総管情41号
平成17年3月25日

各府省等官房長等あて


総務省行政管理局長            



行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行に当たって(通知)



  第156回国会において成立し、平成15年5月30日に公布された行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「法」という。)は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行期日を定める政令(平成15年政令第547号)により、平成17年4月1日から施行されます。
  法は、行政機関において個人情報の利用が拡大していることにかんがみ、行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的としており、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和63年法律第95号。以下「旧法」という。)を全部改正するものです。
  このような法の目的を踏まえ、法の適切かつ厳格な運用を確保するため、これまで、法を詳細に説明した文書の配布、「行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針」(平成16年9月14日総務省行政管理局長通知)の通知等を行ってきたところですが、今般、法の施行を直前に控え、改めて、法の施行に当たっての留意事項を下記のとおり取りまとめましたので、これらについて格段の御配慮をお願いします。また、法の成立に際して、衆参両議院の個人情報の保護に関する特別委員会において、別添の附帯決議が採択されていることにも御配慮をお願いします。
  なお、貴管下各機関に対しても周知方御手配いただきますようお願いします。


1  総則的事項
 
  目的(第1条関係)
    行政機関においては、IT化の急速な進展に伴い、個人情報の取扱いが著しく拡大している。ITを活用した個人情報の取扱いの拡大は、行政サービスの向上や行政運営の効率化に大きく寄与しているが、一方で、ITを活用した個人情報の処理の特性(大量・高速処理、結合・検索及び遠隔処理の容易性)から、行政機関による個人の権利利益の侵害のおそれやこれについての国民の不安感の増大が指摘されている。
  法は、このような状況にかんがみ、行政機関における個人情報の取扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的としている。

  法の対象となる行政機関(第2条第1項関係)
  法は、国のすべての行政機関を対象としている。

  法の対象となる個人情報(第2条第3項関係)
  法は、旧法が対象としていた電子計算機処理に係る個人情報のみならず、紙の文書に記録されたマニュアル処理に係るものを含め、行政機関が保有するすべての保有個人情報を対象としている。

2  行政機関における個人情報の取扱い
  個人情報の保有の制限等(第3条関係)
(1)   行政機関は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用目的をできる限り特定しなければならないこととされている(第3条第1項)。
  利用目的は、保有から利用・提供に至る個人情報の取扱いの範囲を原則的に画定する要となるものである。したがって、具体的な利用行為が当該利用目的の範囲内であるか否かについて合理的かつ明確に判断できるよう、できるだけ具体的、個別的に特定することが極めて重要である。
  また、個人情報を保有する前提として、個人情報の取得は、適法かつ適正な方法により行う必要がある。
(2)   行政機関は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならないこととされている(同条第2項)。
  個人情報を取得する個人の範囲及び個人情報の内容は、利用目的に照らして必要最小限の範囲内で行う必要がある。
(3)   行政機関は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないこととされている(同条第3項)。
  利用目的の変更は、変更前の利用目的と変更後の利用目的の間に想定することが困難でない程度の関連性が存在すると判断することについて、社会通念上妥当であると考えられる範囲内で行う必要がある。

  利用目的の明示(第4条関係)
  行政機関は、本人から直接書面に記録された当該本人の個人情報を取得するときは、一定の場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならないこととされている。
  利用目的の明示の方法として、申請書等の様式にあらかじめ記載しておく方法、窓口における掲示や口頭による方法などが考えられるが、本人が利用目的を認識することができるよう、適切な方法により行う必要がある。

  正確性の確保(第5条関係)
  行政機関の長は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならないこととされている。
  利用目的に応じて必要な範囲内で保有個人情報の正確性を確保する必要がある。

  安全確保の措置(第6条関係)
  行政機関の長は、保有個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないこととされている。
  保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じるに当たっては、「行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針について」(平成16年9月14日総務省行政管理局長通知)を参考にして、その保有する個人情報の内容や取扱いの実情に即した個人情報の適切な管理に関する定め等を整備する必要がある。また、監査等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、その見直し等の措置を講じなければならない。

  従事者の義務(第7条関係)
  個人情報の取扱いに従事する行政機関の職員等は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならないこととされている。
  業務に関して知り得た個人情報は、個人の秘密であるか、電子計算機処理されている個人情報であるか、保有個人情報であるかを問わない。

  利用及び提供の制限(第8条関係)
  行政機関の長は、法令に基づく場合その他一定の事由がある場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を利用し、又は提供してはならないこととされている。
  保有個人情報が本来の利用目的以外の目的のために利用又は提供された場合には、本人の予期せぬ利用等による不安・懸念を生じさせ、場合によっては社会問題化する可能性があるとともに、悪用による権利利益の侵害をもたらす危険性を増大させることにもなる。このため、利用目的以外の目的のための利用又は提供については、個別具体的にその必要性について慎重かつ客観的な判断を行わなければならず、各行政機関においては、その旨周知徹底を図る必要がある。

3 個人情報ファイル
  個人情報ファイルの保有等に関する事前通知(第10条関係)
  行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該行政機関の長は、一定の個人情報ファイルを除き、あらかじめ、総務大臣に対し、一定の事項を通知しなければならないこととされている。
  事前通知の適用除外となる個人情報ファイル(第10条第2項)に該当するか否かの判断は厳格に行わなければならない。

  個人情報ファイル簿の作成及び公表(第11条関係)
  行政機関の長は、当該行政機関が保有している個人情報ファイルの概要を記載した個人情報ファイル簿を作成し、公表しなければならないこととされている。
  旧法は、電子計算機処理に係る個人情報ファイルについて個人情報ファイル簿の作成及び公表の対象としていたが、法は、紙等の媒体に記録されたマニュアル処理に係る個人情報ファイルを含むすべての個人情報ファイルを対象としている。
  個人情報ファイル簿の作成及び公表に当たっては、記載内容をできるだけ具体的で分かりやすく記載するとともに、個人情報ファイル簿の作成及び公表の適用除外(第11条第2項及び第3項)に該当するか否かの判断は厳格に行わなければならない。

4  開示、訂正及び利用停止
  開示請求権(第12条等関係)
  何人も、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができることとされている(第12条第1項)。
  旧法は、個人情報ファイル簿に掲載されていない個人情報ファイルに記録されている個人情報、教育情報及び医療情報については開示請求の対象外としていたが、法はこれらの個人情報を含めすべての保有個人情報を開示請求の対象としている。
  開示請求に係る事務処理を行うに当たっては、開示決定等期限を遵守するなど、法の規定に従って適切に行う必要がある。

  訂正請求権(第27条等関係)
  何人も、開示決定に基づき開示を受けた自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、当該保有個人情報を保有する行政機関の長に対し、当該保有個人情報の訂正を請求することができることとされている(第27条第1項)。
  訂正請求に係る事務処理を行うに当たっては、訂正決定等期限を遵守するなど、法の規定に従って適切に行う必要がある。

  利用停止請求権(第36条等関係)
  何人も、開示決定に基づき開示を受けた自己を本人とする保有個人情報が、当該保有個人情報を保有する行政機関により適法に取得されたものでないとき、第3条第2項の規定に違反して利用目的の達成に必要な範囲を超えて保有されているとき、又は第8条の規定に違反して利用目的以外の目的で利用若しくは提供されていると思料するときは、当該保有個人情報を保有する行政機関の長に対し、当該保有個人情報の利用の停止等を請求することができることとされている(第36条第1項)。
  利用停止請求に係る事務処理を行うに当たっては、利用停止決定等期限を遵守するなど、法の規定に従って適切に行う必要がある。

  不服申立て(第42条等関係)
  開示決定等、訂正決定等及び利用停止決定等について不服申立てがあったときは、不服申立てを受けた行政機関の長は、原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならないこととされている。
  不服申立てに係る事務処理を行うに当たっては、可能な限り速やかに諮問を行うなど、適切に行う必要がある。

5  情報提供等
  開示請求等をしようとする者に対する情報の提供等(第47条関係)
  行政機関の長は、開示請求、訂正請求又は利用停止請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずることとされている。
  具体的には、これらの者の利便性を考慮し、開示請求等に係る保有個人情報を具体的に特定するのに役立つ情報の提供、請求手続及び他の法令の規定による開示請求等の関連する制度の教示、請求窓口の整備等の措置を講ずる必要がある。

  苦情処理(第48条関係)
  行政機関の長は、行政機関における個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならないこととされている。
  行政機関における個人情報の取扱いに関する国民からの信頼を確保するため、国民から寄せられる様々な苦情について、適切かつ迅速に対応する必要がある。
  なお、法の制度運営に関する意見については、総務省行政管理局(行政情報システム企画課個人情報保護室)に情報提供されたい。

6  罰則(第53条等関係)
  法は、以下のとおり、行政機関の職員等に対する罰則を新たに規定しており、行政機関においては、これを踏まえて適切に法の施行に当たる必要がある。
  行政機関の職員等が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理に係る個人情報ファイルを提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(第53条)。
  行政機関の職員等が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(第54条)。
  行政機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(第55条)。


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