは何か無理やりまとめているような雰囲気も、やはりどうしてもございます。それはそれでいいのかもしれませんが、例えば、電子政府の場合は2つに分けていらっしゃいます。1つの政策番号で2つに分けているようなこともあるのであれば、そういうことであれば、ほかのところでもそういうふうに違うツリー構造としてやってもいいのかと、その辺のことの整合性というか統一性というか、そんなこともご検討いただければと思っております。
【森田座長】 大臣がおみえになったようですので、そろそろこれくらいにしたいと思いますけれども、最後に1点だけ、ちょっと私も感想を言わせていただきますと、1つ、政策評価は随分蓄積が進んでまいりまして、いろいろなところで評価に対する期待も高まっていると思いますけれども、分野によりましては、評価をした結果、何が改善されたのか、どこが変わったのかというのがいま一つ感覚的につかみきれない、そういう分野もあろうかと思いますので、その辺について、めり張りのある評価をこれからしていく必要があるのではないかということと、もう1点は、今日もそうですけれども、評価をすると疲れるという気がいたしましたね。やはり、評価そのものにかけるコスト、評価そのもののコストパフォーマンスというものも、その評価のときには考慮する必要があるのではないかという気がしているところでございます。
大臣もおいでになりましたので、今日はいろいろなご意見を出していただきまして、ありがとうございました。総務省におかれましては、本日この場で出たご意見とか、皆様の様々なコメント等を十分に踏まえまして、評価書の作成に当たっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
また、本日のテーマ、議題等につきまして、今日ご発言にならなかった以外にご意見がございましたら、後日でも結構ですので、事務局にご連絡いただければと思います。
それでは、議論をこれで終わりにしたいと思いますので、讃岐課長のほうに司会をお返しいたします。
【讃岐政策評価広報課長】 本日のご議論、大変ご活発にいただきまして、大変ありがとうございました。これを踏まえて、7月の半ばに評価書を取りまとめ、その過程でまたご説明に伺わせていただきたいと思います。また、今日の資料はちょっと途中段階のものですので、取り扱いにご注意いただければと思います。
大臣に駆けつけていただきましたので、ご挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
【増田大臣】 本来でありましたら、今日の冒頭にご挨拶申し上げる予定に、昨日段階ではしておりましたんですが、国会にずっと呼ばれておりまして、最後になりまして大変失礼いたしました。
森田座長をはじめ各委員の皆様方には、活発なご議論を賜りまして、本当にありがとうございました。
政策評価でありますけれども、予算主義と決算主義という言葉もございますが、従来、行政というのは、やはり予算に非常に様々な労力を費やしてきたわけでありますけれども、そうではなくて、終わった仕事のでき上がりをきちんと見ていかなければならないと。そして、それを次にローリングさせて、反映させていかなければならないと。
こういう流れの中で、政策評価法が施行されて、各省ともそれに基づいて政策評価を行っているわけでありますが、ご案内のとおり、それぞれが自己評価になりますと、どうしてもお手盛りになるということもありますので、有識者の皆様方にお入りいただいて、いかにその政策評価をしっかりとしたものにするか、客観性を保つか。公平で客観性のある評価にしていくかと、ここが非常に問われているというふうに思います。
そういうことで、この政策評価に関する有識者会議というものも、まさにそのための会議というふうに私どもも理解をしているわけでありますが、実は昨日、いろいろと資料を私も見たわけでありますが、どうも資料の数が、その時点でも大変多いなと思ったんですが、担当者に聞いてみますと、以前はもっと多かったと、これでも大分絞ったんですという話がございました。しかし、この政策評価に関する有識者会議では、せっかくおいでをいただいておりますので、やはり運営といいましょうか、しかも限られた時間で、年にそう何回も開けるわけではございませんので、資料を準備から始めて、要は、どの点をいろいろとご議論いただくかということを、ポイントを突いてきちんと決めて、それで有効に評価をしていただくということが肝心かと思っております。
私も、今日は柿本大先輩もおられますけれども、都道府県の行政に携わっていたときに、やはり県でもこうした試みをやっておりましたんですが、どうしても当初の目的からだんだん外れて、大変膨大な資料で、この評価自身が目的に変わっていってしまう。肝心なのは、それをいかに次に反映させていくかというところが見失われがちになってしまうということを経験したことがございます。昨日聞いたところでは、宮内庁以外は各省でこういう評価の場というものを常設で設けて客観性を担保しておりますが、その中でも総務省というのは、こういった場でご議論を頂いた上で、各省の中でも模範となる評価を作っていかなければならない。そういう立場でありますので、私も後でまたいろいろ担当のほうから聞きますが、今日もいろいろ活発なご意見があったと思いますので、それを踏まえて、それを生かして、やはり一番模範となる、そういう政策評価と、それから何よりも、総務省の施策がそのことによって毎年毎年きちんと改善されて、良くなっていかなければならないので、その点に十分留意をして、今後も運用していきたいと、こういうふうに考えております
大変最後になりまして、おわびを申し上げなければいけませんが、そういう趣旨で今後もまた貴重なご意見を賜ればと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
【讃岐政策評価広報課長】 それでは、本日、長時間ありがとうございました。これをもちまして会議を終了したいと思います。どうも大変ありがとうございました。
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