申請・届出等手続のオンライン化に関わる汎用受付等システムの基本的な仕様


平成13年8月6日
行政情報化推進各省庁連絡会議幹事会了承


  「e−Japan重点計画」(平成13年3月29日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定)の5(3)1ア)b)ii)に基づき整備することとされている複数の手続の受付・結果通知等について汎用的に利用できるシステム(以下「汎用受付等システム」という。)の基本的な仕様は、以下のとおりとする。

第1  基本方針
  国民の利便性を確保する観点から、国民からのインターネットによる各種申請・届出等手続の一元的な窓口機能を有するものとし、府省ごとに整備する。
  大量かつ反復継続して行われる手続を扱うもの、受付等システムと内部の個別業務システムとを一体的に整備することが効率的と考えられるものについては、専用システムとして整備することを可能とするが、その場合にあっても、申請者とのインターフェース等については、本仕様に準拠することを原則とする。
  電子署名の要否、手数料納付の要否、結果通知の要否等手続ごとの特性に幅広く対応できるシステムを構築することとする。なお、その構築の際には、法令との関係や申請・届出等の到達時期等にも十分に留意して検討する。
  不正アクセス等への適切なセキュリティ対策を以下により講じ、安全性・信頼性を確保する。
(1)インターネットで外部と接続するシステムとして「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(平成12年7月18日 情報セキュリティ対策推進会議決定)を踏まえて各府省が策定したセキュリティポリシーに対応する。
(2)「各省庁の調達におけるセキュリティ水準の高い製品等の利用方針」(平成13年3月29日 行政情報化推進各省庁連絡会議了承)に沿った製品等の調達を推進する。
  広く利用されている国際的な標準に基づく技術を原則として採用するものとし、汎用性・拡張性のあるシステムとする。

第2  基本仕様
  申請者とのインターフェース等
(1)標準的な処理手順
  標準的な処理手順は以下のとおりとする。


(2)処理手順に対応した機能、実現方法
申請者に対して、標準的な処理手順に対応した以下の機能を提供する。

  申請データ作成
(ア) 申請書様式の取得機能
  汎用受付等システムにインターネットによりアクセスし、申請書様式を取得できる機能。
  具体的には次の方法などによりこの機能を実現する。


  申請者端末から申請先の汎用受付等システムに申請書様式リストを要求し、申請者端末の画面に表示する。


  申請者端末から申請先の汎用受付等システムに申請に必要な申請書様式を要求し、申請者端末に表示又は保存できるようにする。


(イ) 申請データの作成機能


1  申請書様式を利用して、申請書を作成し、各手続に定められた書類を添付して申請データが作成できる機能。
  具体的には次の方法などによりこの機能を実現する。



  申請者端末に表示又は保存された申請書様式に必要事項を入力し、申請書を作成する。また、必要な添付書類の作成、添付を行う。


2  申請書の記入漏れ及び誤記入を防止できる機能。
  具体的には次の方法などによりこの機能を実現する。



  申請書様式毎に定めた形式的なエラーチェックの定義情報に基づき、申請データの形式的なエラーチェックを行い、チェックの結果を画面に表示する。申請データに不備がある場合、不備のある項目を併せて表示する。


(ウ) 申請データへの署名機能
  ブリッジ認証局と相互認証している申請者側の認証局が発行した公開鍵証明書の公開鍵と対となる申請者の秘密鍵を用いて、申請データに電子署名を付与できる機能。


(エ) 申請者証明書添付機能
  申請者の保有する民間認証局等が発行した公開鍵証明書を申請データに添付できる機能。

  送信
  申請データの送信機能


1  申請者端末から汎用受付等システムに申請データを送信できる機能。
  具体的には次の方法などによりこの機能を実現する。



  申請者端末から申請先の汎用受付等システムに申請データを送信する。汎用受付等システムからの到達確認情報を受信し申請者端末画面に送信結果を表示する。


2  申請データ送信時に通信経路上のデータを暗号化できる機能。

  状況確認
  当該申請に係る審査等の処理状況及び手数料の納付情報に関する問い合わせ機能


1  汎用受付等システムにアクセスし、当該申請に係る審査等の処理状況、手数料の納付番号、納付金額等の納付情報を確認できる機能。


2  「到達」、「審査中」、「審査終了」、「手続終了」の区分で処理状況を確認できる機能。
  なお、各区分の中で、必要に応じさらに詳細に処理状況を確認できるようにすることを可能とする。また、申請者以外の者が当該申請者の手続に係る処理状況を確認することができないよう必要な措置を講ずる。さらに、審査終了の段階においては、申請者へメールなどにより、審査が終了し、許認可等公文書の取得が可能となった旨の通知を行う機能を措置する。


3  処理状況等送信時に通信経路上のデータを暗号化できる機能。

  結果の取得

(ア)許認可等公文書の取得機能


1  汎用受付等システムにアクセスし、許認可等の公文書を取得できる機能。
  具体的には次の方法などによりこの機能を実現する。



  公文書発行状況を確認し、取得する公文書を選択すると、申請者端末に公文書を表示又は保存できるようにする。



  なお、申請者以外の者が当該申請者の申請に対して発行された公文書にアクセスできないようにする措置を講ずる。


2  許認可等公文書の取得時に通信経路上のデータを暗号化する機能。

(イ)行政機関側の署名・証明書の検証機能
  行政機関が発行した許認可等の公文書に付与されている電子署名及び官職証明書について、官職証明書の有効性、電子署名の真偽、公文書の改変の有無を検証できる機能。

(3)申請書様式等
  申請書様式
  個別業務システム等における申請データの効率的な処理及び円滑な流通を実施するために、原則として、申請書様式のデータ形式については、XMLを採用する。
  また、共管手続等における府省間のデータ交換の円滑化を図るため、申請データ全体の構成管理情報、申請書に共通な項目の属性、構造等について、府省間で必要な標準化を専門部会で引き続き検討する。

  使用する文字
  汎用受付等システムで用いられる申請書様式では、以下の文字セットを使用可能とする。

  1バイト文字の英数字及び記号は、JIS X 0201を使用する。

  2バイト文字は、JIS X 0208を使用し、漢字については、JIS第1水準漢字及びJIS第2水準漢字とする。

  ただし、UCS(ISO/IEC10646-1,JIS X 0221)の使用を排除しない。また、UCSの規定外の文字及び外字は使用しない。
  なお、申請者側の様々な端末からの外字入力による文字化け等をできるだけ未然に防止するため、単位記号等はあらかじめ申請書様式に設定する。

(4)汎用受付等システムに関わる用語
  申請者が汎用受付等システムを混乱することなく利用できるようにするために、操作、案内等に関わる用語を別紙のとおり統一する。

(5)その他
  申請者が利用するソフトウェア
  申請者における申請データの作成等を支援するためのソフトウェアを作成し、配布する場合においては、申請データの定義、汎用受付等システムとの通信プロトコル等のソフトウェア仕様を原則公開する。
  また、同ソフトウェアの仕様等については、府省間で必要な標準化等を専門部会において引き続き検討する。

  電子署名
  行政機関側が発行する許認可等公文書には、原則として電子署名を付与する。
  申請者が送信する申請データについては、基本的には電子署名を要する方向とするが、他人へのなりすまし防止を図る必要性その他各申請手続の特性に留意し引き続き検討する。

  申請データの受信時間の延長等
  汎用受付等システムにおける申請データの受信時間の延長等府省間でシステム的に整合性を図る必要がある事項については、専門部会で検討する。

  関連する共通的なシステムとのインターフェース
(1)認証基盤
  申請者及び官職の証明書検証のために必要な認証基盤とのインターフェースは、「政府認証基盤(GPKI)相互運用性仕様書」(平成13年4月25日基本問題専門部会了承)に準拠する。

(2)歳入金電子納付システム
  手数料納付確認のために必要な歳入金電子納付システムとのインターフェースは、会計事務機械化等連絡協議会で策定する基本仕様に準拠する。

(3)その他
  総合窓口システム(e−gov)
  総合窓口システム(e−gov)にオンライン化した手続のリンク情報(URL)を登録し、電子申請・届出等の一元的な案内を行うこととする。

  霞が関WAN等
  申請・届出等手続に係る府省間及び国・地方公共団体間での内部事務処理において、電子情報の流通が必要なものについては、原則として霞が関WAN(省庁間電子文書交換システム等)、総合行政ネットワークシステムを活用する。

第3  その他
  本仕様は、情報通信技術の動向、国民等からの利便性の向上に係るニーズ等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
  なお、今後、技術的に詳細な事項等について、府省間で整合性を図る必要が生じた場合は、適宜、専門部会で検討することとする。

  汎用受付等システムの整備に当たっては、各府省において、個別手続の実態に応じて、本仕様に定めのない機能の追加等を適宜実施することを可能とする。